天使な狼、悪魔な羊

駿馬

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第8章 旅は道連れ

8.宿での宴会

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私達は酒盛りの買い出しをするために、多くの民間人や商人、傭兵でごった返す市場に来た。

市場には果物や野菜、魚にお肉、ジュースやお酒などを販売するテントがズラリと並んでいて、見ているだけでもとても楽しい。



「市場は賑わってるね~!美味しそうな果物がいっぱいある!そこのお店、見ていっても良い?」


「構わねぇよ」


私は色とりどりの果物を販売しているテントに立ち寄った。
テントの木箱の中には、黄色のバナナ、赤いイチゴ、紫色のブドウなど沢山の果物がいっぱいで、甘い香りがふわりと香ってくる。




「いらっしゃい。今、このララバの実が旬だよ。買ってくれたらこの場で蜂蜜入りジュースにするよ」


私がどれにしようかと悩んでいると、店のおばさんが木箱の中に入った黄色の実を指差した。




「じゃあララバの実を2つお願いします。それとこのイチゴを1籠分お願いします」

ララバの実はイチゴよりも酸味があって、香りは良いが甘さが控えめで、蜂蜜との相性がすごく良い。
蜂蜜をかけてその黄色の実を食べようとすると、甘さが増して酸っぱさが気にならなくなるが、酔ってしまいそうなほどの芳醇な香りになる。その香りに具合が悪くなる人もいるらしい。

だから、実は直接食べるよりも蜂蜜入りジュースとして飲まれている。





「はいよ。毎度あり」


おばさんは黄色の皮から実の部分をくり抜いてボールに入れると、大きなスプーンで細かく潰し始めた。
ララバの実は皮は硬いが、中の実は熟したバナナのように柔らかいので、スプーンでも簡単に潰せる。潰し終わると、ボールの中に水と蜂蜜をかけて泡立て器でよ〜く混ぜ合わせ、紙のカップに入れてストローをさせば完成だ。



「はいルクト。あげる」


「ありがとな」


私がララバのジュースを渡すと、ルクトは無表情ながらも紙コップを受け取ってストローで飲み始めた。
ジュースを片手に人混みの中を歩きながら、おつまみになるものを買っているのだが、ルクトとレオンはよく食べよく飲むので、荷物がどんどん重くなっていく。



おつまみになる果物や料理を買い込んだ後は、お酒を売っているテントの前にやって来た。


「いらっしゃいませ。何にしますか?オススメはこちらの林檎の果実酒と、名水で有名なドール村特産のドールビールです」

ルクトが沢山のお酒が並べられた木箱を眺めていると、若いお兄さんが明るく声をかけてきた。





「じゃあ、そのドールビールの瓶を10本と、そこの一番デカイ酒瓶を20本」


ーールクト。合計30本って買いすぎじゃないの?2人ともよく飲むからっていうのは分かるけど、持って帰れるのだろうか。




「それと、その林檎の果実酒を3本。買った酒は宿に届けてくれ」


ーーあ、ルクト私が飲みたいと思ってたオススメの林檎のお酒選んだ!なんか息ぴったりになってきたなぁ。



「かしこまりました」


ルクトは宿の名前と部屋番号を告げると、お兄さんはメモをして後で届けてくれることになった。私とルクトの手には既に沢山のおつまみで一杯だったから、配達してくれるのはとても助かる。





買い物を終えて宿に向かう道を歩いていると、ルクトがいつも以上に私のそばにピタリと張り付いていることに気付いた。

ルクトはいつもと変わらない無表情だが、少しピリピリとした緊張感が感じられるから、王宮を出てから監視がつけられているのだろうと容易に想像できた。



そんな緊張感の漂う場面でも、ルクトからは洗濯物がカラッと乾いたような匂いを感じると、なんだか青空の下で大量の洗濯物を干している光景をイメージして和んでしまう。

彼はマメに上着を洗っているのだろう。清潔に気をつけるのは良いことである。






「俺のそばを絶対に離れるなよ。部屋に戻ったら、壁のドアの鍵を開けておいてくれ」


「うん」

部屋に戻るとすぐに壁の扉を開けて、ルクトは先に帰ってきていたレオンと一緒に私の方の部屋に入ってきた。

私の部屋はベッドが1つと、2人掛けの2つのソファが大きめのローテーブルを挟んで対面するように設置されている。
そのソファに2人が座ると、ルクトは買ってきたおつまみを並べ始めた。




