助けたキツネが恩返しにきました。もふもふはいるだけで幸せです。

14

「良かったわー、これで一件落着ね。さぁ帰りましょ」

ルナールさんが俺たちの肩にそっと手を置いて立たせてくれた。

まるでキツネに包まれたように呆けていたダミアンは慌ててそれを止める。

「ま、待て！まだ返すとは言ってないぞ」

「金は渡したしココが帰りたいと言っているんだ。ここにいる理由はない」

「おい！本当に帰るつもりか！」

ダミアンがココを睨みつけた。

俺はココを背中に隠して視界を遮る。

「ココはどうしたい？ちゃんと自分の気持ちを言ってみろ」

「ココ……ジャックといる！あいつ嫌い！」

ココは頑張ってそう叫ぶとダミアンを指さした。

「よく言った。さぁもういいよな、もう俺達に関わらないでくれ」

「俺はこの街の領主だぞ！お前の言うことになぜ聞かなければならない！いいからそいつを寄越せ！」

「でも……この子は行きたいくないみたいですよ」

ルナールさんが可哀想だとココの頭を撫でた。

するとダミアンの矛先がルナールさんに向いた。

「そうだ、それならその女を置いていけそしたらもうお前らには関わらないでやろう」

「そんなの聞くわけないだろう。ルナールさんいこう」

俺は埒が明かないとルナールさんに声をかけた。

「私でいいの？それなら残ってあげるわ」

「何言ってるんですか！そんなのダメだ」

ルナールさんは大丈夫と笑って首を横に振った。

そしてダミアンに近づくとなにか耳打ちをする。
それを聞くなりダミアンはニヤニヤと笑い出した。

「いいねー、言うことを聞けば可愛がってやるぞ」

ダミアンはルナールさんの腰に手を近づけると、「触らないでくださる？」ルナールさんがその手を叩いた。

「残るとは言いましたが触らせるとは言ってません。言うことを聞けないならさっきの話はなかった事にしてくれる？」

「わ、わかった」

ルナールさんが何を言ったのか分からないがダミアンは大人しく言うことを聞いてその手を引っ込めた。

「ルナールさん……」

「ジャックさん、ココ私なら大丈夫だから家に帰ってね」

ルナールさんは散歩にでも行くように軽い足取りでダミアン達と行ってしまった。

「おねえちゃん……」

「ココ、すまない俺のせいでルナールさんが……」

ココはルナールさんをじっと見た後俺の方を見ると首を振る。

その仕草がルナールさんと似ていて姉妹なんだとこんな時なのに改めて思った。

「おねえちゃんは大丈夫、すっごく強いから」

「でも女性で若いのに……」

「うーん、じゃあ主様のところに行こう。おねえちゃんの事言った方がいいかも」

「主様？」

「うん、おねえちゃんのだんな様！」

「旦那様？誰かに仕えているのか？」

「違うよーおねえちゃんのすきな人だよ」

「え！？ルナールさんて既婚者？」

「きこん？」

ココはわからないと眉をひそめる。

「と、とりあえずその主様のところに連れて行ってくれ！」

俺はココの案内で森へと向かうことになった。