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第16章 日の差さぬ場所で
2.国王の行方
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会議室のテーブルの上には、ジェベルの持っていた地図と、この部屋にあった街の地図、エメルバが見つけた王宮の地図が三角形に広がっている。
隠し部屋や地下への入り口がないか部下達と見当をつけていると、副官のレーベリオが自分の横で立ち止まった。
「バルジアラ様、ご報告です。王宮内はくまなく探しましたが、見つけた隠し通路の先にも人っ子一人いません」
「そうか。どこかに別の隠し通路か地下に繋がる場所があるはずだ。下級兵士も使ってくまなく探せ」
「分かりました。それと、先程宰相様よりお手紙が届きました」
「読み上げろ」
「はい。ドルトネアとジナが、『白い渡り鳥』様の戦場介入の禁を犯したという事実は前代未聞のため、フェアニーブでトラント国王に真偽を問う公開の取り調べをして欲しいと要望し、その意見には多数の国が同意見だと言ってきた。その要望を受け、国王陛下は以下のことをバルジアラ殿に伝えよ、と述べられた。
シェニカ様による証明だけでなく、我が国が大義名分を得た上での侵攻だったことをより確実なものにするため、トラント国王は殺害ではなく生け捕りにせよ。
もし生け捕りが不可能で殺害した場合、シェニカ様をフェアニーブにお連れして公開の場で証言して頂くようお願いするように。
ノールトールのバニエドート様に話を伺ったところ、『白い渡り鳥』様は戦場介入の事実を知ったとしても、仲間を売るようなことになりかねないから口を噤むだろうと仰った。
そんな状況で、シェニカ様は『白い渡り鳥』様の戦場介入を証明して下さった上に、存在しないと言われていた解毒薬で治療までして下さった。我が国の勝利で終わらせた後、シェニカ様を首都までお招きして私から直接礼を述べたい。
万が一トラント国王がサザベルにより捕縛、殺害された場合、フェアニーブにシェニカ様をお連れするのはサザベルの役目になる。シェニカ様に大恩のないサザベルに絶対に出し抜かれるな。……以上です」
フェアニーブというのは、大陸の中央部にあるファンデル湖に浮かぶ島の名前だ。その島には円形の大きな城が建っていて、世界中の国から代表者が集まっている。
ここは橋がなければ辿り着けない場所なので、橋を落とされれば孤立する四面楚歌の場所だ。そんな特殊な場所だから、『中立の地』と言われてどの国にも属さない島となっている。
本来ならばここでは、国や『白い渡り鳥』様から預かった証文とお金の管理、『白い渡り鳥』様の特権や禁止事項、戦争のルール、金銀銅のレートなど、世界共通の公益性のあることを話し合う。そんな場所で戦敗国の国王を取り調べをするなんて前代未聞だ。
『白い渡り鳥』であるシェニカ様が書いた証明は、信用度の高い公的な物だから普通の場合ならばそれで足りる。しかも、真偽を問う手紙に対してトラントが無言を貫いていることから、禁を犯した事実を暗に認めているのだ。
だが今回は、大国が国土を広げる大義名分を得るという事態だけに、他国もその真偽をトラント国王に直接確かめたいということだろう。
「大国が自作自演をやって大義名分をでっち上げ、侵攻してこられては困る」という小国の懸念と、「ウィニストラかサザベルのどちらかだけが、領土を広げることになるのが面白くない」という、ドルトネアとジナの難癖だ。
「そうか。エニアス以外は下がっていい」
自分の腹心の副官であるエニアスだけ部屋に残すと、黒い頭巾に暗部服を着た2人が窓から入ってきた。
トラントと国境を接する国に偵察を命じた暗部達や、トラント国内に放った暗部達が報告に来たようだ。
「ご報告です。トラントと国境を接する国を偵察した結果、サザベルを除く国は侵攻の表明もありませんし、準備している様子もありません」
「侵攻を諦めた他国の反応はどうだった?」
「どの国も神官長を呼び出して『聖なる一滴』についての話を聞いていましたが、トラント側に事実関係を確認するなどしている間に、我が国が首都目前まで来ていたため将軍らを出すのは諦めていました」
「まぁ、そうなるだろうな」
「あと、国内貴族が国王を匿っている様子もありませんでした」
ウィニストラが首都に攻め込んだことは、既に新聞の報道で世界中が知っている。シェニカ様の『聖なる一滴』を使われると形勢逆転になってしまう可能性があるが、それを知らないトラント国内の貴族達は、ウィニストラに侵略されるのは時間の問題と考えるだろう。
侵略後の地位を心配する貴族達は、自分達の今後を確実なものにするために、逃げてきた国王の居場所や些細な情報をこちらに密告するはずだ。
首都にいればウィニストラが首を狙う。首都を出れば密告する貴族の目がある。国外に出れば行き先の国から首を狙われる。どこに居ようが四面楚歌の状況だが、これが侵略戦争を仕掛けた国王の責任だ。
国王が首都を出た様子がないという偵察隊の報告もあるし、貴族の密告もない。他国が捕まえたという話もない、ということは国王はまだ首都にいる。ジェベルの持っていた地図や落盤地点を掘り返した感じだと、地下に広がるであろう鍾乳洞に身を隠しているのが可能性としては1番高い。
でも入り口が見つからなければ、鍾乳洞は本当にあっても出入り口がないため、国王らはそこに潜んでいないという可能性も考えうる。地質学者がこの地の鍾乳洞について調べていたとしたら、どこかに出入り口があると思うのだが…。ディスコーニとシェニカ様を助け出すためにも入り口を見つけたいが、どこかにあるのだろうか。
日が傾き始めると、エニアスを連れて王宮の側の空き家に移動した。
扉を開けば自分の副官が1人、ディスコーニの副官が2人、ソルディナンドの副官が3人が見えた。バーナン神官長とソルディナンド、奴の腹心の副官は、メシでも食べに行っているのかここには居なかった。
「何か手がかりはあったか?」
「まだ見つかっておりません」
扉を開けた瞬間に立ちあがったウィニストラの3人の副官に声をかけると、自分の副官であるフォリナスが返事を返した。
「そうか。もうすぐサザベルの連中がここに着くはずだ。奴らよりも先に国王の居場所を暴き、可能な限り生け捕りにしろ、と国王陛下からのお言葉だ。持ち場を交代した時はそのつもりで国王を探せ」
「「「はい」」」
視線を奥に向ければ、部屋で1番大きな本棚の横で一心不乱に本を読んでいる『赤い悪魔』がいる。
