貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

三園 七詩

文字の大きさ
128 / 318
連載

187.兄

スチュアートさんに先導されながらローズはロイ王子を待つ部屋へと向かうと…

「ローズ様は本日、ロイ様とどのような予定を考えているのですか?」

スチュアートが何気なく聞くと

「えっ?予定ですか?何も考えていませんよ」

「えっ!」

あっさりと答えるローズにスチュアートさんが思わず立ち止まった。

「あ、ああ、もしやロイ王子に合わせるという事でしょうか?」

「いえ、別に何も考えてないだけです。だって一人で予定立てても相手が嫌ならしょうがないし…どうせなら二人共好きな事をしたいですから」

「なるほど…それならロイ様も喜びそうですね。どうも前のご令嬢達には色々と連れ回されお疲れのご様子でしたから」

スチュアートさんが再び歩き出すと

「ロイ王子お疲れなんだ…」

スチュアートさんの言葉に思案しながらボソッと呟いた…

部屋付くと扉を開いて中へと入ると

「では、申し訳ございませんが私が見送れるのはここまでです。後は王宮の警護と王子の近衛兵がお守り致しますので…」

「てことはカイル様も来るんですかね?」

「どうでしょう…」

スチュアートさんは意味深に微笑むと

「ではローズ様ロイ王子をよろしくお願い致します」

「は、はい…」

何をよろしくすればいいのかと戸惑いながらもローズはとりあえず頷いて部屋の奥へと入って行った。

中で待っていると廊下から人が歩いてくる足音がする、ローズは立ち上がり姿勢を整えると扉が開くのを待った。

すると程なくして扉が開き待っていた人物が姿を見せた。

「ローズ」

ロイはローズをみるとぱぁっと顔を輝かせてそばに寄る。

ローズはゆっくりと腰を落とすと

「本日はよろしくお願い致します…ロイ王子」

令嬢らしく頭を下げた。

ロイはローズの手を取ると

「今日は一段と綺麗だ…」

ローズをじっと見つめる…いつもとは違う雰囲気のロイにローズは微笑むと

「そりゃそうですよ!なんたってクレアさんが支度してくれましたから」

自信満々で答えた。

「ぶっ!」

後ろの近衛兵が吹き出した!

「あれ?今日はカイル様じゃないんですね」

ローズがロイ王子の後ろを覗き込んで近衛兵を見つめると

「あ、ああカイルはちょっと都合が悪くてな…」

ロイが気まずそうに説明すると、近衛兵はロイとローズに近づいて姿勢を正した。

「ローズ嬢初めまして、本日ロイ様とローズ嬢の警護を致しますビルと申します」

これまたロイ王子やカイル様に負けず劣らずな見目麗しい兵士が笑って頭を下げた。

「よ、よろしくお願い致します」

思わず頭を下げると

「ビル、離れててくれよ!こんな近くにいなくてもお前なら問題ないだろ」

ロイがきまり悪そうにしながらも親しげに声をかけた。

「はい、はい」

ビルは笑いながら部屋のすみに移動しようとすると…じっと見つめていたローズが声を発した。

「カイル様に似てますね」

ローズの言葉にビルは、ハッと立ち止まって振り返った。

「私の事ですか?」

振り返って笑いながら聞いてくるビルにローズはええと微笑んで頷くと

「もしかしてカイル様にお兄様ですか?」

ビルはふふ…と笑うと

「ええそうです。改めてご挨拶しますね…ビル・ローウェルです。弟のカイルがお世話になっているそうですね。ローズ嬢」

ビルが妖艶に笑いかける。

「いえ、カイル様にはわたしの方こそいつもお世話になってます。とても親切にしてくださって…」

カイルとは違った笑顔に少し戸惑いながらも挨拶を返すと

「へぇ…カイルが女性に親切…ねぇ」

笑いながらローズを見つめるが…その目は笑ってはいなかった。
感想 1,399

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました