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賢人の扱いに困った女達は拷問を一旦取りやめた。

「どうしましょう、食べ物は諦めて男は殺しますか?」

女達はエミリアにおうかがいをたてる。

エミリアは悩んだ挙句、賢人の気が変わるまで放置する事にした。

「食べ物を与えないで何日かすれば向こうからお願いしてくるでしょう」

「そう…ですね」

シルビオは苦しそうに頷いた。

「何だか浮かない顔ですね」

エミリアがシルビオに聞く。

「ケントともう一度話し合ってどうにかいい関係を築けないでしょうか?あの男は普通の男とは違う気がします」

「いえ、私の信託が間違っていました。男はやはり男です」

エミリアの言葉にシルビオは何も言い返せなかった。

シルビオは一度家へと戻るとイブが心配そうに帰りを待っていた。

「ケントは!?」

シルビオを見るなり足にしがみつき泣きそうな顔をした。

「ごめん…会えなかった」

「なんでケントに会えないの!?ケントは私の恩人なのに…ケントを返して!」

イブは泣きながらシルビオの足をポンポンと叩いた。

シルビオはイブの好きなようにさせていた。

そのうちに泣き疲れたイブが寝てしまうとシルビオは抱き上げてベッドへと寝かせる。

目を見れば赤く腫れていたので水で冷やしたタオルを当ててやる…

イブはケントから離れた日からシルビオの家で寝泊まりしていた。

最初はケントが居ないことを嘘をついて誤魔化していたが村の女達の甘い物のない生活にストレスを感じて誰がイブに話してしまい、ケントが牢屋に入っているのを知られてしまった。

その日からシルビオはイブに責められ続けていた。

シルビオ自身もこんな事になるとは思いもしなかった。

ケントの事は最初は気に食わなかったが話して見るとシルビオの知っている男とは違った。

家に行けばお茶を出してもてなしてくれるし大声を出したり威嚇するような事はなかった。

もちろん彼から暴力を振るわれたことも無い。

聞いていた想像の男とケントは全然違っていたのだ。

このような男がいた事に驚いていた。

しかしシルビオはそれを上手く表現出来なかった。

顔を見れば何となくイラつき当たり散らしてしまう。
他の村の女達にもいい顔をするケントが気に食わなかった。

そしてあんな騒ぎになってしまった…

ケントの出すお菓子は貴重で高価だ、そのうちに村のみんなはあれをこの村で好きなように食べられるようにしたいと思っていた。

数量の制限があり、食べられないもの達から文句がでた。

そしてケントを捕まる口実と共に荷物を奪った…しかしそこで問題が発生した。

あのケントの持つ荷物はケントにしか扱えず、私達ではお菓子を取り出す事が出来なかった。

その事実が発覚して女達は焦った。

みな自分の買った分のお菓子をとうに食べ尽くしてしまっていた。

いつでも買える。そう思い込んでいた。

ケントにお菓子を出すように言うが…ケントは決して首を立てに振らなかった。

それをするくらいなら死ぬとまで…

それを聞いて私は不信感がわいた。

一体ケントが何をしたというのか…これでは私達の方があの全てを奪い尽くす男達のようだと…

シルビオはイブを寝かしつけながら今の状況をどうにかしたいと思っていた。
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