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ココと森の奥を目指して随分と歩いた。
1人では二度と行けないだろうし、帰れなそうである。
「早く!早く!」
ココはココで必死な様子で前へ前へと焦りながら進んでいく。
「はぐれたら帰れる自信ないな…」
不安になって周りをうかがいながらつぶやくとココが立ち止まりチラッと後ろを振り向いた。
「ココがわかるから大丈夫!」
「森だと頼もしいな、ココとはぐれたら大変だからゆっくり落ち着いて行ってくれ」
ココの頭にポンと手を置く。
なんだか酷く懐かしく感じた。
「うん!」
ココもようやく笑顔を見せると、力の入った肩の力が抜ける。
「お姉さんなら大丈夫だよ、強いんだろ?」
「うん、お姉ちゃんすごいの」
「俺もそう思うよ、だからまだ大丈夫だ」
あの落ち着き払った様子は若いのに俺よりも年上に見えた。
でもあの領主のバカ息子達が何をするか分からない。
なにかある前にとココには焦った様子はみせずに急いだ。
「ここだよ!」
ココは森の奥の祠にたどり着くと中を指さした。
中を覗くと真っ暗で奥が見えない。
「本当にここに居るのか?」
「うん、主様ー!」
ココは祠に向かって大きな声を出した。
「お、おい!もしクマでもいたら…」
ココの口を慌てて押さえた。
「その声はココか?」
すると奥からゆっくりとした口調の低い声が帰ってきた。
「主様!」
ココは俺の手から離れて奥へとかけ出す。
俺は急いでココのあとを追った。
「久しいなココ、元気だったか?なんでも最近は町に言っていると聞いてきたが…」
「主様、ココ元気!でもお姉ちゃんが大変なの!」
「ルナールが?」
主様の声がさらに低くなると腹まで響いてきた。
背筋がゾクッとなり体がガタガタと震える……
「主様落ちついて!」
ココが主様に飛びついたようで体の震えが止まった。
「主様の怒りで大地がゆれてるよ」
「ルナールの事で感情的になりすぎたようだ、すまない」
どうやら体の震えではなく祠自体が震えていたようだ。
「ん、そこに誰かいるな、この匂い…人か?」
「ジャックだよ!」
ココが暗闇から現れると俺の手を引いて奥へと連れていく。
腰が引けて足に力が入らずココに引きずられながら奥へと向かった。
するとそこには真っ白な大蛇がいた。
「へ、へ…」
蛇と言おうとするが舌が回らない。
そんな震える俺の足に飛びついてココがこっそりと喋った。
「ジャック蛇って言ったらダメだよ。主様そう言われるの嫌いだから」
俺は言いいかけた口を慌てて閉じた。
そして呼吸をすると主様に話しかけた。
「ぬ、主様。お初にお目にかかります、ココと暮らさせてもらっているジャックと申します。この度はココやルナールさんにご迷惑をおかけして…」
「お前がジャックか…」
主様はゆっくりと地を這いながら近づいてくると俺の顔から体までじっくりと舐めるように見つめる。
口からチョロチョロと出る割れた舌が時折体に触れてる気がした。
食べられそうな感覚に思わず目を閉じる。
「うむ、ココの匂いがついてるな」
「うん、だって一緒に寝てたもん」
「ココ!」
ココの発言に目を開けると目の間には美しい男性が立っていた。
「あれ?主様は?」
「私が主だ、ジャックよルナールの所へ案内してくれるか?」
「ぬ、主様?人になれるのですか?」
「ココを見ておいて何を驚く、人になるなど容易。しかしこの姿になったのは何年ぶりかな」
歩きずらそうにゆっくりと足を動かしていた。
しかし数分も歩くと慣れたのか森の中をスタスタと歩きだす。
慣れない俺の方が遅れ出していた。
「それで、ルナールは何処だ?」
町が見えてくると主様が俺に聞いてきた。
「ルナールさんは領主の屋敷です」
俺は町で一番大きな建物を指さした。
