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いよいよの対面

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スパルタ教育パパであるエルミール家当主の命令はいくらアステリオン家の息子で超カリスマなレイでも断ることは出来なかった。

魔法史と剣術か。うまく教えられるかなー。

レイとしての記憶や魔力は全て引き継がれるってブサクマが言ってたとはいえ心配だ。

まだ希望はある。それは本人に直接訴えてみることだ。

いよいよ小説の中でずっと見てきた主人公に会う。なんか変な感じだ。

「先生!よろしくお願いします。」

元気な挨拶と共に少年が入ってきた。紅潮した頬やキラキラと輝く瞳がルカをより幼くさせていた。

ふわふわもした深い紺碧の髪に長く縁取られた澄んだ水色の瞳はキラキラと輝いていた。

まさにthe 美少年という感じだ。

俺の職場にいた美少年好きな同僚がルカをみたら悶絶するだけではすまないだろう。なんでも、その同僚曰く美少年ショタからしか得られない栄養があるだとかなんだとか。

正直何を言っているか分からなかったが美少年は熱狂的なファンにとっては神のように崇められるということだ。

「今日は魔法史と剣術でしたよね?僕、魔法史の小テストに合格できるように精一杯予習してきました!今日の剣術が楽しみすぎて眠れなかったんですよ。うまくできたら新しい技を教えてくれる約束でしたよね?」

「その…家庭教師の件なんだが、今日限りで…別の先生に……」

話すたびにキラキラと輝いていた瞳が段々とうるるうるした瞳に変わっていく。泣きそうだ。

「……というのは冗談なんだ!ハハハハ、びっくりしたかい?」

適応ポイントマイナス3

チッ…仕方ない。こんな純粋なやつを泣かせることは俺にはできない。
たとえレイが普段しない冗談を言って間抜けな笑い声をたてて適応ポイントを引かれることになったとしてもできない。

同僚よ…。美少年を保護したいという気持ちは分からないが泣かせたくはないという気持ちはわかったぞ。

肝心のルカはびっくりしたのか目を見開いている。

「先生が、僕に笑った…。気軽に冗談を言ってくれるなんて…。」

なにか小さい声でつぶやいたかと思うとあっという間にルカの大きく見開いた瞳からポロポロと大粒の涙がこぼれた。

え、え、レイそんなに冷たく当たっていたのか。まだ家庭教師を始めたときは険悪な関係じゃなかったと思うんだけど…。

「ゴホン、どうしたんだルカ。何か痛いところでもあるのか?」

「ち、違うんです…うっうっ……。先生は僕のことが嫌いだと思っていたから、そんな僕に笑ってくれたことが嬉しくて…うぅ………。」

レイの周りにまったく興味のない性格上、幼いルカに冷たい印象を与えたことは容易に想像できる。(印象を与えるというか冷たいというのは本当だが)

まったく…レイ、君のおかげで俺は命の危機にさらされているんだぞ。


「君が不安になるような態度をとったのならすまない…。」

「うぅっ…いいえ…僕が勝手に泣いてるだけで…違うんです……。」




はぁ。計画その一は殺されない程度にルカと仲良くなるに変更だな。

こうして俺は長い時間をかけてぐすぐすと泣いているルカを慰めた。


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