日溜まりの手を握る

巳島柚希

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日常(後編)・詰襟

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 校門の脇に立つ、目立つ大きな男の前で、俺は渋々立ち止まった。周りの生徒が疎らに視線を向ける。
「じゃ、行くか」
 遠島は呑気に歩き出した。しばらく歩き、駅前まで来た所で話しかける。
「なあ、ちょっと。目立つから校門はやめて」
「え?」
「それなら普通に、教室で声かけてくれた方が助かるから」
 遠島にみおろされる。見られているだけだが。
「あー。Subって隠してるから?」
「それもあるけど。お前見た目がヤバいんだよ。まだ制服着てないし」
 金髪だし。
「そういうね。でも、教室で話しかけていいの?」
「まあ。噂って漠然と立てられるのが一番ヤバいし。教室の方がまだ弁明も楽っていうか」
 それに別に、教室でハブられでもお前がいるじゃん。
(!? なんつーことを!?)
「ごほっ、げほげほっ」
「どした? 大丈夫か?」

 ファミレスのボックス席に座った。念の為、窓からあまり覗き込まれない位置の。
「好きなもん食べろよ」
「また奢る気か?」
「大丈夫、ちゃんとバイトするから」
「してねぇのかよ……」
「こちとら引っ越してきたばっかだぞ」
「ああ……」
 とりあえず、ポテトとドリンクバーにした。
「えっと。ネット知識なんだけど。Dom/Subのパートナーの主導権はSubにあるんだろ。だからSafe wordとか、お前に決めてほしくて」
「まあ当然だな」
「あ……そのことも聞きたくて。別に断っていいんだぞ」
「は?」
 今更? あんなPlayしといて、今更言う?
「いや、無理矢理commandも使ったし、Domとして相応しくないって言われても、しょうがないと思ったから……色々、複雑なんだろ。だからここではっきり、お前が決めていいって言ったほうが、いいんかなって思って」
 遠島は、もじもじとコーラに入ったストローをいじる。そんな態度を取るなら、最初から俺のものになれって言えばいいのに。
「チッ……気にしてねえ。逆に、そういう煮えきらない態度取られる方がムカつくんだよ」
「そうなの?」
「そうだよ。俺達は……その。ど、Domに……」
「……うん?」
「ふ、不安になる、んだよ!」
 がっと顔が熱くなり、メロンソーダをがぶ飲みする。
「ドリンクバー行ってくる!」
(ば、ばば馬鹿馬鹿馬鹿。何いってんだ俺)
 そういえば、俺も兄以外のDomと初めて付き合うというか、喋る。今更ながら胸が早鐘を打ち出す。
(変なスイッチ入ったかも)
 席に戻る。
「えっと、とりま、ありがとう」
 突然の感謝に、メロンソーダを置こうとした手が止まった。
「え? なに、なんで?」
「だって哉兎は、俺のパートナーになってもいいってことだろ?」
 遠慮がちに、しかし芯の強い瞳。それが俺を捕らえて、離したくないと言っている。例にももれず、ぞくりとした。
「お、おう」
 兄の顔が頭を掠める。お腹のあたりが締め付けられるように、痛い。僅かに息を吐く。
「なら、Safe wordとお仕置き、決めるか?」
「Safe Wordはともかく、お仕置き、も?」
「嫌なことしたり、罵倒するのは、たまにはいいかもだけど、あんまり良くない、だろ」
「ああ……確かに。そうかも」
「踏み込んだことは追々な。それに、嫌なことは知っとかないと」
「踏み込んだって、何? セックス?」
「コラ」
 遠島が凄んだ。どきりと手が止まる。
「ごめん……」
「? ……あ、わりぃ。Glare出た?」
 前途多難。こいつより、俺が。

「Safe Wordは「助けて」か。分かりやすくていいな」
「で……お仕置きどうする」
 しばらく二人で話し合い、破ったノートに嫌いな物とか、土下座とかビンタとか、お仕置き方法が書かれている様は、非常に滑稽だ。そして、遠島が切り出した。
「……俺、考えたんだけど。人参食うっていうのはどう? 」
「は?」
 心の底から、は? が出た。ここまで理解できていない、は? もないと思う。
「人参? 俺人参嫌いなんだけど」
「だからだよ。暴力なし。健康的。でもお仕置き」
 遠島の目は本気だった。
「そ、そんなに食ったら、腹壊さねえかな」
「そんなに食うつもりなのか?」
「……いや……」
「じゃあ、明日から人参持ってくるわ」
 いたずらっぽく笑う彼に、心臓がぴくんと跳ねた。俺はこの変な男に、一体何を期待しているのか。自分が怖い。

