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8.イブ
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少し横になっていると外の様子が騒がしくなる。
村人が慌てた様子で誰かを探しているようだった。
賢人は顔を出して声をかける。
「何かありましたか?」
「い、いえ!なんでもありません。しかし夜になると獣が出たりするのであまり外に出ないようにお願いします。おい!誰か客人に食事を!」
「あっ、お構いなく…飯はさっき済ませたので俺はもう寝ますから…」
さっきの水の感じからして食事も期待できない、ならなけなしの金でおにぎりやパンでも買った方がましだった。
村長はすみませんと謝り戸締りをしっかりとするように言い村人達と何処かに言ってしまった。
イブの事を聞きたかったが仕方ない、明日帰る時にでももう一度会わせてもらおう。
賢人は扉を閉めて寝袋を取り出す。
さすがにテントを出すわけにはいかなかった。
寝っ転がって目を瞑ると小屋の頭の方で何かゴソゴソと音がした。
気のせいかと思って無視していたがどうも違うようだ…
起き上がって壁に耳を当てて様子をうかがうと何かこの小屋に入ってこようと藁を削っているみたいだった。
「な、なんだ…」
獣?
先程村長が言っていた言葉が浮かぶ。
賢人は何か身を守る物は無いかとカバンを探るが何もない…とりあえずカバンを盾代わりにして身構えていると…
「おじさん…」
「お前…イブ!」
小屋の中へと入ってきたのはイブだった。
俺はカバンを置いてイブの元に駆け寄ってその姿に驚愕する。
イブは顔が赤黒く腫れて唇が切れて血が流れていた。
他にも体に殴られたような痕に買ってやった服は脱がされてボロボロの布をまとっていた。
「どうしたんだ!」
「ごめん…なさい、にげて…」
そう言うとパタッと倒れて気を失ってしまう。
「お客人!」
すると入り口から村長が声をかけてきた。
俺は何となくイブを置いてあった布で隠して前には荷物を置く。
「なんですか?」
何事も無かったように入り口から顔をだした。
「すみませんがあの子が来たりしませんでしたかね?さっき話を聞こうとしたら逃げ出してしまって…」
チラッと小屋の中を見ようとするので体で隠した。
「いえ、来てませんよ。それよりなんで逃げ出したりするんですか?」
「あの子はちょっと変わりもんでしてね…捨て子だったのを拾ってやったのになんにもできないグズで…といや、こんな事お客人に言うことではありませんでしたね、もしこちらに来たら教えていただけると助かります」
「わかりました」
俺は愛想良く笑って頷いた。
村長が出ていくと俺は入り口に物を置いて向こうから開けられないようにした。
そしてイブの様子をうかがう…イブは苦しそうに油汗をかいていた。
ブツブツと何か言いながら悪夢でも見ているかのようだった。
イブの口元に近づいて何を言っているのか聞き取ろうとする。
「ごめん…なさい、ごめん…なさい」
何かにずっと謝っていた…小さい体は震えていて涙を流している。
カバンから水とタオルを取り出すと濡らして汚れた顔や体を拭いてやり口元に水を垂らした。
するとごくごくと勢いよく水を飲み出す。
「イブ、大丈夫か?」
小声で問いかけるとイブの瞳がゆっくりと開いた。
村人が慌てた様子で誰かを探しているようだった。
賢人は顔を出して声をかける。
「何かありましたか?」
「い、いえ!なんでもありません。しかし夜になると獣が出たりするのであまり外に出ないようにお願いします。おい!誰か客人に食事を!」
「あっ、お構いなく…飯はさっき済ませたので俺はもう寝ますから…」
さっきの水の感じからして食事も期待できない、ならなけなしの金でおにぎりやパンでも買った方がましだった。
村長はすみませんと謝り戸締りをしっかりとするように言い村人達と何処かに言ってしまった。
イブの事を聞きたかったが仕方ない、明日帰る時にでももう一度会わせてもらおう。
賢人は扉を閉めて寝袋を取り出す。
さすがにテントを出すわけにはいかなかった。
寝っ転がって目を瞑ると小屋の頭の方で何かゴソゴソと音がした。
気のせいかと思って無視していたがどうも違うようだ…
起き上がって壁に耳を当てて様子をうかがうと何かこの小屋に入ってこようと藁を削っているみたいだった。
「な、なんだ…」
獣?
先程村長が言っていた言葉が浮かぶ。
賢人は何か身を守る物は無いかとカバンを探るが何もない…とりあえずカバンを盾代わりにして身構えていると…
「おじさん…」
「お前…イブ!」
小屋の中へと入ってきたのはイブだった。
俺はカバンを置いてイブの元に駆け寄ってその姿に驚愕する。
イブは顔が赤黒く腫れて唇が切れて血が流れていた。
他にも体に殴られたような痕に買ってやった服は脱がされてボロボロの布をまとっていた。
「どうしたんだ!」
「ごめん…なさい、にげて…」
そう言うとパタッと倒れて気を失ってしまう。
「お客人!」
すると入り口から村長が声をかけてきた。
俺は何となくイブを置いてあった布で隠して前には荷物を置く。
「なんですか?」
何事も無かったように入り口から顔をだした。
「すみませんがあの子が来たりしませんでしたかね?さっき話を聞こうとしたら逃げ出してしまって…」
チラッと小屋の中を見ようとするので体で隠した。
「いえ、来てませんよ。それよりなんで逃げ出したりするんですか?」
「あの子はちょっと変わりもんでしてね…捨て子だったのを拾ってやったのになんにもできないグズで…といや、こんな事お客人に言うことではありませんでしたね、もしこちらに来たら教えていただけると助かります」
「わかりました」
俺は愛想良く笑って頷いた。
村長が出ていくと俺は入り口に物を置いて向こうから開けられないようにした。
そしてイブの様子をうかがう…イブは苦しそうに油汗をかいていた。
ブツブツと何か言いながら悪夢でも見ているかのようだった。
イブの口元に近づいて何を言っているのか聞き取ろうとする。
「ごめん…なさい、ごめん…なさい」
何かにずっと謝っていた…小さい体は震えていて涙を流している。
カバンから水とタオルを取り出すと濡らして汚れた顔や体を拭いてやり口元に水を垂らした。
するとごくごくと勢いよく水を飲み出す。
「イブ、大丈夫か?」
小声で問いかけるとイブの瞳がゆっくりと開いた。
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