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第1章|黒いログが残った
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境界の空は、いつも薄い。
雲があるわけでもなく、晴れているわけでもない。
灰色の膜が世界を包み込み、光だけが“許可された分”だけ落ちてくる。
瓦礫の地平線の向こうに、旧都市の骨格が見える。
崩れた高層棟、半分だけ残った橋脚、ねじ曲がった道路標識。
そこにはかつての生活の名残が、土と煤の層に埋もれながら残っていた。
――それでも、人は生きている。
「……風、止まってるな」
先頭を歩くユウが、低く呟いた。
足元の砂埃が舞わない。音もない。
耳に入るのは、装備の擦れる微かな音と、自分の呼吸だけだった。
ユウの背中には、回収者の多機能ツールを詰めたバッグがある。
軽装に見えるが、必要なものだけを残した結果の“軽さ”だ。
生き残るための軽さ。拾うための軽さ。
「嫌な空気です」
少し後ろ、シオンが答える。
彼の声は、冷えた金属のように静かだった。
観測監査官――。
それは本来、境界に立つべき役職ではない。
だが彼は、境界に立ってしまった。
救うと決めた瞬間に、選別してしまう矛盾を抱えながら。
「境界の静けさって、だいたい二択だよね」
三人の列の真ん中、アルトが手元端末を軽く叩く。
視線は瓦礫に向けたまま、淡々と続けた。
「敵がいないか、敵が“見えてない”か」
それは冗談の形をした、経験則だった。
――見えてない、が一番怖い。
ユウが前を向いたまま、肩だけで笑う。
「じゃあ今日は後者だな」
その言葉が終わるより早く、ノイズが走った。
「……ッ」
アルトの端末が、一瞬だけ黒く滲んだ。
映像が崩れ、数字がひしゃげ、画面の端が“裂ける”ように乱れる。
だが次の瞬間には、何事もなかったように戻る。
「今の……」
シオンが足を止める。
ユウも止まらない。止まること自体が危険だからだ。
アルトは眉を寄せて端末を見直す。
ログには、記録が残っていない。
「……通信ノイズ。範囲外の干渉かな」
口ではそう言った。
だが彼の目は、そう信じていない。
この世界でノイズは、“ただのノイズ”ではない。
管理機構《GENESIS》の監視網は、まだ生きている。
崩壊後の世界を再建したのは、人間ではなく管理だった。
人が立ち直るより先に、数字が立ち直った。
評価値(スコア)。
登録。配給。治安。未来予測。
それらは境界の外にも、薄く伸びている。
いつでも回収できるように。
いつでも削除できるように。
だから、ノイズは怖い。
「……やっぱり後者っぽいな」
アルトは小さく息を吐いた。
その時――。
「足音」
ユウの一言で、全員の神経が切り替わる。
遠い。
瓦礫の谷の向こう、崩れた高速道路の下。
規則正しい金属音が、こちらに向かって増えていく。
「人間じゃない。……ドローン系」
シオンが視線を上げる。
ユウは、振り返らずに言った。
「救助対象の位置、確認できるか」
アルトが端末を操作する。
本来なら“確認できない”情報だ。境界の外側の命は、登録されない。
救助されるはずの人間は、数字には載らない。
だから、彼らは拾う。
「……座標、出た。旧医療区画。瓦礫の奥」
アルトが指差す先に、崩れた病院の壁が見える。
看板は半分消え、文字は読めない。
だが建物だけは残っていた。
「中にいるのは――二名。心拍、弱い。……ギリだな」
シオンが頷く。
「間に合う。行きましょう」
その瞬間、ユウが足を止めた。
「……来る」
空気が変わった。
砂埃が舞っていないのに、視界の端が揺れる。
音がないのに、耳の奥がざらつく。
――何かが、世界に“引っかかっている”。
アルトは端末を握り直す。
シオンは喉の奥で息を飲む。
三人の背後で、金属音がさらに近づいた。
監視ドローンの群れ。回収の足音。
「やるしかない」
ユウが短く言う。
この瞬間、彼らは分かっている。
これはただの救助ではない。
これは“追跡される戦い”の始まりだ。
そして――。
まだ誰も口にしない。
この世界の差分が、近づいていることを。
旧医療区画の入口は、半分だけ生きていた。
崩れた外壁の隙間から、内部へ続く暗い通路が見える。
シオンが先に滑り込む。
