19 / 48
2巻
2-3
しおりを挟む
◆
「美味かったよ」
「ごちそうさん」
最後の囚人達が料理を平らげ部屋をあとにするのを確認して、ビオスのおっさんは食堂の扉を閉めた。
食堂には調理部の者達とミラを引き取りにきた俺――ジョンが残っているだけだった。
「よし、さぁ片付けたら明日の仕込みをして終わりだ。最後まで気を抜くなよ」
ビオスのおっさんがそう声をかける前から、調理部の奴らは皿洗いなど各々が出来る仕事をしていた。
「ビオスのおっさん、部下が入ってよかったな」
俺がニヤニヤと笑うとビオスのおっさんは面白くなさそうな顔でふんっと顔を背けた。
相変わらずの態度だと思いながら、俺は続ける。
「ところでミラはどうだ? こいつらと上手くやれそうか」
「当たり前だ、お前とは違ってミラは素直で可愛いんだ。誰とでも上手く出来る」
ビオスのおっさんは自分の孫のごとくミラを自慢していた。
「ハイハイ、それでその可愛いミラはどこだ?」
連れて帰ろうと厨房の中を覗き込む。
「ミラちゃんならこの下に入ってたよ、おーいミラちゃん」
調理部の奴が扉を軽くノックするが返事がない。俺は厨房の奥に入ってもう少し大きな声で声をかけた。
「おいミラ! 帰るぞー」
「ん……」
中から微かに声が聞こえて扉がちょっとだけ開いた。
俺は指を入れて扉を開くと、ミラが寝ぼけた様子で扉に手をかけていた。
そんなミラを引っ張り出して抱き上げる。
直前まで寝ていたのか、ミラはほっこりと温かかった。
囚人達は笑いながらミラの周りを取り囲み、その顔を見る。
「疲れたんだな、小さい体で頑張って手伝ってくれてたよ」
「本当に、ミラちゃんが一生懸命仕事してるのに俺達がサボる訳にいかないからなー」
「う~ん……みんな頑張って……」
ミラはムニャムニャと寝言を言いながら、お皿を洗うような仕草をしていた。
「プッ!」
その様子に囚人達が思わず噴き出す。
「早く部屋に連れ帰ってゆっくり寝かせてやってくれ」
聞いた事ないようなビオスの優しい言い方に俺は苦笑いしながら頷いた。
◆
私――ミラは目が覚めて周りを見渡すと、ジョンさんの牢にいた。
「あれ?」
いつ来たのか覚えておらず起き上がろうとする。
すると隣で寝ていたジョンさんも目が覚めてしまったようでゆっくりと私を横にさせた。
「まだ早いから寝てろ」
囁かれて頷くとジョンさんの体に身を寄せた。
ジョンさんは安心したのかすぐに寝息が聞こえてきた。
私は横になりながら天井を見つめる。
どうやら私は厨房で寝てしまったようだ。
でも結構寝てしまったのか、今はあまり眠くない。
何気なく天井の染みを数えていると、カツンカツンと足音が聞こえてきた。
看守が見回りに来たようで、廊下の奥から小さな灯りが近づいてくるのが見えた。
私はジョンさんの影に隠れようと体をくっつける。するとジョンさんの腕が私を隠すように動いた。
起きたのかと顔を見るが、ジョンさんは完全に寝ているように見えるし、寝息も聞こえていた。
看守が通り過ぎるまでジョンさんは身動きせずにじっと私を隠していた。
そして足音と灯りが遠ざかり静かな暗闇に戻ると、ジョンさんの腕の力が抜けた気がした。
やっぱり起きていたのかと思うが、先程と変わらずに寝息が聞こえる。
体を動かし、腕から抜けようとするとジョンさんがまたうっすら目を開けた。
「どうした? 眠れないのか?」
眠そうな声と顔で聞いてきた。
「違うよ、今看守が通ってジョンさんが私を隠しながら抱きしめたから、抜けようと思って動いたの」
「え?」
ジョンさんは無意識だったらしく私の言葉に驚いて目を開いた。
「看守が通ったのか? やばい、全然気がつかなかった」
しまったと顔を手で覆っているジョンさん。
すると私は小さく笑う。
「でもちゃんと隠してくれてたよ? ありがとう」
私はジョンさんの行動に感謝した。
「ずっとそうやって寝てたからかな」
