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婚約破棄された強かな(物理)令嬢が元婚約者をビンタしにいく話
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「レイラ、君は僕の可愛いブリッジをいじめた罪で婚約破棄する!君はブリッジをビンタしたり階段から突き落としたりしただろう。前から君の傲慢な態度や陰湿な雰囲気をもつ君にはもう懲り懲りだった。帝国を代々守っているライム家の令嬢だからずっと我慢してやったがもうそれも今日で終わりだ!」
明日の授業の発表をどう進めるべきかを考えていた最中にいきなりこの言葉を聞いて立ちすくんでいたのは昨日の話。
レイラ・ライムは帝国を支えるライム伯爵家の末娘であり、スキッパ・ピアトン王太子の婚約者であった。
レイラとスキッパは今まで婚約者として仲が良くも悪くもなく、当たり障りのない距離感の関係だった。
ただし、エンガ男爵家の娘のブリッジが学園に入学してきてからはスキッパはブリッジに入れ上げており、校内でも公然の秘密と化していた。
レイラももちろん婚約者が別の女性に夢中になっていることを知っていた。しかしスキッパにあまり興味がなく、ただのスキッパの戯れ程度にしか思っていなかった。
昨日の婚約破棄の件が起こってしまったため噂好きの社交界は大騒ぎだった。
レイラは朝食の後、父であるゴドリーに呼び出されるはめとなった。
「お父様、私の婚約破棄の件でお呼び出しになったと思いますが、私は断じてブリッジ嬢をビンタしたり階段から突き落としたりはしておりません。ライム家に誓います。信じてください。」
切実な声で訴えた娘をみたゴドリーはため息をついた。
「レイラ、それはライム家当主でありお前の父親である私がよくわかっている。そんなことをしたら今ごろブリッジ嬢の手足は粉々に砕けて使い物にならなかっただろう。………もしかしたら命も危なかっただろう。」
最後にぼそっと言った言葉はレイラには聞こえていなかったようだ。
「お父様、何を言っておられるのですか?」
ゴドリーはごほんと咳払いをすると神妙な趣をした。
「レイラ、今からライム家の秘密を教えよう。この秘密を教えるのはまだまだ先だと思っていたんだが…。この事実を聞けば、お前も苦労することになると思うが仕方がない。私の言葉の意味もわかるだろう。」
「お父様、恐れながら私もライム家の一員です。もちろん受け入れますわ。」
「実は、我がライム家は身体能力が異常に高いのだ。お前もゴリラという伝説の生き物を知っているな?あの如何なるものも蹴散らすと言われている森の王者だ。我々ライム家の人間は簡単に言うとゴリラ並の腕力がある。例えば普通の令嬢は雪に車輪がはまって動けなくなった馬車を押して山道を越えられないし、家のドアノブは握っても壊れないようにと丈夫な鋼でできていないのだ。それにお前が毎日つけているそのブレスレットは100kgするもので普通の人は持ち上げることすらできない代物なんだ。今まで黙っていてすまない。」
「えぇ!馬車を押して進めないのですか!?それは大変ですわね。それにこれが100kgの重さなんですの!?こんなに軽いのに?確か家庭教師に授業で教えてもらった3kgはもっと重かったはずですが…」
「あれは本当は3tの重りだったんだ。しかし、あの時はお前が軽々と持ち上げたから家族みんな驚いたぞ。俺でさえ3tは両手で持ち上げるのにお前は片手だったからな。きっとお前はライム家の力を強く引き継いだのだろう。お前もいい歳だ。その力をどう使おうがお前の自由だ。好きに使いなさい。スキッパ王太子が今回したことは我々一族を馬鹿にする行為であり、1人の女性であるお前を傷つける行為だ。公の場でわざわざ婚約破棄を言い放つなんて言語道断!断じて許さん。今後この件はお前に任せよう。」
「承知しました。お父様。あの愚かな王太子がなにもしない限りは大目に見るつもりですわ。穏便に済まそうと思います。」
そう言った1週間後、レイラに関する噂は消えず、むしろ広まっていき誇張される一方だった。どうやら王太子側が噂好きの社交界のマダムたちに言いふらし回っていたのだ。こうしてライム家やレイラを避難する声が強くなっていった。
とうとう、レイラは静かな闘志に燃え、決心した。力を解放しようと。