世間の評判でしか知らないが、本を読むような奴ではないと思っていた。でも副官の報告によれば、奴は食事も休憩も、睡眠すらまともに取ろうとしないらしい。
この戦争では中立の立場にいるこいつが、今一番寝る間を惜しんで働いているという状況を見れば、シェニカ様の安否が心配で仕方がないようだ。
生命知らずの驕り者と思っていたが、恋人の安否を心配するような人間らしい一面があったものだと感心した。
だが、今の状況でのこいつの不安点はその気の短さだ。
ウィニストラはシェニカ様に恩がある以上、夜襲の時にディスコーニに突っかかったように、こいつに喧嘩をふっかけられようが水に流せる。
でも、キルレの連中や、これから来るサザベルの奴らに喧嘩を売ろうものなら、奴らはこれ幸いにとシェニカ様にカケラの交換を要求したり、国に連れて行こうとする。シェニカ様の『聖なる一滴』を要求する最悪の可能性だってある。
俺が直接苦言を呈してやりたいが、この男は俺に敵意を剥き出しで突っかかってくるだろうから、短気に余計な油を注いでしまっては困る。
こいつが自分勝手なことをやれば、それがシェニカ様の弱みとなり、ここには居ない彼女に全ての皺寄せが行く。それが果たしてこいつに分かっているのか、というのが1番の不安だ。
エニアスを連れて家の外に出ると、外の状況を確認するために夕日を浴びる街を一周してから戻ることにした。
トラントの首都に来たのはもう5年以上ぶりになるが、その時に比べて赤い煉瓦造りの建物が随分多くなった気がする。
会議室のある建物を視線に捉え、王宮を囲む真新しさを感じる赤い煉瓦の壁に沿って歩いていると、違和感を感じて足が止まった。
王宮なんて最重要施設を防衛する壁は、頑丈にするために多くは石造りにする。だから黒や灰色といった石の色になることがほとんどだが、この場所の壁を煉瓦にしている国なんて初めて見た。
首都を囲む城壁は石で出来ているのに、王宮を囲む壁が耐久性の劣る煉瓦とは。侵略戦争を起こされた場合、敵が首都決戦を制して王宮を攻める可能性は考えなかったのだろうか。それとも石造りにするよりもデザイン性は高いから、見た目を重視したのだろうか。
「バルジアラ様。どうなさいました?」
「いや、なんでもない」
「トラント国王らが地下にいるとしたら、ディスコーニ様とシェニカ様が鉢合わせした場合は大丈夫でしょうか」
「あいつなら大丈夫だ。この10年、散々こきつかってやったが、口答えはしても俺の期待に応えられなかったことは一度もない。連中がディスコーニと同じ地下にいるのなら、あいつは俺の期待した通りにトラント国王を生きたまま捕まえ、シェニカ様を連れて俺の前に報告しに来る」
「そうですね。バルジアラ様の無理難題を全てクリアしてきたディスコーニ様を尊敬します」
エニアスは小さく笑いながらそう言った。
建物内の階段を上りながら会議室が近くなってくると、色んなことが頭の中を埋め尽くして溜息しか出ない。
公的な者達との接触を極端に避けるシェニカ様だが、今回は『白い渡り鳥』様に関する事態であるため、国王陛下への説明と報告をお願いをすれば首都に来て下さるだろう。
窮地を救ってくれた大恩のあるシェニカ様だからこそ、ウィニストラとしては礼を述べるだけで、彼女の意思に反するカケラの交換といった繋がりの申し出や治療の依頼など、恩知らずのような真似をするつもりは毛頭ない。それは大国としてあるまじき恥だと、自分だけでなく義を重んじる国王陛下も考えているはずだ。
でも万が一サザベルがトラント国王を捕まえた場合、連中はシェニカ様に同じように話して首都へと招くだろう。そうなれば、「国王陛下が治療の礼をしたいので、ウィニストラにお越し下さい」とこちらが伝えても、最低限の関わりしか持とうとしない彼女が我が国に来て下さる可能性は低い。
サザベルが勝てばここまで費やした時間と労力、戦場で失ったウィニストラ兵や傭兵の働きは水の泡。シェニカ様への礼の機会は失う。連中のほくそ笑む姿が目に浮かぶ。
それに。シェニカ様の無色透明で無臭の『聖なる一滴』はヤバすぎる。
彼女の居場所が分からない以上、トラント側に彼女と毒薬が利用された万が一のことを想定しなければならないのだが、彼女の『聖なる一滴』が薄めた場合にどれくらいの効果になるのか誰にも分からない。
飲食や風呂に使う水は全部水の魔法で使用する分だけ溜めて使い切り、兵士はここにある水には一切触れないように徹底させねばならないのだが…。
兵士達には「首都の水に解毒困難な毒の混入が疑われるため、使用も接触も禁止する」と既に伝えてあるが、『聖なる一滴』の存在が機密になっているからこそ、状況が分かっていない兵士達がどこまで危機感を持って命令を遵守するのか分からない。
世界中が喉から手が出るほど欲しいシェニカ様との繋がりは、この『聖なる一滴』の存在が判明した以上、今後はその色を変えて激しくなるだろう。おそらくシェニカ様自身もそれが分かっていたから、予防線として今まで公的な者達との接触を避けていたのではないだろうか。
今まではそれで何とかなっていたかもしれないが、国との繋がりを持っていないシェニカ様にとって、今後その状態が続くとかなり危険になる。大恩のある我が国だからこそ、彼女の力になりたいのだが。
あいつはただで死ぬやつではないから生きているだろうし、シェニカ様も生きていると信じている。シェニカ様についてはディスコーニに任せるとして、何とかして奴らより先にトラント国王を捕まえなければ。
「バルジアラ様、お食事中に申し訳ありませんがご報告です」
会議室に戻ると食事を始めたが、副官から渡された報告書に目を通しながら話を聞き始めた。
◆
「う……ん?」
身体のどこかに走った痛みに目を開けると、微かな明かりに照らされた乳白色の何かがある。ぼんやりした頭で何度か瞬きしていると、顔に張り付くような湿っぽさと、淀んだ空気が満ちているのを感じた。
「気がつきましたか?」
どこからともなくかけられた誰かの声をきっかけに身体を動かそうとすると、どこかでズキンと激痛が走って頭の中が一気に覚醒した。痛みを不思議に思って身体を動かすのを止めると、自分が仰向けで寝ていることに気付いた。
「ここ…は?」
声が聞こえた方に顔だけ向けると、少し離れた場所から光を持った誰かが、私の方へとゆっくりと歩いてきていた。
「ここはトラントの首都の地下に広がる鍾乳洞のようです。落盤に巻き込まれたのは私達だけのようですね。入り口は塞がれてしまいましたが、先に続く洞穴がありました」
ーーこの声の主は誰だろう?鍾乳洞?ルクトは?なんでここに寝ているんだろう?
