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そして、ありました、魔法使専用のイス。背もれに杖をおく場所がある。吹き出しそうになった。明らかに変。これがこの世界の常識かー。ご飯食べる時邪魔にならなくていいけど~。
私と同じく端に座る人も魔法使で同じイスだった。なるほど、本当に普通に上から杖を入れればいいのね。傘たてならぬ、杖たて付きイスだ。
マウシャ帝国の主催は国王夫妻と孫王女王子。ヨゾンと同じくらいか下くらいかな。皇太子夫妻は別の国に訪問中のため欠席。孫である王女と王子は小学生くらい。セリカ王女がとてもお姉さんに見える。確か高校生くらいだよね。
お互いに人物紹介をして帝国側の歓迎の話。思ったより長い。こういうのは簡単でいいと思う。早く食べたいなぁ。その間に次々とテーブルに運ばれてくる。前菜よね、サラダと…なにカルパッチョ?!お~ここで会えるとは。さすが海に面してる国だわ。
セリカ王女のお礼でようやく乾杯。これお酒かな?セリカ王女も同じっぽいけど、この世界は何歳から飲酒許されてるのかな。色からするとワインぽいけど、スパークリングのほうが好みとしてはちょっと残念。ディタはお酒強いのかしら。家にはなかったからそこまで好きじゃないか、普通くらいか。飲んだ瞬間ひっくりかえられても困るから少しずつにしよう。
と、その前に。さっきからなんか視線を感じる。さっと見回しても誰も見てない。おかしいな。視線というかなんというか。敵意は感じないだけにモゾモゾして気持ち悪い。気のせい?と思ったけどそうじゃない。こういうのは勘が正しい。
『シャットダウン』試しに唱えてみた。ーうん、スッキリ。なんかわからないけど、さっきまでの変な感じがなくなった。万能魔法~。これで楽しいごはんターイム。席順は王族とアデル以外ダルシアとマウシャの基本交互になっている。合コンかよ。なので、私の隣はマウシャ帝国の騎士。その隣がマミヤ。マミヤの隣がよかったよ。前はデレスだし。ディタは社交性ないから食べることに専念しますよ。誰も会話に期待はしてないでしょ。
メイドが全て取り分けてくれる、やったね、楽ちん。横をちら見して念のために確認。うん、料理はカルパッチョでいいとみた。
おいしい~タイかな。このソースもちょっとすっぱいけどおいしいわ。あってる。梅ソースみたいな、ベリーとはちょっと違うな。なんだろう。
「おかわりはいかがですか」
「ありがたくいただきます」
さっとメイドが取り分けてくれた。あ~うまうま。ディタが食いしん坊ではない。そもそも一皿にもりつける量が少ないのだ。こんなの一回一口でぺろりといけるよ。
「カオパッチが好きなんですね」
っやばい、吹き出しそうになった。カオパッチ、でいうんだ。
「はい。この魚は何という名前ですか?」
「ダイです。淡泊なのでどのソースともあう魚ですよ」
そうだろうねぇ。タイ、か。タイ茶漬けを締めに希望します。
「バジルソースもあいそうですよね」
バジル、絶対あう。マーケットでバジル探そう。パスタにもあうしね。
「バジル?」
「ハーブですよ」
騎士だから家で自分では料理しないだろうなあ。カルパッチョを一人でこんなに食べられるなんて、贅沢~。アボカドプリーズ。フランスパンにのせて食べたい。丸いパンが一応出されてるけど、固そう。引きちぎってボロボロパン屑落ちそうだし。でもちぎってやってみたい。マナー的にはどう?だめかなぁ。聞きたいけど聞けないわ。
「ダルシアの方なのに生魚好きとは珍しいですね」