笑いながら私の事をもう一度抱きしめてそばに寄せた。
「そうだね」
私は寝ながらも守ろうとしてくれたジョンさんに抱きつき目を閉じる。
心地よい体温に私は安心して眠る事が出来た。
二 ピザ窯
次の日、朝起きてからいつも通りジョンさんに連れられて厨房に向かう。
そして朝ごはんの用意を手伝ってから、隠し場所に隠れた。
しかし、なんだが様子がいつもと違う気がした。
いつもなら囚人の朝ごはんを食べるとすぐにみんな仕事に向かい、食堂は静かになるのだが、ずっとこの辺りを人が歩いている気配がする。
仕方なくじっとして待っているとトントンと扉をノックされた。
「ミラ、いいぞー」
声の主はジョンさんで、厨房にまだいるとは思っていなかった。
「ジョンさん?」
私がそっと顔を出すとジョンさんの他にも何人か見知った顔の囚人達がいた。
「あれ? みんなお仕事は?」
眉をひそめてみんなを見ると、ニヤッと笑顔を見せた。
「今日はここが仕事場なんだよ」
「厨房で仕事なんて嬉しいよなー、でも何作るんだっけ?」
ジョンさんの隣にいた囚人さんがビオスさんに声をかけた。
「お前らには窯を作ってもらう」
「かまー?」
みんななんだと言った様子で首を傾げていた。
「これを見てくれ」
ビオスさんは昨日作ったピザを焼いていたようで、数枚みんなの前に出した。
「美味そうだな! 食っていいのか?」
答えを待たずにもみんないっせいに手を伸ばしていた。
そしてビオスさんがコクッと頷くのと同時に口に運ぶ。
ジョンさんも一切れ掴んで口に運んでいると食べてニヤニヤと笑っていた。
そして私と目が合うともう一切れ取って近づいてきた。
「ミラも食ってみろよ、美味いぞ」
「私は大丈夫、昨日食べたから」
そんな話をしていると、ビオスさんが声を張り上げた。
「これはピザって料理だ、今度メニューに加えたいと思ってる」
「そりゃいいな!」
みんなが手を叩き喜んでいると、ビオスさんが神妙な顔をした。
「だが問題がある、フライパンじゃ作る量に限度がある、そこで窯の出番だ。それがあればピザが一気に作れる訳だ」
「「へぇ~!」」
みんなはなるほどと頷いていた。
「そこでお前らには窯を作ってもらいたい。ちなみにピザを考えたのはミラだからな」
ビオスさんがそう言うとみんながこっちを見た。
「さすがミラちゃんだな」
「それなら尚更いい窯作らないとな」
みんなはやる気が出てきたのか腕まくりしだした。
すると、ビオスさんはなんでもないように告げる。
「じゃ部屋の端の方に三つほどよろしくな。あと換気の穴も忘れるな」
「ちょ、ちょっと待ってくれ! 窯なんて作った事ないのに、三つも作るのか?」
ジョンさんも驚いてビオスさんに聞き返していた。
「一つじゃフライパンとそこまで変わらんだろ、なぁミラ?」
ビオスさんは私に話をふってきた。
「確かに……でもみんな大変なんじゃ」
私は申し訳ないと思い、ジョンさん達を見つめた。
するとみんな突然焦り出す。
「いやいや! 問題ない、ミラちゃんのためならな!」
私の顔を見ててやる気を取り戻してくれたようだ。
「みんなありがとう。よろしくお願いします」
私はジョンさん達に頭を下げた。
「気にすんな。それでビオス、設計図はあるんだよな」
ジョンさんはビオスさんをキッと見つめた。
「ああ、ローガンに話したら、昨日の今日で作ってくれた。じゃ俺達は食材を見てくるからよろしくな。ミラ危ないから向こうに行くぞ」
ビオスさんは設計図をジョンさんに渡すと、私を抱き上げて歩き出した。
「おいおい、この設計図、結構複雑だぞ。なんかしてやられた気がするなぁ……」
後ろからはジョンさんの文句が聞こえてきた。
「ビオスさん、ジョンさん達ほっといていいの?」
なんか申し訳なくてビオスさんに声をかけた。
「大丈夫だ、終わったらミラが〝ご苦労様〟って声をかけてやれば十分だよ」
そんな事でいいのかなぁ?