ぼんやりとした光が次第にはっきりとして、私の周囲を明るく照らした時。現れたディスコーニ将軍は、左足を引きずっていた。よく見れば、青碧色のズボンの太もも辺りに大きな血のシミが広がっている。怪我をしているようだ。
「あ、怪我をしているんですね。治療しま……痛った!!!」
手をついて身体を起こそうとすると、右手に激痛が走った。
「大丈夫ですか?」
自分の右手を見ると、真っ赤に染まった布が縛ってあった。なぜ右手がズキンズキンと激しく痛むのかと思いながら慎重にそれを解けば、手の平から甲まで貫通した傷跡があった。手をついたからか、傷口からはドクドクと脈打つように血が流れ出していた。
何が貫通したかは分からないけど、いつの間にか怪我をしてしまっている。
「怪我をしていらっしゃるんですね。治療します」
「いいえ。先にシェニカ様の手の治療をして下さい。私はそれからで結構ですよ」
私がすぐそばに来たディスコーニ将軍の足に無事な左手をかざそうとすると、彼はそう言って一歩下がってしまった。
「そう、ですか?ではお言葉に甘えて…」
左手をかざして痛む右手の怪我を治療すると、立ち上がった途端に今度はクラクラとめまいに襲われた。
目の前が真っ暗になって、自分がちゃんと立っているのか斜めになっているのか分からなくなっていると、ガシッと両肩を支えられた。
「大丈夫ですか?」
「あ、ちょっとめまいがしただけで大丈夫です。足の怪我を治療しますね」
ディスコーニ将軍の手で誘導されて白い敷物の上にもう一度座った私は、目の前に立つ彼の足に治療魔法をかけた。
この真っ赤なシミの広がり具合から考えると、ディスコーニ将軍はかなり出血しただろう。立つのも歩くのも血が足りなくて辛いと思うけど、休んでなくて大丈夫なのだろうか。
「凄い血の量ですね。大丈夫ですか?」
「この血は私とシェニカ様の2人分です」
「え?」
「目が覚めた時、鋭く尖った岩がシェニカ様の手と私の太ももを刺していました。落下した時に上から落ちてきたようです」
もしかしてローブも同じようなシミが出来ているのだろうかと自分の状態を確認してみると、羽織っていた白魔道士のローブはなくなっていて旅装束姿になっている。
旅装束は黒地だったからパッと見ただけでは分からなかったけど、よくよく見てみれば腰の辺りにディスコーニ将軍のシミを移すような大きな血のシミが出来ていた。手の平を貫通する怪我となると、それなりに出血してしまったらしい。
「あれ、ローブは…?」
「シェニカ様のローブは、裾が岩に挟まれていて取れない状態でした。申し訳ありませんが私が脱がせました」
「そうだったんですか…。岩を抜いて貰ってありがとうございました。他に痛む所はありますか?」
「全身を打った時の打撲くらいです」
「それも治療しますね」
座ってくれたディスコーニ将軍に治療魔法をかけていると、私も強い衝撃を受けたはずなのに右手のほかに打撲といった怪我をしていないことに気付いた。
そういえばと記憶を辿ると、揺れに耐えられなくて座り込んでいたら、ディスコーニ将軍に立ち上がらせて貰った。その直後、足元から地面が消えて真っ暗闇を一気に落下していったが、その時に彼が離れないように掴まえていてくれた。
そして全身に激しい衝撃が襲ってきたところで記憶は途絶えている。大きな衝撃だったのに、他に何も無かったのは間違いなく彼のおかげだろう。
「あの、落ちた時に私を庇ってくれてありがとうございました」
「いいえ。シェニカ様がご無事で安心しました」
ディスコーニ将軍は青いタレ目を細めて穏やかな笑顔を浮かべながらそう言ったけど、私のせいで怪我をさせてしまったのはとても申し訳ない。
ギルキアの時も夜襲の時も、彼には助けてもらってばかりだ。何かお礼を返してあげたいけど、何も思い浮かばなかった。
「浄化して綺麗にしますね」
私はディスコーニ将軍のズボンを浄化して綺麗な軍服姿に戻した後、自分の旅装束と下に敷かれていた布も同様に綺麗にした。その時に初めて敷物がローブであったことに気付いた。
ローブに出来ていた点々とした血のシミは消え、土埃は叩いて落としたが擦り切れて穴の開いた所はどうしようもない。
鞄の中にある携帯用の裁縫セットなら穴は塞げるだろうけど、何か所もあるし面積も広いから糸が足りないかもしれない。
「このローブの穴、全部は無理かもしれませんが縫って塞ぎましょうか?」
膝をついたままのディスコーニ将軍にローブを差し出すと、彼は受け取らずに首を振った。
「いいえ、結構ですよ。穴が空いているのは申し訳ありませんが、そのローブはシェニカ様がお使い下さい。それと、この子の治療もお願いできますか?」
ディスコーニ将軍が軍服の上着の裾をめくると、腰のあたりにあった銀色の硬そうな入れ物から、大事そうに何かを取り出して私の前に差し出した。
「この子は…?」
ディスコーニ将軍が両手で包むように私の前に差し出したのは、銀色の小さなチェーンを編み込んだベストを着た茶色のフサフサの毛玉だった。
フサフサな長毛は鎖の穴からはみ出た胴体部分や長い尻尾の部分で、首から上は短毛で覆われている。その小さな身体の持ち主は気絶しているらしく、目を閉じたまま不規則に呼吸している。
そっと手をかざしながら触れてみると、毛先は柔らかいけど根本にかけては硬めの毛。プニプニと柔らかい身体は温かいが、硬いポーチに身体をぶつけてしまって打撲しているようだ。でもそれ以上の怪我はしていない。
こ、これは可愛い…。なんという種類の動物だろうか。なぜ、ディスコーニ将軍がこんな所まで連れてきているのだろうか。
「この子はオオカミリスという小動物です。この子は私の相棒で、普段は私の腰につけたポーチの中にいるんです」
「そうですか。この子も打撲してますので治療魔法をかけますね」
私が治療魔法をかけると、フサフサの子の乱れた呼吸が少しずつ安定してきた。まだ目は覚めないけど、茶色の頭や身体を優しく撫でてみれば、サラサラでフサフサの毛はとても触り心地が良い。
