助けたキツネが恩返しにきました。もふもふはいるだけで幸せです。

三園 七詩

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6.第三者

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次の日になっても体の不調はなくキノコは食べられる物だったようだ。
しかも気持ち体の痛みが薄れたような気がする。

「体治った?」

ココは怪我をした背中を心配そうに撫でながら聞いてきた。

「そうだな、痛みがだいぶ無くなったよ」

「キノコのおかげ!」

「そうかもな」

笑ってお礼を言うとココはまた取ってくると家を飛び出しそうになるのを慌てて止めた。

「そんなに頑張りすぎなくていいよ、今日はなにか買ってくるからそれで作るってのはどうだ?」

「作る?」

「教えてやるからな」

「わかった!ココおとなしく待つ!」

ココはベッドの上にちょこんと両手を膝に乗せて座るとじっとしていた。

しかしすぐにソワソワしだしてゆらゆらと揺れている。

その様子に思わず吹き出してしまった。

「ぶっ!べ、別に動いてていいんだよ、それに好きに出かけていいぞ。ただ無理しないようにな」

「わ、わかった」

ココはよかったと胸を撫で下ろしていた。
このままじっとしてたらどうしようかと思っていたようだ。

昨日の残りのキノコで朝食を食べて俺は仕事の準備をする。

「じゃあ行ってくるな」

「いってらっしゃい…」

ココは言葉と裏腹に足にぎゅっと抱きついてきた。

その行動は行かないでと言っているようでグッと胸が締まる。

「早く帰るからいい子にな」

ポンポンと頭を撫でてやるとそっと腕を離してくれた。

「ばいばい!」

ココは俺が見えなくなるまで手を振って見送ってくれた。

俺は職場について同僚に笑ってて気持ち悪いと言われるまで自分が笑顔でいた事に気が付かなかった…

その日の仕事はいつもより長く感じた。


その頃ココはじっとしてられずに外に飛び出していた。

ジャックの為に何かしたくてたまらなかったのだ。

「なんかないかな?」

クンクンと鼻を動かしながら食べられそうな物を探していると、平らな石の上に大きな葉っぱが敷かれてその上に色んな果物が置いてあった。

その中にはココの好きな果物まである。

「やった!また見つけた!」

昨日のキノコも同じようにココの探す場所に置いてあったのだ。

「ジャック喜ぶ!」

ココは果物を抱えると嬉しそうに家へと戻った。

そんなココを見守る影には気が付かないでいた……

「ココは気が付かないで持っていったみたいね」

「マモ様、そんな隠れてないでココ様に直接渡せばいいじゃないですか?」

「あら、そんな事したらココは自分で取ってきたって言えないでしょ?いいのよこれで」

マモと言われた女性は微笑ましそうにココを見送っている。

「マモ様は妹君に甘すぎですね」

「ふふ、だってココって可愛いじゃない」

「それは同感ですが……」

二人は無事家に戻ったココを確認すると森の中に消えて行った。




「ただいま」

今日は戸惑う事なく家に入るとココが嬉しそうな顔でまた飛び込んできた。

「おかえり!みて!今日は果物とったの!」

ココに大量の果物を見せられて俺は驚いた。

昨日のキノコといい、今日は珍しい果物まで取ってきてくれたのだ。

「すごいな、これは高い木の上にできる果物だ……ココが登ったのか?」

危ないことをしてないか心配になって聞いてみた。

「大丈夫、石の上にあったの!」

「い、石の上?」

嫌な予感に俺は詳しくココに聞いてみた。

「うーん」

話を聞いてますます怪しくなる。

「ココ、それは誰かが置いておいた物かもしれないぞ。勝手に持ってきたらダメだ」

「え?ダメ?」

ココはシュンと肩を落とす。

「いや、ココの気持ちは嬉しいよ。でもそれでココがなにか事件に巻き込まれたりしたら心配なんだよ」

「ココが心配?」

「そうだ、だってココは……俺の友達だしな」

「友達?」

ココは俺の顔をじっと見つめてくる。

「友達が嫌な目に合うのは嫌だろ?」

「うん……」

想像したのかココが悲しそうな顔をしてしまった。

「果物とかキノコは木になったり土に生えたりしてるだろ?落ちてるなんてないんだよ。それは人の物だから今度からは拾ったらダメだぞ」

「わかった、ココ落ちてるの拾わない」

ココはグッと眉に力を入れて頷いた。

「いい子だ、そうだ。明日は仕事が休みだから一緒に買い物でも行ってみようか?お金を出して買うなら問題ないからな」

「買いもの!するー」

ココは嬉しいと部屋の中を駆け回った。

「おいおい、今からそんなに動いたら疲れるぞ」

しかし楽しそうなココを見ると自分も年甲斐もなくウキウキしてしまっていた。

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