「あっ! じゃあみんなにおやつでも作ってあげようよ」
いい考えが浮かびビオスさんを見上げる。
「別にそんな事しなくてもいいと思うが……まぁミラの料理には興味ある」
ビオスさんは笑いながら食料庫に向かってくれた。
そして私を降ろすと、一緒に食料庫をあさっていく。
「ビオスさん、これ!」
「ん? あぁニンニクだな、それは美味いが臭くなるからな」
普段は少量しか使わないので大量に在庫があるようだ。
「でもニンニクは疲労回復にいいと思うし、使っていい?」
「そうか? まぁアイツらが臭くなろうとどうでもいいか!」
「匂いは揚げると弱くなるって聞いた気がする」
生のものを刻むと臭いが増すらしい。
私とビオスさんはニンニクを持ってまた調理場に戻ってきた。
ジョンさん達は文句を言っていたものの、テキパキと窯を作る準備を始めていた。
「あれ、なんだ戻ってきたのか?」
ジョンさんが私達に声をかけた。
「いや、料理を作るだけだから気にするな」
ビオスさんはシッシッと近づいてきたジョンさんを手で追い払う。
ジョンさんは怒りながらも作業に戻っていた。
「さぁ気にせず俺達は料理をするぞ」
「い、いいのかな……」
まぁご飯あげれば機嫌も直るよね?
私は美味しく出来るようにとビオスさんに作り方を覚えている限りの知識で伝えた。
「ふむ、丸ごと揚げるんだな。皮を取って少量の油でやってみるか」
ビオスさんはニンニクの頭の部分をザクッと切ると手際よく皮を剥いていく。私もビオスさん程ではないが頑張って皮剝きを手伝った。
「よく火を通すなら弱火でじっくりがいいだろう」
丸ごとのニンニクをフライパンにしきつめて、油を入れて火をつけた。
「よし、これで様子を見よう」
しばらくすると油が熱くなり泡が出てきた、そしてニンニクに火が通り部屋にいい香りがただよう。
ぐぅー!
するとジョンさん達の方からお腹の鳴る音が響いてきた。
「あー、腹減った」
「厨房で作業とか辛い」
囚人のみんなは、いい香りにお腹が空いてきたようだ。
私はビオスさんと顔を見合わせて笑い合う。
「そろそろいいタイミングだな」
私とビオスさんは揚げたてのニンニクをお皿に盛り、塩を少しだけパラパラとかけた。
「ジョンさん、作業お疲れ様! よかったら食べて」
お茶と一緒にニンニク揚げを出した。
すると、ジョンさんは笑みを浮かべる。
「おー! 美味そうな匂いはそれか、でも食べちゃっていいのか?」
「窯を作ってくれてるんだもんいいよ。それにみんなに評判よかったら食堂でも出せるし、味見って事で」
私はパチッとウインクする。
「それなら……おいみんなミラとビオスのおっさんから味見のおすそ分けだ。ありがたくいただこう」
「待ってました!」
みんな聞き耳を立てて話を聞いていたようだ。
ジョンさんの合図と同時にこちらに向かってくる。
「おー! 美味そうな匂い、これなんだ?」
みんなニンニクをつまむとヒョイッと口に入れる。
ホクホクの食感に頬を赤らめながら夢中で食べている。
「この塩気が疲れた体に沁みる!」
「甘くて美味いなー」
「それにこの香り……たまらん!」
みんなパクパクと我先にと食べだした。
「あー! みんな食べ過ぎはよくないよ、お昼ご飯もこのあとあるしね」
「そ、そうか……」
みんな私の忠告を聞き、みんな掴んでいたニンニクを見つめて固まる。
「それで最後にしておこうね」
「おう!」
みんなは惜しむように最後の一粒を大事そうに食べていた。
その後、みんなは気合を入れて、窯作りに取り組んでくれたのだった。
◆
数日後、みんなのおかげで窯は見事に完成した。
その期間も新しい料理を色々と味見してもらえて、私としても楽しい期間だった。
今日は窯の性能を確かめるためにビオスさんがピザを焼くらしく、上手く出来れば看守を招いてお披露目をする予定だ。
看守が集まるという事で、私はジョンさんの牢屋でお留守番である。
「じゃあみんな頑張ってね」
わざわざ様子を見に来てくれた調理部のみんなにエールを送る。
「ミラが考えてくれたレシピを忠実に再現するからな。ミラは安心して休んでてくれ、昨日まで下準備も手伝ってくれてたしな」
ビオスさんが頭をポンポンと撫でてくれる。
「みんな行ってらっしゃい!」
私は笑顔でみんなを送り出した。
◆
ミラを部屋に残したまま、俺──ジョンはビオスのおっさん達と厨房に向かった。
窯の最終確認と、ちゃんと機能するか確かめるために俺達も今回立ち会う事になったのだ。
