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6章

282.お説教

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みんなで手伝ってくれたおかげで沢山のお寿司が握れた。

「見た目がいいですね、小さいサイズなのも食べやすそうです」

「美味しそう~!まさかお寿司が食べられるとはなぁ~これで回せたら最高なのに!」

「回す?コレを回して食べるのか?」

ベイカーさんが戸惑うと…

「レール?の上をお皿ごと移動させるんだよ、そうすれば座ってても色んなネタが自分の前まで移動してくるの」

「へー!面白いですね」

「それ…マルコさんの前で言わない方がいいぞ…」

「「「確かに…」」」

「そ、そうだね…注意するよ」

ミヅキが冷や汗をかくと…

「でも…もう感じ取ってそうですよね…」

レアルがハハッと冗談で言うと…誰も何も答えなかった…。


「さ、さ!気を取り直して食べよ!まずにぎりがマグロとタコ(クラーケン)エビとホタテで…この茶色いのがサーペント煮込み。煮アナゴならぬ煮サーペント!この海苔で巻いてあるのが軍艦巻きって言ってウニとカニとネギトロね。あー葱が欲しいなぁ~」

「なんだ、ミヅキ…ネギが欲しいのか?」

ククノがネギを持ちながら聞いてくる。

「ク、ククノ様!何でも生やせるの!?」

ミヅキがネギを受け取り聞くと

「まぁ植物ならな、魔力で出すからこの体だと限りがあるが…」

「えっ…ククノ様!もう出さなくていいからね!魔力使わないで!」

「ふふふ…心配しなくてもミヅキが沢山魔力を流し込んでくれたから大丈夫だよ…」

「そ、そう?ならいいけど…でももう大丈夫…ちゃんとあるのが分かれば買ったり見つけたりするからね」

「ああ…わかったよ」

ミヅキはネギのお礼を言うと刻んでネギトロにかける…

「うん!美味しそう!あとは…山葵をおろして…」

小皿にこんもりと山葵を盛ると…

「はい!じゃみんなで食べよう!この山葵と醤油を付けて食べるとまた美味しいんだよ…」

「何!本当か!いただきます!」

ベイカーさんがフライング気味でネギトロを掴み山葵をこんもり乗せて醤油を付ける…

「待って!ベイカーさん!山葵付けすぎ!」

ミヅキが止めるが…もう既に口の中…

「うー…!」

ベイカーさんが悶えると…

「あーあ…みんなは山葵は少なめで様子を見てくださいね…」

ミヅキが他の人達に説明すると

「「「「わかった(りました)」」」」

ミヅキはベイカーさんに水を渡すと…

「大丈夫?」

「これは…ツーンとくるな!だけど、それがまた癖になる!」

「へ?」

「確かに…ちょっと多めでも美味しいくらいですね」

「ま、まぁ…好きな人は好きだしね…」

「この酢飯てのが美味いな!」

デボットさんがエビを頬張る!

「美味い!エビなんて初めて食べたぞこんなに美味いんだな!」

「いえ…この様な食べ方は見た事が無いですよ…ほとんどが煮ますからね」

レアルさんもエビを食べる。

「二人とも!エビもいいけどウニ食べなよ!大変だったでしょ?」

ミヅキがウニを取って二人に渡すと…

「いや…どうなんだこれは…」

デボットさんが躊躇する。

「はい!あーん…」

「くそ!それは狡いぞ、ミヅキ!」

「美味しいし、ウニってエビより高級なんだよ!」

「そうなのか?」

高級と聞いてデボットが口を開くと…

「ん?トロっとして…甘いな…味が濃い、鼻に海の匂いが抜ける…」

「それって…美味しいって事?」

「ああ…美味い!」

「よかった~」

「レアルさんも食べてね」

お皿に乗せてウニを渡そうとすると

「私には食べさせてくれないのですか?」

レアルがニコっと笑うと

「えっ?もう…はい!あーん」

「はい…」

レアルが嬉しそうにミヅキからウニを貰うと…

「うん…美味しい…少し大人向けでしょうか?」

「あっ!そうかもね、子供は苦手な子が多いかも」

ウニで盛り上がっていると…

「ミヅキさん」

セバスさんからお呼びがかかる

「なんですか?」

ミヅキがセバスさんのそばに行くと

「あれ?ミヅキさんから食べさせてもらえると思っていたのですが…」

セバスさんが悲しそうな顔をする…

「えっ…あっ…そう言うわけじゃ無いけど…はい!わかりました!セバスさんは…マグロかな」

ミヅキがマグロを取ると少し山葵を乗せて醤油を付ける。

「はい!いつもありがとうございます!あーん…」

「いただきます…」

セバスさんが目を伏せ長いまつ毛が見えた…

(やっぱり…色っぽい…セバスさんにあげるのはなんか恥ずかしいんだよね…)

