狂犬を手なずけたら溺愛されました

三園 七詩

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1.ここはどこ?

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ハッ!

私は恐怖に目を開いた。
恐ろしさからまだ心臓がドキドキしている。

慌てて周りを確認しようとするが首が上手く回らない。

ど、どうしよう・・・・・・

不安になると鼻の頭がツーンと痛くなってきた。

「ハッ、あーん!」

我慢しようとするがたまらずに声が漏れて泣き出してしまった。しかも感情を抑さえられずに号泣してしまう。

15歳にもなって恥ずかしいと思うが気持ちが抑えられない。心と体が上手くコントロール出来ずにさらに泣き出してしまったのだ。

すると顔の前に影ができる。
思わずギョッとして涙が止まった。

「あらあらどうしたの?」

その影は優しそうな顔の女性だった。
しかもかなり綺麗、この人は私に笑顔を向けて手を伸ばしてきた。そして優しい手つきで頭や頬を撫でる。

こんな風に撫でられたのは初めてかもしれない。

私は心地良さにフッと目を閉じると眠りについた。



「私」は15歳の女子高生だった。
と言っても学校には通った事が無い。私が生まれた時に母親が死んでしまい、引き取った父親が誰もが認めるクズだった。
父は私の世話をほとんどしなかった。食べ物は父の食い散らかした物を漁って食べて服は毎日同じ物や父が着なくなった物を着ていた。

小学校、中学校は何とか通えたが給食費は払わずに汚い私は先生や生徒からも無視され嫌われていた。

そんな私がどうにか生きて来れたのは隣のおばあちゃんちのおかげだ。

父が酒を飲み暴れると隣の垣根に逃げ込んでいた。
そんな時隣のおばあちゃんちで飼っていた犬のロンが私を見つけてくれた。

吠えておばあちゃんに知らせてくれておばあちゃんが私を家に入れてご飯をご馳走してくれたのだ。

それから耐えられなくなるとおばあちゃんちの垣根に隠れた。
するとロンが現れて私を見つけてくれる。

私は隣のおばあちゃんとロンが大好きだった。
おばあちゃんは授業が遅れている私に勉強を教えてくれたり、愛情を教えてくれた。
そのおかげで私は中学校では学校で一番の成績をとることができた。

高校には通わせて貰えないと思っていたが奨学金制度で高校に行ける事になり、制服が来たその日嬉しさのあまり着替えておばあちゃんに見せに行こうと思って外に出ると顔を腫らした父が黒服の男達に肩を組まれながら目の前に立っていた。

嫌な予感に逃げようとすると腕を掴まれる。

「おっと、どこ行くんだ」

男はニタニタと笑いながら私の姿を上から下まで見つめた。

「まぁ痩せてるが見た目はいいな、これなら3年でものになりそうだ」

なんの話しかわからないが絶対にろくな話では無いことはわかった。

「でしょ!  結構いい体してますから今回の件はチャラで」

父は男達にヘラヘラと愛想笑いをしている。

その姿に吐き気を覚えた。

「離して!」

私は男の手を振り払うと急いで逃げ出した。
後ろでは男達や父の声が聞こえてくる。
そんな声を無視して私は一目散に走り出した。

誰か助けて!

私は人いる大通りに出ようと必死だった。人の目に入れば助かる!

そう思ってあと一本道を走りきればと飛び出すと目の前に黒い車が現れた。

ハッとして運転席を見るとあの男達が凄い形相で何か叫んでいた。

私はその言葉を聞く前に車に跳ねられた。
はずなのに、気がつくと先程の場面だった。

あの後、目がさめたがやはり知らない天井に知らない女の人が顔を覗かせている。

「ラーミアおいで」

その人は私を優しく抱き上げると胸に抱いた。

私はどうやら赤ちゃんになっているらしくこの人はお母さんのようだ。

お母さん・・・いたらこんな風にして貰えてたのかな?

私は前世で出来なかった母親に甘えるという行為を体験しながらうっすらと涙を流した。
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