拾った子供は勇者でした。弟として接していましたが彼には姉ではないと拒否されてます。

三園 七詩

文字の大きさ
10 / 21

10.甘いもの

しおりを挟む
「う、うん」

私は目が覚めると目の前の女性をみてびっくりする。

起きたらすごい美人が私を見つめていたのだから仕方ない。
少し落ち着き彼女がアルフレッドの仲間のアレクサンドラさんだと気がついた。

「すみません、私の事見ててくれたんですね」

話しかけるが彼女からの返事は無い。
なんかアルフレッドにあった日の事を思い出した。

「ずっと寝てたらお腹がすいちゃった、アレクサンドラさんも何か食べますか?」

何か作ろうと立ち上がるとピクっと反応する。

「甘いもの」

ボソッと呟く声に私は笑顔で頷いた。

キッチンに行くと無いはずの食材まで全て揃っている。アルフレッドが買ってくれたのかと首を傾げているといつの間にかアレクサンドラさんが側に立っている。

「沢山作って」

アルフレッドの女性版のような彼女に私は親近感しかなかった。

「はい」

笑って答えるととりあえずすぐに作れそうな物にした。アルフレッドも好きだったパンケーキを焼いてクリームと果実を添える。

「はい、どうぞ」

テーブルに置いてあげるとアレクサンドラさんは目を輝かせて食べ始めた。
私も横で食べると久しぶりの甘いものが体に染み渡る。

こんな追いついた気分は父が亡くなってからはじめてだと気がついた。

「おかわり」

するとアレクサンドラさんはもう食べ終えて次を催促してくる。

私は笑って沢山焼いたパンケーキを皿に盛ってあげた。

そうしてほどんどのパンケーキを平らげるとアレクサンドラさんは満足そうにしている。

かなりの量を食べたのにスラッとしたその姿は女性が嫉妬するだろう。

そう思って見つめているといきなり立ち上がり私の傍に来て手を握った。

「あなた名前は?」

「ニケアインです」

何回か言ったのにと思いながらももう一度答えると何回が名前を口にする。

「うん、覚えた。ニケ好き、また作って」

そう言って微笑む姿に嫌とは言えなくなる。
女性でも赤面してしまう美貌にボーッとしているとアルフレッドが帰ってきた。

そして私達の姿を見るとカツカツとこちらに向かい握りあっていたその手を離した。

そしてアレクサンドラさんの手を掴み外へと連れ出してしまう。

少し怒った感じに私は「あっ」と察した。

彼女はアルフレッドの恋人なんだろう。
彼女ならアルフレッドの隣にいてもその美貌は霞むことなくお互いの良さを引き出し合う事だろう。

そんな恋人が女性とはいえ手握りあっていたのだから面白く無いはずだ。

私は気をけなきゃと反省した。





「アレクサンドラ、なぜ君が僕のニケと手を握りあっている?」

思わず耐えられずに彼女を引き離して外に連れ出し詰め寄るとアレクサンドラは珍しい顔で僕を睨みつける。

彼女も僕と同じで感情が乏しい。そして僕に対してもなんの感情もないのが気に入り仲間にしたのにこんな仕打ちをされるとは思わなかった。

「ニケアインはあなたのじゃないわ、私も彼女を気に入った」

「それは駄目だ」

僕は彼女の手を強く握りしめる。
折れてもいいぐらいの気持ちで掴んでいるとニケが扉を叩いた。

「あれ?  開かない、アルフレッド?」

ドンドンと扉を叩いてぼくの名前を呼ぶ。

それに応えたくて手を離し彼女の傍に向かった。

魔法を解除してニケを外に出すと僕とアレクサンドラを見て気まずそうにする。

「アルフレッド勘違いしないでね。彼女には料理をあげてただけなの」

「料理?」

そう聞いてアレクサンドラを見るとコクっと頷く。

「アルフレッドにも焼いたのよ、好きだよねパンケーキ?」

ニケが笑いながら僕にパンケーキを焼いてくれたと言う。

「うん」

僕はアレクサンドラに怒っていた事も忘れてニケと部屋へと戻った。

するとアレクサンドラもしれっと隣に座っている。

ニケを2人です挟む様子にニケが少し戸惑っている。

「今持ってくるね。アレクサンドラさんもまた食べます?」

「うん」

アレクサンドラが僕達以外の人に心を許してしまった。しかもニケにだ。

彼女を好きなのは自分だけでいいのにと腹の中に黒い何かが渦巻いている。

「はい、アルフレッド」

するとニケがパンケーキを僕に最初に持ってきた。

それだけで黒い何かはスーッと腹から消えてしまう。

「ありがとう、ニケ」

ニケは嬉しそうに頷くとあかにもパンケーキを用意して僕達の食べる様子を幸せそうに見つめていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

王太子殿下の想い人が騎士団長だと知った私は、張り切って王太子殿下と婚約することにしました!

奏音 美都
恋愛
 ソリティア男爵令嬢である私、イリアは舞踏会場を離れてバルコニーで涼んでいると、そこに王太子殿下の逢引き現場を目撃してしまいました。  そのお相手は……ロワール騎士団長様でした。  あぁ、なんてことでしょう……  こんな、こんなのって……尊すぎますわ!!

英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない

百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。 幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。 ※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。

夫が勇者に選ばれました

プラネットプラント
恋愛
勇者に選ばれた夫は「必ず帰って来る」と言って、戻ってこない。風の噂では、王女様と結婚するらしい。そして、私は殺される。 ※なろうでも投稿しています。

婚約を解消したら、何故か元婚約者の家で養われることになった

下菊みこと
恋愛
気付いたら好きな人に捕まっていたお話。 小説家になろう様でも投稿しています。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり

鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。 でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

幼馴染の勇者に「魔王を倒して帰ってきたら何でもしてあげる」と言った結果

景華
恋愛
平和な村で毎日を過ごす村娘ステラ。 ある日ステラの長年の想い人である幼馴染であるリードが勇者として選ばれ、聖女、女剣士、女魔術師と共に魔王討伐に向かうことになる。 「俺……ステラと離れたくない」 そんなリードに、ステラは思わずこう告げる。 「そうだ‼ リードが帰ってきたら、私がリードのお願い、一つだけなんでも叶えてあげる‼」 そんなとっさにステラから飛び出た約束を胸に、リードは村を旅立つ。 それから半年、毎日リードの無事を祈り続けるステラのもとに、リードの史上最速での魔王城攻略の知らせが届く。 勇者一行はこれからたくさんの祝勝パーティに参加した後、故郷に凱旋するというが、それと同時に、パーティメンバーである聖女と女剣士、そして女魔術師の話も耳にすることになる。 戦いの昂りを鎮める役割も担うという三人は、戦いの後全員が重婚の認められた勇者の嫁になるということを知ったステラは思いを諦めようとするが、突然現れたリードは彼女に『ステラの身体《約束のお願い》』を迫って来て──? 誰がどう見ても両片思いな二人がお願いをきっかけに結ばれるまで──。

処理中です...