足音を殺し、壁に指先を当てる。崩落の兆候を確かめる癖がついていた。
「……中は生きてる。空洞が残ってる」
ユウが続く。
その動きは無駄がない。
歩くというより、瓦礫の間の“正しい点”を踏んで進んでいる。
アルトは最後に入った。
振り返り、外の光を一瞬だけ見てから――
入口の影に戻った。
「来る。……早い」
端末の音声解析が、金属の足音の増加を示していた。
監視ドローンの群れは、視線で探すタイプじゃない。
熱、動き、微細な電磁変化。
生き物の“痕跡”を集めて確率で刺してくる。
だから、隠れるだけじゃ逃げ切れない。
「ユウ。救助対象までのルート、最短は?」
アルトが問い、ユウは迷いなく指を差した。
「ここを抜けて、落ちた階段を使う。二階の崩れが穴になってる。
真っ直ぐ行くと、壁が死んでる」
「了解」
シオンが頷き、三人は走る。
通路は狭い。
左右に倒れた医療機器、崩れた棚、粉になった書類。
それらが、靴裏で潰れて音を立てる。
だが、音を抑える余裕はない。
早くしなければ――
救助対象が死ぬ。
「……シオン。心拍の波形、もう一回」
アルトが端末を見ながら言う。
シオンは横目で確認し、静かに告げた。
「一人は、もう落ちかけてる。たぶん出血。
もう一人は……息が薄い。低体温かもしれない」
「くそ……」
アルトの声は震えていた。
管理側の人間だった頃は、ここまで“個の死”に反応しなかった。
数字になっていない命は、判断の対象にならない。
そういう世界で生きてきたからだ。
だけど今、アルトはここにいる。
数字の外側で、生存を残すために。
――その時。
「止まれ」
ユウが片手を上げた。
三人の足が同時に止まる。
呼吸も止める。
耳に入ってきたのは、外の“金属音”ではない。
内部にいる。
もっと近い。
同じ金属――だが、軽い。
「内部ドローン…?」
アルトが小さく呟く。
「旧病院の残骸だ。医療用の自律機だろ」
ユウが低く答えた。
医療用ドローンは本来、治療と救助のために作られていた。
だが崩壊後、電源と命令を失い、ただ“動くもの”になった。
安全装置が壊れれば、それは救助ではなく害になる。
シオンが壁の影から覗く。
暗闇の先。
天井の梁にぶら下がるように、白い筐体が揺れていた。
ライトが死んでいる。
だが、目のようなセンサーだけが赤く点滅している。
「……動くものを検知してる」
アルトが囁く。
救助対象へ行くには、そこを通らなければならない。
「斬るか?」
ユウが言い、ブレードを握る。
「音が出る。外の監視に拾われる可能性が上がる」
シオンが冷静に返した。
一瞬、沈黙。
そしてユウは、最短の答えを選んだ。
「じゃあ――拾うか」
アルトが目を細める。
「拾うって、何を……」
「壊れてるなら、壊れてるままじゃ邪魔だ。
使える形にする」
ユウはそう言って、足元の瓦礫を指で弾いた。
小さな金属片。医療器具の破片。
そして、崩れた棚から転がり出た古いパック――
乾いた医療用カートリッジ。
「……これ、まだ残ってたのか」
ユウが手に取る。
その瞬間だった。
空気が、裂ける。
“拾う”という行為が、ただの動作じゃなくなる。
ユウの指先が触れたカートリッジが、
まるで最初からそこにあったかのように“正しい状態”で掌に収まった。
おかしい。
この病院は何十年も放置されている。
まともな医療カートリッジが残っているはずがない。
残っていたとしても、使えるはずがない。
なのに――
「……動いた」
シオンが息を飲む。
医療ドローンが、ユウの手元に反応した。
赤いセンサーが揺らぎ、
筐体がわずかに下を向く。
まるで――
“命令を待っている”みたいに。
ユウは思考しない。
考えた瞬間に、手が遅れる。
だから彼は、動く。
カートリッジを投げる。
壁の向こうへ。
――カンッ。
乾いた音。
医療ドローンが、音へ吸い寄せられるように旋回した。
そして赤いセンサーが“獲物”を追う。
「今だ」
三人は走った。
通路を抜け、崩れた階段へ。
足元の段差が半分壊れている。
ユウが先に飛び降りる。
シオンが続く。
アルトが最後――
その瞬間、外で爆ぜる音がした。
「ッ!」
監視ドローンが、入口を見つけた。
遅い。
侵入がバレた。
アルトの端末が、また黒く滲む。
数字が歪む。ログが裂ける。
――今度は、ただのノイズじゃない。
「……アルト、来るぞ!」