 話し合いを終えて、適当に趣味の話をして、夕食を食べて。ファミレスを出ると星が見えた。
「もう暗くなってる」
「送るわ」
「いや、いいよ。家近いし、一人暮らしだから」
「……やっぱり送るわ」
 押し問答していたら俺の家についてしまった。五階建ての、古いアパート。中はリノベーション済み。
「超近ぇ。毎日送るわ」
「なんでだよ。いらねぇから」
「だって、俺の家もこの辺だし」
「どこ?」
「あの、見えるマンション」
 指さした方には、夜空にぼんやり光る、長方形のバー。
「割と高層……」
「一階だよ」

 玄関に入って扉を閉めた瞬間、呆けたため息をつく。
 あれで良かったのかな? 楽しかった。けど。Domと付き合うってなんかこう、もっと厳かな? 貞淑な? 感じだと思っていた。
(これは兄の趣味か)
 兄と出かける時、俺は兄好みの落ち着いた服を着た。だからそう思うのかもしれない。
 部屋着に着替えて、ベッドの前にどっかりと腰を据える。
 もう、後戻りはできない。こうなったら、俺は……。パートナーを。
 そう思った瞬間、激しい吐き気に襲われる。
 口を抑えて、胃酸が混じった夕食が胃に戻るのを待つ。初めて遠島と食べた食事を、吐きたくなかった。収まってくる。身体に許されたような気がして、ほんの少し胸が軽くなった。


4.詰襟

 次の日。
 教室に入るのが躊躇われた。俺は家が近いのもあり、五分前に来る。だから遠島は絶対もういる。挨拶、したほうがいいだろうか。急に仲良くなったって怪しまれる? でも性分として、挨拶はしたい。
「哉兎、挨拶は?」
 そんな、今より幼い兄の声が脳髄に響く。なんとも言えない気分になった。薬で吐き気は出ない。教室に入ると、すぐに席に座る彼が目に入った。
「哉兎。おはよー」
「……はよ」
 歩きがてら、多田らに軽く挨拶を。真っ直ぐ、遠島に向かっていく。そして。
「おはよう、遠島」
 遠島は一瞬、呆気にとられた顔をしたが。
「おはよう」
 すぐに微笑んでそう、返した。

「お前ら、いつ喋ったんだよ」
 窓の外をぼんやり見ていた俺は、え? と聞き返す。
「最近変だよな。お前」
「ごめん。バイト入れすぎてて……疲れが」
「なんでそんなバイト入れんだよ。金ないの?」
「いや……グラボ欲しくて」
 多田が吹き出す。つられて笑った。本当は遠島のことばっかり考えて、お前の話を聞いていないだけだけど。
「なんでグラボ? ユーチューバーすんの?」
「ゲームだよゲーム」
「てか、遠島だよ。お前ガチで話しかけてさ」
 くそ。話が戻った。
「あー遠島ね。初日に掃除手伝って貰ったんだよ。で、だべって」
 俺はなぜ、こうもサラサラ嘘が出てくるのか。
「へー。どんな奴なの」
「うー……ん。割と、普通の奴。不良ではなかったかな。今のところ印象は」
 なるべく当たり障りのないことを言う。遠島もDomだということを公表していないようだが、あまり深堀りされるとボロが出そうだ。多田はふーんと生返事をした。どう思ったのかは知らない。

 放課後。俺達はまたプレハブ小屋の裏にいた。
「sit」
 ベンチに座り、大人しく待つ。前に立った遠島が、鞄から何かを取り出した。
「じゃーん」
「……本当に持ってきた」
 その手には、ジップロックに入ったスティック型のオレンジ色が。
「ほら保冷剤も入れてきたぞ。人参」
「ご、ご丁寧にどうも」
 おそらく生だ。煮たやつの方が嫌いというか、生食ったことないけど。やばい、いざ目の前にするとめっちゃ嫌だなこれ。
「眉間にシワいってんぞ」
「だ、だって」
「食べ物にそんな顔するな」
「は、い……」
 するな、と言われただけで「入り」そうになり困惑する。今は薬が効いているからくらくらするぐらいだが、もし何もなかったら、とんでもない痴態を晒すかもしれない。遠島が人参を取り出す。
「ふはは、これ見られたら一発アウトだな」
「こ、こんどから、俺の家で、やろ」
「え」
「ん……?」
 俺、何か変なこといったか?
「う。うん。そうだな。じゃ「口を開けて」」
 口を開ける。経験から、遠島が欲情したのが分かってしまった。これ以上開けていたら、性懲りも無くよだれを垂らしてしまいそう。その寸前で、口に人参が放り込まれる。根菜の土臭い味が、硬さとともに襲ってくる。
「ぐっ」
「飲み込め」
「ん……んむ……」
 これから生の人参は食べられない。きっと食べるたび、遠島の顔が浮かぶ。
「口、開けて。……うん。全部飲み込めて偉いな。初めてなのに、よく頑張った」
 遠島の愛撫を享受する。
 ああ。来週はきっと、俺は薬を飲まない。

