乙女ゲームの世界．．．？

幼少期編

1

温かくて柔らかな何かに包まれ俺はフワフワと浮いていた。そして近くに何か動く存在がいる。誰なのか分からないがそれが常に近くに居ることに安心感を覚えこれからもずっとずっと一緒にここに居たいな．．とか考えていた。


そしたら俺の相方が何処かへ吸い寄せられるように動いているではないか。離れ離れになるのはとても嫌だ。でもここに居たい。相反する思考にオロオロしていると俺も急に相方と同じ方向へと押し出されてしまった。 


(何これ！！痛い痛い！狭い！)


とか思っていたら相方が居なくなっていた。悲しくて悲しくて。ここはとても居心地が良いけれどやはり相方と一緒に居たい。きっとあの相方は俺にとって唯一無二の大切な存在だから。相方が居なくなった方へ進んでいく。俺も追いつかなくては。

道のりは厳しかった。滅茶苦茶時間がかかったけどおそらく出口？に頭を突っ込んでいる。色々痛いけれど気合いで頑張る。

そしてようやく出られた。するといきなり空気？が気管に入ってきて吃驚すると大きな声がでた。

「．．おぎゃあ！！おギャァァ！」

(ぐるじいよぉ！！ヴッ！相方はどこだーっ！！)

前もそうだったが目は開かない。しかし相方が近くにいる気配がして一安心する。ほっとするがまた吃驚する。

(おぎゃぁって！赤ちゃんの声が！自分から聞こえる！えっえっ！どういうこと！自分の声よな？)

(これは．．．転生？転生したんじゃないか？前世の記憶を持ったまま新しく生まれたんだ！きっと。)

前世では特にライトノベルやゲームをする趣味が無かった俺だが輪廻転生の考え方があることはしっていた。生きていた頃にも前世の頃の記憶を持ったまま生まれてきた子どもが居たことをニュースで見たことあるので、俺も同じなんだ！と意外とすんなり納得しながら取り敢えず襲ってくる眠気に身を任せた。


．．．．．．．．．．．．．．．．．．



「奥様！なんて可愛らしい双子なんでしょう！旦那様にそっくりなお子と奥様にそっくりなお子ですわ！」

私に仕える侍女が興奮した様子で話しかけてくる。

今しがた迎えた2度目の出産は双子であることもあり時間がとてもかかった。
特に２人目が時間がかかりかなりの苦痛が与えられたがいざ対面すると元気な産声に自然と頬が緩み愛しさで溢れた。

どうしても休むことができないと苦虫を噛み潰したような顔で職場へ向かった旦那に早く我が子を見せてあげたい。そして今は学園の寮に住む我が家の長男にも。


スヤスヤ眠すぎる２人の子どもを見つめる。  １人は漆黒の黒髪で旦那様似。もう１人は艶やかなプラチナブロンドで私似。 ２人がこれから幸せになる未来を想像しながら眠りに落ちた。