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私はオニキス様から差し出された手を握りしめた。
オニキス様はそうされても何ともない顔をしている。
そっと手を離すが私に体調の変化はない、オニキス様もスッキリした顔をする。
「ううう…」
その光景にルカリオ様が涙を流した。
私がびっくりしているとルカリオ様が泣き出した訳を話した。
「オニキス様がこんなにも穏やかな顔をされたのはいつ以来でしょうか、今日はなんて素晴らしい日なんだ!」
まるでお祝いでもしそうな雰囲気に私は少し笑ってしまった。
「良かった良かった、じゃあこのままフィオナとオニキスは婚約すればいいね」
「え?」
私はエリオ先生の言葉に耳を疑った。
婚約って聞こえた気がしたがありえない。オニキス様は公爵様だ、もうご両親はいないと聞いた事がある。
そんなオニキス様と婚約する人は公爵夫人となるのだ。
中の下の伯爵家の私にそんな立場は身に余る。しかも私は魔力の少ない出来損ないなのだ。
「無理です無理無理!」
私が全力で拒否するとオニキス様が少しムッとした。
「フィオナ嬢は誰かもう婚約者がいるのか?」
「いえ、いませんが…」
「なら問題ないだろ?」
オニキス様がグイグイと迫ってくる。
「も、問題です! 私のような者がオニキス様となんて無理です」
顔を背けた。
するとオニキス様が沈んだ声を出す。
「私のような魔力量が多く人を不幸にする者はフィオナ嬢には相応しくないか…」
私はオニキス様を傷つけてしまったと慌てる。
「ち、違います! 逆です。私のような者がオニキス様には相応しくないのです」
「なら問題ない、そんな事を言う者はいないからね」
オニキス様がニコリと笑った。
先程まで不安そうに私に話しかけていたオニキス様はどこ?
私はニコニコと笑うみんなに囲まれて慌てる事しか出来なかった。
文句を言う者がいないなど、わけがわからない事を言われるがその説明のないまま、私はその日公爵家にお世話になる事になった。
未婚の令嬢が独身の男性の家にお世話になるなどよくないと思うのだが、連絡は既に家に行っているらしい。
だが私は不安だった。
帰ったら何を言われるかと思うと今から気が重い。
ここではみんな親切で私を普通の令嬢として扱ってくれる、いやそれ以上に大切にしてくれているように感じた。
オニキス様と婚約して、結婚したら……ここで暮らせたら……そんなことを少し想像してしまった。
そんな甘い望みを私は振り払う。
そんな事世間が許すわけない、何より私の家族が許さないだろう。
婚約できなくてもオニキス様のもとに時々伺って魔力を吸って差し上げればいいだけだ。
私はふわふわの布団の温もりを忘れないようにぎゅっと布団を抱きしめた。
朝起きると美味しい朝食とお土産をたくさんもらって、帰るのを悲しむメイドさんに見送られ私は帰宅した。
「この度はフィオナ様をお引止めしてしまい申し訳なかったと主人が申しておりました。これはその事に対しての謝礼になります」
送ってくれたルカリオ様がお父様になにか渡した。
そしてお土産を屋敷に運び込むと私のもとに来た。
「また近くお伺いします」
私にだけ聞こえる声で呟くと頭を下げ帰っていった。
ルカリオ様が帰ると案の定私は質問攻めにあった。
「お前は何をしたんだ!」
「このドレス素敵!フィオナには似合わないから私が全部もらってあげる」
「このまま公爵様と親密になれれば…」
その日お父様とお母様は機嫌が良かった。カリーナも私のお土産を全部奪い満足したようだ。
その日から私も屋敷の離れではなく母屋の方に部屋を用意された。
しばらくは屋敷も騒がしかったが、数日後公爵家から音沙汰が無いとわかると、やはり私が公爵家に呼ばれたのはただの偶然だったと思われたようだ。
「フィオナ!お前公爵様に気に入られるように振る舞わなかったのか!」
「本当に役立たず、こんな時ぐらい上手く立ち回れないのかしら」
「やっぱりお姉様よね」
カリーナは当たり前だと鼻で笑う。
その日のうちに私の部屋はいつもの場所に戻された。
その次の日、事件が起きた。
この話は後になり、オニキス様から聞いた話になる。
「た、大変です!公爵様が来られました!」
メイドの声にうちの屋敷は騒然となった。
「フィオナ嬢はいるかな?」
この時オニキス様の言葉にお父様はかなり慌てたらしい。肝心の私は一人離れで部屋に閉じ込められていた。
それはいつものことで、オニキス様に貰ったドレスも、全て没収されていていつものお下がりのドレスを着ていた。
「その、まだ着替えが済んでおらず……誰か、フィオナを……」
「た、た、ただいま呼んできます!」
メイドが慌ただしく走り出す。
「あっオニキス公爵様!」
するとそこにカトリーナがやってきた。
オニキス様はカトリーナの姿をみて顔をしかめる。
「そのドレス…」
ジロっと不機嫌そうに目を細めた。
「はい、お姉様が自分には似合わないからと私にくれたんです。どうですか?」
カトリーナは可愛らしい顔でニコッと微笑んだ。
あの顔で微笑まれたらオニキス様も私ではなくカトリーナがいいと思うかもしれない。
「不快だ…」
オニキス様はボソッと呟くと屋敷の中を歩き出した。
「フィオナはどこだ?」
「公爵様!すぐに来ますのでこちらでお待ちください」
お父様がそう言ってもオニキス様は無視して歩き出した。