私もこういう相棒が欲しい…。一体どこでナンパしたのだろうか。気になる。是非その方法を教えてほしい。こんな可愛い子を口説き落とせるディスコーニ将軍には、是非とも私にその極意を教えて欲しい。
「人に懐くリスっているんですね。初めて見ました。どうやって相棒に出来るんでしょうか」
「オオカミリスというのは、ウィニストラの一部地域にしか生息しない絶滅危惧種のリスの一種なんです。オオカミリスは自分が主人と認めた人間には良く懐き、人の言葉が多少分かるくらいの賢さがあります。
この子は私を主人と認めてくれて、難しい命令でもちゃんと聞いてくれる特に優秀な子なんです」
「すごいですね。こんな時にも連れてきているってことは、戦場でも何か活躍しているんですか?」
「ええ。私の相談役と癒やし役として活躍してくれます。普段は大丈夫なのですが、戦闘態勢に入ると鋭い牙と爪で攻撃してくるので、慣れてない人には注意が必要なんです」
相談役と癒やし役…。良いなぁ。私もそんな可愛くて癒される相棒が欲しくて堪らないな。
そんなことを思ってリスの小さな頭を撫でていると、目覚めが近いのかモゾモゾと身体が動き始めた。
「あ、起きた。痛いところはないかな?君、可愛いね。お名前は?」
「ジジッッ!!」
頭を撫でていた私の手に驚いたのか、リスは水色の切れ上がった目をパチパチと瞬きすると、ディスコーニ将軍の手の上で私に毛を逆立てて威嚇のポーズを取った。
大きなお耳と身体を大きく見せるフサフサな体毛が、まるで小さな狼のようだ。
きゃぁぁぁ!そんな姿もとても可愛いっ。可愛すぎる!確かに鋭い爪と牙で威嚇しているけど、可愛さが勝って全然怖くない!!
「威嚇する姿も可愛いなぁ」
ディスコーニ将軍は、私に向かって威嚇するリスの頬を苦笑しながら指でコチョコチョと撫でた。
「ユーリ。こちらがお話ししたシェニカ様ですよ」
ディスコーニ将軍の言葉が本当に分かるらしく、リスは逆立てていた毛を元に戻し、水色の目で私をジッと見てきた。
警戒を解いた姿はとても可愛い。頬ずりして、ワシワシと指で撫でて、ギュッと抱きしめてみたい。
「ユーリってお名前ってことは、女の子かな?私はシェニカ・ヒジェイトです」
「チチチィィ!!」
私が挨拶をすると、今度は警戒した声ではなく元気な声を私に返してくれた。
「あれ?もう威嚇しなくなった。言葉が分かるなんて偉いねぇ。あ、触らせてくれるの?可愛いなぁ」
恐る恐る手を伸ばし、もふもふの頭や頬を指で愛おしげに撫でると、この子も気持ちがいいのか大人しくしてくれた。
「ユーリは愛称で、ユリウスという名の男の子なんです。この様子だと、ちゃんとシェニカ様が敵ではないと認識してくれたようですね。
さ、出口を探しましょうか。ここにいてはまた落盤が起こるかもしれませんから、離れた方が良さそうです。どこか安全な場所を見つけたら休みましょう」
「そうですね。ディスコーニ様、ユーリくん。よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
「チチッ!」
ユーリくんは元気よく返事をすると、あっという間にディスコーニ将軍の肩に移動した。立ちあがった彼が軍服の1番上にあるボタンを緩めると、その開いた場所から軍服の中に入ったのに、くつろげたその場所からヒョッコリと可愛いお顔だけ外に出した。
その愛らしさに、悩殺されて身体がぷるぷると震えた。
うへぁぁぁっ!リスのボタンみたいで可愛いっっ!私もあんな可愛い子が欲しい。絶滅危惧種の動物は売ってないし、ユーリくんはディスコーニ将軍の相棒だから諦めるけど、私もオオカミリスの相棒が出来ないものだろうか。
私をジッと見ている可愛いユーリくんに笑顔を返しながら下ろしてあった鞄の中を探ると、中身は全て無事で、元々着ていた自分のローブを取り出した。
「あの、ディスコーニ様。私は元々着ていたローブがありますから、このローブはディスコーニ様が着てはどうでしょうか」
ディスコーニ将軍にそう声をかけて白魔道士のローブを差し出すと、彼は首を横に振った。
「いいえ。ここは下も横も凸凹していて、ローブが引っかかって破れてしまうかもしれませんから、遠慮なくそれをお使い下さい」
「そうですか?では…」
彼がそう言うのなら使わないと失礼かと思って、自分のローブをもう一度鞄に仕舞った。鞄を背負い、白魔道士のローブを羽織って立ち上がると、頭がフラフラしてまた座り込んでしまった。
「大丈夫ですか?」
「あ、大丈夫です」
ディスコーニ将軍が差し伸べてくれた手を掴めば、ゆっくりと立ち上がらせてもらった。そして、私の目の前には軍服の隙間で小首を傾げたユーリくんが居た。
ーーあ、ユーリく~ん。かわいいなぁ。チューしちゃいたいなぁ。
その可愛さのあまり思わずキスしようと半歩踏み出してしまった。視線を感じてハッとして顔を上げれば、ディスコーニ将軍の青い目が心配そうに私を見ていた。
「出血量はシェニカ様の方が多かったですから、動くのが辛ければ私が背負いますよ」
「え?いえいえ、ゆっくり動けば大丈夫だと思います」
ディスコーニ将軍の後をついて数歩踏み出した時、なんだか耳に髪がかかることに気付いた。いつもと違う感覚に、手を当てて原因を探った。
「あれ?ない…」
「どうかなさいましたか?」
「いえ…。髪留めがなくなっていて…」
何度触ってもルクトから貰った髪留めがない。慌てて鞄を下ろし、取り出した手鏡で確認してみても、お気に入りの髪留めはどこにもなかった。
「落下の衝撃で外れてしまったのかもしれませんね。一緒に探します。落下地点はあそこのローブがある場所です」
教えてもらったローブがある場所に行って、光を掲げて探してみた。挟まって取れないローブを捲ったり、周囲の砂地を掘ってみたけど見つからない。