「はぁー、ミラちゃんも一緒に入れたらいいのにな」
「今回のレシピだってほとんどミラちゃんのアイデアだぜ」
俺と一緒に窯づくりをした連中は、みんなミラがこの場にいない事に肩を落としている。
健気に送るミラの手前、さっきまではみんなで平気な顔をしていた訳だ。
ミラもみんなの手前なんでもない振りをして送り出していたが、寂しそうな顔は隠せていなかった。
俺は励ますように口を開く。
「仕方ない、看守に見つかる訳にはいかないからな」
「そうだな……」
みんなそれが最善だと分かっているが、やはり寂しい事に変わりはないようだ。
「ほら、そんな顔してると、ミラに悪いだろ!」
俺は元気がないみんなの背中をバシッと叩いた。
そしてそのまま厨房に向かっていると、途中でローガンと出くわした。
ローガンも今回の件に立ち会うようで、一緒に歩き出す。
「ミラは元気ですか? 最近は泊まりに来ないので心配です」
ローガンは俺の顔を見るなりミラの事を聞いてきた。
「あぁ、今日までは元気に仕事してたよ。でもほら、今回は危ないから留守番でな。少し寂しそうにしてた」
「そうですか、幼い子が一人で待つなんて寂しいに決まってますよね……よし、私は用事が出来たので――」
ローガンはクルッと向きを変えて俺達が来た方向へ行こうとする。
「待て!」
そんなローガンの肩をガシッと掴んで止めた。
「ローガン、ミラのところに行くつもりだろ! お前は今回の設計図を用意した責任者なんだからいなくなっちゃまずいだろ!」
「ですがミラが悲しんでいると思うと……」
いつもはクールな男がミラの事となると不安そうに眉を下げていた。
「大丈夫だ、そうだと思ってハーパーとメイソンに頼んでおいた。しばらくしたら向かってくれるはずだ」
「まぁ、それなら……」
二人が行くと分かってようやくローガンも厨房に向かう気になったようだ。
そのまま歩き続け、厨房にたどり着いた。
そして早速窯に火を入れる。
薪を積んで火種を入れて、火を大きくするべく空気を送った。
火がつくと薪を下の段へと移動させる。
俺達の横では、ビオスのおっさん達がピザの準備を始めていた。
「よし、十分に窯が熱くなったぞ」
俺がビオスのおっさんに声をかけると、準備万端といった様子で、具の載ったピザを運んできた。
「あとは看守達が来たら焼き始める。焼くのは数分で出来るからな」
「そんなにすぐに焼けるのか?」
「焼く温度が違うんだ。それにミラが言うには窯で焼くとフライパンより断然美味いらしい」
「「「え⁉」」」
みんなあれより美味しくなるのかと驚いている。
「窯の様子もいいし……早速一枚焼いてみるか!」
ビオスのおっさんの提案にみんな大喜びしていた。
ビオスのおっさんがサッとデカい木ベラでピザを窯の奥に入れる。
そして焼き加減を見ながらクルクルとピザを動かしている。
そして入れて数分で取り出した。
「どうした? 焼くのやめたのか?」
心配になって尋ねると、ビオスのおっさんは汗をかきながら笑っていた。
「いや、もう焼けた」
「え? だってサッと入れただけだぞ!」
「俺も始めて使ったが、これが窯なんだな。さぁ味はどうだ」
ビオスのおっさんはなれた様子でピザを切り分けるとパクッと口に運ぶ。
俺を始めとするみんなも続くようにピザを掴んで食べた。
するとあまりの美味しさに言葉を失った。
フライパンで焼いたピザも美味かったが、窯のピザはまた別物だった。
炭の香ばしい香りに生地のモチモチふわふわ感、具材にもしっかりと火が通っていて、同じピザとは思えなかった。
「こりゃ想像以上だな」
ビオスのおっさんの驚くような呟きに、ハッと現実に戻ってきたような感覚がする。
「窯を作って正解だったようですね。では看守達にもしっかりとそれを証明してくださいね、レシピを考えてくれたミラのためにも」
ローガンに言われるまでもなく、最初からそのつもりだったのだろう、ビオスのおっさんは大きく頷いた。
その後、すぐに看守が来たので、ビオスのおっさんだけでなく俺達みんなで代わる代わる窯でピザを焼いた。
さすがにずっと熱のこもった窯の前にいるのは辛くて、何度も交代しながら焼いた。
焼いていくうちにコツも掴んでいき、最後は誰の焼き方が上手いか争ったくらいだ。
もちろん看守達にもピザは好評で、違う味も食べたいと何度もおかわりに来る奴もいた。
こうして、看守達にも窯は受け入れられたのだった。
「美味かったよ」
「ごちそうさん」