ユウが叫ぶ。
アルトは歯を食いしばり、端末を抱え込んだ。
“視線”が来る。
監視の計算が、ここに刺さる。
その瞬間、アルトの頭の奥で、何かが折れた。
正しさが成立する前に――
正しさそのものが崩れる。
アルトの喉が震え、短く言葉が漏れる。
「……Δ:評価崩壊(ゼロ・ジャッジ)」
叫びではない。
宣言でもない。
ただ、“現象を呼ぶ”みたいな言い方だった。
次の瞬間。
監視ドローンの照準が、止まった。
止まったのではない。
“当てる判断に至れなくなった”。
数値が飛ぶ。
再演算が暴走する。
監視網が、無限ループに落ちる。
……だが同時に。
アルトの視界も滲んだ。
「……っ、やばい……」
足元が揺れる。
何が正しいかが分からない。
右か左かすら確信できない。
「アルト!」
シオンが腕を掴んだ。
その瞬間、また世界が歪む。
今度は“守る未来”が勝手に成立した。
シオンの胸の奥が冷える。
自分の意思じゃない。
だが確かに、線が引かれる感覚があった。
「……Δ:希望収束(セイヴ・ライン)」
短い声。
次の瞬間、天井が崩れた。
――いや、崩れるはずだった。
落ちてくる瓦礫が、ほんの数十センチだけ軌道を変えた。
アルトの頭上を外して落ちる。
二人の間に壁ができるように砕ける。
“助かる未来”だけが残った。
だがシオンは知っている。
救える未来が残ったということは――
救えない未来も、同時に確定したということだ。
胸の奥に、ひどく重い何かが落ちる。
「……行くぞ」
ユウが前を向く。
三人は走った。
崩れた二階の穴を抜ける。
救助対象は、すぐそこだ。
そして――
その背後には、世界の裂け目が確かに追ってきていた。
救助対象は、そこにいた。
崩れた病室。
壁の半分が落ちて天井の配管がむき出しになり、
白いベッドだけが奇跡みたいに形を残していた。
その脇に、二人。
一人は大人の男。
腹を押さえてうずくまり、血が指の隙間から黒く滲んでいる。
もう一人は、十代に見える少年。
肩で浅く息をして、身体は冷え切っていた。
「……生きてる」
シオンが言った瞬間、
アルトが端末を握り直して近づく。
「心拍、まだある……でも限界だ。救助キット――」
ユウが黙ってバッグを開ける。
だが、そこにあるべき応急処置パックが見当たらない。
「……ない?」
アルトの声が硬くなる。
ユウは答えない。
代わりに、ほんの一瞬だけ視線を落とした。
足元の瓦礫。
崩れた棚の影。
使い物にならないはずの場所。
――そこに、見慣れた形が“ある”。
救助パック。
新品ではない。
砂と煤で汚れ、角が潰れ、外装も剥げている。
だが、封が切られていない。
使える。
ユウは何も言わず、それを拾った。
アルトの眉が動く。
「……なにそれ。さっきなかったよな」
ユウは肩で息をしながら、短く返した。
「拾った」
「拾ったって……」
説明する時間はない。
シオンが少年の首元に指を当てる。
脈は弱い。
だが、まだそこにある。
「止血と保温を同時に。急いで」
ユウが男に止血剤を当て、
アルトが包帯を引き、
シオンが少年に保温パックを押し当てる。
三人の手が噛み合う。
誰も指示していないのに、
“救える手順”だけが自然に成立していた。
――怖いほどに。
その時、外が震えた。
ズン、と空気の底が鳴る。
金属音が、入口から病室へ向かって一直線に近づいてくる。
「……追いつかれる」
アルトが端末を見る。
監視ドローンは再演算ループから復帰しつつあった。
システム側が“再同期”を開始している。
GENESISは賢い。
世界の正しさは、すぐに戻ってくる。
「時間、ない」
シオンの声は冷たい。
冷たいほど、焦りを抑え込んでいる。
ユウは救助対象二人を確認し、
すぐに背中のストラップを外して持ち上げた。
「運ぶ」
男は意識が薄い。
少年はほぼ無反応。
この二人を運びながら逃げるには、
戦う余裕などない。
「ユウ、出口は?」
アルトが問う。
ユウは迷わず言った。
「……ない」
その一言が、病室の温度を下げた。
「は?」
アルトが息を飲む。
「入口から来る。戻れば挟まれる。
上は崩落で塞がった。
横は壁が死んでる」
出口がない。
逃げ場がない。
境界で一番最悪の形だ。
シオンが、喉を鳴らすように息を吐いた。
「救える未来が……」
彼の目が揺れる。
無数の未来が分岐して、そのほとんどが折れていく感覚。