ん?どういう意味?周りを見てみると、確かにダルシア勢は一口食べたかどうかだ。焼くことはあっても『生』は食べない文化かな。それをわかっていても食卓に出す、てことは嫌がらせか?うーん、でも郷土料理は国同士の晩餐には出すだろうしね。
「海に面した土地でないと、生は難しいですからね。ダルシアでは口に入れることがないのでつい欲張ってしまいましたわ」
他の人が残した分も私が食べたいくらいよ。
「ディタ、難しいとは?確かにダルシアでは魚は焼くものだが」
魚といって川魚だよね。煮る料理も見たことない。
マミヤが私の方を見て言った。
「海で穫れた物を捌いて出せるすぐの距離でないと『生』は食べないよ。新鮮だからこそおいしい料理法方だし」
冷凍庫があれば別だけど。
「今朝水揚げされたモノですよ」
そりゃおいしいわよ~。ビバ海!あ~醤油ほしい。刺身が食べたい。カルパッチョが出せる精一杯の料理だろうね、お互い。ソース多くつければ嫌いな人もなんとかいけるだろうし。
私だけ刺身盛り合わせだしてくれてもいいんだよ?海鮮丼でもいい!あ~他にもあるのかな、街に出れば。
「オレ、嫌い。だって味ないし、ソースすっぱいし」
正直お子様キター。ま、そうだよね、空気よまないよねぇ。子供の好きな魚はマグロ。しかもトロとか脂がのってるとこね。味が濃いやつ。
「ソース酸っぱくないのもありますよ。え」
なんでみんなしてこっち見るの?さっきそこの騎士だって『どのソースにもあう』て言ってたじゃん。
「先ほどおっしゃってたハーブのソースですか」
騎士復活。
「玉ねぎソースも。オリーブオイルに塩だけでも。すっぱくないですよね?」
「タマネギソース?」
「タマネギという野菜ありませんか?」
…なかった。でもきっと別の名前なんだと思う。
「カオパッチはこのソースが定番なんですね?」
「そうです。だから子供には不人気です」
笑って言った。だろうねぇ、大人味だし。子供はこの際お子様ランチでいいんじゃない?
この騎士は王族に近いのかな。それともよほど高い位置の貴族。今の発言は孫王子の前でありなんだ。普通は言えないよ。
その後の料理は、肉と煮魚(まってましたー)、デザートのクッキー?だった。正直肉はラオンの方がおいしかったし、クッキーとよぶには大きくて甘くなかった。せめてアイスかシャーベットがほしいことだった。煮魚はおいしかったけど。やっぱり魚料理はこの国おいしいわ~。
料理の後は、場所を移動して歓談。ここで王妃、孫王女&王子とセリカ王女、アデルは退出。お酒タイムである。飲むのはほとんど男性だったけど。なんか強そうな感じがしたので手は出さなかった。
「ディタ殿」
リンゴのお酒なら大丈夫かなーと迷っていたところに、声をかけられた。杖持ってるから魔法使だ。わかりやすい。私はさっさと杖を入り口にかけてきたよ。
「うちの魔法使が大変失礼をした。申し訳ない!」
え?なんのこと?誰が説明プリーズ。あれ。ヨゾンとデレスの『おまえ何やったんだ』疑惑の目とマミヤの心配そうな顔。私のせいか?!
「あの、とりあえず顔を上げてください。えっと私には何のことか」
「ジンガ、どういうことだ」
王もこっち来ちゃったじゃないかー。大事になっちゃうよ。本当にわからないって。ヨゾンに首と手をふる。
「はっ。魔法使の一人がディタ殿に『サーチ』をかけてはじかれた、と」
さーち?検索?もしかして入ったときの不快感?
この人偉い人だね。おっと魔法使局長だった。それが頭を下げるくらいヤバイことしたってこと?
「ディタ殿、城とホールの結界に気づかれましたよね?」
うん、見てたのまずかった?!
「すごくきれいで、特にホールの三重結界はぶ厚くてすごいな、と思いましてつい」
「そうなのか?」
なぜ王が聞くのだ?
