貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

三園 七詩

文字サイズ
小 中 大 特大
186 / 318
連載

247.タウンゼントの秘密

「それで?ローズのお父様まできて大丈夫なのかとはどういう事だ?」

ロイは答えを聞いてないとローズとクリスに詰め寄ると

「い、いえ…ほら私達のタウンゼントの領地が隣国を通る時に必ず使うと言ってたじゃないですか?」

「ああ、ガブリエルさんのだね」

「ええ、私達昔からあそこの森を管理しててまぁよく密猟者や逃亡者が多く来るんですよね」

「本当に…最近は少なくなったけどね」

ローズとクリスが当たり前の様に頷き合っている。

「うん、色々とツッコミたいが今は黙って聞いてることにする…」

ロイは先を促すと

「え?あ、はい。それでまぁ森の巡回は町の人達と朝昼晩交代制で回っているんですよね、ついでに狩りしたり食料集めたり、あーなんか懐かしい…」

ローズが思いにふけると

「姉さん帰ったら僕と行けばいいだろ、それよりも先ですが…まぁ僕達それが日課なので父さんまで王都に来ると大丈夫かなぁ…と」

「今は隣国と手を組んでるので心配は無いと思うが…その後の1ヶ月は持つとは?」

カイルが聞くと

「ああ、僕らの領地って兵士があんまりいないんですよね、その代わり農民は多くて…だから父さんが彼らを鍛えて戦える様にしたんですよ」

「へっ…」

ロイが変な声を出すと

「巡回も農民の方たちと回っているんです。その分賃金も出しますので私達中々貧乏で…」

ははっとローズが笑うと

「あれは父さんがすぐに町の人達と酒飲んだり防具買ったり防壁作ったりするからだろ!しかも父さん面倒だからって王都に何も報告しないし!だから僕が書記官になって報告書を書いてかかった費用の請求するんだ!」

クリスが興奮すると…

「なんと…あいついつも大丈夫、大丈夫、としか言わないから…」

レイン国王が頭を抱える。

「クリスくん…後でその書類をレスターに渡しておきなさい。確認してすぐに予算を組み直すから…」

「ほ、本当ですか!?ありがとうございます!」

「良かった~これでみんなに怒られなくて済みそうだね!」

クリスが嬉しそうにローズを見ると

「誰に怒られるんだ?」

ロイが聞く。

「え…あ、いや。の、農民のおばちゃん達に…」

「領主の子供が農民のおばちゃんに怒られるのか?」

カイルが驚くと

「いえ、皆さん私達の事を思ってです。いつまでも貧乏な暮らしをしてるのを嘆いてくれて…もっといい暮らしをしろって、育てた野菜やらをいつももらってますしどうにか暮らして行けてますからこのままでもいいんですけどね」