すぐに貴族たちとスキッパとブリッジ嬢を屋敷に招待するよう招待状をおくった。噂好きのマダムたちや野次馬たちはもちろんこの面白そうな招待に応じた。スキッパはレイラを側室に迎え入れるのも悪くないと考えたのでその案を提案するために参加を決めのだった。
数日後、スキッパはブリッジを引き連れてパーティーに参加した。
会場は登場した2人とレイラを一様に注目した。彼らは大の噂好きだ。婚約破棄された令嬢と婚約破棄した王太子、その隣にいるか弱い男爵令嬢、話の種になる全てが揃っていた。このビッグイベントを一瞬でも見逃したく無いのだろう。
レイラが彼ら2人に近づいていくと会場はしんとしだし皆3人に注目していた。誰が最初に口を開けるだろうと見守っているのだ。
レイラは2人をじっと見つめると力強く話し始めた。
「私がブリッジをビンタした現場をみたと言われましても私がビンタしたらブリッジ嬢は今ここにおりませんわ。」
「何を言っているんだ、レイラ。彼女を脅しているのか!?」
「いえ、そう言う意味ではなく、私は人一倍力が強いらしいのです。なので私がビンタしたとなればブリッジ嬢はベットから起き上がることのできない状態になっているという意味で申し上げました。」
「ハッ。馬鹿馬鹿しい。そんなに自分が怪力だと言うならば今ここでそれを発揮してみるがよい。俺をありったけの力でぶってみろ。そんな弱々しい腕で何ができるか見物だがな。」
「恐れながら殿下、そんなことをして仕舞えば私は不敬罪となってしまいますわ。」
「何を心配してるかと思えばそんなことか、ここにいる皆が証人となってくれるはずだ。なぁ皆のもの。さぁ、早くしてもらおうか。冷静沈着で聡明な其方が焦っているところを見るのは実に滑稽だ。」
会場がどよめく。
「あら。殿下、やめてくださいまし。私のために令嬢をからかわないでください。」
ブリッジとスキッパはクスクスと笑い始めた。
「今から私は殿下を軽く触れますが、本当にいいんですね。」
「ふん、いいと言っているだろう。それに軽く触れる程度ではなくビンタでいい。か弱い令嬢のビンタなどたかが知れてるしな。」
「では失礼致します。」
レイラは100kgの腕輪をいそいそと外し始める。腕輪が床に落ちた音を近くで聞いたものは皆自分の耳を疑った。腕輪が床にのめり込んでいたからだ。周りが驚いていたのも束の間に、か弱そうに見える手を虫を払うかのようレイラはサッとふった。
か弱そうな見た目とは裏腹にガンっと鈍い音がしたその次の瞬間、スキッパは見事に吹っ飛んでいった。
それは一瞬のことだった。
皆、何が起きているかわからなかった。
スキッパは壁にのめり込まれていた。30秒かけてなんとか壁から抜け出し尻もちをつく。それと同時にぽとり、と前歯が落ちた。
「あら、殿下には少々刺激が強過ぎましたか。私は軽く手をふっただけでしたわ。皆様、私はただ軽く手を振っただけでしたよね?ビンタなどしているように見えましたか?違いますよね?」
会場のマダムたちはものすごい勢いで首を横に振った。
レイラのその言葉を聞いて足の震えが止まらないようだった。スキッパはヒィィィと震え、白目を剥きながら意識を失った。そしてよっぽど驚いたのかスキッパの座っている周辺がジワジワと濡れていく。
きゃーーー!、あらいやだわ、殿下が驚き過ぎて失禁したぞ、はは実物だな、キャッはしたないですわ、周りの貴族たちは驚いたのも束の間に小声でこの衝撃的な出来事を話し出した。
「ふふ、殿下、だから私言いましたのに。」
のちにこのレイラの顔を間近で見たものに話を聞こうとするも何故だか皆ガタガタと震え上がって逃げていったという。
「それで、貴女は私に何をされたとおっしゃいましたっけ?」
レイラは美しい弧を描いてブリッジに微笑みかけた。
「えぇ、いえ、私は何もされていませんでした!私の勘違いでしたわ!それに、用事を思い出しました!この辺で失礼しますね!では!」
ブリッジは慌てて馬車の方へと大急ぎで向かう。何度も転びながら去っていった。
ブリッジを見届けるとレイラは周りにいる貴族たちに微笑みかけ、ふわりと腰を折る。
「皆さま、本日はお集まりくださいまして誠にありがとうございます。実は残念ながら私はに関する根も歯もない噂が流れておりまして困っているのです。私は皆さまがそのような噂に惑わされていないとわかってはいるのですが……。」
悲しそうに頬に手を寄せ今にも泣きそうになっている姿は先ほどものすごい力を発揮した人物は本当は別の人で、あれは夢だったのかと思わせられる姿であった。
