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61.閑話 ビルド家メイドの会話

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ビルド伯爵家のメイド達の雑談

ビルド伯爵が慌てて屋敷を飛び出して行き、メイド達はやっとひと息つくとお茶を飲んでいた。

「ええ、もう本当にあの時はとうとうお嬢様の頭がおかしくなってしまったのかと思いました…だって帰ってきた時は真っ青で旦那様も大変お怒りだったのに…ものの数分でそんな事忘れたかのようにあっけらかんとしてお茶やお菓子を食べていましたからね!」

「旦那様のあんな慌てた様子なんて中々無いのに…本当にあの方は昔っから…あっ!ここだけの話ですよ!お嬢様…高等部に上がる時にテストの点数が足りなくて…留年予定だったのですがどうにか旦那様が人に頼み込んで学長に掛け合ったようです!」

「アンスロット侯爵様のご子息の家庭教師も幼い子だからと旦那様がツテを使ってどうにか仕事を貰えたとか…でもすぐにご子息の方が賢くなってしまったなんて噂も…」

「お嬢様…のお姉様のランジェ様が優秀ですからね…自分もと何か勘違いしてるんですよね…ラクターお嬢様は…」

「これだと旦那様あの話…受け入れますね」

「なになに?あの話って?」

「どうやらハーゲン男爵家から縁談の話が…」

「「「えー!」」」

メイド達は一斉に叫び声をあげると慌てて口を押さえた!

「声が大きい!しー!」

「ごめんごめん!それで?あのハーゲン男爵ってテンゾ様?」

「そう!テンゾ様!誰もお相手がいなくてお見合いをもう三桁はしてるんじゃないかって言う、禿げで腹のでたもうこのまま一生一人かと言われてたテンゾ・ハーゲン男爵よ!」

「あの人…性格も最悪って聞いたけど…」

メイドの一人が嫌そうに顔を顰めた。

「ええ、あの容姿でナルシストらしいです…屋敷が鏡だらけで何人もの使用人が精神を病んだとか…」

「「「「………」」」」

「ま、まぁお嬢様にはお似合いかも…」

「そうですね!お嬢様、鏡好きですし!」

「そ、そうね。ここで一人で居るより幸せかも知れませんよ。私なら絶対ごめんですが…」

メイド達は残念そうに頷き合うと冷めてしまったお茶を一気に飲み干した。

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