【R18】【完結】いじめられている子がいたので魔族の国に連れてって幸せにしてあげたいと思います

三園 七詩

文字の大きさ
96 / 125

96

しおりを挟む
そこ後…ルーダは席に戻され、ジャマルさんの入れたお茶を飲む…

恐る恐る飲んだが…味を感じ無い。

ムーマとルーダの間に座ったジャマルさんはご機嫌で…ぺちゃくちゃと話ている…時折尻を揉まれ固まると…

「可愛い!」

と頬にキスをされた…。

ムーマなんか…前を触られたようで泣いていた…。

お茶を飲み終え…島をようやく脱出するが…時間を見ると1時間程しか滞在してなかったようだ…

(嘘だろ…一日は経ってるかと思った…)

フラフラと海を越え…途中何度も海に落ち…どうにかこうにか城に辿り着く…

通りかかる仲間が声をかけて来るが答える気力が無い…

部屋に着いてベッドに倒れ込むと…ルーダは気を失った…

トントントン

部屋をノックする音に気が付き目を覚ますと…

「誰だよ…」

今は誰にも会いたくない…

ルーダは居留守を決め込むと…

トントン…

「ルーダさん?」

リリアナの声が聞こえる。

ガバッと起き上がると、部屋の扉を急いで開ける!

そこにはびっくりした様子のリリアナが立っていた…。

「リリアナ…」

「ルーダさん!大丈夫ですか?」

リリアナはルーダの顔色の悪さに驚くと…

「あっ…ああ…大丈夫!精神的なものだから…」

力なく笑うと…

「全然大丈夫じゃないですよ!」

リリアナはルーダを連れてベッドに寝かせると…

「今日は何か食べましたか?」

「いや…食欲無い…」

ルーダが首をふる

「ちょっと…キッチン借りますね!」

リリアナはルーダのキッチンにたつと…

(さっきと全然違う…)

リリアナの後ろ姿に癒される…

ホッとして自分の部屋の天井を眺めるとようやく落ち着いてきた…

リリアナが近づくとルーダが起き上がる。

「ルーダさん…これくらいなら飲めますか?」

リリアナは見慣れない紺色のコップを手にして差し出す。

ルーダが受け取ると…

「いい匂いだな…」

フーフーと冷ましながら飲むと…優しい甘さが広がる。

「甘酒ですよ…体も温まりますし、あと…そのコップ今日のお土産です。よかったら使って下さい」

リリアナがニッコリと笑う。

「お土産?俺に?」

ルーダがコップをマジマジと見ると…

「今日は一緒にお出かけ出来なかったので…今度は一緒に行けるといいですね」

「ああ…そうだな」

ルーダが笑うと…ホッとしたように

「ならちゃんと休んで早く元気になって下さいね!食べられそうならキッチンのお粥も食べて下さい」

「お粥?」

ルーダが覗き込むと、キッチンに鍋が置いてあった。

「美味そうな匂いがしてると思ったら…」

「食べられそうですか?」

リリアナが聞くと

「食いたい!」

ルーダが勢いよく答える!

リリアナは笑ってよそって来ると…

「熱いから気をつけて下さいね…」

そう言ってフーフーとお粥を覚ますと…

「はい、あーん…」

ルーダの固まった顔に思わず赤面する…

「す、すみません!つい!風邪を引くといつも食べさせてあげていたので…」

手を下ろそうとすると…ルーダが優しく手を添えてお粥を口に運ぶ…

「ありがとう…凄い美味い…」

リリアナはルーダが嫌がる様子のない事に安心すると…

「先輩に失礼しました…ゆっくり食べて早く良くなって下さいね」

「ああ…」

ルーダはお粥を受け取るとリリアナは部屋を出て行こうとして気がつく。

「そうだ!コレ…」

そう言ってサンドイッチを取り出す…

「お昼にみんなで食べるのを持ってきたの…良かったらこれも食べて下さいね」

「ありがとう…朝にでも食べるよ!」

リリアナは嬉しそうに頷くと冷蔵室にしまった。

また明日…とリリアナが部屋を出ていくと、持っていたお粥を食べる。

「美味い…」

ルーダはお粥を平らげると…ポカポカと体にようやく血の気が戻る。

先程まで見ていた悪夢を見ることなく眠りについた…その腕には紺色のコップを抱きしめていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました

Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。 そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。 お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。 挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに… 意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。 よろしくお願いしますm(__)m

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

処理中です...