そんな冷め切った空気の会場の中でたった1人だけ、目をキラキラさせていた青年がいた。
レイラの凛々しいビンタ(?)姿に一目惚れした彼は、パーティー後、猛烈にアタックしまくり見事40回目のプロポーズで承諾を得ることができたのはまた別の話。
明日の授業の発表をどう進めるべきかを考えていた最中にいきなりこの言葉を聞いて立ちすくんでいたのは昨日の話。
レイラ・ライムは帝国を支えるライム伯爵家の末娘であり、スキッパ・ピアトン王太子の婚約者であった。
レイラとスキッパは今まで婚約者として仲が良くも悪くもなく、当たり障りのない距離感の関係だった。
ただし、エンガ男爵家の娘のブリッジが学園に入学してきてからはスキッパはブリッジに入れ上げており、校内でも公然の秘密と化していた。
レイラももちろん婚約者が別の女性に夢中になっていることを知っていた。しかしスキッパにあまり興味がなく、ただのスキッパの戯れ程度にしか思っていなかった。
昨日の婚約破棄の件が起こってしまったため噂好きの社交界は大騒ぎだった。
レイラは朝食の後、父であるゴドリーに呼び出されるはめとなった。
「お父様、私の婚約破棄の件でお呼び出しになったと思いますが、私は断じてブリッジ嬢をビンタしたり階段から突き落としたりはしておりません。ライム家に誓います。信じてください。」
切実な声で訴えた娘をみたゴドリーはため息をついた。
「レイラ、それはライム家当主でありお前の父親である私がよくわかっている。そんなことをしたら今ごろブリッジ嬢の手足は粉々に砕けて使い物にならなかっただろう。………もしかしたら命も危なかっただろう。」
最後にぼそっと言った言葉はレイラには聞こえていなかったようだ。
「お父様、何を言っておられるのですか?」
ゴドリーはごほんと咳払いをすると神妙な趣をした。
「レイラ、今からライム家の秘密を教えよう。この秘密を教えるのはまだまだ先だと思っていたんだが…。この事実を聞けば、お前も苦労することになると思うが仕方がない。私の言葉の意味もわかるだろう。」
「お父様、恐れながら私もライム家の一員です。もちろん受け入れますわ。」
「実は、我がライム家は身体能力が異常に高いのだ。お前もゴリラという伝説の生き物を知っているな?あの如何なるものも蹴散らすと言われている森の王者だ。我々ライム家の人間は簡単に言うとゴリラ並の腕力がある。例えば普通の令嬢は雪に車輪がはまって動けなくなった馬車を押して山道を越えられないし、家のドアノブは握っても壊れないようにと丈夫な鋼でできていないのだ。それにお前が毎日つけているそのブレスレットは100kgするもので普通の人は持ち上げることすらできない代物なんだ。今まで黙っていてすまない。」
「えぇ!馬車を押して進めないのですか!?それは大変ですわね。それにこれが100kgの重さなんですの!?こんなに軽いのに?確か家庭教師に授業で教えてもらった3kgはもっと重かったはずですが…」
「あれは本当は3tの重りだったんだ。しかし、あの時はお前が軽々と持ち上げたから家族みんな驚いたぞ。俺でさえ3tは両手で持ち上げるのにお前は片手だったからな。きっとお前はライム家の力を強く引き継いだのだろう。お前もいい歳だ。その力をどう使おうがお前の自由だ。好きに使いなさい。スキッパ王太子が今回したことは我々一族を馬鹿にする行為であり、1人の女性であるお前を傷つける行為だ。公の場でわざわざ婚約破棄を言い放つなんて言語道断!断じて許さん。今後この件はお前に任せよう。」
「承知しました。お父様。あの愚かな王太子がなにもしない限りは大目に見るつもりですわ。穏便に済まそうと思います。」
そう言った1週間後、レイラに関する噂は消えず、むしろ広まっていき誇張される一方だった。どうやら王太子側が噂好きの社交界のマダムたちに言いふらし回っていたのだ。こうしてライム家やレイラを避難する声が強くなっていった。
とうとう、レイラは静かな闘志に燃え、決心した。力を解放しようと。
すぐに貴族たちとスキッパとブリッジ嬢を屋敷に招待するよう招待状をおくった。噂好きのマダムたちや野次馬たちはもちろんこの面白そうな招待に応じた。スキッパはレイラを側室に迎え入れるのも悪くないと考えたのでその案を提案するために参加を決めのだった。
数日後、スキッパはブリッジを引き連れてパーティーに参加した。