救助対象を連れて逃げる未来が、見えなくなる。
――救えない未来が確定する。
それが、恐怖だった。
「……」
ユウは黙って瓦礫を見た。
壁ではない。天井でもない。
床。
瓦礫の下に、黒く裂けた隙間がある。
その先は暗い。
だが、微かに風が通っている。
「……ここだ」
ユウが言った瞬間、アルトが首を振る。
「通路じゃない。崩落の穴だ。
そんなとこ、下に何があるか――」
ユウは答えない。
答えられないからだ。
彼は拾う。
拾えるなら拾う。
それしかできない。
世界の差分が“来る”感覚が、また背中を撫でた。
空気が裂ける。
音が歪む。
目の焦点が一瞬だけ合わなくなる。
ユウは息を吸い、
短く言った。
「……Δ:拾遺干渉(リクレイム)」
叫ばない。
ただ、名前を落とすだけ。
次の瞬間――
瓦礫が、崩れた。
崩れたのに、落ち方が“都合よく”変わった。
床の隙間は広がり、
人一人が通れる穴になり、
下へ続く梯子が“たまたま”見える位置に現れた。
あり得ない。
梯子があるはずがない。
だが、そこには確かに鉄の梯子が固定されている。
まるで昔からそこが避難用の抜け道だったかのように。
「……嘘だろ」
アルトの声が掠れた。
監視ドローンの光が、病室に差し込む。
赤いレーザーの点が床を舐める。
回収命令の視線が、ここを刺す。
「降りる!」
シオンが叫ぶ。
ユウが先に穴へ滑り込み、
救助対象の男を背負ったまま梯子を降りる。
シオンが少年を抱え、続く。
アルトが最後に降りようとした瞬間――
上から金属の影が落ちてきた。
監視ドローン。
直接侵入。
「アルト!」
シオンの声が響く。
アルトが振り返った。
その視界に、ドローンの銃口。
照準。
確定した死。
アルトの思考が凍るより早く、
シオンの喉が勝手に言葉を吐いた。
「……Δ:希望収束(セイヴ・ライン)」
次の瞬間、銃弾が逸れた。
逸れたのではない。
救える未来が残ったからだ。
銃弾はアルトの肩をかすめ、
背後の壁を撃ち抜いた。
壁が崩れ、
崩れた破片が監視ドローンの脚部を叩く。
ドローンの姿勢が一瞬だけ乱れる。
その“ほんの一瞬”で、アルトは穴に落ちた。
三人は暗い通路を走った。
息が詰まる。
肺が焼ける。
救助対象の重さが、現実の重さとして身体に乗る。
それでも走る。
走るしかない。
背後で、監視ドローンの光が揺れた。
照準が追ってくる。
だが、追いつけない。
ユウが拾った逃げ道が繋がっている。
シオンが救える未来へ収束させ続けている。
アルトの評価崩壊が、追跡の判断を遅らせている。
三つが噛み合っている。
だから――逃げられる。
だが。
通路を抜けた瞬間、
外の空気が冷たく刺さった。
瓦礫の谷の下。
廃棄された地下道路。
そこに出た。
そして、上空。
黒い点がいくつも旋回している。
監視網の目は、もう戻っている。
アルトが端末を見て、声を失った。
画面のログ欄に、見たことのない記録が残っている。
通常、Δのような現象は“記録できない”。
定義できないものは、ログに残らない。
なのに。
そこには、こう表示されていた。
――【UNDEFINED EVENT DETECTED】
――【FRAME GAP:0.12sec】
――【BLACK NOISE OUTPUT】
――【CORRELATED SUBJECTS:3】
――【PHENOMENON NAME:Δ(DELTA)】
アルトの指が震える。
「……残った……」
シオンが息を止める。
ユウは何も言わなかった。
言えることがない。
彼らは助けた。
救助対象はまだ生きている。
だが代わりに――
世界に、証拠を残してしまった。
管理が、定義してしまった。
この瞬間から、
彼らは“拾う側”ではなく、
“回収される側”になった。
そしてどこかで。
管理の中心で。
誰かが、このログを見て笑う。
――見つけた。
次の命令は、きっとひとつだ。
回収しろ。
雲があるわけでもなく、晴れているわけでもない。
灰色の膜が世界を包み込み、光だけが“許可された分”だけ落ちてくる。
瓦礫の地平線の向こうに、旧都市の骨格が見える。
崩れた高層棟、半分だけ残った橋脚、ねじ曲がった道路標識。
そこにはかつての生活の名残が、土と煤の層に埋もれながら残っていた。
――それでも、人は生きている。
「……風、止まってるな」
