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冒険者へ
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ん…。目を開ける。よく寝たなあ。お腹すいたわ。そしたらグウとお腹がなった。正直だ。心とお腹は連動してるのね。
顔を洗ってなんか食べよう。作り置きがなにかあったはず。
「いて…て」
なんか体がバキバキなんですけど。筋肉痛?いてて、と悲鳴をあげながら体を起こす。
「!」
…どこだ?宿のベッドじゃなかった。なに、この固いベッドは。いや、木というか板に布がかぶせてあるだけのとても寝床とはいえないモノだ。真っ暗ではないが暗い。見回してすぐわかった。牢屋だわ、ここ。鉄格子があるもの。
…思い出した。五層のラスボス倒してダンジョン出て(というかとばされた?)、砂浜でお嬢様に会い、剣士に剣を向けられて…。そのあとの記憶がないな。
おそらく魔力の使いすぎで気絶して、ここに運ばれそのまま寝てしまい今起きた、と。
服は乾いている。ボディバッグもかけたままだ。…うん、たぶんこれ取り上げられなかったんだろうね。ダンジョンで万が一離れちゃいけないと思って、『私』に固定してたから。
とりあず着替えるか。牢屋の外に見張りはいなかった。私がいうのもなんだけど不用心だな。簡単に脱獄できちゃうじゃん。
一応テントを出して、中でさっと着替える。もう早着替えも慣れたもんさ。ドライとクリーンもかけて。つけていた宝石を確認する。うーん、ほとんど魔力が残っていなかった。割れてはいないし、ヒビも入っていないから一安心。つまり、リバイアサンの時ほどではない。でも、思ったより使ったんだなぁ。最後は予想外の使い方しちゃったけどね。
そりゃよく眠れるはずだよ。体力も神経も魔力も使い果たしたんだから。今の気分はいい。睡眠は偉大な魔力回復方法だよね。
毛布を出して、いつものティーセットとフィッシュバゲットを出して食べ始める。
今何時なんだろう。ダンジョンにテント置きっぱなしなんだよね。どうなったか気になるわ。
暗いのはここが牢屋だからか、地下か夜だからかもわからない。一応檻の外側にぼんやりした灯りはある。
ふ~落ち着いた。あたたかいものをお腹に収めると、一息つける。
早くここを出たいんだけど、どうしたらいいかな。ギルドに手紙をとばしたい。メモ用紙あったな、確か。書くことができ手紙は書けても、これをギルドに届けるにはどの魔法がいいか。
レター?運ぶ?郵便?知らせ?
紙だけでひらひら宙を飛んでたらおかしいから、形は動物に擬態がいいと思う。ここだとネズミとか?駆除されたら終わりだな。じゃあ定番の小鳥とか?目立っても困る。
壁側には何もないから、牢屋の檻から外に出すとして。
「なんだ?」
この檻は何か魔法が施されている。
魔力を通さない?魔力の吸収はされていない。はじかれるというか、単純に通れない感じだ。電気が流れない、みたいな。
ほお。ただの牢屋じゃなかった。そうなると仕組みが気になってくる。
『サーチ』
ふむ、檻の上部端左右の石か。よく注意して見ないとわからない、というか中に埋め込まれてるじゃん。これはパッとみただけじゃ気づけない。そこにある、と思って見ないと。多分、あれを壊せばいけそうだけど。
今、サーチが使えた。ということは、私の座るここでは魔法が使えるのだ。壁をぶち抜いて外に穴を開けるのは可能かなぁ。それこそ脱獄指名手配犯だ。
誰かここに来るまでとりあえず様子見しかなさそうだなぁ。
しかし冷える。食べ終わると冷えを感じる。石は冷えるよ~。あの檻の手前までを設定して、空気を暖めよう。クーラーの反対である暖房設定を。
はあ~快適。適度な温度っていいよね。やることないなぁ。本の一冊でもこっちに入れておくんだった。海中では絶対読まないから必要なしと思ってたからさ。どんな事が怒るかわからないものだ。どうせ荷物の重さを感じないなら何でも入れておくのだったわ。
クッキーをかじる。デザートだよ。甘いモノも補給しないとね。
まずここの場所を知りたい。それからギルドの連絡をとりたい。冒険者タグはあるから冒険者であることの証明はできる。もう調べられてるかもだけど。弁明するにもギルドという公正な立場の人を間に入れた方が信用してもらえるだろう。
ん?音が聞こえてきた。人の歩く音だ。一人だな。見回りの人かな。カツンカツンと石の上を歩く音だ。
「っ!なっ」
「こんにちわ。あのー」
見回りらしき人は、慌てた様子で私を指さした。
人に指をさしてはいけません、と教わらなかった?
