拾った子供は勇者でした。弟として接していましたが彼には姉ではないと拒否されてます。

三園 七詩

文字の大きさ
13 / 21

13.本当の気持ち

しおりを挟む
「ア、アルフレッド?」

アルフレッドは手をゆっくりと払いのけるとそのまま握りしめ私の顔をジッと眺めてくる。

「僕はニケの弟じゃない」

真剣な顔で拒否され、私の心臓はギュッと締め付けられた。

「ご、ごめん」

顔を見ていられなくて思わず逸らしてしまった。

アルフレッドは父に引き取られる時にハッキリと弟になりたいないと言っていたのに私は彼が嫌がっているのをわかりながらも甘えていた。

でもそうしないと可愛いアルフレッドと家族でいられない。他人と言われてしまえばこうやって可愛がる理由がなくなってしまう。

アルフレッドは人から一線を置いている節があった。
でも私や父には本当に心を許しているように見えていたので勘違いをしてしまった。

私達は特別なんじゃないかと・・・・・・

そんな傲慢な気持ちを見透かされた気がして私はアルフレッドから離れた。

「ね、寝る支度するね」

用事を作って今すぐこの場から離れたかった。

明日にはあの仲間達とここを出ていってまた旅に行くのだろう。勇者なら尚更だ。

もうここには戻ってこないかもしれないと思うと胸が痛い、でもせめて気持ちよく去って欲しいと私は泣きそうになる気持ちを抑えて部屋を整える事にした。

「アルフレッド、この部屋使って」

私は父の部屋を整えてベッドのシーツなど新しく変えるとアルフレッドに使うように声をかける。

「ニケ?」

アルフレッドは目を見てこない事に疑問に思ったのか私の顔を覗き込んだ。

彼の優しい声に思わず涙が溢れてしまい、慌てて顔を隠す。

するとアルフレッドは私の手を掴んで顔から引き剥がした。

「なんで泣いてるの?」

声が怒っている。
私は怖くて目を開けられず下を向いた。

これ以上嫌われたくないのに上手くいかない。

「ち、違う。泣いてないから大丈夫」

「もしかしてあいつになんかされてたの?」

「あいつ?」

私はなんの事だとようやくアルフレッドの顔をみた。

「あの男、それに領主」

アルフレッドは無感情な顔で聞いてきた。

そう聞いてあの時の気持ちを思い出して身震いする。

すっかり忘れていたが今朝には恐ろしい体験をしていたのだ。

「あいつらはもう来ないから大丈夫だよ」

アルフレッドはギュッと私を安心させるように抱きしめてくれた。

今まではこんな行為も家族のようで嬉しかったが弟ではないと拒否された今は複雑に感じる。

「勇者として話をつけてきてくれたんだね、ありがとう。でもアルフレッドこうやって家族でもない人に抱きついちゃ駄目だよ・・・勘違いさせちゃうから」

私はそっとアルフレッドの手を退かしてその腕から逃げ出した。

「勘違い?」

「アルフレッドは勇者になって他の人も思いやれる優しい人になったんだね。その顔もいいし女の人にそういうことすると勘違いさせちゃうよ、だから抱きつくのは特別な人だけにしようね」

またお姉ちゃんぶって説教っぽいことを言ってしまった。

でもアルフレッドがこれから本当に好きな人が出来た時の為に・・・

そう自分に言い聞かせるがなんだか胸の当たりがモヤモヤとする。

なんだろうと胸をさすっているとアルフレッドがその腕を掴んだ。

「他の人にそんなことしない、触るのはニケだけ」

ジッと澄んだ瞳で見つめてくる。

「でも、私はお姉ちゃんじゃないから」

私は逃げるように目を逸らした。
手も離そうとするがガッチリと掴まれてしまい逃げられない。

「ニケはお姉ちゃんじゃない、出会った時姉だと思ったことは一度もない」

ハッキリと断言されて胸の痛みに苦しくなる。

「ニケは昔も今もずっと一番の存在だから」

「え?」

顔を上げて瞳を見ると先程と変わらず真剣な顔をしている。決してからかったり嘘をついているようには見えなかった。

「一番?」

「そう、僕はニケの弟になりたいんじゃない。最初の男になりたいんだ」

アルフレッドの言葉の意味を理解するのに私はグルグルと言われた言葉を頭の中で繰り返した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

王太子殿下の想い人が騎士団長だと知った私は、張り切って王太子殿下と婚約することにしました!

奏音 美都
恋愛
 ソリティア男爵令嬢である私、イリアは舞踏会場を離れてバルコニーで涼んでいると、そこに王太子殿下の逢引き現場を目撃してしまいました。  そのお相手は……ロワール騎士団長様でした。  あぁ、なんてことでしょう……  こんな、こんなのって……尊すぎますわ!!

夫が勇者に選ばれました

プラネットプラント
恋愛
勇者に選ばれた夫は「必ず帰って来る」と言って、戻ってこない。風の噂では、王女様と結婚するらしい。そして、私は殺される。 ※なろうでも投稿しています。

英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない

百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。 幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。 ※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。

婚約を解消したら、何故か元婚約者の家で養われることになった

下菊みこと
恋愛
気付いたら好きな人に捕まっていたお話。 小説家になろう様でも投稿しています。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり

鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。 でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

幼馴染の勇者に「魔王を倒して帰ってきたら何でもしてあげる」と言った結果

景華
恋愛
平和な村で毎日を過ごす村娘ステラ。 ある日ステラの長年の想い人である幼馴染であるリードが勇者として選ばれ、聖女、女剣士、女魔術師と共に魔王討伐に向かうことになる。 「俺……ステラと離れたくない」 そんなリードに、ステラは思わずこう告げる。 「そうだ‼ リードが帰ってきたら、私がリードのお願い、一つだけなんでも叶えてあげる‼」 そんなとっさにステラから飛び出た約束を胸に、リードは村を旅立つ。 それから半年、毎日リードの無事を祈り続けるステラのもとに、リードの史上最速での魔王城攻略の知らせが届く。 勇者一行はこれからたくさんの祝勝パーティに参加した後、故郷に凱旋するというが、それと同時に、パーティメンバーである聖女と女剣士、そして女魔術師の話も耳にすることになる。 戦いの昂りを鎮める役割も担うという三人は、戦いの後全員が重婚の認められた勇者の嫁になるということを知ったステラは思いを諦めようとするが、突然現れたリードは彼女に『ステラの身体《約束のお願い》』を迫って来て──? 誰がどう見ても両片思いな二人がお願いをきっかけに結ばれるまで──。

処理中です...