先頭を歩くユウが、低く呟いた。
足元の砂埃が舞わない。音もない。
耳に入るのは、装備の擦れる微かな音と、自分の呼吸だけだった。
ユウの背中には、回収者の多機能ツールを詰めたバッグがある。
軽装に見えるが、必要なものだけを残した結果の“軽さ”だ。
生き残るための軽さ。拾うための軽さ。
「嫌な空気です」
少し後ろ、シオンが答える。
彼の声は、冷えた金属のように静かだった。
観測監査官――。
それは本来、境界に立つべき役職ではない。
だが彼は、境界に立ってしまった。
救うと決めた瞬間に、選別してしまう矛盾を抱えながら。
「境界の静けさって、だいたい二択だよね」
三人の列の真ん中、アルトが手元端末を軽く叩く。
視線は瓦礫に向けたまま、淡々と続けた。
「敵がいないか、敵が“見えてない”か」
それは冗談の形をした、経験則だった。
――見えてない、が一番怖い。
ユウが前を向いたまま、肩だけで笑う。
「じゃあ今日は後者だな」
その言葉が終わるより早く、ノイズが走った。
「……ッ」
アルトの端末が、一瞬だけ黒く滲んだ。
映像が崩れ、数字がひしゃげ、画面の端が“裂ける”ように乱れる。
だが次の瞬間には、何事もなかったように戻る。
「今の……」
シオンが足を止める。
ユウも止まらない。止まること自体が危険だからだ。
アルトは眉を寄せて端末を見直す。
ログには、記録が残っていない。
「……通信ノイズ。範囲外の干渉かな」
口ではそう言った。
だが彼の目は、そう信じていない。
この世界でノイズは、“ただのノイズ”ではない。
管理機構《GENESIS》の監視網は、まだ生きている。
崩壊後の世界を再建したのは、人間ではなく管理だった。
人が立ち直るより先に、数字が立ち直った。
評価値(スコア)。
登録。配給。治安。未来予測。
それらは境界の外にも、薄く伸びている。
いつでも回収できるように。
いつでも削除できるように。
だから、ノイズは怖い。
「……やっぱり後者っぽいな」
アルトは小さく息を吐いた。
その時――。
「足音」
ユウの一言で、全員の神経が切り替わる。
遠い。
瓦礫の谷の向こう、崩れた高速道路の下。
規則正しい金属音が、こちらに向かって増えていく。
「人間じゃない。……ドローン系」
シオンが視線を上げる。
ユウは、振り返らずに言った。
「救助対象の位置、確認できるか」
アルトが端末を操作する。
本来なら“確認できない”情報だ。境界の外側の命は、登録されない。
救助されるはずの人間は、数字には載らない。
だから、彼らは拾う。
「……座標、出た。旧医療区画。瓦礫の奥」
アルトが指差す先に、崩れた病院の壁が見える。
看板は半分消え、文字は読めない。
だが建物だけは残っていた。
「中にいるのは――二名。心拍、弱い。……ギリだな」
シオンが頷く。
「間に合う。行きましょう」
その瞬間、ユウが足を止めた。
「……来る」
空気が変わった。
砂埃が舞っていないのに、視界の端が揺れる。
音がないのに、耳の奥がざらつく。
――何かが、世界に“引っかかっている”。
アルトは端末を握り直す。
シオンは喉の奥で息を飲む。
三人の背後で、金属音がさらに近づいた。
監視ドローンの群れ。回収の足音。
「やるしかない」
ユウが短く言う。
この瞬間、彼らは分かっている。
これはただの救助ではない。
これは“追跡される戦い”の始まりだ。
そして――。
まだ誰も口にしない。
この世界の差分が、近づいていることを。
旧医療区画の入口は、半分だけ生きていた。
崩れた外壁の隙間から、内部へ続く暗い通路が見える。
シオンが先に滑り込む。
足音を殺し、壁に指先を当てる。崩落の兆候を確かめる癖がついていた。
「……中は生きてる。空洞が残ってる」
ユウが続く。
その動きは無駄がない。
歩くというより、瓦礫の間の“正しい点”を踏んで進んでいる。
アルトは最後に入った。
振り返り、外の光を一瞬だけ見てから――
入口の影に戻った。
「来る。……早い」
端末の音声解析が、金属の足音の増加を示していた。
監視ドローンの群れは、視線で探すタイプじゃない。
熱、動き、微細な電磁変化。
生き物の“痕跡”を集めて確率で刺してくる。
だから、隠れるだけじゃ逃げ切れない。
「ユウ。救助対象までのルート、最短は?」
アルトが問い、ユウは迷いなく指を差した。