「隣の部屋まで包む結界を張れるか?」


「分かった」

私が侵入不可と防音の結界を張ると、ルクトはふぅと息を吐いた。




「こいつはまた面倒なのがくっついてきたなぁ」

レオンがコロシアムで見せた時のような鋭い視線を廊下の方へと向けた。




「兵士が尾行してきたんじゃないの?」


「兵士は兵士なんだけど、普通の兵士じゃない。暗殺専門の部隊の奴が3人いる」




「あ、暗殺専門?」

淡々とおつまみを並べるルクトから暗殺と聞いて、私はひっくり返るくらいに驚いた。



私は兵士が身を隠しながら尾行して来たんだと思っていたのに、実際はそんなものではなかったらしい。
気配を読むのが苦手な私には、尾行してきている兵士の気配なんて微塵も気付かなかった。



私は監視対象どころか暗殺対象なのだろうか。
身に覚えがないが、私が知らぬ間に何かやらかしていて、要注意人物と認識されているのだろうか。





「あぁ、お前を暗殺しようとしているわけじゃない。俺が目的だよ」


「ルクトを?」


ルクトは何かやらかしたのだろうか。
私と出会う前に誰かと派手に喧嘩して、お尋ね者になっているのだろうか。
それとも、ルクトに呪いをかけた将軍が暗殺対象として手配しているのだろうか。



「多分、王宮で紹介された将軍あたりが俺の見張り役につけたんだろ。俺の正体については分かっていないみたいだったが、ある程度の実力は見ただけで分かるからな」


「そういうこった。多分、嬢ちゃんを隠れ蓑にして、こいつが暗躍するんじゃないかって警戒してるんだろ」


「そっか…。しばらくは肩が凝りそうだね」


ルクトが暗殺対象として世界に手配されているわけではないと聞いて、心底ホッとした。




「まぁ、何もしなければ何も起きないもんさ。嬢ちゃんはきっちり仕事していればいい」


「そういうわけだから、俺1人で単独行動はしない。それから宿にいる間は、俺達の部屋まで結界を張っておいてくれ」


「うん、分かった」



ちょうどその時、ルクト達の方の部屋をノックする音が聞こえた。

防音の結界は、基本的に結界内の音を外に漏らさないが、外からの音は聞こえる仕組みになっている。この結界の魔法を応用した使い方をすれば、外からの音も聞こえないようにすることは出来る。

でも、普段は基本的な使い方をしているので、ちゃんとノックの音は聞こえるようになっている。





「俺が行ってくる。あの気配は酒の配達だ」


ルクトがそう言うと、レオンが私の部屋に残ってイチゴを1粒摘んでパクリと食べた。



ーーあ~!!それ、私が狙ってたイチゴ!

私が狙っていた一番大きなイチゴを食べられた。私はレオンを恨みがましく見ると、レオンは悪びれもしない顔をしたまま片手で「まぁ、落ち着け」と言ってきた。




ーー何が落ち着けだ!強制催眠かけて、変な顔とか腹踊りとか宴会芸でもさせて良いんだよ!


私がそんなことを思いながらレオンをジト目で見据えていると、ルクトがお酒が入った木箱を次々に私の部屋に持ってきた。





「こりゃあまた買い込んだなぁ」


レオンがお酒がギュウギュウに詰まった木箱を見ながら、呆れたように呟いた。




「お前も結構飲むだろ?これくらいすぐ無くなる」


「まだ外は明るい時間だけど、もう酒盛り始めちゃいましょ。はい、お酒持って!かんぱ~い!」

私の声が合図になって、私の部屋のソファとテーブルで酒盛りが始まった。



今まで戦場でレオンとルクトがどんな感じだったのか、3人で魔法談義をしたり、それぞれの今までの旅の話をしたりと、楽しい時間はあっという間に過ぎた。

そして窓の外が暗闇で包まれる頃には、私はお酒で気分良く酔っ払っていた。




「そういえば、嬢ちゃんの今までの護衛はどういう奴だったんだ?」


「んー?えっと、最初は故郷で傭兵やってた知り合いのおじさんだったんだ。
おじさんは過保護でさ。お酒はだめ!走っちゃダメ!傭兵に近付いちゃダメ!って心配性でね。治療中は相手に近付くのも仕方ないのに、それもダメってうるさくって。
そんなおじさんも、そろそろ故郷に帰らないといけなくなってさ。怒ると怖い奥さんがいるから国境の近くの大きな街で別れたんだ。

