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13章
771.白蛇様
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「白蛇様……どうして?」
私は白蛇様に止められて魔力を練るのをやめてしまった。
白蛇様は瞳を閉じるとそっと頭を近づけてきた。
私はおでこを合わせるように前に出ると目を閉じて頭を近づけた。
すると白蛇様が頭をコツンと合わせてきた、すると白蛇様の声が頭の中に響いた。
【聖獣の愛し子よ感謝します。でもその力は違う事に使ってください】
【白蛇様!でも私なら白蛇様を治せるかもしれないよ】
【そうですね、きっと治せるでしょう。でも治ったとて私の寿命はあとわずか】
【でも……】
私が眉を下げると白蛇様の目が気にするなと言うように優しく笑った。
【生きる者として死ぬのは当たり前のこと、私は亡くなるのではなく次に生まれるために死ぬのです】
どういう事?
私は首を傾げるが白蛇様は笑うだけだった。
【私よりももっと若い命を助けてあげて欲しいのです】
そういうと白蛇様はとぐろを巻いた中から小さな白蛇が出てきた。
【か、可愛い!】
それはまるで白蛇様のミニバージョンだった。
しかしその子も元気がないのかぐったりして目を閉じている。
それに何処かであった気がした。
【どうかこの子の命を助けてあげて欲しい】
【それはもちろん助けるよ、でもそうしたら白蛇様は……】
子供の白蛇を助けるために回復魔法を使ったら白蛇様を治すことは本当に出来なくなるだろう。
私の考えを全て飲み込んだように白蛇様は頷いた。
【我が子を守るのは親のつとめです。ではお願いします】
白蛇様はそう言うと私に小さな白蛇を預けて湖の底へと沈んでいった。
「白蛇様!」
ビャクさんが沈んでいくのを追いかけようと水に飛び込もうとすると白蛇様が水底からこちらを見上げた。
そしてビャクさんに悲しそうに微笑み首を横に振ると二度と振り返ることなくさらに底へと沈んで行ってしまった。
ビャクさんは力が抜けたようにその場に膝をついた。
「ビャクさん……」
なんと声をかけたらいいかと迷ってしまう。
「白蛇様は眠りにつくそうです……もう目覚めることはないと、これからはその子についてやってほしいと……」
「それってこの子のこと?」
私の腕にいる小さな白蛇を見せた。
「はい、昔怪我をして白蛇様のところにやってきてからはずっとそばに……白蛇様はあとを継がせようと思っていたようです。しかしあの男が力をつけてから白蛇様の力が弱まり、それを知ったその子があの男に挑んだのですが返り討ちにあい白蛇様が守っていたのです」
「この子も早く助けないと危ないかも……どんどん体が冷たくなってる」
きっと白蛇様の力をわけてなんとかもっていたのだろう。
「白蛇様の最後の願いです……どうかよろしくお願いします」
ビャクさんは頭を下げた。
【シンク、できる?】
【うんその子ならまだ若いし生命力もあるだろうなら傷と魔力さえ戻ればなんとかなりそうだよ】
【よし、じゃあこの子を助けよう】
白蛇様の願いに応えたい。
私は再度魔力を練るとシンクに渡した、シンクは私の魔力を受け取り神々しく光だした。
「美しい……それに温かい光だ」
ビャクさんはシンクを見つめて目を細めた。
【これはミヅキの力があってこそなんだ!僕のミヅキはすごいでしょ!】
シンクが誇らしそうに私のことを褒めてくれた。
【おい、僕のじゃなくて僕らのだろ!】
シルバがそこは譲れないとばかりに注意してきた。
【あー、ごめーんついね】
シンクはウインクして謝ると白蛇ちゃんに向き合った。
【白蛇様とミヅキに感謝するんだよ!】
そう言って白蛇に回復魔法をかけると白蛇の体に温もりが戻ってきた。
シンクが私の頭の上に戻るとシルバ達が大丈夫かと私の周りに集まってくる。
【ミヅキの体調は平気か?】
【うん、問題ないよ】
魔力が減ったが倒れるほどではない。
すると腕の中の白蛇がモゾモゾと動き出した。
私は白蛇様に止められて魔力を練るのをやめてしまった。
白蛇様は瞳を閉じるとそっと頭を近づけてきた。
私はおでこを合わせるように前に出ると目を閉じて頭を近づけた。
すると白蛇様が頭をコツンと合わせてきた、すると白蛇様の声が頭の中に響いた。
【聖獣の愛し子よ感謝します。でもその力は違う事に使ってください】
【白蛇様!でも私なら白蛇様を治せるかもしれないよ】
【そうですね、きっと治せるでしょう。でも治ったとて私の寿命はあとわずか】
【でも……】
私が眉を下げると白蛇様の目が気にするなと言うように優しく笑った。
【生きる者として死ぬのは当たり前のこと、私は亡くなるのではなく次に生まれるために死ぬのです】
どういう事?
