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138.アンダーソン家2
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アンダーソンは
はぁ…
深いため息をつく…
「レスター様…大丈夫ですか?」
先程の扉を開けた兵士が心配して声をかけてきた。
「ああ、大丈夫。少し疲れただけだ…君もすまなかったな。悪いがしばらくしたら妻が来ると思う…止めずにそのまま通してくれて構わない」
「…はい」
兵士は頭を下げて部屋の扉を閉めた…その隙間からは疲れたように肩を落としているレスター様の姿が見えた。
しばらくするとレスター様が言った通りレスター様の奥方のマデリン・アンダーソン夫人が眉を釣り上げながらカツカツと足音を立てながら歩いて来た…
後ろからは従者達が怯えながらついてきている…メイドなどは追いつけずに少し遅れながら小走りに走っていた。
兵士は頭を下げて挨拶をする。
「アンダーソン公爵夫人どうされましたか?」
マデリン夫人はジロッと蔑むように睨みつけてくる。しかし兵士は顔色を変えずに見ていると…
「主人に話があります!お通して貰えるかしら…」
兵士は少し迷っていると…
「早くしてくださる?」
イライラとしながら持っていた扇をパシンッと音を立てる。
「申し訳ございません…」
兵士は扉を開いて夫人を入れると…夫人がすれ違い際にボソッっとつぶやく…
「本当に娘が言ったように気の利かない人だわ…」
ジロリと睨みながら中に入ると…椅子に座って仕事をしているレスター様を見るなり
「あなた!一体ジュリアに何を言ったのですか!!」
金切り声をあげる…
「ジュリアがどうかしたのか?」
レスターが聞くと
「先程あの子が泣きながら私の所に来ました!あなたに冷たい態度を取られたと!あなたはあの子が可愛くないんですね!いつもいつもあの子に冷たく当たって!」
隣の部屋にも響きそうな声に顔を顰めると…
「その迷惑そうな顔をやめて!」
さらに逆上させてしまう。
「あの子が間違った事をしたから注意しただけだ…ちゃんとお前はあの子の話を聞いたのか?」
レスターが妻に聞くと
「もちろんです!お茶会について聞きに来たのでしょう?なんであの子の力になってあげてくれないのですか?あんなにジュリアが頑張っているのに…」
「そんなの言える訳ないだろう…国の…王子の婚約者候補を決めるお茶会なんだ、不正などあってはならない」
「不正!?父親が子供の為に少し情報を教えてやる事が不正ですって!?」
マデリンはキツい目を更にキツくあげると
「あなたの息子を第一王子の側近にしたようにジュリアにも何かしてあげて下さい!」
バンッ!
レスターは机に手を叩きつけ立ち上がると
「エリックは自分の実力であの地位を獲得したんだ!私は一切手を貸していない!お前こそエリックの事を自分の子供として扱ってやれ!」
レスターの言葉に嫌そうな顔をすると…
「誰があの女の子など…」
聞こえないようにつぶやき歯ぎしりをする…
「前の奥さんの子供でしょう…もう立派な大人ですもの…私が何か言う事などありませんは…私の子供は今はジュリアだけです…そしてあなたの子でもあるんですからね!」
マデリンはそう言うとバッと踵を返して部屋を出ていった…
レスターはドサッと椅子に座り込むと息を吐きながら天井を見つめた…
はぁ…
深いため息をつく…
「レスター様…大丈夫ですか?」
先程の扉を開けた兵士が心配して声をかけてきた。
「ああ、大丈夫。少し疲れただけだ…君もすまなかったな。悪いがしばらくしたら妻が来ると思う…止めずにそのまま通してくれて構わない」
「…はい」
兵士は頭を下げて部屋の扉を閉めた…その隙間からは疲れたように肩を落としているレスター様の姿が見えた。
しばらくするとレスター様が言った通りレスター様の奥方のマデリン・アンダーソン夫人が眉を釣り上げながらカツカツと足音を立てながら歩いて来た…
後ろからは従者達が怯えながらついてきている…メイドなどは追いつけずに少し遅れながら小走りに走っていた。
兵士は頭を下げて挨拶をする。
「アンダーソン公爵夫人どうされましたか?」
マデリン夫人はジロッと蔑むように睨みつけてくる。しかし兵士は顔色を変えずに見ていると…
「主人に話があります!お通して貰えるかしら…」
兵士は少し迷っていると…
「早くしてくださる?」
イライラとしながら持っていた扇をパシンッと音を立てる。
「申し訳ございません…」
兵士は扉を開いて夫人を入れると…夫人がすれ違い際にボソッっとつぶやく…
「本当に娘が言ったように気の利かない人だわ…」
ジロリと睨みながら中に入ると…椅子に座って仕事をしているレスター様を見るなり
「あなた!一体ジュリアに何を言ったのですか!!」
金切り声をあげる…
「ジュリアがどうかしたのか?」
レスターが聞くと
「先程あの子が泣きながら私の所に来ました!あなたに冷たい態度を取られたと!あなたはあの子が可愛くないんですね!いつもいつもあの子に冷たく当たって!」
隣の部屋にも響きそうな声に顔を顰めると…
「その迷惑そうな顔をやめて!」
さらに逆上させてしまう。
「あの子が間違った事をしたから注意しただけだ…ちゃんとお前はあの子の話を聞いたのか?」
レスターが妻に聞くと
「もちろんです!お茶会について聞きに来たのでしょう?なんであの子の力になってあげてくれないのですか?あんなにジュリアが頑張っているのに…」
「そんなの言える訳ないだろう…国の…王子の婚約者候補を決めるお茶会なんだ、不正などあってはならない」
「不正!?父親が子供の為に少し情報を教えてやる事が不正ですって!?」
マデリンはキツい目を更にキツくあげると
「あなたの息子を第一王子の側近にしたようにジュリアにも何かしてあげて下さい!」
バンッ!
レスターは机に手を叩きつけ立ち上がると
「エリックは自分の実力であの地位を獲得したんだ!私は一切手を貸していない!お前こそエリックの事を自分の子供として扱ってやれ!」
レスターの言葉に嫌そうな顔をすると…
「誰があの女の子など…」
聞こえないようにつぶやき歯ぎしりをする…
「前の奥さんの子供でしょう…もう立派な大人ですもの…私が何か言う事などありませんは…私の子供は今はジュリアだけです…そしてあなたの子でもあるんですからね!」
マデリンはそう言うとバッと踵を返して部屋を出ていった…
レスターはドサッと椅子に座り込むと息を吐きながら天井を見つめた…
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