「ここを抜けて、落ちた階段を使う。二階の崩れが穴になってる。
真っ直ぐ行くと、壁が死んでる」
「了解」
シオンが頷き、三人は走る。
通路は狭い。
左右に倒れた医療機器、崩れた棚、粉になった書類。
それらが、靴裏で潰れて音を立てる。
だが、音を抑える余裕はない。
早くしなければ――
救助対象が死ぬ。
「……シオン。心拍の波形、もう一回」
アルトが端末を見ながら言う。
シオンは横目で確認し、静かに告げた。
「一人は、もう落ちかけてる。たぶん出血。
もう一人は……息が薄い。低体温かもしれない」
「くそ……」
アルトの声は震えていた。
管理側の人間だった頃は、ここまで“個の死”に反応しなかった。
数字になっていない命は、判断の対象にならない。
そういう世界で生きてきたからだ。
だけど今、アルトはここにいる。
数字の外側で、生存を残すために。
――その時。
「止まれ」
ユウが片手を上げた。
三人の足が同時に止まる。
呼吸も止める。
耳に入ってきたのは、外の“金属音”ではない。
内部にいる。
もっと近い。
同じ金属――だが、軽い。
「内部ドローン…?」
アルトが小さく呟く。
「旧病院の残骸だ。医療用の自律機だろ」
ユウが低く答えた。
医療用ドローンは本来、治療と救助のために作られていた。
だが崩壊後、電源と命令を失い、ただ“動くもの”になった。
安全装置が壊れれば、それは救助ではなく害になる。
シオンが壁の影から覗く。
暗闇の先。
天井の梁にぶら下がるように、白い筐体が揺れていた。
ライトが死んでいる。
だが、目のようなセンサーだけが赤く点滅している。
「……動くものを検知してる」
アルトが囁く。
救助対象へ行くには、そこを通らなければならない。
「斬るか?」
ユウが言い、ブレードを握る。
「音が出る。外の監視に拾われる可能性が上がる」
シオンが冷静に返した。
一瞬、沈黙。
そしてユウは、最短の答えを選んだ。
「じゃあ――拾うか」
アルトが目を細める。
「拾うって、何を……」
「壊れてるなら、壊れてるままじゃ邪魔だ。
使える形にする」
ユウはそう言って、足元の瓦礫を指で弾いた。
小さな金属片。医療器具の破片。
そして、崩れた棚から転がり出た古いパック――
乾いた医療用カートリッジ。
「……これ、まだ残ってたのか」
ユウが手に取る。
その瞬間だった。
空気が、裂ける。
“拾う”という行為が、ただの動作じゃなくなる。
ユウの指先が触れたカートリッジが、
まるで最初からそこにあったかのように“正しい状態”で掌に収まった。
おかしい。
この病院は何十年も放置されている。
まともな医療カートリッジが残っているはずがない。
残っていたとしても、使えるはずがない。
なのに――
「……動いた」
シオンが息を飲む。
医療ドローンが、ユウの手元に反応した。
赤いセンサーが揺らぎ、
筐体がわずかに下を向く。
まるで――
“命令を待っている”みたいに。
ユウは思考しない。
考えた瞬間に、手が遅れる。
だから彼は、動く。
カートリッジを投げる。
壁の向こうへ。
――カンッ。
乾いた音。
医療ドローンが、音へ吸い寄せられるように旋回した。
そして赤いセンサーが“獲物”を追う。
「今だ」
三人は走った。
通路を抜け、崩れた階段へ。
足元の段差が半分壊れている。
ユウが先に飛び降りる。
シオンが続く。
アルトが最後――
その瞬間、外で爆ぜる音がした。
「ッ!」
監視ドローンが、入口を見つけた。
遅い。
侵入がバレた。
アルトの端末が、また黒く滲む。
数字が歪む。ログが裂ける。
――今度は、ただのノイズじゃない。
「……アルト、来るぞ!」
ユウが叫ぶ。
アルトは歯を食いしばり、端末を抱え込んだ。
“視線”が来る。
監視の計算が、ここに刺さる。
その瞬間、アルトの頭の奥で、何かが折れた。
正しさが成立する前に――
正しさそのものが崩れる。
アルトの喉が震え、短く言葉が漏れる。
「……Δ:評価崩壊(ゼロ・ジャッジ)」
叫びではない。
宣言でもない。
ただ、“現象を呼ぶ”みたいな言い方だった。
次の瞬間。
監視ドローンの照準が、止まった。
止まったのではない。
“当てる判断に至れなくなった”。
数値が飛ぶ。
再演算が暴走する。
監視網が、無限ループに落ちる。
……だが同時に。
アルトの視界も滲んだ。
「……っ、やばい……」
足元が揺れる。
