【完結】ここって天国？いいえBLの世界に転生しました

31.葛藤

「シリル…ごめんね」

私はシリルの顔を覗き込んで謝ると

ブンブン！

シリルは勢いよく首を振る。

「よかったぁ～シリルはやさしいな」

シリルの反応に嬉しくなってその手を取るとギュッと掴む。

ジェラートは二人の仲の良さそうな様子に驚きながらも苦笑しながら私達のの前に膝まづいた。

「シリル…よかった出てきてくれて。ここは今日から君の家になるんだよ。そしてこの子が兄のテオドール、この子は君と歳は一緒だが少しお姉さんのマリーだ、これから君の兄と姉になるんだよ」

テオドールは無表情でマリーはニコニコ笑いながらシリルの前に立った。

「よろしく…」

テオドールが声をかけると

「シリル！おねえちゃんだよ！よろしくね」

私は繋いでいた手をブンブンと振った。

ビクッ…

シリルはたくさんの人に囲まれて怯えてビクビクしている。

「ごめんよ驚かせすぎたかな？とりあえずマリーとシリルは真っ黒だからお風呂に入ろうか？」

「お父様！」

お風呂と聞いてテオドールが大声を出すと

「どうしたの？お兄ちゃま？」

マリーは突然大きな声を出したテオドールを驚いて見つめた。

「マリーは女の子だよ、いくら姉弟になるとはいえ…一緒入るなんて…」

テオドールがそれは認められないとブンブンと首を振る。

「テオドール、落ち着きなさい。別に一緒に入らないよ…シリルはついでに髪も切ってもらおう。長い髪だと大変だからね」

ジェラートの言葉にマリーは残念そうにすると

「なんだ…いっしょにはいれないんだ…」

ガッカリとしていると…ギュッ…

シリルがマリーの手をギュッと掴んだ。

「ん？どうしたの？」

マリーはシリルに近づくと…

「こ、わい…いっしょ…」

ボソボソとマリーに呟いた…

マリーは頷くと

「おとうしゃま！シリルひとりだとこわいって！マリーおねいしゃんだからシリルといてあげたい！」

マリーはジェラートに頼み込むと…

「お父様！！駄目ですよ！」

テオドールがキッと父親を睨むと

「お兄ちゃま…だめ？」

マリーは目をうるませて兄を見つめた。

｢マ、マリー…｣

テオドールは葛藤する…可愛いマリーの言うことを聞いてあげるべきか…ここは心を鬼にしてマリーを守るべきか…

｢ど、どうすれば…｣

テオドールは頭を抱えてしまった。

そんなテオドールの様子にマリーはピンときた！

あーなるほど…テオドールお兄ちゃんはシリルが私とだから心配なのか！まぁ確かに私はまだ小さくてあんまり自分の事も出来ないもんな…それなら…

｢じゃあテオドールお兄ちゃまもいっしょにはいろ？｣

私は床にしゃがみ込んだお兄ちゃまの顔を下から覗き込んだ。