1人では二度と行けないだろうし、帰れなそうである。
「早く!早く!」
ココはココで必死な様子で前へ前へと焦りながら進んでいく。
「はぐれたら帰れる自信ないな…」
不安になって周りをうかがいながらつぶやくとココが立ち止まりチラッと後ろを振り向いた。
「ココがわかるから大丈夫!」
「森だと頼もしいな、ココとはぐれたら大変だからゆっくり落ち着いて行ってくれ」
ココの頭にポンと手を置く。
なんだか酷く懐かしく感じた。
「うん!」
ココもようやく笑顔を見せると、力の入った肩の力が抜ける。
「お姉さんなら大丈夫だよ、強いんだろ?」
「うん、お姉ちゃんすごいの」
「俺もそう思うよ、だからまだ大丈夫だ」
あの落ち着き払った様子は若いのに俺よりも年上に見えた。
でもあの領主のバカ息子達が何をするか分からない。
なにかある前にとココには焦った様子はみせずに急いだ。
「ここだよ!」
ココは森の奥の祠にたどり着くと中を指さした。
中を覗くと真っ暗で奥が見えない。
「本当にここに居るのか?」
「うん、主様ー!」
ココは祠に向かって大きな声を出した。
「お、おい!もしクマでもいたら…」
ココの口を慌てて押さえた。
「その声はココか?」
すると奥からゆっくりとした口調の低い声が帰ってきた。
「主様!」
ココは俺の手から離れて奥へとかけ出す。
俺は急いでココのあとを追った。
「久しいなココ、元気だったか?なんでも最近は町に言っていると聞いてきたが…」
「主様、ココ元気!でもお姉ちゃんが大変なの!」
「ルナールが?」
主様の声がさらに低くなると腹まで響いてきた。
背筋がゾクッとなり体がガタガタと震える……
「主様落ちついて!」
ココが主様に飛びついたようで体の震えが止まった。
「主様の怒りで大地がゆれてるよ」
「ルナールの事で感情的になりすぎたようだ、すまない」
どうやら体の震えではなく祠自体が震えていたようだ。
「ん、そこに誰かいるな、この匂い…人か?」
「ジャックだよ!」
ココが暗闇から現れると俺の手を引いて奥へと連れていく。
腰が引けて足に力が入らずココに引きずられながら奥へと向かった。
するとそこには真っ白な大蛇がいた。
「へ、へ…」
蛇と言おうとするが舌が回らない。
そんな震える俺の足に飛びついてココがこっそりと喋った。
「ジャック蛇って言ったらダメだよ。主様そう言われるの嫌いだから」
俺は言いいかけた口を慌てて閉じた。
そして呼吸をすると主様に話しかけた。
「ぬ、主様。お初にお目にかかります、ココと暮らさせてもらっているジャックと申します。この度はココやルナールさんにご迷惑をおかけして…」
「お前がジャックか…」
主様はゆっくりと地を這いながら近づいてくると俺の顔から体までじっくりと舐めるように見つめる。
口からチョロチョロと出る割れた舌が時折体に触れてる気がした。
食べられそうな感覚に思わず目を閉じる。
「うむ、ココの匂いがついてるな」
「うん、だって一緒に寝てたもん」
「ココ!」
ココの発言に目を開けると目の間には美しい男性が立っていた。
「あれ?主様は?」
「私が主だ、ジャックよルナールの所へ案内してくれるか?」
「ぬ、主様?人になれるのですか?」
「ココを見ておいて何を驚く、人になるなど容易。しかしこの姿になったのは何年ぶりかな」
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しかし数分も歩くと慣れたのか森の中をスタスタと歩きだす。
慣れない俺の方が遅れ出していた。
「それで、ルナールは何処だ?」
町が見えてくると主様が俺に聞いてきた。
「ルナールさんは領主の屋敷です」
俺は町で一番大きな建物を指さした。
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