ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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13章

772

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チュルル……

小さな舌がちょろちょろっと出てきて指に触れた。

「くすぐったい」

その感触に肩が揺れてしまうと白蛇の目がパチリと開いた。
その目は真っ赤で美しく宝石のようだった。

真っ白な体に赤い瞳の蛇……私はどこかでこの子を見たような気がしていた。

【気がついたみたいだな】

シルバが目覚めた白蛇に近づいて匂いを嗅いだ。

「シャー!」

すると白蛇は牙を出してシルバを威嚇する。

【なんだこいつ!助けてやったのに】

シルバは怒って「グルル」と軽く唸り声をあげると白蛇はカチンと固まってしまった。

【シルバ、驚かせたら駄目だよ。白蛇ちゃん大丈夫だよ】

固まった白蛇の体をほぐすように撫でてあげると少し落ち着いてきた。

そしてハッとしたように周りをキョロキョロするとビャクさんを見つけて彼の方に腕の中から飛び出して走り出した。

白蛇とビャクさんは話ができるのかシャーシャーと言いながら会話をしているようだった。

そしてビャクさんが悲しそうに首を横に振ると白蛇はワナワナと震えとぐろを巻いて顔を隠してしまった。

「ビャクさん、白蛇ちゃんは大丈夫?」

きっと白蛇様の事を聞いたのだろうと思い声をかけた。

「まだ気持ちの整理がつかないのでしょう……そう言う自分もまだ……」

ビャクさんが声を落として答えた。

「そうだよね……私達、向こうにいるね。何か手伝えることがあれば言ってね」

少し二人にしてあげようと私達は来た道を少し戻り二人が見えない場所まで戻る事にした。

「ふー……」

少し戻ると私は二人が見えない場所にきて地面に座り込んだ。

【ミヅキ!大丈夫か!】

シルバが心配してすかさずそばにきた。

【大丈夫、少し疲れただけだよ】

シルバが横に寄り添ってくれたので少し寄りかからせて貰う。

【やっぱり回復魔法は魔力を使っちゃうね……少しだけ眠ってもいいかな……】

言いながらも瞼は重力に負けてどんどん落ちてくる。

【わかった。ゆっくり休め】

シルバの優しい声に私はスっと目を閉じた。



【ミヅキ、ミヅキ……大丈夫か?】

シルバの心配そうな声に私は目を開いた。

【んー、大丈夫ーおはよー】

結構しっかり寝れたようで気分もスッキリしていた。

そして周りを見ると……

「え!?」

そこはノース国の城の私達に宛てがわれた部屋の中だった。

「な、なんで!?」

あの洞窟にいたのにと飛び起きるとクラっとしてしまった。

【急に動くな、今説明するから寝てるんだ】

シルバにベットに押し倒されてしまう。

【シルバ!私白蛇様とかビャクさんとかあの白蛇ちゃんとか!】

一気に話すと部屋の隅にビャクさんがいることに気がついた!

「ビャクさん!」

思わず大声を出してまた起き上がろうとするとムーがピョンと胸に飛び込んできた。

【ムー!】

【ミヅキ、だめだよ。寝てないと】

ムーにも注意されて私は大人しく横になると頭だけ少しあげた。

【ごめんね遅くなって、でもムーがいるってことは問題なく戻れたのかな?】

私がみんなを見ると視線がビャクさんに向いた。

【それはあそこの男が上手く話してくれたんだ。あの後ミヅキは起きる気配がなくてな、起きるのを待っていたら怪しまれてムーを殺されてしまうと言われて寝てるミヅキを連れてここに戻ることにしたんだ】

【そっか、ありがとう】

私はみんなにお礼をいった。
もしそんな事になっていたら耐えられなかった。

【ムー怖かったよね、本当にごめん】

【全然大丈夫だよーずっと寝ながら見張りの男達の話を聞いてたよ】

【ムー優秀!】

私はムーをギュッと抱きしめた。

ムーは嬉しそうにプルプルと揺れている。

可愛いムーをずっと触っていたいが他にも気になることがあった。

【あの白蛇ちゃんは?】

【それなら……】

シルバがビャクさんに頷きかけるとビャクさんがフードを外した。すると首に白蛇ちゃんが巻きついていた。

そしておずおずと躊躇うように揺れ動いている。

「おいで」

なんとなくこっちに来そうにしていたのでそう言って微笑んであげると腕を伸ばした。

するとビャクさんが近づいて白蛇ちゃんが私の手に乗っかった。

【もう体は大丈夫かな?心の傷は、難しいよね】

白蛇様の事を思い眉を下げた。

「大丈夫だ」

ビャクさんは洞窟の中とは違い、前のように話している。

【自分の会話はここだとあの男が話を聞いているかもしれないから話し方は変わるが許して欲しいと言っていた……まぁ仕方ないか】

シルバが不服そうに教えてくれる。

私は無言でわかったと頷くとビャクさんが頭を下げた。

【じゃあ白蛇ちゃんの事も話さない方がいいかな?】

【そうだな、念話ならあいつに聞かれる事はないがこいつとも話せないしな】

【え?なんか話せそうな気がするけど……】

私はじーっと白蛇ちゃんを見つめる。
なんかやっぱりどっかで見たことがあった。

「あっ!」

白蛇ちゃんをじっくりと見て気がついた!
前に森で助けた白蛇に似ているんだ!

その瞬間白蛇ちゃんが頭をコツンと突き出しておでこに触れてきた。

【覚えててくれたんだ】

白蛇様と同じように頭の中に声が響いてきた。
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