助けたキツネが恩返しにきました。もふもふはいるだけで幸せです。

三園 七詩

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7.お出かけ

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「おはよージャック行こー」

「へ?」

俺は寝ぼけながらココの言葉を頭の中で反芻した。

「行こ?あっ、そうか買い物に行くんだったな」

昨日は少し興奮してお互い眠れずにいたのにココは俺よりも早起きをしたようだ。

「早く行こ!」

「まて、まだお店もやってないよ。ゆっくり用意して出かけよう」

うーんと伸びをして起き上がると眠い体をどうにか起こして支度をする。

その間ココは待ちきれないのか何度も外に出たり中に戻ったりをくりかえしていた。

「おまたせ、じゃあココ昨日言ったこと覚えてるか?」

ココは一瞬なんのことだとボーッとした後に思い出して手を上げた。

「うん!走らない、はぐれない、変身しない」

ちょっと不安になるが一応覚えていたので合格としよう。

「よし、じゃあ手を繋いで行くか」

俺が手を差し出すとココは恥ずかしそうにその指先を掴んだ。

ぷにっとふわふわの小さな手を掴んで俺は町の方へと歩き出した。

「まずは朝飯を食おう、ココは朝から肉は食えるか?」

「食える!」

ココは肉と聞いて今にもヨダレがたれそうになる。

「じゃあ俺にオススメのお店に行こう」

ココはキョロキョロと町の様子を珍しそうに眺めながら俺に引っ張られながら歩いていた。

手を繋いでおいて正解だったと苦笑する。

手を離したらすぐにはぐれてしまいそうだった。

この前に買った串焼きの店にいき、オヤジに2本串焼きを頼む。

「おっ、今日は子供と一緒なのか?」

「えーと、まぁ知り合いの子で…」

適当に誤魔化して受け取った串をココに渡した。

「これ!おいしいやつだ!」

「わかってるねー沢山食べな。これはおまけだ!」

オヤジは嬉しそうに串焼きをもう一本ココにくれた。

「いいの?ありがとう」

ココは嬉しそうにオヤジにお礼を言う。

「笑うと可愛い子だなー、またおいで」

「うん!」

ココはありがとうと手を振ってオヤジと別れた。

「何処かで座って食おう、そこでいいかな」

座れる場所を探してココと移動すると座ってご飯にする。

早くしないとココが限界が来そうだった。

「食べていい?もういい?」

「ああ、いいぞ」

「いただきます!うまー」

ココはガブッとかぶりつくと美味しそうに食べている。
その姿を見るとお腹が空いてきて俺も串焼きを食べた。

「うん、美味いな」

ココを見ると夢中で食べていて俺の声に気がついてないようだった。

食べ終わると今度はココに好きなように町を歩かせる。

「気になるところがあったら言えよ」

「わかった!あっ!あれなにーあそこは!?」

ココは目に入る店に片っ端から気になると声をあげる。

「なんかキラキラしてるー」

その中でアクセサリーを置いてる店が気になるようだった。

「ここは……」

俺は店を前に躊躇する、男の俺には入りずらい店だった。

店内は女性ばかりで尚更入りずらい。

「えっと……ここはやめとかないか?」

「え?……わかった。じゃあ向こう」

ココは一瞬残念そうな顔をするがすぐに笑顔になって次の店を指さした。

「うっ……」

その顔をみて罪悪感がわく、せっかくの楽しい時間に水をさしてしまった。

「ココ、すまん。やっぱりここに入ろう。俺もなんか気になる」

俺はココの手を握り直して手を軽く引いた。

「いいの?」

ココはうかがうように俺の顔を見上げている。

「ああ、なにか欲しいのがあればいいな」

「やった!」

ココの嬉しそうな顔に俺の選択は間違ってなかったと苦笑した。


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