「そうです。あれこそ長年の研究の成果です!」
えっと…すごいですね?えっへん、な姿に一歩引くよ。
「結界は、普通目に見えないし、感じても少しだ」
まじまじと見ちゃいけないものなのね、はい。
「申し訳ありません。ディタは外に出たことがなく常識が欠けておりまして」
なぜかヨゾンに頭をつかまれて下げられる。やめてよ、髪型くずれるじゃん。言ってくれればいいのさ。
「いえいえ、ディタ殿の魔力は予想以上に高い。それに暴走したバカがサーチを勝手にやらかしまして」
バカ、ていったよこの人。のほほんとしたおじさんかと思ってたら。
多分、サーチは勝手にかけてはいけない。許可なくかけるのはマナー違反なのだろう。気持ち悪いものだしね。
「晩餐会後、すぐに殴っておきました」
え、殴った?ダルシア側は聞き間違いかとギョッとしてるが、マウシャ側は納得顔。てことは日常茶飯事なのか。大丈夫か、その人。
「で、ではお互いそれでよしとしましょう」
ヨゾン、大人だよ。年長者だけあってささっとこの話題を終わらせた。
後始末がありますので、とジンガはさっと部屋を出ていった。どうやら王に報告したかったようだ。まあ、国際問題になると不味いもんね。
「魔力バカは、魔力にしか興味ないんですよ」
さっき隣に座っていた騎士ガーゼイがグラス片手に言った。バカって名前じゃないよね?
「バカの興味をひいたあなたは、近づかない方がいいと思いますよ」
こわー。もうこないわ、城に。反対に城には私の護衛が必要じゃない?
「そうします」
ストーカー候補には会いたくないわー。
「先程も思っていたのですが、そのイヤリングはもしかして三日月の女神ですか?」
気づいてくれた?こういうちょっとしたものにマメに気付く男の人はもてるぞー兄ちゃん。
「そうです。昨日運のいいことに出会えまして。歌が好きすぎて小鳥になってしまったと、教えていただきました」
「女性に人気の女神ですよ」
だろうねぇ。見た目も可愛いし。
「普通は黄色なんですけどね、丁度いい宝石がなかったのかな」
…という独り言は聞かなかったことにする。ヨゾン、今は聞いてくれるなよ?つい目をそらしてしまった。
カオパッチ、館でも出してくれないかな。帰ったら聞いてみよう。なんなら材料買ってきて自分でやろうかしら。
お酒もカクテルみたいで果実酒がそろっていておいしかった。これも買って持ち帰ろうっと。
その日は久々に満足したお腹(やっぱりコルセットはしないに限る)とほろよい気分でぐっすり眠れた。
私と同じく端に座る人も魔法使で同じイスだった。なるほど、本当に普通に上から杖を入れればいいのね。傘たてならぬ、杖たて付きイスだ。
マウシャ帝国の主催は国王夫妻と孫王女王子。ヨゾンと同じくらいか下くらいかな。皇太子夫妻は別の国に訪問中のため欠席。孫である王女と王子は小学生くらい。セリカ王女がとてもお姉さんに見える。確か高校生くらいだよね。
お互いに人物紹介をして帝国側の歓迎の話。思ったより長い。こういうのは簡単でいいと思う。早く食べたいなぁ。その間に次々とテーブルに運ばれてくる。前菜よね、サラダと…なにカルパッチョ?!お~ここで会えるとは。さすが海に面してる国だわ。
セリカ王女のお礼でようやく乾杯。これお酒かな?セリカ王女も同じっぽいけど、この世界は何歳から飲酒許されてるのかな。色からするとワインぽいけど、スパークリングのほうが好みとしてはちょっと残念。ディタはお酒強いのかしら。家にはなかったからそこまで好きじゃないか、普通くらいか。飲んだ瞬間ひっくりかえられても困るから少しずつにしよう。
と、その前に。さっきからなんか視線を感じる。さっと見回しても誰も見てない。おかしいな。視線というかなんというか。敵意は感じないだけにモゾモゾして気持ち悪い。気のせい?と思ったけどそうじゃない。こういうのは勘が正しい。