んで2人目の護衛は、その街で診療した人。
前がダメダメうるさかったから、自由になった感じが嬉しくて、その人にお酒の飲み方教えてもらったんだ。
あ、ルクトは前に会ったことあるよね?カーランがこの2人目だったんだよ。
この人が一番長くて1年ちょっと護衛に付き合ってくれたんだけど、どうしても行きたい戦場があるからって別れた。

3人目も街で診療した人で、すっごく面白いオネエだったの!
その人にナンパのどつき方を教わったんだよ。いやぁオネエって凄いよね。強くてセンスがあって面白くて。私、憧れなんだ~!
その人は、色々やることがあるから故郷に帰るって別れたんだ。

4人目はその紹介だったんだけど、セゼルの国境防衛に戦力を集めてるからって、強制的に連れて行かれちゃって、すぐに別れちゃった。
その後はルクトが護衛だよ」




「へぇ。嬢ちゃんも色々あったんだなぁ。しかし、オネエに憧れるとは」


「だって見た目は本物の女の子みたいに可憐で可愛いのに、人を見て緩急つけて面白いどつき方するんだもん!本当にアッパレの一言だったんだから…!」



「んで?嬢ちゃんには恋人は出来なかったのか?」


「出来るわけないじゃない。1人目は妻帯者だし、2人目は私のことを妹みたいって扱うし、3人目はオネエだし、4人目は日が浅いし」


「『白い渡り鳥』って結構モテると思うんだけどなぁ。大体は護衛と良い仲になってるもんじゃないのか?」


「そういう人は確かに多いんだろうけど…。私、自分のことが精一杯で恋愛とか余裕ないし。
ルクトやレオンは?私ばっかり話すのも平等じゃなーい」


お酒が随分と回っているらしく、視界が二重や三重になってぼんやりしている。目の前のソファに座る身体の大きな方を見れば、その人は隣にいる目付きの悪い金髪の方を見ているようだ。




「うーん。俺達はなぁ…。嬢ちゃんが聞いても面白くないぞ」


「なんで?」


「俺達みたいに名前が売れてしまうと、近付いてくる女は情報を欲しがるスパイか暗殺者が多いんだよ。だから恋愛なんて無理無理。
商売女でさえ用心して選ばないと足元掬われるからなぁ。な、ルクト?」


「まったくだ」


紺色の髪のクマがそう言うと、どこかで見たことがある狼みたいな金髪がウンウンと頭を縦に振っていた。
この変な狼はどこで見たかなぁ。思い出せないなぁ。





「そういうもんなのかぁ。何だか名前が売れても良いことばかりじゃないんだね」


「有名になると金は多く稼げるし、実力が認められて嬉しいんだけどな。
だがその分、いつだって狙われるからな」


2人の苦労話を少し聞き始めた辺りで、私は段々と目が開かなくなってしまった。







ーーーーーーーーーー



「あーあ、嬢ちゃん寝ちゃったぞ」


「まぁ、結構酒飲んでたからな。ベッドに運んどいてやるか」

俺はソファでクークーと寝息を立てて眠ってしまったシェニカを抱き上げた。



甘い香りに誘われてキスしたくなるのを必死に耐えながら、ベッドに下ろしてブーツを脱がせると、そっと布団をかけた。
気持ちよさそうに眠るその寝顔を見ると、その無防備な唇にどうしても視線が釘付けになる。


自分もシェニカの隣に寝そべりたくなるが、理性を総動員してレオンのいるソファまで戻った。





「嬢ちゃん、やっぱり恋愛初心者だったなぁ」


「そうだな。まさかオネエに心酔してるとは思わなかったが。だが言われてみれば、納得できるかもしれん」


口でナンパをやり過ごすだけでなく、俺も感心するような実力行使に出るのは、きっとそのオネエの影響だろう。あの高速ビンタもオネエから習ったに違いない。




「まぁ、なんだ。嬢ちゃんは初めてだろうから、やる時はちゃんと優しくしてやれよ?」


「当たり前だ。最初が肝心だからな」


初めてやる時に失敗して、それ以後拒否されてはたまらない。俺の欲求不満は1回やったところで収まらない。そういう関係になったら、今まで涙ぐましく我慢した分、毎晩相手になってもらわなければ。






「もうやるのは決定事項なのかよ。フラれるってことを考えてないな」



「考えてない。絶対俺のものにする」



「お~怖い怖い。嬢ちゃんが良い女ってのは分かるが、よっぽどの執着だな」


「主従の誓いの影響だと思うんだが、あいつから甘い匂いがするんだよな。その匂いを感じると、どうにも離れたくなくなるし手を出したくなるんだよ。
それに、それが無くてもあいつは性格が良いし、可愛いし。何だかんだで俺もあいつに惚れてるからな」


