ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

文字の大きさ
666 / 675
13章

773

しおりを挟む
【やっぱりあの時の白蛇ちゃんなの?】

白蛇はコクコクと何度も頷いた。

【よかった、あの時の子は無事かなーって思ってたから】

体を撫でてやると気持ちよさそうに目を細め、あの時の事を話してくれた。

【あの時僕は聖獣の白蛇様に言われてあの辺を調査しに行ってたの……でもしくじってミノタウロスに襲われてしまって……】

そこをちょうど私達がギルドの依頼で通りかかったようだ。

【あの時ミヅキに会わなかったら僕は死んでたかも、それに今回も……本当にありがとう】

白蛇ちゃんはキュルンと目をうるませてお礼を言う。
その可愛らしい姿に胸が締め付けられた。

【い、いいんだよ。白蛇ちゃんを助けられてよかった】

私が再度白蛇ちゃんの頭を撫でようとするとシルバがその手をふわふわな手で止めてきた。

【ん?シルバなに?】

【ミヅキ、今この蛇を可愛い、撫でたいとか思ってるだろ?】

【え!なんでわかったの】

私が驚くとシルバはため息をついた。

【ミヅキはいつもそれでこいつらを従魔にしてるだろ!】

た、確かに……

私は一度手を引っ込めた。
しかし白蛇ちゃんのうるうると見つめてくる。

その姿に悶絶してから息を整えた。

【えっとね白蛇ちゃん私ってテイマーなんだよ。だから白蛇ちゃんの事可愛いって思ってしまうと従魔にしちゃうことがあるんだ……だから撫でられないの……ごめんね】

白蛇ちゃんに謝ると首をコテンと傾けた。

【なんで従魔にしちゃダメなの?】

【だってそれは……ていうか白蛇ちゃん、従魔になりたいの?】

【ミヅキならいいかなって思ってる】

【ダメだ!こいつは聖獣としてここに残るんだろ?それなら従魔にならん方がいい】

シルバが首を振る。

【聖獣……確かに聖獣様に次は僕が引き継ぐように言われて頑張っていたけど、聖獣様を裏切ったこの国に守るべきものはないよ】

白蛇ちゃんが淡々と言った。

【白蛇ちゃん……そんな悲しいこと言わないで。聖獣様だって守るべきものがあったからあんなに頑張っていたんでしょ?】

【……】

白蛇ちゃんはぷいっと横を向いてしまった。

【白蛇ちゃん、私はこの国の人達をあの男から助けたいと思ってるのその為に一緒に頑張ってみない?この国を聖獣様が守っていた国に戻そうよ】

優しく白蛇ちゃんに話しかけると顔を背けながらもこくっと頷いてくれる。

【いい子だね、国が戻ってそれでも守るべきものじゃないって思ったらその時は白蛇ちゃんの好きにしていいんじゃないかな?】

【本当に?じゃあその時ミヅキの従魔になりたかったらなってもいいの?】

【そんなの大歓迎だよ!ね、みんな】

私がシルバ達を見ると渋い顔をする。

【ただでさえ聖獣が三匹もいるのに……】

シルバが渋い顔をする。

【元ね、まぁ三匹も四匹も変わらないよ】

シンクはこうなると思ったのか仕方なさそうにしていた。

【私達が従魔なのにその子だけダメとも言いずらいな】

プルシアも苦笑する。

【ぼくはいいよー】

コハクは下ができるのが嬉しいのかふわふわの胸を張っていた。

【ふふ、先輩達もいいって】

【ありがとう……ございます。僕もちゃんと考えてみるよ】

白蛇ちゃんがシルバ達にペコッと頭を下げた。

【まぁまだお前は聖獣になってないしな……それになるにはもうしばらく修行が必要そうだな……】

小さな白蛇をみるシルバの鼻息があたり白蛇ちゃんはビビっていた。

【でも名前がないのは不便だよね、なんて呼べばいいかな?】

【名前?特にないけど……】

【じゃあつけてもいいかな?それともつけたら従魔になっちゃう?】

シルバに確認をしてみる。

【一緒に行動するなら連携を取りやすく一短従魔にした方が楽だろう。いつでも切れるからな】

シルバが脅すように怖いことをいう。

【もうシルバ、何をそんなに怒ってるの?】

シルバを撫でるとすりすりと頭を擦り付けて甘えてきた。

【シルバはこれ以上ミヅキを取られたくないんでしょ】

【ええ!まさか……ヤキモチ?】

【だって……俺のミヅキなのに……】

シルバは耳を垂らして顔を背けてしまった。

【シルバ、馬鹿だなぁ……私にとってシルバは特別だよ】

シルバの首元に抱きついてそっと耳打ちする。

この世界に来てからずっと一緒にいてくれる私のナイト、シルバがいなかったらきっと生きてはいなかった。

それにシルバは……前世からの……

シルバを見つめると銀の面影にギュッと胸が締め付けられた。

【何があってもずっと一緒だよ……これからも】

【あぁ】

私の気持ちがシルバに届いたのか、シルバは穏やかに笑って私の鼻先にチュッとキスをした。
しおりを挟む
感想 6,828

あなたにおすすめの小説

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私の家族はハイスペックです! 落ちこぼれ転生末姫ですが溺愛されつつ世界救っちゃいます!

りーさん
ファンタジー
 ある日、突然生まれ変わっていた。理由はわからないけど、私は末っ子のお姫さまになったらしい。 でも、このお姫さま、なんか放置気味!?と思っていたら、お兄さんやお姉さん、お父さんやお母さんのスペックが高すぎるのが原因みたい。 こうなったら、こうなったでがんばる!放置されてるんなら、なにしてもいいよね! のんびりマイペースをモットーに、私は好きに生きようと思ったんだけど、実は私は、重要な使命で転生していて、それを遂行するために神器までもらってしまいました!でも、私は私で楽しく暮らしたいと思います!

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。