最後の囚人達が料理を平らげ部屋をあとにするのを確認して、ビオスのおっさんは食堂の扉を閉めた。
食堂には調理部の者達とミラを引き取りにきた俺――ジョンが残っているだけだった。
「よし、さぁ片付けたら明日の仕込みをして終わりだ。最後まで気を抜くなよ」
ビオスのおっさんがそう声をかける前から、調理部の奴らは皿洗いなど各々が出来る仕事をしていた。
「ビオスのおっさん、部下が入ってよかったな」
俺がニヤニヤと笑うとビオスのおっさんは面白くなさそうな顔でふんっと顔を背けた。
相変わらずの態度だと思いながら、俺は続ける。
「ところでミラはどうだ? こいつらと上手くやれそうか」
「当たり前だ、お前とは違ってミラは素直で可愛いんだ。誰とでも上手く出来る」
ビオスのおっさんは自分の孫のごとくミラを自慢していた。
「ハイハイ、それでその可愛いミラはどこだ?」
連れて帰ろうと厨房の中を覗き込む。
「ミラちゃんならこの下に入ってたよ、おーいミラちゃん」
調理部の奴が扉を軽くノックするが返事がない。俺は厨房の奥に入ってもう少し大きな声で声をかけた。
「おいミラ! 帰るぞー」
「ん……」
中から微かに声が聞こえて扉がちょっとだけ開いた。
俺は指を入れて扉を開くと、ミラが寝ぼけた様子で扉に手をかけていた。
そんなミラを引っ張り出して抱き上げる。
直前まで寝ていたのか、ミラはほっこりと温かかった。
囚人達は笑いながらミラの周りを取り囲み、その顔を見る。
「疲れたんだな、小さい体で頑張って手伝ってくれてたよ」
「本当に、ミラちゃんが一生懸命仕事してるのに俺達がサボる訳にいかないからなー」
「う~ん……みんな頑張って……」
ミラはムニャムニャと寝言を言いながら、お皿を洗うような仕草をしていた。
「プッ!」
その様子に囚人達が思わず噴き出す。
「早く部屋に連れ帰ってゆっくり寝かせてやってくれ」
聞いた事ないようなビオスの優しい言い方に俺は苦笑いしながら頷いた。
◆
私――ミラは目が覚めて周りを見渡すと、ジョンさんの牢にいた。
「あれ?」
いつ来たのか覚えておらず起き上がろうとする。
すると隣で寝ていたジョンさんも目が覚めてしまったようでゆっくりと私を横にさせた。
「まだ早いから寝てろ」
囁かれて頷くとジョンさんの体に身を寄せた。
ジョンさんは安心したのかすぐに寝息が聞こえてきた。
私は横になりながら天井を見つめる。
どうやら私は厨房で寝てしまったようだ。
でも結構寝てしまったのか、今はあまり眠くない。
何気なく天井の染みを数えていると、カツンカツンと足音が聞こえてきた。
看守が見回りに来たようで、廊下の奥から小さな灯りが近づいてくるのが見えた。
私はジョンさんの影に隠れようと体をくっつける。するとジョンさんの腕が私を隠すように動いた。
起きたのかと顔を見るが、ジョンさんは完全に寝ているように見えるし、寝息も聞こえていた。
看守が通り過ぎるまでジョンさんは身動きせずにじっと私を隠していた。
そして足音と灯りが遠ざかり静かな暗闇に戻ると、ジョンさんの腕の力が抜けた気がした。
やっぱり起きていたのかと思うが、先程と変わらずに寝息が聞こえる。
体を動かし、腕から抜けようとするとジョンさんがまたうっすら目を開けた。
「どうした? 眠れないのか?」
眠そうな声と顔で聞いてきた。
「違うよ、今看守が通ってジョンさんが私を隠しながら抱きしめたから、抜けようと思って動いたの」
「え?」
ジョンさんは無意識だったらしく私の言葉に驚いて目を開いた。
「看守が通ったのか? やばい、全然気がつかなかった」
しまったと顔を手で覆っているジョンさん。
すると私は小さく笑う。
「でもちゃんと隠してくれてたよ? ありがとう」
私はジョンさんの行動に感謝した。
「ずっとそうやって寝てたからかな」
笑いながら私の事をもう一度抱きしめてそばに寄せた。
「そうだね」
私は寝ながらも守ろうとしてくれたジョンさんに抱きつき目を閉じる。
心地よい体温に私は安心して眠る事が出来た。
二 ピザ窯
次の日、朝起きてからいつも通りジョンさんに連れられて厨房に向かう。
そして朝ごはんの用意を手伝ってから、隠し場所に隠れた。
しかし、なんだが様子がいつもと違う気がした。
いつもなら囚人の朝ごはんを食べるとすぐにみんな仕事に向かい、食堂は静かになるのだが、ずっとこの辺りを人が歩いている気配がする。
仕方なくじっとして待っているとトントンと扉をノックされた。
「ミラ、いいぞー」