「……たんだぜ。面白いよな!」
「マジで? そんなことあるんだ」
 部屋で寛いでいると珍しく、兄がPlay以外で電話をかけてきた。きっと、この前メンヘラなことを言ってしまったから、心配しているのだろう。罪悪感と、久しぶりに弟として話せる喜びが、心を出入りする。
「どうだ。学校……それに一人暮らしもか。心配事はないか」
「うん。何とかやってるよ……兄ちゃんは? あと、半年だろ留学」
と、俺のタイムリミット。
「うん。そうだな。予定より早く帰るかも」
「……え?」
 手先がじわりと冷たくなる。
「そ、そうなんだ。上手くいったんだな」
 よくわからない返事をしてしまう。落ち着け。怪しまれるぞ。
「哉兎。何か悩み事でもあるのか」
「ん。なんで?」
「この前から少し様子がおかしい」
「……それで早く帰ってくるとか言ってんの?」
「え。いや……」
「そういうのやめろよ。俺のためって、我慢されても。き、気分悪いから」
「哉兎……」
「とにかく! 俺のためとかだったら、許さねえから。じゃあ……また、ね」
 震える手で、一方的に通話終了を押す。これ以上言及されたら、話してしまいそうだ。話してしまったら、終わりだ。兄には経済力がある。俺をアメリカに連れていって、養うぐらい造作もないだろう。そうしたら多分、二度と学校に行くことはない。知り合いもいない土地で、言葉も通じなくて。そしたら。
 膝を抱え込む。兄を愛しているのに怖い。本能的な執着と被支配欲求が、意思を飲み込もうと大きな口を開ける。スマホに手が伸びる。
 俺は台所に走り、水道水で緊急用の抑制剤を飲んだ。そして倒れるように眠り込んだ。

 安臭いチャイムの音で目が覚める。それは何度も鳴って、ようやく状況を理解する。チャイムが……。あ。
「やばっ……あっ、っぁ~……っ!!」
 飛び起きた瞬間、鋭い頭痛に襲われ頭を抱える。まずい。何時だ。八時二十分!?!??
「くそっ!」
 いつも使っているのと少し違う薬剤にしていたのを、今思い出す。薬が合ってなかった。何とかふらふら立ち上がり、昨日と同じ位置にあるスマホを見ると、今まさに通知が来ている。一番上の三つは、遠島。そしてそれ以下に続くのは、兄貴の着信。二重三重の大パニックだ。
 と、とにかくチャイムを止めないと。急いで玄関扉を開ける。
「はっ、はい!」
「おっ……哉兎、もう間に合わないぞ」
 遠島だった。彼の詰め襟を見て、へなへなと座り込む。
「大丈夫か!?」
「……うう……」
 今日、遠島と一緒に登校する約束をしていた。体の辛さと自らの不甲斐なさが襲ってきて、視界が滲む。
「よっと」
 そんな俺は、宙に舞い上がった。遠島の顔を右下から見上げる。……お姫様抱っこ。
「な、何を」
「邪魔するぞ」
 遠島が俺の部屋に入ってきた。しかも俺は姫抱きされて。つまり、顔から火が出そうだ。ベッドに降ろされる。
「冷蔵庫開けていいか? 何か飲んだほうがいい」
「遠島、学校は」
「ちょっと遅れていく」
「だ、駄目だ。俺も行くし……」
「今日は休め。お前は半年通ってんだから、誰もおかしく思ったりしねぇよ」
 遠島はテキパキとお茶を入れ、パンを焼いてくれる。
「食えそうだったら食え」
「う、うん」
「あ。人参置いていくわ」
 そ、そんなのいらね……。
「いる……」
「はは、うさちゃんみたいだ」
 うさちゃん? 誰だ……あ、兎のことか。
 遠島は微笑み、人参を俺の口に放り込んだ。
「う、嫌いって言ってんのに……」
「褒めてほしいんだろ?」
 サディスティックな響きに、何も言えなくなる。手のひらの上で転がされて夢見心地な変態。頭痛が、消える。
「Good……帰ったらいっぱい褒めてやる」
 いってます、といって玄関に歩いていった遠島を、ベッドの上からぼんやり眺めた。今とても、すごい物を見た気がする。
(とりあえず……病院行こう)
 そして、病院通いに慣れきった十六歳である。その時、電話が鳴った。ディスプレイの文字は兄貴。
「……いい、タイミング……」
 取る。
「もしもし」
「哉兎! お前っ、心配したんだぞ」
「ごめん……寝落ちしちゃった」
「そんなに疲れてたのか? 大丈夫か?!」
「疲れて……いや、薬が。ちょっと合ってなかったみたい」
「薬?」
「うん」
「……ごめん。俺が変なこと言ったから、不安にさせたんだな」
「いい、機嫌が悪かったのは俺だし」
「今日は学校、休んだんだろ? 今から……」
「いや。午後から行くから……大丈夫。心配しないで」
 いつの間にか、そう言っていた。