「なっなにをしている!」
「え?お腹がすいたので食事ですけど?」
「そ、そうか。…いやいやっ誰かっ」
ばたばたと慌てて走っていった。もうカツンカツンという音ではなかったな。
ご飯食べちゃだめだった?牢屋の中は飲食禁止とか?張り紙ないしー、こっちはお腹すいてて他にやることもないしさ、仕方ないと大目にみてくれるといいなぁ。
うん、腹八分でやめておこう。いや…あと一枚。がんばったし、私。ん~おいしい。クッキーも常備品だ。バリエーションがいくつかあるからね。飽きないのだ。
あと片づけをしておこう。すぐにさっきの人戻ってきそうだし。カップと皿とポットを『ディッシュウォッシャー』かけて。
「なんの魔法だ?!」
あ、もう戻ってきた。連携早いわー。あの剣士だ。もう剣を向けられてるし。怒った顔はそう簡単に忘れられないからねぇ。
「今、食器洗ってるのでちょっと待ってください」
小さい机と毛布も一緒にボディバッグにしまう。忘れ物はないかな?うん、OK。
「おまたせしました」
「え」
「え?」
なんだよ。その剣士だけでなく、後ろの三人もこっちを驚いた顔で見ていた。
「…杖はどうした」
杖?ああ。バッグから杖を出す。
「ひいっ」
まだボスがつないたままだったわ。いい角度で兵士たちを見ている(笑)うん、驚くよね。驚かせるつもりはなかったけど、笑っちゃってごめんよ。
「しまえしまえっ」
?出せと言ったり、しまえと言ったりなんなんだ?言われた通りにはしますけどー。
「その魔物はなんだ?魔法使ではなくてテイマーか?」
「え?普通の魔法使ですけど。テイマーも杖使うんですか?」
出会ったことないんだよね。フルドラはテイマーじゃないって言ってたし。そもそもテイマーは生きてるモノをつかうよね?
「…使わない」
ならなんでテイマーか?なんてきくのよ。あ。
「これ死んでますよ?」
「そう、なのか?」
「ええ。深海宮のボスです」
「「「えっ!」」」」
生きてると思ったのか。ーなんでさ?半分もないじゃないか。そういうう魔物もいるとか?こわー。アンデット系は苦手だ。どっかで聖水を買っておこうかな。
「冒険者、であってたのか」
「そうですよ。あのー、ここどこでしょうか」
やはりタグで身元確認はされていたらしい。この人はまだ疑ってるみたいだけど。
「ドットイニ家の別邸です」
この場にそぐわない女の子の声がした。
「お嬢様?!どうしてここに。ここには来てはいけない、と」
「大丈夫ですよ~」
「大丈夫、じゃないと思います。しかられますって。早く上に戻りましょうよ」
また、新しい声だ。今度は疲れた声だな。さっき砂浜にいたもう一人の人だわ。
「トト。なぜここにつれてきた」
剣士は怒ってるよ?
「つれてきたんじゃない」
「ええ、わたくしが一人で来たのです。それよりも早くここから出してあげてください。こんな寒い地下牢に入れるなんて」
お嬢様怒ってくださってる~。
兵士が鍵をだし、錠を回し檻を開けた。
「ごめんなさい。わたくしが早く気づいていれば」
ん?むしろ泣きそうなんだけど。状況がわからないな。なぜこのお嬢様が謝るのか。疲れていたのでよい休憩になりました。
「大丈夫ですよ?よく眠れましたし、温度も上げて食事もとれて。私は寒くも窮屈な思いもしていません」
「上げる?食事?」
キョトンと首をかしげる姿が似合う!かわいい~。
「確かめろ」
「え、は、はい」
おそるおそる見張りの兵士が檻の中へ入ってきた。そんなビクビクしなくても大丈夫だよ?何もしないって。
「別に変わりは…。おわっあったかい?!なんで?!」
だから温度上げた、て言ったじゃん。
「冒険者、何をした?」
貴様から冒険者に格上げされた。やったね。
「だから、さっき言ったそのままですって。この檻って魔法を通さないでしょ?だから、そこらへんから部屋全体の空気を暖めただけ」
みんなが?状態だ。そんなに言ってること難しいかな。
「まあ、よく牢屋の仕組みをご存じなのですね」
「この中なら魔法使えますし」
部屋全体にかかってなくてよかったよ~。寒いのは我慢できないからね。
「魔法使なのですね。ぜひともお話を聞かせていただきたいですわ」
う~ん、そんなキラキラした瞳で見られても、冒険話なんてないよ?主に食材を採っている冒険者なので。
「お嬢様下がってください。トト」
「はいはい。お嬢様、上の部屋でお話を伺いましょう。ここは冷えますから」