声の主はジョンさんで、厨房にまだいるとは思っていなかった。
「ジョンさん?」
私がそっと顔を出すとジョンさんの他にも何人か見知った顔の囚人達がいた。
「あれ? みんなお仕事は?」
眉をひそめてみんなを見ると、ニヤッと笑顔を見せた。
「今日はここが仕事場なんだよ」
「厨房で仕事なんて嬉しいよなー、でも何作るんだっけ?」
ジョンさんの隣にいた囚人さんがビオスさんに声をかけた。
「お前らには窯を作ってもらう」
「かまー?」
みんななんだと言った様子で首を傾げていた。
「これを見てくれ」
ビオスさんは昨日作ったピザを焼いていたようで、数枚みんなの前に出した。
「美味そうだな! 食っていいのか?」
答えを待たずにもみんないっせいに手を伸ばしていた。
そしてビオスさんがコクッと頷くのと同時に口に運ぶ。
ジョンさんも一切れ掴んで口に運んでいると食べてニヤニヤと笑っていた。
そして私と目が合うともう一切れ取って近づいてきた。
「ミラも食ってみろよ、美味いぞ」
「私は大丈夫、昨日食べたから」
そんな話をしていると、ビオスさんが声を張り上げた。
「これはピザって料理だ、今度メニューに加えたいと思ってる」
「そりゃいいな!」
みんなが手を叩き喜んでいると、ビオスさんが神妙な顔をした。
「だが問題がある、フライパンじゃ作る量に限度がある、そこで窯の出番だ。それがあればピザが一気に作れる訳だ」
「「へぇ~!」」
みんなはなるほどと頷いていた。
「そこでお前らには窯を作ってもらいたい。ちなみにピザを考えたのはミラだからな」
ビオスさんがそう言うとみんながこっちを見た。
「さすがミラちゃんだな」
「それなら尚更いい窯作らないとな」
みんなはやる気が出てきたのか腕まくりしだした。
すると、ビオスさんはなんでもないように告げる。
「じゃ部屋の端の方に三つほどよろしくな。あと換気の穴も忘れるな」
「ちょ、ちょっと待ってくれ! 窯なんて作った事ないのに、三つも作るのか?」
ジョンさんも驚いてビオスさんに聞き返していた。
「一つじゃフライパンとそこまで変わらんだろ、なぁミラ?」
ビオスさんは私に話をふってきた。
「確かに……でもみんな大変なんじゃ」
私は申し訳ないと思い、ジョンさん達を見つめた。
するとみんな突然焦り出す。
「いやいや! 問題ない、ミラちゃんのためならな!」
私の顔を見ててやる気を取り戻してくれたようだ。
「みんなありがとう。よろしくお願いします」
私はジョンさん達に頭を下げた。
「気にすんな。それでビオス、設計図はあるんだよな」
ジョンさんはビオスさんをキッと見つめた。
「ああ、ローガンに話したら、昨日の今日で作ってくれた。じゃ俺達は食材を見てくるからよろしくな。ミラ危ないから向こうに行くぞ」
ビオスさんは設計図をジョンさんに渡すと、私を抱き上げて歩き出した。
「おいおい、この設計図、結構複雑だぞ。なんかしてやられた気がするなぁ……」
後ろからはジョンさんの文句が聞こえてきた。
「ビオスさん、ジョンさん達ほっといていいの?」
なんか申し訳なくてビオスさんに声をかけた。
「大丈夫だ、終わったらミラが〝ご苦労様〟って声をかけてやれば十分だよ」
そんな事でいいのかなぁ?
「あっ! じゃあみんなにおやつでも作ってあげようよ」
いい考えが浮かびビオスさんを見上げる。
「別にそんな事しなくてもいいと思うが……まぁミラの料理には興味ある」
ビオスさんは笑いながら食料庫に向かってくれた。
そして私を降ろすと、一緒に食料庫をあさっていく。
「ビオスさん、これ!」
「ん? あぁニンニクだな、それは美味いが臭くなるからな」
普段は少量しか使わないので大量に在庫があるようだ。
「でもニンニクは疲労回復にいいと思うし、使っていい?」
「そうか? まぁアイツらが臭くなろうとどうでもいいか!」
「匂いは揚げると弱くなるって聞いた気がする」
生のものを刻むと臭いが増すらしい。
私とビオスさんはニンニクを持ってまた調理場に戻ってきた。
ジョンさん達は文句を言っていたものの、テキパキと窯を作る準備を始めていた。
「あれ、なんだ戻ってきたのか?」
ジョンさんが私達に声をかけた。
「いや、料理を作るだけだから気にするな」
ビオスさんはシッシッと近づいてきたジョンさんを手で追い払う。
ジョンさんは怒りながらも作業に戻っていた。
「さぁ気にせず俺達は料理をするぞ」
「い、いいのかな……」
まぁご飯あげれば機嫌も直るよね?