『シャットダウン』試しに唱えてみた。ーうん、スッキリ。なんかわからないけど、さっきまでの変な感じがなくなった。万能魔法~。これで楽しいごはんターイム。席順は王族とアデル以外ダルシアとマウシャの基本交互になっている。合コンかよ。なので、私の隣はマウシャ帝国の騎士。その隣がマミヤ。マミヤの隣がよかったよ。前はデレスだし。ディタは社交性ないから食べることに専念しますよ。誰も会話に期待はしてないでしょ。
メイドが全て取り分けてくれる、やったね、楽ちん。横をちら見して念のために確認。うん、料理はカルパッチョでいいとみた。
おいしい~タイかな。このソースもちょっとすっぱいけどおいしいわ。あってる。梅ソースみたいな、ベリーとはちょっと違うな。なんだろう。
「おかわりはいかがですか」
「ありがたくいただきます」
さっとメイドが取り分けてくれた。あ~うまうま。ディタが食いしん坊ではない。そもそも一皿にもりつける量が少ないのだ。こんなの一回一口でぺろりといけるよ。
「カオパッチが好きなんですね」
っやばい、吹き出しそうになった。カオパッチ、でいうんだ。
「はい。この魚は何という名前ですか?」
「ダイです。淡泊なのでどのソースともあう魚ですよ」
そうだろうねぇ。タイ、か。タイ茶漬けを締めに希望します。
「バジルソースもあいそうですよね」
バジル、絶対あう。マーケットでバジル探そう。パスタにもあうしね。
「バジル?」
「ハーブですよ」
騎士だから家で自分では料理しないだろうなあ。カルパッチョを一人でこんなに食べられるなんて、贅沢~。アボカドプリーズ。フランスパンにのせて食べたい。丸いパンが一応出されてるけど、固そう。引きちぎってボロボロパン屑落ちそうだし。でもちぎってやってみたい。マナー的にはどう?だめかなぁ。聞きたいけど聞けないわ。
「ダルシアの方なのに生魚好きとは珍しいですね」
ん?どういう意味?周りを見てみると、確かにダルシア勢は一口食べたかどうかだ。焼くことはあっても『生』は食べない文化かな。それをわかっていても食卓に出す、てことは嫌がらせか?うーん、でも郷土料理は国同士の晩餐には出すだろうしね。
「海に面した土地でないと、生は難しいですからね。ダルシアでは口に入れることがないのでつい欲張ってしまいましたわ」
他の人が残した分も私が食べたいくらいよ。
「ディタ、難しいとは?確かにダルシアでは魚は焼くものだが」
魚といって川魚だよね。煮る料理も見たことない。
マミヤが私の方を見て言った。
「海で穫れた物を捌いて出せるすぐの距離でないと『生』は食べないよ。新鮮だからこそおいしい料理法方だし」
冷凍庫があれば別だけど。
「今朝水揚げされたモノですよ」
そりゃおいしいわよ~。ビバ海!あ~醤油ほしい。刺身が食べたい。カルパッチョが出せる精一杯の料理だろうね、お互い。ソース多くつければ嫌いな人もなんとかいけるだろうし。
私だけ刺身盛り合わせだしてくれてもいいんだよ?海鮮丼でもいい!あ~他にもあるのかな、街に出れば。
「オレ、嫌い。だって味ないし、ソースすっぱいし」
正直お子様キター。ま、そうだよね、空気よまないよねぇ。子供の好きな魚はマグロ。しかもトロとか脂がのってるとこね。味が濃いやつ。
「ソース酸っぱくないのもありますよ。え」
なんでみんなしてこっち見るの?さっきそこの騎士だって『どのソースにもあう』て言ってたじゃん。
「先ほどおっしゃってたハーブのソースですか」
騎士復活。
「玉ねぎソースも。オリーブオイルに塩だけでも。すっぱくないですよね?」
「タマネギソース?」
「タマネギという野菜ありませんか?」
…なかった。でもきっと別の名前なんだと思う。
「カオパッチはこのソースが定番なんですね?」
「そうです。だから子供には不人気です」
笑って言った。だろうねぇ、大人味だし。子供はこの際お子様ランチでいいんじゃない?
