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8章

455.再会

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ミヅキ達は学校に向かって歩き出す、学校に近くに連れて人が増えて来ると…

「あっ…あれってリバーシ工場の人達じゃ…」

王都では有名になってきたギースやリュカ達が注目を浴びる。

「おお…ギースさん達有名だね…」

ディアナがコソッとベイカーに話しかけると

「お前の注目も凄いぞ…注意しろよ」

「え?本当に?この姿誰にも見せてないはずなのになぁ…」

呑気に答えるディアナにベイカーはため息をつく…

「お前少しは自分の立場を自覚しろよ」

「えっ立場?普通の幼児…のはずだったんだけどなぁ…どこで間違えたんだか」

ディアナがやれやれと諦め気味に肩をあげる。

ベイカーはそんな様子のディアナに…

「しかし…その容姿だとお前の言動もしっくりとくるな。違和感ないぞ」

「そ、それっていつもは老けてるって言いたいの!」

ディアナはムッと眉を顰める。

「い、いやそういう訳じゃないが」

ベイカーは気まずそうに顔を逸らした。

あんまり親しそうにしていても誤解をうみそうなのであまり話さないように少し離れて歩いていると…

【ミヅキ、大丈夫か?】

【へいきー?】

シルバと上に乗ったコハクが近づいてきた。

ディアナはシルバと自分の容姿に扮したコハクを優しく撫でる。

「うん、大丈夫だよ。早く終わらせて町に帰ろうね」

ミヅキはニコッとシルバ達に笑いかけると…

「おお…」

迎えに出てきた先生方がディアナに気がついた。

「あの方が…この学校の創設者のディアナ様」

「美しい…」

「ミ…ディアナ様。お待ちしておりました」

マルコさんはディアナ達に気がつくと笑顔で出迎える!

その様子に他の先生達も近づいてきた。

「は、初めまして!この度この学校の魔法科の教師に就任致しましたウェンドと申します!」

魔法科の先生に見事受かったウェンドがディアナに頭を下げる。

「あっ!ウェンド先生受かったんですね!おめでとうございます」

ディアナは手を合わせて喜ぶとウェンドに微笑んだ。

「わ、私の名前を…!?」

ウェンドは初めて見るディアナが自分の名前を知っていた事に感激のあまり言葉を失った…。

「デ、ディアナ様には皆さんの事をお話しておりましたから」

マルコさんが先生達に説明すると

「えっ…では私の名前も…」

ダイア先生が期待を込めた目で見つめてきた。

「は、はい。ダイア先生ですよね。数字の授業よろしくお願いします」

「わ、私は?」

「俺もわかりますか?」

「まさか…自分も?」

他の先生達もディアナを見つめると…

「ビートさんに、マッグさん、ロレンツさんですよね?皆さんこの度はこの学校の教師として名乗りをあげていただきありがとうございました。ご挨拶が遅れて申し訳ございませんでした」

ディアナは先生達に頭を下げて挨拶をすると

「や、やめてください!感謝しているのは私達です。教師という道を導いてくださったディアナ様にはなんとお礼を申し上げればよいのか…」

うんうんと他の先生達も頷く。

「では、その気持ちを生徒達に向けてあげて下さい。それで十分です…」

「「「「ディアナ様…」」」」

ディアナの言葉に教師たちがディアナに近づこうとすると…

「おっと…近づくのはそこまでにしてくれ」

ベイカーが前にでて教師達を止める。

「あなたは…」

教師達がベイカーを見つめると

「このような方ですからA級冒険者のベイカーさんに護衛をお願いしてあるんです」

デボットが後ろから声をかけると察したマルコさんが同意すると、教師達からも納得する気配が広がる。

「そうですね、このように美しくて聡明な方です狙われることも多いでしょう…」

「いや、軽率に手を出そうとして申し訳ありませんでした」

ウェンドはベイカーさんとディアナ様に謝ると一歩下がる。

「そ、そんなことないですけど…」

ディアナは気まずそうに答える。

(本当は触られると幻覚が解けやすくなっちゃうからなんだけど…)

ディアナは曖昧に笑って誤魔化した…。

「では、ディアナ様はこちらでお待ちください。生徒達が集まりましたら式典を始めますので」

マルコさんは事前に用意しておいた学校の一部屋へディアナとベイカー達を案内した。

「リュカくん達は生徒になりますから外で並んで下さいね。ギースさん達は父兄になりますので子供達の後ろに…」

「じゃあディアナ様とはここでお別れですね…」

ハルやライラが寂しそうにすると

「みんなまた後でね。みんなの晴れ姿上から見てるよ」

ディアナはハラハラと優しく手を振った…。


「はぁ…」

ディアナと別れたハルはため息をつく…

「どうしたの?」

サラ達が心配そうに声をかけると

「ディアナ様って凄く綺麗じゃない?私の理想だわ」

ハルが真剣にみんなに聞くと

「確かに綺麗だよね!いつもの…も可愛いけど!」

「俺はいつもの方がいいなぁ…あっ!でもこの前の同じ年位のも良かったよな!」

リュカがテオに聞くと

「そうだね。でも僕はどんな姿でも好きだな…」

テオが笑うと

「「「「「それは当たり前!」」」」」

ハル達が揃って答えた。


「ふぅ…」

ディアナは通された部屋の椅子に深く座って息を吐く。

「どうした?疲れたのか?」

ベイカーが声をかけると

「いや、なんかボロが出ないか緊張して…」

「しっかりとディアナ様ってやつを演じてるぞ、あの教師達も信じてる様子だしな」

「なんかそれも心苦しいんだよね…」

「でもどっちもお前だし…ある意味間違ってないんじゃないか?」

ベイカーの言葉によく考えて見る。

(そうか…作ったのは私…演じてるもの私…)

「本当だね!なーんだ!じゃあ気にせず好きな事言おーっと!」

ディアナはリラックスしてうーん!と伸びをした。
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