私は美味しく出来るようにとビオスさんに作り方を覚えている限りの知識で伝えた。
「ふむ、丸ごと揚げるんだな。皮を取って少量の油でやってみるか」
ビオスさんはニンニクの頭の部分をザクッと切ると手際よく皮を剥いていく。私もビオスさん程ではないが頑張って皮剝きを手伝った。
「よく火を通すなら弱火でじっくりがいいだろう」
丸ごとのニンニクをフライパンにしきつめて、油を入れて火をつけた。
「よし、これで様子を見よう」
しばらくすると油が熱くなり泡が出てきた、そしてニンニクに火が通り部屋にいい香りがただよう。
ぐぅー!
するとジョンさん達の方からお腹の鳴る音が響いてきた。
「あー、腹減った」
「厨房で作業とか辛い」
囚人のみんなは、いい香りにお腹が空いてきたようだ。
私はビオスさんと顔を見合わせて笑い合う。
「そろそろいいタイミングだな」
私とビオスさんは揚げたてのニンニクをお皿に盛り、塩を少しだけパラパラとかけた。
「ジョンさん、作業お疲れ様! よかったら食べて」
お茶と一緒にニンニク揚げを出した。
すると、ジョンさんは笑みを浮かべる。
「おー! 美味そうな匂いはそれか、でも食べちゃっていいのか?」
「窯を作ってくれてるんだもんいいよ。それにみんなに評判よかったら食堂でも出せるし、味見って事で」
私はパチッとウインクする。
「それなら……おいみんなミラとビオスのおっさんから味見のおすそ分けだ。ありがたくいただこう」
「待ってました!」
みんな聞き耳を立てて話を聞いていたようだ。
ジョンさんの合図と同時にこちらに向かってくる。
「おー! 美味そうな匂い、これなんだ?」
みんなニンニクをつまむとヒョイッと口に入れる。
ホクホクの食感に頬を赤らめながら夢中で食べている。
「この塩気が疲れた体に沁みる!」
「甘くて美味いなー」
「それにこの香り……たまらん!」
みんなパクパクと我先にと食べだした。
「あー! みんな食べ過ぎはよくないよ、お昼ご飯もこのあとあるしね」
「そ、そうか……」
みんな私の忠告を聞き、みんな掴んでいたニンニクを見つめて固まる。
「それで最後にしておこうね」
「おう!」
みんなは惜しむように最後の一粒を大事そうに食べていた。
その後、みんなは気合を入れて、窯作りに取り組んでくれたのだった。
◆
数日後、みんなのおかげで窯は見事に完成した。
その期間も新しい料理を色々と味見してもらえて、私としても楽しい期間だった。
今日は窯の性能を確かめるためにビオスさんがピザを焼くらしく、上手く出来れば看守を招いてお披露目をする予定だ。
看守が集まるという事で、私はジョンさんの牢屋でお留守番である。
「じゃあみんな頑張ってね」
わざわざ様子を見に来てくれた調理部のみんなにエールを送る。
「ミラが考えてくれたレシピを忠実に再現するからな。ミラは安心して休んでてくれ、昨日まで下準備も手伝ってくれてたしな」
ビオスさんが頭をポンポンと撫でてくれる。
「みんな行ってらっしゃい!」
私は笑顔でみんなを送り出した。
◆
ミラを部屋に残したまま、俺──ジョンはビオスのおっさん達と厨房に向かった。
窯の最終確認と、ちゃんと機能するか確かめるために俺達も今回立ち会う事になったのだ。
「はぁー、ミラちゃんも一緒に入れたらいいのにな」
「今回のレシピだってほとんどミラちゃんのアイデアだぜ」
俺と一緒に窯づくりをした連中は、みんなミラがこの場にいない事に肩を落としている。
健気に送るミラの手前、さっきまではみんなで平気な顔をしていた訳だ。
ミラもみんなの手前なんでもない振りをして送り出していたが、寂しそうな顔は隠せていなかった。
俺は励ますように口を開く。
「仕方ない、看守に見つかる訳にはいかないからな」
「そうだな……」
みんなそれが最善だと分かっているが、やはり寂しい事に変わりはないようだ。
「ほら、そんな顔してると、ミラに悪いだろ!」
俺は元気がないみんなの背中をバシッと叩いた。
そしてそのまま厨房に向かっていると、途中でローガンと出くわした。
ローガンも今回の件に立ち会うようで、一緒に歩き出す。
「ミラは元気ですか? 最近は泊まりに来ないので心配です」
ローガンは俺の顔を見るなりミラの事を聞いてきた。
「あぁ、今日までは元気に仕事してたよ。でもほら、今回は危ないから留守番でな。少し寂しそうにしてた」
「そうですか、幼い子が一人で待つなんて寂しいに決まってますよね……よし、私は用事が出来たので――」
ローガンはクルッと向きを変えて俺達が来た方向へ行こうとする。