すぐ近くにあった折り重なる岩の隙間を覗き込んだ時、奥の方に金と赤の破片が飛び散っているのを見つけた。原型を留めないほどに粉々になってしまっているから、衝撃で外れた髪留めが飛んで、その上に岩が落ちて砕けてしまったらしい。
ルクトから貰った初めてのプレゼントなのに。大事にして毎日着けていたのに。まるで私達の関係まで砕けたみたいなその惨状に、目の前が潤んで歪み始めた。
「ありましたか?」
「あ、あったんですけど。でも…」
別の場所を探してくれていたディスコーニ将軍が、動きを止めた私に気付いてこっちに歩いて来た。言葉をロクに発せなかった私を見ても、彼は何も言わずに私の視線の先ある髪留めの残骸を見た。
「これでは修復は難しそうですね」
「そうですね。諦めるしか…ないですね。行きましょうか」
私は零れ落ちそうな涙を指で拭うと、髪留めに背を向けてポッカリと開いた洞穴に向かって歩き出した。
隠し部屋や地下への入り口がないか部下達と見当をつけていると、副官のレーベリオが自分の横で立ち止まった。
「バルジアラ様、ご報告です。王宮内はくまなく探しましたが、見つけた隠し通路の先にも人っ子一人いません」
「そうか。どこかに別の隠し通路か地下に繋がる場所があるはずだ。下級兵士も使ってくまなく探せ」
「分かりました。それと、先程宰相様よりお手紙が届きました」
「読み上げろ」
「はい。ドルトネアとジナが、『白い渡り鳥』様の戦場介入の禁を犯したという事実は前代未聞のため、フェアニーブでトラント国王に真偽を問う公開の取り調べをして欲しいと要望し、その意見には多数の国が同意見だと言ってきた。その要望を受け、国王陛下は以下のことをバルジアラ殿に伝えよ、と述べられた。
シェニカ様による証明だけでなく、我が国が大義名分を得た上での侵攻だったことをより確実なものにするため、トラント国王は殺害ではなく生け捕りにせよ。
もし生け捕りが不可能で殺害した場合、シェニカ様をフェアニーブにお連れして公開の場で証言して頂くようお願いするように。
ノールトールのバニエドート様に話を伺ったところ、『白い渡り鳥』様は戦場介入の事実を知ったとしても、仲間を売るようなことになりかねないから口を噤むだろうと仰った。
そんな状況で、シェニカ様は『白い渡り鳥』様の戦場介入を証明して下さった上に、存在しないと言われていた解毒薬で治療までして下さった。我が国の勝利で終わらせた後、シェニカ様を首都までお招きして私から直接礼を述べたい。
万が一トラント国王がサザベルにより捕縛、殺害された場合、フェアニーブにシェニカ様をお連れするのはサザベルの役目になる。シェニカ様に大恩のないサザベルに絶対に出し抜かれるな。……以上です」
フェアニーブというのは、大陸の中央部にあるファンデル湖に浮かぶ島の名前だ。その島には円形の大きな城が建っていて、世界中の国から代表者が集まっている。
ここは橋がなければ辿り着けない場所なので、橋を落とされれば孤立する四面楚歌の場所だ。そんな特殊な場所だから、『中立の地』と言われてどの国にも属さない島となっている。
本来ならばここでは、国や『白い渡り鳥』様から預かった証文とお金の管理、『白い渡り鳥』様の特権や禁止事項、戦争のルール、金銀銅のレートなど、世界共通の公益性のあることを話し合う。そんな場所で戦敗国の国王を取り調べをするなんて前代未聞だ。
『白い渡り鳥』であるシェニカ様が書いた証明は、信用度の高い公的な物だから普通の場合ならばそれで足りる。しかも、真偽を問う手紙に対してトラントが無言を貫いていることから、禁を犯した事実を暗に認めているのだ。
だが今回は、大国が国土を広げる大義名分を得るという事態だけに、他国もその真偽をトラント国王に直接確かめたいということだろう。
「大国が自作自演をやって大義名分をでっち上げ、侵攻してこられては困る」という小国の懸念と、「ウィニストラかサザベルのどちらかだけが、領土を広げることになるのが面白くない」という、ドルトネアとジナの難癖だ。
「そうか。エニアス以外は下がっていい」
自分の腹心の副官であるエニアスだけ部屋に残すと、黒い頭巾に暗部服を着た2人が窓から入ってきた。
トラントと国境を接する国に偵察を命じた暗部達や、トラント国内に放った暗部達が報告に来たようだ。
「ご報告です。トラントと国境を接する国を偵察した結果、サザベルを除く国は侵攻の表明もありませんし、準備している様子もありません」
「侵攻を諦めた他国の反応はどうだった?」
「どの国も神官長を呼び出して『聖なる一滴』についての話を聞いていましたが、トラント側に事実関係を確認するなどしている間に、我が国が首都目前まで来ていたため将軍らを出すのは諦めていました」
「まぁ、そうなるだろうな」
「あと、国内貴族が国王を匿っている様子もありませんでした」
ウィニストラが首都に攻め込んだことは、既に新聞の報道で世界中が知っている。シェニカ様の『聖なる一滴』を使われると形勢逆転になってしまう可能性があるが、それを知らないトラント国内の貴族達は、ウィニストラに侵略されるのは時間の問題と考えるだろう。
侵略後の地位を心配する貴族達は、自分達の今後を確実なものにするために、逃げてきた国王の居場所や些細な情報をこちらに密告するはずだ。
首都にいればウィニストラが首を狙う。首都を出れば密告する貴族の目がある。国外に出れば行き先の国から首を狙われる。どこに居ようが四面楚歌の状況だが、これが侵略戦争を仕掛けた国王の責任だ。
国王が首都を出た様子がないという偵察隊の報告もあるし、貴族の密告もない。他国が捕まえたという話もない、ということは国王はまだ首都にいる。ジェベルの持っていた地図や落盤地点を掘り返した感じだと、地下に広がるであろう鍾乳洞に身を隠しているのが可能性としては1番高い。