会場は登場した2人とレイラを一様に注目した。彼らは大の噂好きだ。婚約破棄された令嬢と婚約破棄した王太子、その隣にいるか弱い男爵令嬢、話の種になる全てが揃っていた。このビッグイベントを一瞬でも見逃したく無いのだろう。
レイラが彼ら2人に近づいていくと会場はしんとしだし皆3人に注目していた。誰が最初に口を開けるだろうと見守っているのだ。
レイラは2人をじっと見つめると力強く話し始めた。
「私がブリッジをビンタした現場をみたと言われましても私がビンタしたらブリッジ嬢は今ここにおりませんわ。」
「何を言っているんだ、レイラ。彼女を脅しているのか!?」
「いえ、そう言う意味ではなく、私は人一倍力が強いらしいのです。なので私がビンタしたとなればブリッジ嬢はベットから起き上がることのできない状態になっているという意味で申し上げました。」
「ハッ。馬鹿馬鹿しい。そんなに自分が怪力だと言うならば今ここでそれを発揮してみるがよい。俺をありったけの力でぶってみろ。そんな弱々しい腕で何ができるか見物だがな。」
「恐れながら殿下、そんなことをして仕舞えば私は不敬罪となってしまいますわ。」
「何を心配してるかと思えばそんなことか、ここにいる皆が証人となってくれるはずだ。なぁ皆のもの。さぁ、早くしてもらおうか。冷静沈着で聡明な其方が焦っているところを見るのは実に滑稽だ。」
会場がどよめく。
「あら。殿下、やめてくださいまし。私のために令嬢をからかわないでください。」
ブリッジとスキッパはクスクスと笑い始めた。
「今から私は殿下を軽く触れますが、本当にいいんですね。」
「ふん、いいと言っているだろう。それに軽く触れる程度ではなくビンタでいい。か弱い令嬢のビンタなどたかが知れてるしな。」
「では失礼致します。」
レイラは100kgの腕輪をいそいそと外し始める。腕輪が床に落ちた音を近くで聞いたものは皆自分の耳を疑った。腕輪が床にのめり込んでいたからだ。周りが驚いていたのも束の間に、か弱そうに見える手を虫を払うかのようレイラはサッとふった。
か弱そうな見た目とは裏腹にガンっと鈍い音がしたその次の瞬間、スキッパは見事に吹っ飛んでいった。
それは一瞬のことだった。
皆、何が起きているかわからなかった。
スキッパは壁にのめり込まれていた。30秒かけてなんとか壁から抜け出し尻もちをつく。それと同時にぽとり、と前歯が落ちた。
「あら、殿下には少々刺激が強過ぎましたか。私は軽く手をふっただけでしたわ。皆様、私はただ軽く手を振っただけでしたよね?ビンタなどしているように見えましたか?違いますよね?」
会場のマダムたちはものすごい勢いで首を横に振った。
レイラのその言葉を聞いて足の震えが止まらないようだった。スキッパはヒィィィと震え、白目を剥きながら意識を失った。そしてよっぽど驚いたのかスキッパの座っている周辺がジワジワと濡れていく。
きゃーーー!、あらいやだわ、殿下が驚き過ぎて失禁したぞ、はは実物だな、キャッはしたないですわ、周りの貴族たちは驚いたのも束の間に小声でこの衝撃的な出来事を話し出した。
「ふふ、殿下、だから私言いましたのに。」
のちにこのレイラの顔を間近で見たものに話を聞こうとするも何故だか皆ガタガタと震え上がって逃げていったという。
「それで、貴女は私に何をされたとおっしゃいましたっけ?」
レイラは美しい弧を描いてブリッジに微笑みかけた。
「えぇ、いえ、私は何もされていませんでした!私の勘違いでしたわ!それに、用事を思い出しました!この辺で失礼しますね!では!」
ブリッジは慌てて馬車の方へと大急ぎで向かう。何度も転びながら去っていった。
ブリッジを見届けるとレイラは周りにいる貴族たちに微笑みかけ、ふわりと腰を折る。
「皆さま、本日はお集まりくださいまして誠にありがとうございます。実は残念ながら私はに関する根も歯もない噂が流れておりまして困っているのです。私は皆さまがそのような噂に惑わされていないとわかってはいるのですが……。」
悲しそうに頬に手を寄せ今にも泣きそうになっている姿は先ほどものすごい力を発揮した人物は本当は別の人で、あれは夢だったのかと思わせられる姿であった。
そんな冷め切った空気の会場の中でたった1人だけ、目をキラキラさせていた青年がいた。
レイラの凛々しいビンタ(?)姿に一目惚れした彼は、パーティー後、猛烈にアタックしまくり見事40回目のプロポーズで承諾を得ることができたのはまた別の話。
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