「待て!」
そんなローガンの肩をガシッと掴んで止めた。
「ローガン、ミラのところに行くつもりだろ! お前は今回の設計図を用意した責任者なんだからいなくなっちゃまずいだろ!」
「ですがミラが悲しんでいると思うと……」
いつもはクールな男がミラの事となると不安そうに眉を下げていた。
「大丈夫だ、そうだと思ってハーパーとメイソンに頼んでおいた。しばらくしたら向かってくれるはずだ」
「まぁ、それなら……」
二人が行くと分かってようやくローガンも厨房に向かう気になったようだ。
そのまま歩き続け、厨房にたどり着いた。
そして早速窯に火を入れる。
薪を積んで火種を入れて、火を大きくするべく空気を送った。
火がつくと薪を下の段へと移動させる。
俺達の横では、ビオスのおっさん達がピザの準備を始めていた。
「よし、十分に窯が熱くなったぞ」
俺がビオスのおっさんに声をかけると、準備万端といった様子で、具の載ったピザを運んできた。
「あとは看守達が来たら焼き始める。焼くのは数分で出来るからな」
「そんなにすぐに焼けるのか?」
「焼く温度が違うんだ。それにミラが言うには窯で焼くとフライパンより断然美味いらしい」
「「「え⁉」」」
みんなあれより美味しくなるのかと驚いている。
「窯の様子もいいし……早速一枚焼いてみるか!」
ビオスのおっさんの提案にみんな大喜びしていた。
ビオスのおっさんがサッとデカい木ベラでピザを窯の奥に入れる。
そして焼き加減を見ながらクルクルとピザを動かしている。
そして入れて数分で取り出した。
「どうした? 焼くのやめたのか?」
心配になって尋ねると、ビオスのおっさんは汗をかきながら笑っていた。
「いや、もう焼けた」
「え? だってサッと入れただけだぞ!」
「俺も始めて使ったが、これが窯なんだな。さぁ味はどうだ」
ビオスのおっさんはなれた様子でピザを切り分けるとパクッと口に運ぶ。
俺を始めとするみんなも続くようにピザを掴んで食べた。
するとあまりの美味しさに言葉を失った。
フライパンで焼いたピザも美味かったが、窯のピザはまた別物だった。
炭の香ばしい香りに生地のモチモチふわふわ感、具材にもしっかりと火が通っていて、同じピザとは思えなかった。
「こりゃ想像以上だな」
ビオスのおっさんの驚くような呟きに、ハッと現実に戻ってきたような感覚がする。
「窯を作って正解だったようですね。では看守達にもしっかりとそれを証明してくださいね、レシピを考えてくれたミラのためにも」
ローガンに言われるまでもなく、最初からそのつもりだったのだろう、ビオスのおっさんは大きく頷いた。
その後、すぐに看守が来たので、ビオスのおっさんだけでなく俺達みんなで代わる代わる窯でピザを焼いた。
さすがにずっと熱のこもった窯の前にいるのは辛くて、何度も交代しながら焼いた。
焼いていくうちにコツも掴んでいき、最後は誰の焼き方が上手いか争ったくらいだ。
もちろん看守達にもピザは好評で、違う味も食べたいと何度もおかわりに来る奴もいた。
こうして、看守達にも窯は受け入れられたのだった。
30
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!
饕餮
ファンタジー
書籍化決定!
2024/08/中旬ごろの出荷となります!
Web版と書籍版では一部の設定を追加しました!
今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。
救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。
一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。
そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。
だが。
「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」
森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。
ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。
★主人公は口が悪いです。
★不定期更新です。
★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。