でも入り口が見つからなければ、鍾乳洞は本当にあっても出入り口がないため、国王らはそこに潜んでいないという可能性も考えうる。地質学者がこの地の鍾乳洞について調べていたとしたら、どこかに出入り口があると思うのだが…。ディスコーニとシェニカ様を助け出すためにも入り口を見つけたいが、どこかにあるのだろうか。
日が傾き始めると、エニアスを連れて王宮の側の空き家に移動した。
扉を開けば自分の副官が1人、ディスコーニの副官が2人、ソルディナンドの副官が3人が見えた。バーナン神官長とソルディナンド、奴の腹心の副官は、メシでも食べに行っているのかここには居なかった。
「何か手がかりはあったか?」
「まだ見つかっておりません」
扉を開けた瞬間に立ちあがったウィニストラの3人の副官に声をかけると、自分の副官であるフォリナスが返事を返した。
「そうか。もうすぐサザベルの連中がここに着くはずだ。奴らよりも先に国王の居場所を暴き、可能な限り生け捕りにしろ、と国王陛下からのお言葉だ。持ち場を交代した時はそのつもりで国王を探せ」
「「「はい」」」
視線を奥に向ければ、部屋で1番大きな本棚の横で一心不乱に本を読んでいる『赤い悪魔』がいる。
世間の評判でしか知らないが、本を読むような奴ではないと思っていた。でも副官の報告によれば、奴は食事も休憩も、睡眠すらまともに取ろうとしないらしい。
この戦争では中立の立場にいるこいつが、今一番寝る間を惜しんで働いているという状況を見れば、シェニカ様の安否が心配で仕方がないようだ。
生命知らずの驕り者と思っていたが、恋人の安否を心配するような人間らしい一面があったものだと感心した。
だが、今の状況でのこいつの不安点はその気の短さだ。
ウィニストラはシェニカ様に恩がある以上、夜襲の時にディスコーニに突っかかったように、こいつに喧嘩をふっかけられようが水に流せる。
でも、キルレの連中や、これから来るサザベルの奴らに喧嘩を売ろうものなら、奴らはこれ幸いにとシェニカ様にカケラの交換を要求したり、国に連れて行こうとする。シェニカ様の『聖なる一滴』を要求する最悪の可能性だってある。
俺が直接苦言を呈してやりたいが、この男は俺に敵意を剥き出しで突っかかってくるだろうから、短気に余計な油を注いでしまっては困る。
こいつが自分勝手なことをやれば、それがシェニカ様の弱みとなり、ここには居ない彼女に全ての皺寄せが行く。それが果たしてこいつに分かっているのか、というのが1番の不安だ。
エニアスを連れて家の外に出ると、外の状況を確認するために夕日を浴びる街を一周してから戻ることにした。
トラントの首都に来たのはもう5年以上ぶりになるが、その時に比べて赤い煉瓦造りの建物が随分多くなった気がする。
会議室のある建物を視線に捉え、王宮を囲む真新しさを感じる赤い煉瓦の壁に沿って歩いていると、違和感を感じて足が止まった。
王宮なんて最重要施設を防衛する壁は、頑丈にするために多くは石造りにする。だから黒や灰色といった石の色になることがほとんどだが、この場所の壁を煉瓦にしている国なんて初めて見た。
首都を囲む城壁は石で出来ているのに、王宮を囲む壁が耐久性の劣る煉瓦とは。侵略戦争を起こされた場合、敵が首都決戦を制して王宮を攻める可能性は考えなかったのだろうか。それとも石造りにするよりもデザイン性は高いから、見た目を重視したのだろうか。
「バルジアラ様。どうなさいました?」
「いや、なんでもない」
「トラント国王らが地下にいるとしたら、ディスコーニ様とシェニカ様が鉢合わせした場合は大丈夫でしょうか」
「あいつなら大丈夫だ。この10年、散々こきつかってやったが、口答えはしても俺の期待に応えられなかったことは一度もない。連中がディスコーニと同じ地下にいるのなら、あいつは俺の期待した通りにトラント国王を生きたまま捕まえ、シェニカ様を連れて俺の前に報告しに来る」
「そうですね。バルジアラ様の無理難題を全てクリアしてきたディスコーニ様を尊敬します」
エニアスは小さく笑いながらそう言った。
建物内の階段を上りながら会議室が近くなってくると、色んなことが頭の中を埋め尽くして溜息しか出ない。
公的な者達との接触を極端に避けるシェニカ様だが、今回は『白い渡り鳥』様に関する事態であるため、国王陛下への説明と報告をお願いをすれば首都に来て下さるだろう。
窮地を救ってくれた大恩のあるシェニカ様だからこそ、ウィニストラとしては礼を述べるだけで、彼女の意思に反するカケラの交換といった繋がりの申し出や治療の依頼など、恩知らずのような真似をするつもりは毛頭ない。それは大国としてあるまじき恥だと、自分だけでなく義を重んじる国王陛下も考えているはずだ。
でも万が一サザベルがトラント国王を捕まえた場合、連中はシェニカ様に同じように話して首都へと招くだろう。そうなれば、「国王陛下が治療の礼をしたいので、ウィニストラにお越し下さい」とこちらが伝えても、最低限の関わりしか持とうとしない彼女が我が国に来て下さる可能性は低い。
サザベルが勝てばここまで費やした時間と労力、戦場で失ったウィニストラ兵や傭兵の働きは水の泡。シェニカ様への礼の機会は失う。連中のほくそ笑む姿が目に浮かぶ。
それに。シェニカ様の無色透明で無臭の『聖なる一滴』はヤバすぎる。
彼女の居場所が分からない以上、トラント側に彼女と毒薬が利用された万が一のことを想定しなければならないのだが、彼女の『聖なる一滴』が薄めた場合にどれくらいの効果になるのか誰にも分からない。
飲食や風呂に使う水は全部水の魔法で使用する分だけ溜めて使い切り、兵士はここにある水には一切触れないように徹底させねばならないのだが…。
兵士達には「首都の水に解毒困難な毒の混入が疑われるため、使用も接触も禁止する」と既に伝えてあるが、『聖なる一滴』の存在が機密になっているからこそ、状況が分かっていない兵士達がどこまで危機感を持って命令を遵守するのか分からない。