オニキス様はそうされても何ともない顔をしている。
そっと手を離すが私に体調の変化はない、オニキス様もスッキリした顔をする。
「ううう…」
その光景にルカリオ様が涙を流した。
私がびっくりしているとルカリオ様が泣き出した訳を話した。
「オニキス様がこんなにも穏やかな顔をされたのはいつ以来でしょうか、今日はなんて素晴らしい日なんだ!」
まるでお祝いでもしそうな雰囲気に私は少し笑ってしまった。
「良かった良かった、じゃあこのままフィオナとオニキスは婚約すればいいね」
「え?」
私はエリオ先生の言葉に耳を疑った。
婚約って聞こえた気がしたがありえない。オニキス様は公爵様だ、もうご両親はいないと聞いた事がある。
そんなオニキス様と婚約する人は公爵夫人となるのだ。
中の下の伯爵家の私にそんな立場は身に余る。しかも私は魔力の少ない出来損ないなのだ。
「無理です無理無理!」
私が全力で拒否するとオニキス様が少しムッとした。
「フィオナ嬢は誰かもう婚約者がいるのか?」
「いえ、いませんが…」
「なら問題ないだろ?」
オニキス様がグイグイと迫ってくる。
「も、問題です! 私のような者がオニキス様となんて無理です」
顔を背けた。
するとオニキス様が沈んだ声を出す。
「私のような魔力量が多く人を不幸にする者はフィオナ嬢には相応しくないか…」
私はオニキス様を傷つけてしまったと慌てる。
「ち、違います! 逆です。私のような者がオニキス様には相応しくないのです」
「なら問題ない、そんな事を言う者はいないからね」
オニキス様がニコリと笑った。
先程まで不安そうに私に話しかけていたオニキス様はどこ?
私はニコニコと笑うみんなに囲まれて慌てる事しか出来なかった。
文句を言う者がいないなど、わけがわからない事を言われるがその説明のないまま、私はその日公爵家にお世話になる事になった。
未婚の令嬢が独身の男性の家にお世話になるなどよくないと思うのだが、連絡は既に家に行っているらしい。
だが私は不安だった。
帰ったら何を言われるかと思うと今から気が重い。
ここではみんな親切で私を普通の令嬢として扱ってくれる、いやそれ以上に大切にしてくれているように感じた。
オニキス様と婚約して、結婚したら……ここで暮らせたら……そんなことを少し想像してしまった。
そんな甘い望みを私は振り払う。
そんな事世間が許すわけない、何より私の家族が許さないだろう。
婚約できなくてもオニキス様のもとに時々伺って魔力を吸って差し上げればいいだけだ。
私はふわふわの布団の温もりを忘れないようにぎゅっと布団を抱きしめた。
朝起きると美味しい朝食とお土産をたくさんもらって、帰るのを悲しむメイドさんに見送られ私は帰宅した。
「この度はフィオナ様をお引止めしてしまい申し訳なかったと主人が申しておりました。これはその事に対しての謝礼になります」
送ってくれたルカリオ様がお父様になにか渡した。
そしてお土産を屋敷に運び込むと私のもとに来た。
「また近くお伺いします」
私にだけ聞こえる声で呟くと頭を下げ帰っていった。
ルカリオ様が帰ると案の定私は質問攻めにあった。
「お前は何をしたんだ!」
「このドレス素敵!フィオナには似合わないから私が全部もらってあげる」
「このまま公爵様と親密になれれば…」
その日お父様とお母様は機嫌が良かった。カリーナも私のお土産を全部奪い満足したようだ。
その日から私も屋敷の離れではなく母屋の方に部屋を用意された。
しばらくは屋敷も騒がしかったが、数日後公爵家から音沙汰が無いとわかると、やはり私が公爵家に呼ばれたのはただの偶然だったと思われたようだ。
「フィオナ!お前公爵様に気に入られるように振る舞わなかったのか!」
「本当に役立たず、こんな時ぐらい上手く立ち回れないのかしら」
「やっぱりお姉様よね」
カリーナは当たり前だと鼻で笑う。
その日のうちに私の部屋はいつもの場所に戻された。
その次の日、事件が起きた。
この話は後になり、オニキス様から聞いた話になる。
「た、大変です!公爵様が来られました!」
メイドの声にうちの屋敷は騒然となった。
「フィオナ嬢はいるかな?」
この時オニキス様の言葉にお父様はかなり慌てたらしい。肝心の私は一人離れで部屋に閉じ込められていた。
それはいつものことで、オニキス様に貰ったドレスも、全て没収されていていつものお下がりのドレスを着ていた。
「その、まだ着替えが済んでおらず……誰か、フィオナを……」
「た、た、ただいま呼んできます!」
メイドが慌ただしく走り出す。
「あっオニキス公爵様!」
するとそこにカトリーナがやってきた。
オニキス様はカトリーナの姿をみて顔をしかめる。
「そのドレス…」
ジロっと不機嫌そうに目を細めた。
「はい、お姉様が自分には似合わないからと私にくれたんです。どうですか?」
カトリーナは可愛らしい顔でニコッと微笑んだ。
あの顔で微笑まれたらオニキス様も私ではなくカトリーナがいいと思うかもしれない。
「不快だ…」
オニキス様はボソッと呟くと屋敷の中を歩き出した。
「フィオナはどこだ?」
「公爵様!すぐに来ますのでこちらでお待ちください」
お父様がそう言ってもオニキス様は無視して歩き出した。
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