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第4章 噂の一人歩きは本当にやめて欲しいのです
その3
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「少し不安は残りますが、まあいいでしょう」
「ありがとうございます」
「外出の許可は出しますけれど、あくまで自己責任、ですわよ。貴女のする事にいちいち責任なんて取っていたら、この隊は全滅ですわ」
「き、気をつけます…」
夜の街を見てみたいとオルレンシアさんにダメ元で外出許可を頼んだところ、眉をしかめつつも承諾してくれた。
この前は魔法を教えてもらう為にあえて外出許可を取らずに失敗しちゃったからね。
今回はあくまでも偵察。
本当にアブド・リヴラドがいるか探すだけだから、ちゃんと許可を取って出かけないとよね。
「それと、貴女1人だとどうあっても不安が拭えませんので、ゼロを連れて行く事。これが条件ですわ」
「はい」
「くれぐれも、面倒事は起こさないでくださいまし。ホウレンソウはわかります?」
「報告、連絡、相談、ですよね」
「その通りですわ」
「何かあれば報告します」
「よろしい。では、あまり遅くならぬように」
「はい、行ってきます」
オルレンシアさんに会釈をし、私はゼロさんと一緒に夜の街へと出る。
昼はカフェ、夜は酒場、そんなお店が多いみたい。
街灯がたくさんあり、夜でもそこまで暗くない。
電気ではないだろうし、これも魔術なのかな?
一通り回ったけれど、どこも昼間と同じように活気に溢れている。
「どうですか?」
「うーむ…。昼間と同じで微量しか感じぬ」
「街中にはいないって事なんですかね」
「いや、街に入ってから察知したのじゃから、おそらく街の中におるはずじゃ」
歩いて行ける場所は一通り回ったし、まだ行っていないのは時計塔ぐらい。
あそこ、入れるのかな?
「入れるかわかりませんけど、時計塔に行ってみましょうか」
「そうじゃの」
「ここがハズレなら、あとは下水道ですかね」
「下水…。できれば時計塔であって欲しいものじゃ」
街の真ん中に佇むこの街のシンボル、それがローブル・ベールと呼ばれるこの時計塔らしい。
観光名所にもなっているらしく、ライトアップされている。
「君達、こんな時間に何をしているんだい。早く帰りなさい」
時計塔の入り口を探していると、警備員さんらしき人に呼び止められた。
「私達、時計塔に入りたくて…」
「なら明日にしなさい、もうすぐ19時だ。早くしないと、20時に間に合わないよ」
「20時、ですか?」
「すまぬ、儂らは旅の者でな。20時に何かあるのか?」
「なんだ、入門の時に聞かなかったのかい?まったく…誰だ、手続き担当は」
やれやれ、と警備員さんは肩をすくめた。
「半年くらい前かな、神のお告げがあったんだよ」
そう言って警備員さんはお告げの内容を教えてくれた。
・20時から翌日の3時までは外出をしてはならない
・21時から22時の間に怒りや悲しみ、不満といった負の感情を込めた輝石を玄関先に家族分まとめて置くこと
・22時には布団に入り眠ること
・0時に御使が輝石を交換にやってくるが、その姿を決して見てはならない
・これらの約束を守れるならば、この街は幸福に包まれるだろう
最初は半信半疑だったが、お告げがあった翌朝には全ての世帯に輝石が授けられていたという。
お告げの通りにした人には幸運が、しなかった人には不運が続いたことから、今では街中全ての人がお告げに従っているらしい。
「ありがとうございます」
「外出の許可は出しますけれど、あくまで自己責任、ですわよ。貴女のする事にいちいち責任なんて取っていたら、この隊は全滅ですわ」
「き、気をつけます…」
夜の街を見てみたいとオルレンシアさんにダメ元で外出許可を頼んだところ、眉をしかめつつも承諾してくれた。
この前は魔法を教えてもらう為にあえて外出許可を取らずに失敗しちゃったからね。
今回はあくまでも偵察。
本当にアブド・リヴラドがいるか探すだけだから、ちゃんと許可を取って出かけないとよね。
「それと、貴女1人だとどうあっても不安が拭えませんので、ゼロを連れて行く事。これが条件ですわ」
「はい」
「くれぐれも、面倒事は起こさないでくださいまし。ホウレンソウはわかります?」
「報告、連絡、相談、ですよね」
「その通りですわ」
「何かあれば報告します」
「よろしい。では、あまり遅くならぬように」
「はい、行ってきます」
オルレンシアさんに会釈をし、私はゼロさんと一緒に夜の街へと出る。
昼はカフェ、夜は酒場、そんなお店が多いみたい。
街灯がたくさんあり、夜でもそこまで暗くない。
電気ではないだろうし、これも魔術なのかな?
一通り回ったけれど、どこも昼間と同じように活気に溢れている。
「どうですか?」
「うーむ…。昼間と同じで微量しか感じぬ」
「街中にはいないって事なんですかね」
「いや、街に入ってから察知したのじゃから、おそらく街の中におるはずじゃ」
歩いて行ける場所は一通り回ったし、まだ行っていないのは時計塔ぐらい。
あそこ、入れるのかな?
「入れるかわかりませんけど、時計塔に行ってみましょうか」
「そうじゃの」
「ここがハズレなら、あとは下水道ですかね」
「下水…。できれば時計塔であって欲しいものじゃ」
街の真ん中に佇むこの街のシンボル、それがローブル・ベールと呼ばれるこの時計塔らしい。
観光名所にもなっているらしく、ライトアップされている。
「君達、こんな時間に何をしているんだい。早く帰りなさい」
時計塔の入り口を探していると、警備員さんらしき人に呼び止められた。
「私達、時計塔に入りたくて…」
「なら明日にしなさい、もうすぐ19時だ。早くしないと、20時に間に合わないよ」
「20時、ですか?」
「すまぬ、儂らは旅の者でな。20時に何かあるのか?」
「なんだ、入門の時に聞かなかったのかい?まったく…誰だ、手続き担当は」
やれやれ、と警備員さんは肩をすくめた。
「半年くらい前かな、神のお告げがあったんだよ」
そう言って警備員さんはお告げの内容を教えてくれた。
・20時から翌日の3時までは外出をしてはならない
・21時から22時の間に怒りや悲しみ、不満といった負の感情を込めた輝石を玄関先に家族分まとめて置くこと
・22時には布団に入り眠ること
・0時に御使が輝石を交換にやってくるが、その姿を決して見てはならない
・これらの約束を守れるならば、この街は幸福に包まれるだろう
最初は半信半疑だったが、お告げがあった翌朝には全ての世帯に輝石が授けられていたという。
お告げの通りにした人には幸運が、しなかった人には不運が続いたことから、今では街中全ての人がお告げに従っているらしい。
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