世界中が喉から手が出るほど欲しいシェニカ様との繋がりは、この『聖なる一滴』の存在が判明した以上、今後はその色を変えて激しくなるだろう。おそらくシェニカ様自身もそれが分かっていたから、予防線として今まで公的な者達との接触を避けていたのではないだろうか。
今まではそれで何とかなっていたかもしれないが、国との繋がりを持っていないシェニカ様にとって、今後その状態が続くとかなり危険になる。大恩のある我が国だからこそ、彼女の力になりたいのだが。
あいつはただで死ぬやつではないから生きているだろうし、シェニカ様も生きていると信じている。シェニカ様についてはディスコーニに任せるとして、何とかして奴らより先にトラント国王を捕まえなければ。
「バルジアラ様、お食事中に申し訳ありませんがご報告です」
会議室に戻ると食事を始めたが、副官から渡された報告書に目を通しながら話を聞き始めた。
◆
「う……ん?」
身体のどこかに走った痛みに目を開けると、微かな明かりに照らされた乳白色の何かがある。ぼんやりした頭で何度か瞬きしていると、顔に張り付くような湿っぽさと、淀んだ空気が満ちているのを感じた。
「気がつきましたか?」
どこからともなくかけられた誰かの声をきっかけに身体を動かそうとすると、どこかでズキンと激痛が走って頭の中が一気に覚醒した。痛みを不思議に思って身体を動かすのを止めると、自分が仰向けで寝ていることに気付いた。
「ここ…は?」
声が聞こえた方に顔だけ向けると、少し離れた場所から光を持った誰かが、私の方へとゆっくりと歩いてきていた。
「ここはトラントの首都の地下に広がる鍾乳洞のようです。落盤に巻き込まれたのは私達だけのようですね。入り口は塞がれてしまいましたが、先に続く洞穴がありました」
ーーこの声の主は誰だろう?鍾乳洞?ルクトは?なんでここに寝ているんだろう?
ぼんやりとした光が次第にはっきりとして、私の周囲を明るく照らした時。現れたディスコーニ将軍は、左足を引きずっていた。よく見れば、青碧色のズボンの太もも辺りに大きな血のシミが広がっている。怪我をしているようだ。
「あ、怪我をしているんですね。治療しま……痛った!!!」
手をついて身体を起こそうとすると、右手に激痛が走った。
「大丈夫ですか?」
自分の右手を見ると、真っ赤に染まった布が縛ってあった。なぜ右手がズキンズキンと激しく痛むのかと思いながら慎重にそれを解けば、手の平から甲まで貫通した傷跡があった。手をついたからか、傷口からはドクドクと脈打つように血が流れ出していた。
何が貫通したかは分からないけど、いつの間にか怪我をしてしまっている。
「怪我をしていらっしゃるんですね。治療します」
「いいえ。先にシェニカ様の手の治療をして下さい。私はそれからで結構ですよ」
私がすぐそばに来たディスコーニ将軍の足に無事な左手をかざそうとすると、彼はそう言って一歩下がってしまった。
「そう、ですか?ではお言葉に甘えて…」
左手をかざして痛む右手の怪我を治療すると、立ち上がった途端に今度はクラクラとめまいに襲われた。
目の前が真っ暗になって、自分がちゃんと立っているのか斜めになっているのか分からなくなっていると、ガシッと両肩を支えられた。
「大丈夫ですか?」
「あ、ちょっとめまいがしただけで大丈夫です。足の怪我を治療しますね」
ディスコーニ将軍の手で誘導されて白い敷物の上にもう一度座った私は、目の前に立つ彼の足に治療魔法をかけた。
この真っ赤なシミの広がり具合から考えると、ディスコーニ将軍はかなり出血しただろう。立つのも歩くのも血が足りなくて辛いと思うけど、休んでなくて大丈夫なのだろうか。
「凄い血の量ですね。大丈夫ですか?」
「この血は私とシェニカ様の2人分です」
「え?」
「目が覚めた時、鋭く尖った岩がシェニカ様の手と私の太ももを刺していました。落下した時に上から落ちてきたようです」
もしかしてローブも同じようなシミが出来ているのだろうかと自分の状態を確認してみると、羽織っていた白魔道士のローブはなくなっていて旅装束姿になっている。
旅装束は黒地だったからパッと見ただけでは分からなかったけど、よくよく見てみれば腰の辺りにディスコーニ将軍のシミを移すような大きな血のシミが出来ていた。手の平を貫通する怪我となると、それなりに出血してしまったらしい。
「あれ、ローブは…?」
「シェニカ様のローブは、裾が岩に挟まれていて取れない状態でした。申し訳ありませんが私が脱がせました」
「そうだったんですか…。岩を抜いて貰ってありがとうございました。他に痛む所はありますか?」
「全身を打った時の打撲くらいです」
「それも治療しますね」
座ってくれたディスコーニ将軍に治療魔法をかけていると、私も強い衝撃を受けたはずなのに右手のほかに打撲といった怪我をしていないことに気付いた。
そういえばと記憶を辿ると、揺れに耐えられなくて座り込んでいたら、ディスコーニ将軍に立ち上がらせて貰った。その直後、足元から地面が消えて真っ暗闇を一気に落下していったが、その時に彼が離れないように掴まえていてくれた。
そして全身に激しい衝撃が襲ってきたところで記憶は途絶えている。大きな衝撃だったのに、他に何も無かったのは間違いなく彼のおかげだろう。
「あの、落ちた時に私を庇ってくれてありがとうございました」
「いいえ。シェニカ様がご無事で安心しました」
ディスコーニ将軍は青いタレ目を細めて穏やかな笑顔を浮かべながらそう言ったけど、私のせいで怪我をさせてしまったのはとても申し訳ない。
ギルキアの時も夜襲の時も、彼には助けてもらってばかりだ。何かお礼を返してあげたいけど、何も思い浮かばなかった。
「浄化して綺麗にしますね」
私はディスコーニ将軍のズボンを浄化して綺麗な軍服姿に戻した後、自分の旅装束と下に敷かれていた布も同様に綺麗にした。その時に初めて敷物がローブであったことに気付いた。