この騎士は王族に近いのかな。それともよほど高い位置の貴族。今の発言は孫王子の前でありなんだ。普通は言えないよ。
その後の料理は、肉と煮魚(まってましたー)、デザートのクッキー?だった。正直肉はラオンの方がおいしかったし、クッキーとよぶには大きくて甘くなかった。せめてアイスかシャーベットがほしいことだった。煮魚はおいしかったけど。やっぱり魚料理はこの国おいしいわ~。
料理の後は、場所を移動して歓談。ここで王妃、孫王女&王子とセリカ王女、アデルは退出。お酒タイムである。飲むのはほとんど男性だったけど。なんか強そうな感じがしたので手は出さなかった。
「ディタ殿」
リンゴのお酒なら大丈夫かなーと迷っていたところに、声をかけられた。杖持ってるから魔法使だ。わかりやすい。私はさっさと杖を入り口にかけてきたよ。
「うちの魔法使が大変失礼をした。申し訳ない!」
え?なんのこと?誰が説明プリーズ。あれ。ヨゾンとデレスの『おまえ何やったんだ』疑惑の目とマミヤの心配そうな顔。私のせいか?!
「あの、とりあえず顔を上げてください。えっと私には何のことか」
「ジンガ、どういうことだ」
王もこっち来ちゃったじゃないかー。大事になっちゃうよ。本当にわからないって。ヨゾンに首と手をふる。
「はっ。魔法使の一人がディタ殿に『サーチ』をかけてはじかれた、と」
さーち?検索?もしかして入ったときの不快感?
この人偉い人だね。おっと魔法使局長だった。それが頭を下げるくらいヤバイことしたってこと?
「ディタ殿、城とホールの結界に気づかれましたよね?」
うん、見てたのまずかった?!
「すごくきれいで、特にホールの三重結界はぶ厚くてすごいな、と思いましてつい」
「そうなのか?」
なぜ王が聞くのだ?
「そうです。あれこそ長年の研究の成果です!」
えっと…すごいですね?えっへん、な姿に一歩引くよ。
「結界は、普通目に見えないし、感じても少しだ」
まじまじと見ちゃいけないものなのね、はい。
「申し訳ありません。ディタは外に出たことがなく常識が欠けておりまして」
なぜかヨゾンに頭をつかまれて下げられる。やめてよ、髪型くずれるじゃん。言ってくれればいいのさ。
「いえいえ、ディタ殿の魔力は予想以上に高い。それに暴走したバカがサーチを勝手にやらかしまして」
バカ、ていったよこの人。のほほんとしたおじさんかと思ってたら。
多分、サーチは勝手にかけてはいけない。許可なくかけるのはマナー違反なのだろう。気持ち悪いものだしね。
「晩餐会後、すぐに殴っておきました」
え、殴った?ダルシア側は聞き間違いかとギョッとしてるが、マウシャ側は納得顔。てことは日常茶飯事なのか。大丈夫か、その人。
「で、ではお互いそれでよしとしましょう」
ヨゾン、大人だよ。年長者だけあってささっとこの話題を終わらせた。
後始末がありますので、とジンガはさっと部屋を出ていった。どうやら王に報告したかったようだ。まあ、国際問題になると不味いもんね。
「魔力バカは、魔力にしか興味ないんですよ」
さっき隣に座っていた騎士ガーゼイがグラス片手に言った。バカって名前じゃないよね?
「バカの興味をひいたあなたは、近づかない方がいいと思いますよ」
こわー。もうこないわ、城に。反対に城には私の護衛が必要じゃない?
「そうします」
ストーカー候補には会いたくないわー。
「先程も思っていたのですが、そのイヤリングはもしかして三日月の女神ですか?」
気づいてくれた?こういうちょっとしたものにマメに気付く男の人はもてるぞー兄ちゃん。
「そうです。昨日運のいいことに出会えまして。歌が好きすぎて小鳥になってしまったと、教えていただきました」
「女性に人気の女神ですよ」
だろうねぇ。見た目も可愛いし。
「普通は黄色なんですけどね、丁度いい宝石がなかったのかな」
…という独り言は聞かなかったことにする。ヨゾン、今は聞いてくれるなよ?つい目をそらしてしまった。
カオパッチ、館でも出してくれないかな。帰ったら聞いてみよう。なんなら材料買ってきて自分でやろうかしら。
お酒もカクテルみたいで果実酒がそろっていておいしかった。これも買って持ち帰ろうっと。
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