拾った子供は勇者でした。弟として接していましたが彼には姉ではないと拒否されてます。

三園 七詩

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9.アルフレッド

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僕は生まれた時から感情が欠落していた。
それは勇者になる為に必要な事なんだと今なら理解できるが幼い時にはなぜ父や母があんな事をするのか理解出来なかった。

表情もなく泣かない僕を気持ち悪るがり世話などしてくれなかった。ある時珍しく出かけたと思ったらそのまま山に捨てられたのだ。

表情はなくとも感情は少しはある、絶望の中どうにか生きていたがそれも限界があった。

諦めかけた時にゼリフに拾われた。
彼らと過ごす生活は僕に新しい感情をくれた、嬉しさや悲しさ寂しさに愛おしさ。

全てを無くした僕にそれを教えてくれた二人は特別で、更にニケには家族とはまた違う感情もあった。

元々剣の才能があった僕はものの数年でゼリフを追い抜いてしまった。そんな僕に二人はもっと外の世界を見てこいと突き放す。

しかしそれは僕の勘違いで何時でも帰ってきていいと、それなら二人に恩返しができるようになるまで帰らないと誓った。

いざ外の世界に出てみると僕の才能は更に進化した、魔法を覚えて剣技も磨いた。ゼリフの教え通り毎日続け自分を磨き続けたのだ。

するといつの間にか僕は勇者と呼ばれる存在となった。

勇者にしか扱えない武器を使いこなし王宮からの要請もいやいやながらこなし今の地位を手に入れた。

もう王都でも充分に暮らして行ける目処がたちニケ達を迎えに行こうとこちらに向かっていたところでこの騒動に出くわした。

嫌な予感に家までみなをおいて走ると信じられない光景が飛び込んできた。

ニケに男が跨ぎこんで暴力を奮っていた。
僕は男を引き剥がすとその首を握り潰した。

ニケは気がついていなかったのが幸いだ、ニケにこんな行為は見せられない。彼女には美しい世界だけ見ていて欲しかった。

ニケはそのまま気を失ってしまった。
あとからやってきたアレクサンドラに回復魔法をかけてもらいニケを休ませる。

落ち着いて部屋を見て何も無いガランとした空間に違和感を覚えた。

物を大切にするニケやゼリフが家具など捨てるとは思えなかったからだ。

ニケを休ませている間少し調べてみるとゼリフが亡くなっていることを聞いて絶望する。

やっと恩を返せると思ったのに遅かった。しかし感情のない僕がこれほど苦しいのならニケの悲しみはこれ以上なのだと思うといてもたってもいられない。

この町全てを壊して一から作り直してやろうかと本気で考えた。

しかしエリック達に止められてとりあえずニケの話を聞くことにしたのだ。

ニケが目覚めてからこれまでの事を聞いて愕然とする。

この怒りをぶつける相手に今すぐ会わないと全てを壊してしまいそうだった。
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