何が正しいかが分からない。
右か左かすら確信できない。
「アルト!」
シオンが腕を掴んだ。
その瞬間、また世界が歪む。
今度は“守る未来”が勝手に成立した。
シオンの胸の奥が冷える。
自分の意思じゃない。
だが確かに、線が引かれる感覚があった。
「……Δ:希望収束(セイヴ・ライン)」
短い声。
次の瞬間、天井が崩れた。
――いや、崩れるはずだった。
落ちてくる瓦礫が、ほんの数十センチだけ軌道を変えた。
アルトの頭上を外して落ちる。
二人の間に壁ができるように砕ける。
“助かる未来”だけが残った。
だがシオンは知っている。
救える未来が残ったということは――
救えない未来も、同時に確定したということだ。
胸の奥に、ひどく重い何かが落ちる。
「……行くぞ」
ユウが前を向く。
三人は走った。
崩れた二階の穴を抜ける。
救助対象は、すぐそこだ。
そして――
その背後には、世界の裂け目が確かに追ってきていた。
救助対象は、そこにいた。
崩れた病室。
壁の半分が落ちて天井の配管がむき出しになり、
白いベッドだけが奇跡みたいに形を残していた。
その脇に、二人。
一人は大人の男。
腹を押さえてうずくまり、血が指の隙間から黒く滲んでいる。
もう一人は、十代に見える少年。
肩で浅く息をして、身体は冷え切っていた。
「……生きてる」
シオンが言った瞬間、
アルトが端末を握り直して近づく。
「心拍、まだある……でも限界だ。救助キット――」
ユウが黙ってバッグを開ける。
だが、そこにあるべき応急処置パックが見当たらない。
「……ない?」
アルトの声が硬くなる。
ユウは答えない。
代わりに、ほんの一瞬だけ視線を落とした。
足元の瓦礫。
崩れた棚の影。
使い物にならないはずの場所。
――そこに、見慣れた形が“ある”。
救助パック。
新品ではない。
砂と煤で汚れ、角が潰れ、外装も剥げている。
だが、封が切られていない。
使える。
ユウは何も言わず、それを拾った。
アルトの眉が動く。
「……なにそれ。さっきなかったよな」
ユウは肩で息をしながら、短く返した。
「拾った」
「拾ったって……」
説明する時間はない。
シオンが少年の首元に指を当てる。
脈は弱い。
だが、まだそこにある。
「止血と保温を同時に。急いで」
ユウが男に止血剤を当て、
アルトが包帯を引き、
シオンが少年に保温パックを押し当てる。
三人の手が噛み合う。
誰も指示していないのに、
“救える手順”だけが自然に成立していた。
――怖いほどに。
その時、外が震えた。
ズン、と空気の底が鳴る。
金属音が、入口から病室へ向かって一直線に近づいてくる。
「……追いつかれる」
アルトが端末を見る。
監視ドローンは再演算ループから復帰しつつあった。
システム側が“再同期”を開始している。
GENESISは賢い。
世界の正しさは、すぐに戻ってくる。
「時間、ない」
シオンの声は冷たい。
冷たいほど、焦りを抑え込んでいる。
ユウは救助対象二人を確認し、
すぐに背中のストラップを外して持ち上げた。
「運ぶ」
男は意識が薄い。
少年はほぼ無反応。
この二人を運びながら逃げるには、
戦う余裕などない。
「ユウ、出口は?」
アルトが問う。
ユウは迷わず言った。
「……ない」
その一言が、病室の温度を下げた。
「は?」
アルトが息を飲む。
「入口から来る。戻れば挟まれる。
上は崩落で塞がった。
横は壁が死んでる」
出口がない。
逃げ場がない。
境界で一番最悪の形だ。
シオンが、喉を鳴らすように息を吐いた。
「救える未来が……」
彼の目が揺れる。
無数の未来が分岐して、そのほとんどが折れていく感覚。
救助対象を連れて逃げる未来が、見えなくなる。
――救えない未来が確定する。
それが、恐怖だった。
「……」
ユウは黙って瓦礫を見た。
壁ではない。天井でもない。
床。
瓦礫の下に、黒く裂けた隙間がある。
その先は暗い。
だが、微かに風が通っている。
「……ここだ」
ユウが言った瞬間、アルトが首を振る。
「通路じゃない。崩落の穴だ。
そんなとこ、下に何があるか――」
ユウは答えない。
答えられないからだ。
彼は拾う。
拾えるなら拾う。
それしかできない。
世界の差分が“来る”感覚が、また背中を撫でた。
空気が裂ける。
音が歪む。
目の焦点が一瞬だけ合わなくなる。
ユウは息を吸い、