 少し前から洋間に座り込んで、オレンジ色に染まる空をベランダのガラス戸がら眺めている。病院行ったりなんだりしているうちに、今日が半分終わりかけていた。気の抜けた気分だ。
 しかしそれも、玄関のチャイムで全て吹き飛ぶ。急いで扉を開けようとして、あまりに必死すぎると引かれるかもしれない、という理性が働き、緩慢だったふりをした。そこにいた遠島に、ほっとする。
「お、おう。入って」
「ん。邪魔する」
 男はするりと入ってきた。詰め襟の彼を見て、よそ行きの服に着替えた己が少し恥ずかしい。
「これ。お土産」
 そして袋を手渡された。中には少量のお菓子とレトルトのお粥が入っていた。

「大丈夫だった? 風邪か?」
「ううん……昨日飲んだ抑制剤が合わなかったみたい。病院行って変えてもらった」
 俺達に挟まれたテーブルには、遠島が買ってきてくれたお菓子が広げられている。
「え、常用のやつ変えたのか……?」
「うん。お試しみたいな」
 そう言うと遠島は一応、納得したような顔をしたが。
「まさか、他のDomに襲われたんじゃないよな」
「ち、違う。それは絶対ない」
「そっ、か。良かった……何かあったら、すぐ連絡してくれよ」
 うん、と言いながらお菓子に手を伸ばす。危ない。まだ遠島に兄のことを言うわけには。
 そう思って、ふと考える。俺は兄も遠島も、二人とも騙している。今、とんでもないことをしてしまっている。
 罪が溜まっていく。これが溢れる前に、俺はどちらかに、真実を告げなければいけない。
「哉兎」
 遠島が、正座して膝を叩く。
「え?」
「おいで」
 突然の行為に思わず周りを見たが、ここは一人暮らしの自分の家。残るは遠島の視線だが、彼は至極真剣な視線を向けている。理性がぐらりと倒れた。側に寄る。
「なに……?」
「甘えていいぞ」
 その言葉に目を丸くする。
「えっと、なんで」
「お前、何か悩んでるんだろ」
「……あ」
「で。そういう時、誰かに甘えたくなるんだろ」
「……なんでそう思うの」
「勘」
 体も倒れて、俺は遠島の膝の上に座って、その体に寄りかかった。
「そ、そうきたか」
「膝枕はもてなされてるみたいで嫌」
 遠島の腕が俺を包んだので、こちらも腕を回してしがみつく。
 驚いた。生まれて初めて、甘えていいと諭された。生まれて初めて、甘えたを見抜かれた。鼓動は駆け足なのに、とろけるような温もり。
「ちゃんと甘えられて偉いな」
「ふ。……全肯定botかよ」
「そうだよ。Domの性分なんだ」
 遠島の顔を見つめた。
「それは、お前の性分だよ」

 薄暗い部屋に、自分一人の下品な声が響く。「は、っう、ん……」
 遠島が帰って、いつの間にか服を脱いでいた。
 自分の意志で、自慰に耽ることは滅多にない。性処理は基本、兄の管理下で行われる。
 ベッドに頭を預けた俺の、虚ろな目。そこには遠島が映っていた。あの後、膝の上でずっと何故遠島が勃っていないのか、素知らぬ顔で考えていた。興奮してくれていたら、すぐに誘ったのに。裸になって、跪いて、舐めたい。
「ああぅっ」
 左手で、やり場のない精子を受け止めた。呼吸が整って、思考が冷えてきて、今しがた考えた変態的なアイデアに血の気が引く。
(人として終わってる……)
 一口にSubといっても、性質は様々だ。ただ褒められたいだけの人、逆にお仕置きをされたい人。性的関係を求めない人。求める人。
(兄貴に抱かれたくないのは本当。だけど、別に友達みたいな。バディみたいな関係には)
 物足りない。
 ぞくりと、胸を衝動がなで上げる。遠島の大きな、暖かな体。そんな浮ついた気持ちには、真っ黒な現実が張り付いている。
 彼は、俺をそんな目で見るのか。同性のパートナーが気兼ねしないから、声をかけたんじゃないんだろうか。俺は遠島のこと、何も知らない。
「……それはアイツも同じか」
 そもそも俺が何も話せないのに、アイツのこと知りたいとか、都合良すぎ。
 情けなくなって、脱いでいたズボンをすごすごと引き寄せた。
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