貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

三園 七詩

文字の大きさ
147 / 318
連載

206.二人っきり

「さぁロイ王子お茶を飲んでお話しましょう」

ジュリアがロイの前にお茶を置くと

「私がロイ王子の為にお茶を習いましたの…これ私が入れてみました…飲んで頂けますか?」

「ジュリア嬢が?」

ロイは眉を顰めると

「ええ、ローズ様がみんなにお茶を入れてチヤホヤとされてますでしょ?あんな事誰にも出来ますからね」

ジュリアはニコッと笑うと…

「ふーん…」

ロイはカップを掴むと…

「蜂蜜はないかい?少し甘いのが飲みたくて…」

ロイが笑って聞くと

「そのまま飲んで下さらないの…」

ジュリアが不満そうに頬を膨らませると

「君の入れてくれたお茶をそのまま飲むなんて…僕には嬉しすぎて耐えられないよ…」

そっとジュリアの手を掴むと

「わ、わかりましたわ!ねぇロイ王子に蜂蜜を持ってきて差し上げて…」

「いや…君の手から欲しいな」

ロイがジュリアに頼むと

「は、はい…」

ジュリアはぽーっとなりながら蜂蜜を取りに向かった…

ロイはほっとするとおもむろに立ち上がり植木に向かうとお茶を捨てる。

ビクッ!

ジュリアのメイド達が驚いてその行動を見ていると…

「ジュリア嬢に言ってもいいけど信じないと思うよ」

彼女達ににっこりと笑いかけた。

ロイは何事も無いように座っていると…

「お待たせしました」

ジュリアが満面の笑みで蜂蜜を手に戻ってくる。

しかし空になったカップを見ると

「あらロイ王子、お茶は?」

「すみません、あまりのいい香りに我慢出来ずに飲んでしまいました…やはり蜂蜜など必要ないほどに甘かった…」

ロイはジュリアを見つめるとその手をそっと掴んで蜂蜜をテーブルに置く。

ジュリアをそのままソファーに座らせると…

「いや…こんなおもてなしは初めてだよ、ありがとう」

ロイが微笑んでジュリアを見つめる。

「本当ですか?ローズさんより?」

「なぜローズ嬢の名前が?今いるのは君と私だけだよ…出来れば二人きりになれるといいけどね、そうもいかないからな」

ロイが苦笑すると…

「だ、大丈夫です!あなた達!今すぐ部屋から出ていきなさい!」

ローズが部屋にいたメイド達に声をかけると…

「お嬢様…いけません…」

メイドが怯えながらも注意すると

「あなた…名前は?」

唐突に名前を聞きだす。

「す、すみません!今すぐ出ていきます!」

メイド達ジュリアの顔を見ると真っ青になって、サーっと音もなく部屋から出て行った…

ロイは兵士達の顔をちらっとみて頷くと…

コクッ…

兵士達も何も言わずに扉の奥に消えて行った。

「二人きりですね…」

ジュリアがそっとロイに寄りかかろうとすると、ロイがサッと避けながらジュリアに聞く。

「その前に少し話をしよう…君の事を教えて欲しいな」

「私の事ですか?」

「ああ、あの時のダンスをした時のドレスも素敵だったが今日も素敵だね…カーバンクルの毛皮に似てるね…私もあの色は好きなんだ」

「ロイ様もですか!私もです!でもローズさんのせいでカーバンクル狩りが出来なくなってしまいましたからね…」

ジュリアが不満そうに顔をしかめると

「しかし君みたいなか弱い子にカーバンクル狩りは難しくないかい?」

「いえ!それ専用の狩人がいるんですよ」

「へー…そんなのがいるんだ…」

「はい!」

ジュリアはロイの顔色が変わった事にも気づかずにベラベラと話し出した…
感想 1,399

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。