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6章

251.王都の夜※

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私はシルバ達と家の屋根に登りプルシアに寄りかかり夜空に浮かぶ月を見ている。
プルシアは久しぶりにのびのびと元の大きさに戻っていた。

「ベイカーさんとセバスさん元気かなぁ?」

私は二人の顔を思い浮かべてボソッと呟く。

【あんまりかまえずに出てきたからな】

シルバが寂しそうな私をしっぽで引き寄せた。

【大丈夫だ、ここでの用が終えたら直ぐにでも帰ってやる】

プルシアの大きな優しい瞳が私を見つめる。

【ありがとう、みんな】

優しい皆に囲まれて月の光を浴びながら眠りについていった。

その頃等の二人は・・・・・・

「ミヅキさんは上手くやりましたかね?」

セバスさんと俺はは霧の里を出て小高い丘の上で月見酒を酌み交わす。

「ミヅキの事だ、上手くやっただろう。ただなぁ・・・・・・その後に起きるミヅキ特有のやらかしが怖い」

「はぁ」とため息をつく。

「私達が側にいればどうとでも出来ますが今は遥か遠い」

セバスさんはムサシが作った酒をグビっと口に流し込んだ。

「国王やアランさんもいるし、デボットやレアルも付いてる。それにシルバ達がいるから最悪、国を滅ぼして逃げてくるだろ」

「そうですね・・・・・・」

まぁ、そうなったら一緒に逃げればいいや。そんな事を考えながら酒を酌み交わす。

「しかしこの酒美味いなぁ」

月を背に酒を見つめると透明なお酒がキラキラと光を帯びて光ってみえる。

「あのコジローさんのお兄さんのムサシさんですが・・・・・・」

セバスさんが何か言おうとするが珍しく言葉を詰まらせる。

「わかってる。ミヅキが好きそうな奴だったな」

「やはりベイカーさんもそう思いましたか?」

セバスさんがやれやれとため息をついた。

「しかも、ミヅキさんが探し求めていた醤油と味噌を作った人ですよ」

「加えてあの格好。ミヅキの好きな物詰め込んでた感じだな」

コジローと同じ忍者の格好を思い出していた。

「極めつけはあの顔。ミヅキさんの好きなもふもふという感じでした」

「ありゃ、何がなんでも連れていくよな」

「そうでしょうね。ムサシさんもミヅキさんをかなり気に入っている様でした」

「何だってあいつは行く先々で色々拾ってくるんだか」

また厄介な事にならなければいいがと肩を落とす。

「そう考えると最初に拾われたのはあなたと私かも知れませんよ」

セバスさんの言葉にジワジワと笑いが込み上げる。

「違いない!」

俺は酒を天にあげ高らかに笑った。





私は天鶏の声で目が覚める、今日は再び王都を発つ日だった。

【うーん!  みんなおはよぉ~】

シルバのお腹で伸びをするとみんなの頭をヨシヨシと撫でて挨拶をする。

「ミヅキさーん!」

すると朝からマルコさんの声が聞こえた。

「マルコさん朝から元気だなぁ」

私は苦笑いしてマルコさんの元に向かった。

「おはようございます。マルコさん今日は早いですねー」

「それは勿論です!  ミヅキさんがいるのは今日までですからね。今のうちに定期便の事をまとめておかないと!」

「そうですね、じゃ早速行きますか?」

「よろしくお願いします!」

私はシンクを肩に乗せてマルコさんとレアルさんデボットさんを呼んでヒポグリフの元に向かった。

「おはよぉ~ヒポ!」

私が小屋に近づいて声をかけると嬉しそうに小屋から飛び出して駆け寄ってくる。撫でた後にご飯と水をあげて、早速定期便の話をした。

【ヒポ達はやる気みたいだよ。その代わり毎日みんなのご飯をお願いしたいみたい】

【ご飯は何がいいのかな?】

【基本なんでも食べるけど昨日のニンジンがお気に入りみたいだね】

【わかった。里のみんなにしっかりと作り方教えとくね!】

ヒポ達が嬉しそうに脚を踏み鳴らす。

「どうでしょう?  なんか喜んでる様ですがヒポグリフ達はやってくれそうですか?」

マルコさんが伺うように確認してきた。

「はい、ご飯がもらえればやるそうです。ヒポは群れのリーダーなので私との連絡係にしようと思います」

「それはいいですね!  何かあれはヒポさんに手紙など渡せばミヅキさんに届けてくれるという事ですね!」

そんなに連絡することがあるかな?

まぁそれは置いといて話を続ける。

「他の子達は二頭一組で動いてもらいますね、専用の運搬箱を作ってあげてそれで運ぶようにすればいいですかね?  あんまり無理はさせないようにしてくださいね」

「もちろんです!」

【ヒポ、みんなに無理しないように言っといてね】

ヒポは分かっているのかいないのか首を傾げてこちらを見ている。

「可愛いなぁー!」

私は思わずガシガシとヒポを撫でた。

「帰る時に一緒にこの子達を連れてって場所を覚えてもらってきますね。どのくらいで着くのかも計算しないとだな、後は安全そうな休憩場所も必要ですね」 

私がブツブツとこれからやる事を考えているとマルコさんが感心した様に声をかけた。

「ミヅキさん一人でも商人として十分やっていけますね、興味あればいつでも声掛けてください」

マルコさんにサラッと商人に勧誘される。

「ハハ・・・・・・カンガエトキマス」

私は棒読みで返事を返した。
そして着いてきていたデボットさん達の方に視線を向ける。

「デボットさん、レアルさん達にはヒポグリフの世話を頼んでいいかな?」

「ああ、交代でやっておくように言うよ」

「一度子供達にもちゃんと見せておいた方がいいでしょうね」

「そうだね、みんなの顔を覚えてもらわないと」

マルコさんは定期便がいつ起動してもいいようにと醤油と味噌の販売の為の準備をしに商会に帰って行った。

その後みんなに集まってもらいヒポ達にリュカ達やギースさん達を紹介する。

「カッコイイですね!」

他の子供達が少し警戒する中、カレンがピポグリフに見とれて近づいた。

「カレン、ヒポグリフ好きなの?」

「馬とか好きなんです。私が世話をしてあげてもいいですか?」

「してくれると嬉しい!  ヒポ、おいで」

ヒポを呼ぶと私の横に並んだ。

「ヒポこの子はカレンだよみんなの世話をしてくれるから仲良くしてね」


「ヒポちゃんよろしくお願いします」

カレンがヒポに頭を下げるとヒポはカレンの頭をカシカシとついばんだ…。

「きゃ!」

【ヒポが妹分として認めたみたいだよ】

シンクが言うと…

「妹分…」

【頭を撫でるのはしないように言っといてね、身体は触っても問題無いよ】

「カレン、ヒポグリフは頭は絶対に触らないようにだって、その代わり身体を触るのは問題ないみたい!妹分として認められたからよろしくね」

「妹…」

カレンは困ったように笑うとヒポの身体をそっと撫でて…

「よろしくお願いします…えーとヒポお兄ちゃん…かな?」

ヒポはフンと満更でもなさそうに鳴いていた…。
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