狂犬を手なずけたら溺愛されました

三園 七詩

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27.制裁

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従業員達がほとんど店を後にすると店の前に馬車が止まった。

この忙しい時に誰だと見ると、カートレット侯爵家の紋章が見えた。

私は先程の失態を取り返すべく出迎える為に外に飛び出した。

「これはこれは侯爵様、わざわざお店にまで来て頂きありがとうございます。先程は従業員達に不手際があり申し訳ございませんでした。粗相をした者は先程辞めさせましたので……」

私は辞めていった女性店員達を上手いこと使うことにした。

侯爵様がリリア様やラーミア様の事で来たことは明白、ならば今はいない奴らの失態にさせてしまえばいい。

「辞めさせた?」

侯爵様は低い声でそう呟き店の方をみやる。

「はい、奥様やお嬢様に何か気に触ることでも言ったのでしょう。私は後から合流したので……しかし御安心ください。失礼な者達は既にこの店にはおりません。これからはこの私が奥様とお嬢様の事を担当しますので」

そう言って恭しく頭を下げた。

しかし侯爵様からなんの反応もない。
私は気になりチラッと顔を上げて表情を見ると、侯爵様は凄い冷たい眼差しで私を見下ろしていた。

その顔にゾクッと背筋が寒くなった。

「あっ、あの……」

思わず目をつぶり下を向いた、声が上手く出なくてなんて言おうかと迷っているとゆっくりと声が降ってきた。

「私は、女性だけで対応するようにと頼んでいたはずだが?」

「そ、それは……最初は女性店員だけで対応おしおりました、しかし彼女達だけでは満足して頂けるサービスが提供できないと思い私も手伝おうと……」

「だが貴様は男だ、男は担当しないようにと口を酸っぱく言っておいた」

「き、聞いておりましたが……その一人くらい問題は無いかと、お嬢様も私を見ても泣き出したりはしなかったので……男嫌いは直ったと」

恐る恐る説明すると深いため息が聞こえてきた。

「はぁー……エイベル……と言ったか?」

「は、はい!」

私は名前を呼ばれて慌てて顔をあげた。
するとそこには明らかに憤怒している侯爵様の顔があった。

「お前の今日した行為は侯爵家の命令を蔑ろにした、この事は王宮に報告して厳選なる処分を下して貰う」

侯爵様はそれだけ言うと身を翻して馬車に乗り込んだ。

「へ?命令?報告……処分」

私はサーっと血の気が引いた。

「お待ちください!私は私は奥様達の為に……」

私は馬車に近づいて大声をあげる。
そのまま馬車を止めようと手を伸ばしと、兵士の一人に腕を掴まれた。

それは先程奥様達ときていた兵士だった。

「何が奥様の為にだ、お前は自分の為にあんな事をしたんだろ!お嬢様の男性が苦手と言う情報は事前に知らせておいた、聞いてないとは言わせないぞ!」

「ですが、あなた達も男性だ。あなた達が平気なら私だって平気でしょう?」

「俺達がどんなに気持ちで今のお嬢様と向き合えるようなったと……」

兵士は何か悔しそうな顔をしていた。
そしてそのまま私の腕を振り払うと汚い物でも見るかのように地面に倒れた私を見下ろした。

「これ以上話すことはない、もう二度と会うことはないだろう」

兵士は馬に乗ると馬車の後を追いかけていく。

私はその様子をただ見ているしか出来なかった。
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