「うん…やっぱりミヅキさんからいただくと何倍も美味しく感じますね…ああ、いけない。私達ばかりで…ミヅキさんもどうぞ」

セバスさんがマグロを掴むと、笑顔でミヅキに差し出す。

「セ、セバスさん?大丈夫一人で食べられるよ」

「私からは受け取れませんか…」

セバスさんが眉を下げると…

「い、いえ!いただきます!」

えい!と目を閉じて口に頬張るとセバスさんの長い指が口に触れる。

「どうですか?」

にっこりと笑いながら指を舐めて顔を覗き込む…

「お、おいひいでふ…」

口にいっぱい頬張りすぎてもごもごさせながら言うと…

頬を優しく摘まれる…

「付いてますよ」

顔に付いたご飯粒を取られて食べられる…

「セ、セバスさん…ベイカーさんとの…見てました?」

ミヅキが恥ずかしいそうに睨むと

「ええ…」

にっこりと意地悪そうに笑っていた…。

ミヅキはセバスさんの所から逃げるようにククノ様達の所に行くと…

「ククノ様ネーレ様食べられそうなものありましたか?」

ミヅキがお皿を覗き込み二人を見ると

「全部食べた」

ネーレ様の口の周りにご飯粒が付きまくっている。

「ぶっ!ネーレ様っ!その顔!」

ミヅキがお腹を抱えて笑い出すと…

「クックックッ…」

ククノも口を抑える…

「ネーレ様気に入っていただけたみたいで嬉しいです!まだ沢山ありますから食べて下さいね…あと…失礼します」

ミヅキがネーレ様の口元を布で拭いてあげた。

「ん?すまなかったな…しかし…食べ物とは美味いもんだな…生命を頂いているという気持ちになったよ」

「そうだね…人とは凄いね、植物をこんなに美味しくしてしまうなんて…私達も美味しくなるのかな?」

「神木様を!?そ、それは…どうだろ…うーん…神木様って実とかなるの?」

「「「「「ミヅキ!」」」」」

大人達が声をあげる!

「駄目に決まってるでしょ!」

「そうだ!木が食べれるか!」

「神木を使ってるだけでも不味いのに!」

「これ以上やらかすな!」

「実なんか食べたら偉いことになるぞ…」

大人達の意見に…

「うへぇ…」

ミヅキがククノ様の後ろに隠れる。

「別に食べてもいいんだよ?ただ…人として生きる事は出来なくなるかもしれないけどね」

「えっ!そ、そうなの?ならいいや!要らない!…でも美味しいのかな?」

「ミヅキさん?」

セバスさんが立ち上がると…

「嘘!嘘です!ちょっとかじってみたいななんて思ってません!」

「ベイカーさん…」

セバスさんがベイカーを見ると

「おう!」

ベイカーがミヅキの所に来て拳骨を作る…

「はっ!」

ミヅキが頭を抑えようとするが…一足遅く…

「懲りないやつだな!」

「痛いーベイカーさん!痛いー!」

こめかみに激痛が走った…。

「うっうっ…」

シルバに寝転びながら頭を抑える…

【大丈夫か?ミヅキ】

ペロペロとミヅキの頬を舐めながらシルバが慰める…

【シルバ~】

【でも…ミヅキがいけなかったんじゃないの?】

シンクが頭に乗る。

【わかってる…】

【クゥ~ン?】

コハクがミヅキの顔を心配そうに覗き込む…

【コハク~大丈夫だよ~】

【……】

ムーがミヅキを見ていたと思ったら…おもむろにベイカーの元に行く…そして…

「あー!またこいつ!」

ベイカーさんが叫んだ!見ると…ムーがベイカーさんが食べようとしていたネギトロを残らず食べてしまっていた…。

【ふふ…あいつミヅキの仇でも取ったつもりか?】

シルバがクックッ…と笑うと…

「ムー…おいで~」

ミヅキがムーを呼ぶと…ベイカーの頭を踏み台にミヅキの元へと飛んで行く。

「痛っ!」

ベイカーさんが頭を押さえた。

ムーはミヅキの腕に飛び降りると…

「ムー…ありがとうね~でもベイカーさんもセバスさんも私を心配して怒ってくれたんだよ…だからいいの。怒られても私は二人が好きなんだ大切な家族なんだよ。もちろんシルバ達もね!」

ムーがプルプルと揺れる…

「ムーにも大切な人がいるんでしょ?でも…もしその人に会えなかったり…捨てられたりしたんなら…いつでも私達の所に来ていいんだからね?」

ピクッ…

ムーが揺れるのを止めた…。

「まぁ…今はうちの子として楽しめばいいよ!私はムーも大切な家族だと思ってるよ!」

ありがとう~ミヅキはムーを抱きしめた…。

ムーは複雑な気持ちを押し込めて…ただ今はミヅキに抱きしめられていたかった…。
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