「確かになぁ。応援してるぞ。まぁ、しばらくは手の甲を抓りまくる忍耐の日のようだがな。あはははは!」


「そりゃどうも」

2人で酒を一口煽った時、廊下の方で気配が動くのを感じた。





「あいつらは仕事熱心だなぁ。嬢ちゃんの結界のせいで何も聞こえないから、一生懸命張り付いてやがる」

レオンは廊下の方をチラリと見て、しみじみと呟いた。



「そうだな。おそらくお前のことも調べてるんだろ」


「まぁ、いつものことだ。この国は思った以上に面倒くさそうだ。傭兵稼業よりもコロシアムで楽しむ方が賢そうだな」


「コロシアムでも適度なところで身を引かないと、厄介事が降りかかるぞ」


「はははは!優勝なんてこだわってねぇよ。金には困っちゃいねぇからな。
あ、そうだ。今日情報屋に行ったら面白い話が聞けたよ」


「面白い話?」


「『黒』と『白』がここ最近、戦場にいないらしい」


「へぇ?あの2人なら死んだわけじゃなさそうだが」


あの2人の顔と戦場での姿を思い浮かべれば、簡単には死なないだろうと想像がつく。




「お前みたいに死亡説は流れてない。『白』はこの国と小国との戦場、『黒』はマードリアと小国との戦場にいたが、その戦場で姿を確認された後、誰も姿を見ていないらしい。
お前、俺よりあの2人とやり合ってただろ?何か考えられるか?」


「そうだなぁ。2人とも戦場以外では会わないし、会っても話もしないだろ?」


「まぁ、そうだけどな。俺達も最初はそうだったしな」


「傭兵を続けられないような怪我をして、引退もしくは休業したか。または暗殺されたか、お前みたいに何となく休業したか。もしくは何かの理由で身を隠したか…」


「身を隠すか。『白』なら似たような理由が考えられるな」


「だろ?だが『黒』は正直分かんねぇな。あいつの場合は、色々いるから暗殺はないとは思うが」


『黒い悪魔』『白い悪魔』と呼ばれる2人は、レオンと同じ位厄介な相手だった。
その2人が戦場から姿を消し、死亡のしらせすら入らないということは、何か理由があって姿を見せないのだろう。





「さて、そろそろ寝るか」

レオンに片付けを任せると、俺はベッドで眠るシェニカに近付いた。
ベッドの脇に立ちサラサラの黒い髪を撫でて、身を屈めてそっとキスをした。

唇の柔らかな弾力と甘い匂いに、思わず深いものに変化しそうになる。
舌を入れると起こしてしまいそうだから、グッと我慢して何度か唇を食むだけにしておいた。





「寝込みを襲うとは。よっぽど好きなんだな」

レオンが自分達の部屋に続く扉の前で、俺を面白そうな顔をしてからかってきた。




「羨ましいか?」


「そうだな。俺もそういう相手が欲しくなるよ」

俺達は軽口を飛ばしながら部屋に戻った。



レオンの前であいつにキスをしても、唇を合わせた興奮がまさって恥ずかしさなんて感じなかった。
流石にヤってる姿を他の奴に見せるのは嫌だが、キスくらいなら全然余裕だ。

これから先、野宿の時には眠ったあいつを起こさない程度にキスをしたり、身体にも触ってみたい。


いつもローブを着ているから分からないが、きっとあいつの胸は唇みたいに柔らかいんだろうなぁ。
ずっと前、あいつの部屋の様子を伺っていたどっかの傭兵が、「胸がデカイ」と言っていたから大きさもあるんだろうか。


あ~。揉んだらどんな感じだろうか。胸は弱いだろうから、揉んだら声をあげて乱れるんだろうな。

あいつ慣れてないだろうし、そういうのにも耐性がないみたいだから、顔を真っ赤にして俺を見てくるんだろうなぁ。




……。


もう抓るどころじゃダメだ。




「風呂行ってくる」

レオンにそう言うと、奴は笑いながら俺を見送った。




早く男として意識させて、俺のことを好きだと言わせて、ベッドに連れ込まないと、もう俺はえらいことになってしまいそうだ。


恋愛なんて興味もなかったから、こういう風に誰かを好きになることなんて初めてだが、こんな風になるものなのだろうか。



片思いをするっていうのは、こんなにももどかしくて忍耐が必要なものかと、俺は悶々と思いながら風呂でスッキリさせた。

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