「そう、ね。少し冷えたわ」
そういえば、療養中とか言ってなかったっけ?大丈夫なのかな、こんな所に来て。
「出ろ」
空間の外に出る。
顔を洗ってなんか食べよう。作り置きがなにかあったはず。
「いて…て」
なんか体がバキバキなんですけど。筋肉痛?いてて、と悲鳴をあげながら体を起こす。
「!」
…どこだ?宿のベッドじゃなかった。なに、この固いベッドは。いや、木というか板に布がかぶせてあるだけのとても寝床とはいえないモノだ。真っ暗ではないが暗い。見回してすぐわかった。牢屋だわ、ここ。鉄格子があるもの。
…思い出した。五層のラスボス倒してダンジョン出て(というかとばされた?)、砂浜でお嬢様に会い、剣士に剣を向けられて…。そのあとの記憶がないな。
おそらく魔力の使いすぎで気絶して、ここに運ばれそのまま寝てしまい今起きた、と。
服は乾いている。ボディバッグもかけたままだ。…うん、たぶんこれ取り上げられなかったんだろうね。ダンジョンで万が一離れちゃいけないと思って、『私』に固定してたから。
とりあず着替えるか。牢屋の外に見張りはいなかった。私がいうのもなんだけど不用心だな。簡単に脱獄できちゃうじゃん。
一応テントを出して、中でさっと着替える。もう早着替えも慣れたもんさ。ドライとクリーンもかけて。つけていた宝石を確認する。うーん、ほとんど魔力が残っていなかった。割れてはいないし、ヒビも入っていないから一安心。つまり、リバイアサンの時ほどではない。でも、思ったより使ったんだなぁ。最後は予想外の使い方しちゃったけどね。
そりゃよく眠れるはずだよ。体力も神経も魔力も使い果たしたんだから。今の気分はいい。睡眠は偉大な魔力回復方法だよね。
毛布を出して、いつものティーセットとフィッシュバゲットを出して食べ始める。
今何時なんだろう。ダンジョンにテント置きっぱなしなんだよね。どうなったか気になるわ。
暗いのはここが牢屋だからか、地下か夜だからかもわからない。一応檻の外側にぼんやりした灯りはある。
ふ~落ち着いた。あたたかいものをお腹に収めると、一息つける。
早くここを出たいんだけど、どうしたらいいかな。ギルドに手紙をとばしたい。メモ用紙あったな、確か。書くことができ手紙は書けても、これをギルドに届けるにはどの魔法がいいか。
レター?運ぶ?郵便?知らせ?
紙だけでひらひら宙を飛んでたらおかしいから、形は動物に擬態がいいと思う。ここだとネズミとか?駆除されたら終わりだな。じゃあ定番の小鳥とか?目立っても困る。
壁側には何もないから、牢屋の檻から外に出すとして。
「なんだ?」
この檻は何か魔法が施されている。
魔力を通さない?魔力の吸収はされていない。はじかれるというか、単純に通れない感じだ。電気が流れない、みたいな。
ほお。ただの牢屋じゃなかった。そうなると仕組みが気になってくる。
『サーチ』
ふむ、檻の上部端左右の石か。よく注意して見ないとわからない、というか中に埋め込まれてるじゃん。これはパッとみただけじゃ気づけない。そこにある、と思って見ないと。多分、あれを壊せばいけそうだけど。
今、サーチが使えた。ということは、私の座るここでは魔法が使えるのだ。壁をぶち抜いて外に穴を開けるのは可能かなぁ。それこそ脱獄指名手配犯だ。
誰かここに来るまでとりあえず様子見しかなさそうだなぁ。
しかし冷える。食べ終わると冷えを感じる。石は冷えるよ~。あの檻の手前までを設定して、空気を暖めよう。クーラーの反対である暖房設定を。
はあ~快適。適度な温度っていいよね。やることないなぁ。本の一冊でもこっちに入れておくんだった。海中では絶対読まないから必要なしと思ってたからさ。どんな事が怒るかわからないものだ。どうせ荷物の重さを感じないなら何でも入れておくのだったわ。
クッキーをかじる。デザートだよ。甘いモノも補給しないとね。
まずここの場所を知りたい。それからギルドの連絡をとりたい。冒険者タグはあるから冒険者であることの証明はできる。もう調べられてるかもだけど。弁明するにもギルドという公正な立場の人を間に入れた方が信用してもらえるだろう。
ん?音が聞こえてきた。人の歩く音だ。一人だな。見回りの人かな。カツンカツンと石の上を歩く音だ。
「っ!なっ」
「こんにちわ。あのー」
見回りらしき人は、慌てた様子で私を指さした。
人に指をさしてはいけません、と教わらなかった?