「な、なるほど…で?彼らがいるから隣国からの侵入は大丈夫だと?」

「はい、あの人達本当に強いですから…僕だってたまに負けますしね」

「そうね、私も1対1なら勝てるけど…陣形取られたら自信ないわ」

「何その農民…怖すぎるんだが…」

聞いてた兵士達が汗をかく…

「普段から畑耕したり狩りに出たりしてますからね、しかも父がたまに稽古つけますし」

「その…ローズのお父様だけど…ローズは勝ったことは?」

ロイとカイルが恐る恐る伺うように聞くと

「一度もないです。スチュアートさんといい勝負かと…思います…」

ローズが申し訳無さそうにスチュアートを見ると

「いえいえ、ローズ様のお父様には敵いませんよ」

スチュアートさんの答えにひっかかりを感じる。

「あれ?もしかして知ってるんですか父の事?」

「何度かお見かけした事がございます。タウンゼントの領地に行かれてからはお会いした事はございませんが…」

「なんでそんな人がそんな辺境な地に行ったんだ?しかもそんな人なら名前を知っていそうだがな…タウンゼント…んー?やっぱり聞いた事ないよな?」

ロイとカイルが首を捻る。

「あっ父はタウンゼント家に婿に入ったそうですよ、確か…その前は…」

ローズがなんだっけと頭をトントン叩いていると

「姉さん、ウィルモットだよ」

「そうそうウィルモット家!もう勘当同然に母と逃げるようにタウンゼントに来たとか言ってましたけど…」

「まぁチャートさんそんな風に子供達に話してるのね」

女性の声で父の名を呼ばれ振り返るとそこにはにっこりと笑う王妃様が苦笑いするレイン陛下の隣に立っていた。

感想 1,399

あなたにおすすめの小説

息子が誕生日に愛人をママに、と願うので、わたくしは他人のママになります 表紙

息子が誕生日に愛人をママに、と願うので、わたくしは他人のママになります

六年間、息子のためにすべてを捧げてきた公爵夫人は、その瞬間、ようやく気づいた。 この家で、自分は妻でも母でもなかったのだと。 ならば、もういい。 わたくしは今日限り、この家の妻でも、あの子の母でもなくなりましょう。 そして今度こそ、わたくしを必要としてくれる人たちのために生きるのだ。 愛されることを諦めた公爵夫人が、離婚を機に本来の才能と自分の人生を取り戻し、やがて隣国の王弟から深く愛される一方、彼女を捨てた夫と息子、愛人が自らの選択の代償を知る物語です。
恋愛 完結 長編
文字数 268,736
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~ 表紙

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。
恋愛 完結 ショートショート
文字数 9,943
【完結】私の出産日に初恋の人を選んだ夫、あなたを彼女に返品します 表紙

【完結】私の出産日に初恋の人を選んだ夫、あなたを彼女に返品します

「子供っぽい嫉妬はやめろ」私が命懸けで出産した日、夫のヴィンセント侯爵は初恋の人の所へ行ってしまった。理由を説明して欲しいと言うと、子供っぽい嫉妬をやめろと厳しい声で言われてしまう。しかも初恋の相手がいきなりやってきて「侯爵様は昔から私を命懸けで助けてくれるんです」と悪びれもせずに言い放った。妻よりも初恋相手を優先する夫は必要ないので私は夫を初恋相手へ返品した。すると生まれてから一度も人に頭を下げたことのないヴィンセントが、ボロボロになって私に頭を下げてきて⋯⋯。
恋愛 連載中 長編
文字数 94,149
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ? 表紙

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
恋愛 完結 長編
文字数 146,033
子どものころから嫌いだった幼馴染は、私と結婚するつもりだったらしい 表紙

子どものころから嫌いだった幼馴染は、私と結婚するつもりだったらしい

幼いころからアレクシスのそばにいるたび、リディアは周囲の令嬢たちから嫌がらせを受けてきた。何度も「嫌い」「離れたい」と訴えても、両親はそれを子どもの意地や照れだと思い、本気にしなかった。 十五歳で外国の高等学院へ留学したリディアは、魔道具職人として自立する道を見つける。そして十七歳の成人を迎えた日、彼女は伯爵家から離籍し、二度と故郷へ戻らないと決めた。 一方そのころ、アレクシスはリディアと結婚するつもりでいたことを明かす。けれどリディアは、そんな未来を一度も望んでいなかった。 これは、誰にも届かなかった「嫌だ」を抱えていた少女が、自分の人生を自分で選び取るまでの話。
恋愛 完結 短編
文字数 19,971
初夜のあとに愛する人がいると言われたので祝福で身体の時間を一日戻しました 表紙

初夜のあとに愛する人がいると言われたので祝福で身体の時間を一日戻しました

夫婦となって初めて迎えた夜、セレンティアは夫リオールから「俺には、愛する人がいる」と告げられる。 彼が初夜を済ませた理由は、三年後に白い結婚として婚姻無効を申し立てられないようにするためだった。 けれどリオールは知らなかった。セレンティアの祝福《一日回帰》が、自分自身の身体にも使えることを。 セレンティアは自分の身体の時間を一日前へ戻し、三年間、侯爵家の妻として務めを果たすことを決める。 夫に愛されるためではない。三年後、白い結婚としてこの家を出ていくために。
恋愛 完結 短編
文字数 12,593
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。 表紙

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
恋愛 完結 長編
文字数 77,634
我慢なんてしていませんわ。だって、面倒でしょう? 表紙

我慢なんてしていませんわ。だって、面倒でしょう?

「クロエに子供ができた。準備が整い次第、離れで暮らすことになるからそのつもりでいてくれ」 普段ほとんど屋敷にいない夫が前触れもなく告げてきた言葉をきっかけに、レティシアは“三年間”の契約を終わらせることにした。 赤の他人を屋敷に迎えることはしない。 不要なものに感情を砕く理由などない。 「だって、面倒でしょう?」 不誠実な夫も、無意味な結婚も、 この際すべて切り捨ててしまいましょう。
恋愛 完結 短編
文字数 4,095