短く言った。
「……Δ:拾遺干渉(リクレイム)」
叫ばない。
ただ、名前を落とすだけ。
次の瞬間――
瓦礫が、崩れた。
崩れたのに、落ち方が“都合よく”変わった。
床の隙間は広がり、
人一人が通れる穴になり、
下へ続く梯子が“たまたま”見える位置に現れた。
あり得ない。
梯子があるはずがない。
だが、そこには確かに鉄の梯子が固定されている。
まるで昔からそこが避難用の抜け道だったかのように。
「……嘘だろ」
アルトの声が掠れた。
監視ドローンの光が、病室に差し込む。
赤いレーザーの点が床を舐める。
回収命令の視線が、ここを刺す。
「降りる!」
シオンが叫ぶ。
ユウが先に穴へ滑り込み、
救助対象の男を背負ったまま梯子を降りる。
シオンが少年を抱え、続く。
アルトが最後に降りようとした瞬間――
上から金属の影が落ちてきた。
監視ドローン。
直接侵入。
「アルト!」
シオンの声が響く。
アルトが振り返った。
その視界に、ドローンの銃口。
照準。
確定した死。
アルトの思考が凍るより早く、
シオンの喉が勝手に言葉を吐いた。
「……Δ:希望収束(セイヴ・ライン)」
次の瞬間、銃弾が逸れた。
逸れたのではない。
救える未来が残ったからだ。
銃弾はアルトの肩をかすめ、
背後の壁を撃ち抜いた。
壁が崩れ、
崩れた破片が監視ドローンの脚部を叩く。
ドローンの姿勢が一瞬だけ乱れる。
その“ほんの一瞬”で、アルトは穴に落ちた。
三人は暗い通路を走った。
息が詰まる。
肺が焼ける。
救助対象の重さが、現実の重さとして身体に乗る。
それでも走る。
走るしかない。
背後で、監視ドローンの光が揺れた。
照準が追ってくる。
だが、追いつけない。
ユウが拾った逃げ道が繋がっている。
シオンが救える未来へ収束させ続けている。
アルトの評価崩壊が、追跡の判断を遅らせている。
三つが噛み合っている。
だから――逃げられる。
だが。
通路を抜けた瞬間、
外の空気が冷たく刺さった。
瓦礫の谷の下。
廃棄された地下道路。
そこに出た。
そして、上空。
黒い点がいくつも旋回している。
監視網の目は、もう戻っている。
アルトが端末を見て、声を失った。
画面のログ欄に、見たことのない記録が残っている。
通常、Δのような現象は“記録できない”。
定義できないものは、ログに残らない。
なのに。
そこには、こう表示されていた。
――【UNDEFINED EVENT DETECTED】
――【FRAME GAP:0.12sec】
――【BLACK NOISE OUTPUT】
――【CORRELATED SUBJECTS:3】
――【PHENOMENON NAME:Δ(DELTA)】
アルトの指が震える。
「……残った……」
シオンが息を止める。
ユウは何も言わなかった。
言えることがない。
彼らは助けた。
救助対象はまだ生きている。
だが代わりに――
世界に、証拠を残してしまった。
管理が、定義してしまった。
この瞬間から、
彼らは“拾う側”ではなく、
“回収される側”になった。
そしてどこかで。
管理の中心で。
誰かが、このログを見て笑う。
――見つけた。
次の命令は、きっとひとつだ。
回収しろ。
10
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作者が「総監督・編集長」を務め、AIを「優秀なスタッフ・シミュレーター」として壁打ちを繰り返すことで、通常の個人執筆では困難な密度とスピードでの制作を実現しています。
1. 設定・考証における本作の肝である「日本政府の反応」や「法的解釈」のリアリティを追求するため、大規模言語モデルをシミュレーターとして活用しています。
• 危機管理シミュレーション: 「もし東京湾に異世界都市が現れたら?」という問いに対し、実際の法規(関税法、入管法、固定資産税法など)に基づいた官僚機構の動きをAIにシミュレートさせ、プロットに反映しています。
• 経済考証: 異世界都市がもたらす経済効果の試算において、AIの知識ベースを活用し、細部の整合性を高めています。
2. 執筆・推敲プロセス
本文の執筆においても、AIはパートナーとして機能しています。
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