「なっなにをしている!」
「え?お腹がすいたので食事ですけど?」
「そ、そうか。…いやいやっ誰かっ」
ばたばたと慌てて走っていった。もうカツンカツンという音ではなかったな。
ご飯食べちゃだめだった?牢屋の中は飲食禁止とか?張り紙ないしー、こっちはお腹すいてて他にやることもないしさ、仕方ないと大目にみてくれるといいなぁ。
うん、腹八分でやめておこう。いや…あと一枚。がんばったし、私。ん~おいしい。クッキーも常備品だ。バリエーションがいくつかあるからね。飽きないのだ。
あと片づけをしておこう。すぐにさっきの人戻ってきそうだし。カップと皿とポットを『ディッシュウォッシャー』かけて。
「なんの魔法だ?!」
あ、もう戻ってきた。連携早いわー。あの剣士だ。もう剣を向けられてるし。怒った顔はそう簡単に忘れられないからねぇ。
「今、食器洗ってるのでちょっと待ってください」
小さい机と毛布も一緒にボディバッグにしまう。忘れ物はないかな?うん、OK。
「おまたせしました」
「え」
「え?」
なんだよ。その剣士だけでなく、後ろの三人もこっちを驚いた顔で見ていた。
「…杖はどうした」
杖?ああ。バッグから杖を出す。
「ひいっ」
まだボスがつないたままだったわ。いい角度で兵士たちを見ている(笑)うん、驚くよね。驚かせるつもりはなかったけど、笑っちゃってごめんよ。
「しまえしまえっ」
?出せと言ったり、しまえと言ったりなんなんだ?言われた通りにはしますけどー。
「その魔物はなんだ?魔法使ではなくてテイマーか?」
「え?普通の魔法使ですけど。テイマーも杖使うんですか?」
出会ったことないんだよね。フルドラはテイマーじゃないって言ってたし。そもそもテイマーは生きてるモノをつかうよね?
「…使わない」
ならなんでテイマーか?なんてきくのよ。あ。
「これ死んでますよ?」
「そう、なのか?」
「ええ。深海宮のボスです」
「「「えっ!」」」」
生きてると思ったのか。ーなんでさ?半分もないじゃないか。そういうう魔物もいるとか?こわー。アンデット系は苦手だ。どっかで聖水を買っておこうかな。
「冒険者、であってたのか」
「そうですよ。あのー、ここどこでしょうか」
やはりタグで身元確認はされていたらしい。この人はまだ疑ってるみたいだけど。
「ドットイニ家の別邸です」
この場にそぐわない女の子の声がした。
「お嬢様?!どうしてここに。ここには来てはいけない、と」
「大丈夫ですよ~」
「大丈夫、じゃないと思います。しかられますって。早く上に戻りましょうよ」
また、新しい声だ。今度は疲れた声だな。さっき砂浜にいたもう一人の人だわ。
「トト。なぜここにつれてきた」
剣士は怒ってるよ?
「つれてきたんじゃない」
「ええ、わたくしが一人で来たのです。それよりも早くここから出してあげてください。こんな寒い地下牢に入れるなんて」
お嬢様怒ってくださってる~。
兵士が鍵をだし、錠を回し檻を開けた。
「ごめんなさい。わたくしが早く気づいていれば」
ん?むしろ泣きそうなんだけど。状況がわからないな。なぜこのお嬢様が謝るのか。疲れていたのでよい休憩になりました。
「大丈夫ですよ?よく眠れましたし、温度も上げて食事もとれて。私は寒くも窮屈な思いもしていません」
「上げる?食事?」
キョトンと首をかしげる姿が似合う!かわいい~。
「確かめろ」
「え、は、はい」
おそるおそる見張りの兵士が檻の中へ入ってきた。そんなビクビクしなくても大丈夫だよ?何もしないって。
「別に変わりは…。おわっあったかい?!なんで?!」
だから温度上げた、て言ったじゃん。
「冒険者、何をした?」
貴様から冒険者に格上げされた。やったね。
「だから、さっき言ったそのままですって。この檻って魔法を通さないでしょ?だから、そこらへんから部屋全体の空気を暖めただけ」
みんなが?状態だ。そんなに言ってること難しいかな。
「まあ、よく牢屋の仕組みをご存じなのですね」
「この中なら魔法使えますし」
部屋全体にかかってなくてよかったよ~。寒いのは我慢できないからね。
「魔法使なのですね。ぜひともお話を聞かせていただきたいですわ」
う~ん、そんなキラキラした瞳で見られても、冒険話なんてないよ?主に食材を採っている冒険者なので。
「お嬢様下がってください。トト」
「はいはい。お嬢様、上の部屋でお話を伺いましょう。ここは冷えますから」
「そう、ね。少し冷えたわ」
そういえば、療養中とか言ってなかったっけ?大丈夫なのかな、こんな所に来て。
「出ろ」
空間の外に出る。
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