私は首を傾げるが白蛇様は笑うだけだった。
【私よりももっと若い命を助けてあげて欲しいのです】
そういうと白蛇様はとぐろを巻いた中から小さな白蛇が出てきた。
【か、可愛い!】
それはまるで白蛇様のミニバージョンだった。
しかしその子も元気がないのかぐったりして目を閉じている。
それに何処かであった気がした。
【どうかこの子の命を助けてあげて欲しい】
【それはもちろん助けるよ、でもそうしたら白蛇様は……】
子供の白蛇を助けるために回復魔法を使ったら白蛇様を治すことは本当に出来なくなるだろう。
私の考えを全て飲み込んだように白蛇様は頷いた。
【我が子を守るのは親のつとめです。ではお願いします】
白蛇様はそう言うと私に小さな白蛇を預けて湖の底へと沈んでいった。
「白蛇様!」
ビャクさんが沈んでいくのを追いかけようと水に飛び込もうとすると白蛇様が水底からこちらを見上げた。
そしてビャクさんに悲しそうに微笑み首を横に振ると二度と振り返ることなくさらに底へと沈んで行ってしまった。
ビャクさんは力が抜けたようにその場に膝をついた。
「ビャクさん……」
なんと声をかけたらいいかと迷ってしまう。
「白蛇様は眠りにつくそうです……もう目覚めることはないと、これからはその子についてやってほしいと……」
「それってこの子のこと?」
私の腕にいる小さな白蛇を見せた。
「はい、昔怪我をして白蛇様のところにやってきてからはずっとそばに……白蛇様はあとを継がせようと思っていたようです。しかしあの男が力をつけてから白蛇様の力が弱まり、それを知ったその子があの男に挑んだのですが返り討ちにあい白蛇様が守っていたのです」
「この子も早く助けないと危ないかも……どんどん体が冷たくなってる」
きっと白蛇様の力をわけてなんとかもっていたのだろう。
「白蛇様の最後の願いです……どうかよろしくお願いします」
ビャクさんは頭を下げた。
【シンク、できる?】
【うんその子ならまだ若いし生命力もあるだろうなら傷と魔力さえ戻ればなんとかなりそうだよ】
【よし、じゃあこの子を助けよう】
白蛇様の願いに応えたい。
私は再度魔力を練るとシンクに渡した、シンクは私の魔力を受け取り神々しく光だした。
「美しい……それに温かい光だ」
ビャクさんはシンクを見つめて目を細めた。
【これはミヅキの力があってこそなんだ!僕のミヅキはすごいでしょ!】
シンクが誇らしそうに私のことを褒めてくれた。
【おい、僕のじゃなくて僕らのだろ!】
シルバがそこは譲れないとばかりに注意してきた。
【あー、ごめーんついね】
シンクはウインクして謝ると白蛇ちゃんに向き合った。
【白蛇様とミヅキに感謝するんだよ!】
そう言って白蛇に回復魔法をかけると白蛇の体に温もりが戻ってきた。
シンクが私の頭の上に戻るとシルバ達が大丈夫かと私の周りに集まってくる。
【ミヅキの体調は平気か?】
【うん、問題ないよ】
魔力が減ったが倒れるほどではない。
すると腕の中の白蛇がモゾモゾと動き出した。
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