ローブに出来ていた点々とした血のシミは消え、土埃は叩いて落としたが擦り切れて穴の開いた所はどうしようもない。
鞄の中にある携帯用の裁縫セットなら穴は塞げるだろうけど、何か所もあるし面積も広いから糸が足りないかもしれない。
「このローブの穴、全部は無理かもしれませんが縫って塞ぎましょうか?」
膝をついたままのディスコーニ将軍にローブを差し出すと、彼は受け取らずに首を振った。
「いいえ、結構ですよ。穴が空いているのは申し訳ありませんが、そのローブはシェニカ様がお使い下さい。それと、この子の治療もお願いできますか?」
ディスコーニ将軍が軍服の上着の裾をめくると、腰のあたりにあった銀色の硬そうな入れ物から、大事そうに何かを取り出して私の前に差し出した。
「この子は…?」
ディスコーニ将軍が両手で包むように私の前に差し出したのは、銀色の小さなチェーンを編み込んだベストを着た茶色のフサフサの毛玉だった。
フサフサな長毛は鎖の穴からはみ出た胴体部分や長い尻尾の部分で、首から上は短毛で覆われている。その小さな身体の持ち主は気絶しているらしく、目を閉じたまま不規則に呼吸している。
そっと手をかざしながら触れてみると、毛先は柔らかいけど根本にかけては硬めの毛。プニプニと柔らかい身体は温かいが、硬いポーチに身体をぶつけてしまって打撲しているようだ。でもそれ以上の怪我はしていない。
こ、これは可愛い…。なんという種類の動物だろうか。なぜ、ディスコーニ将軍がこんな所まで連れてきているのだろうか。
「この子はオオカミリスという小動物です。この子は私の相棒で、普段は私の腰につけたポーチの中にいるんです」
「そうですか。この子も打撲してますので治療魔法をかけますね」
私が治療魔法をかけると、フサフサの子の乱れた呼吸が少しずつ安定してきた。まだ目は覚めないけど、茶色の頭や身体を優しく撫でてみれば、サラサラでフサフサの毛はとても触り心地が良い。
私もこういう相棒が欲しい…。一体どこでナンパしたのだろうか。気になる。是非その方法を教えてほしい。こんな可愛い子を口説き落とせるディスコーニ将軍には、是非とも私にその極意を教えて欲しい。
「人に懐くリスっているんですね。初めて見ました。どうやって相棒に出来るんでしょうか」
「オオカミリスというのは、ウィニストラの一部地域にしか生息しない絶滅危惧種のリスの一種なんです。オオカミリスは自分が主人と認めた人間には良く懐き、人の言葉が多少分かるくらいの賢さがあります。
この子は私を主人と認めてくれて、難しい命令でもちゃんと聞いてくれる特に優秀な子なんです」
「すごいですね。こんな時にも連れてきているってことは、戦場でも何か活躍しているんですか?」
「ええ。私の相談役と癒やし役として活躍してくれます。普段は大丈夫なのですが、戦闘態勢に入ると鋭い牙と爪で攻撃してくるので、慣れてない人には注意が必要なんです」
相談役と癒やし役…。良いなぁ。私もそんな可愛くて癒される相棒が欲しくて堪らないな。
そんなことを思ってリスの小さな頭を撫でていると、目覚めが近いのかモゾモゾと身体が動き始めた。
「あ、起きた。痛いところはないかな?君、可愛いね。お名前は?」
「ジジッッ!!」
頭を撫でていた私の手に驚いたのか、リスは水色の切れ上がった目をパチパチと瞬きすると、ディスコーニ将軍の手の上で私に毛を逆立てて威嚇のポーズを取った。
大きなお耳と身体を大きく見せるフサフサな体毛が、まるで小さな狼のようだ。
きゃぁぁぁ!そんな姿もとても可愛いっ。可愛すぎる!確かに鋭い爪と牙で威嚇しているけど、可愛さが勝って全然怖くない!!
「威嚇する姿も可愛いなぁ」
ディスコーニ将軍は、私に向かって威嚇するリスの頬を苦笑しながら指でコチョコチョと撫でた。
「ユーリ。こちらがお話ししたシェニカ様ですよ」
ディスコーニ将軍の言葉が本当に分かるらしく、リスは逆立てていた毛を元に戻し、水色の目で私をジッと見てきた。
警戒を解いた姿はとても可愛い。頬ずりして、ワシワシと指で撫でて、ギュッと抱きしめてみたい。
「ユーリってお名前ってことは、女の子かな?私はシェニカ・ヒジェイトです」
「チチチィィ!!」
私が挨拶をすると、今度は警戒した声ではなく元気な声を私に返してくれた。
「あれ?もう威嚇しなくなった。言葉が分かるなんて偉いねぇ。あ、触らせてくれるの?可愛いなぁ」
恐る恐る手を伸ばし、もふもふの頭や頬を指で愛おしげに撫でると、この子も気持ちがいいのか大人しくしてくれた。
「ユーリは愛称で、ユリウスという名の男の子なんです。この様子だと、ちゃんとシェニカ様が敵ではないと認識してくれたようですね。
さ、出口を探しましょうか。ここにいてはまた落盤が起こるかもしれませんから、離れた方が良さそうです。どこか安全な場所を見つけたら休みましょう」
「そうですね。ディスコーニ様、ユーリくん。よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
「チチッ!」
ユーリくんは元気よく返事をすると、あっという間にディスコーニ将軍の肩に移動した。立ちあがった彼が軍服の1番上にあるボタンを緩めると、その開いた場所から軍服の中に入ったのに、くつろげたその場所からヒョッコリと可愛いお顔だけ外に出した。
その愛らしさに、悩殺されて身体がぷるぷると震えた。
うへぁぁぁっ!リスのボタンみたいで可愛いっっ!私もあんな可愛い子が欲しい。絶滅危惧種の動物は売ってないし、ユーリくんはディスコーニ将軍の相棒だから諦めるけど、私もオオカミリスの相棒が出来ないものだろうか。
私をジッと見ている可愛いユーリくんに笑顔を返しながら下ろしてあった鞄の中を探ると、中身は全て無事で、元々着ていた自分のローブを取り出した。
「あの、ディスコーニ様。私は元々着ていたローブがありますから、このローブはディスコーニ様が着てはどうでしょうか」
ディスコーニ将軍にそう声をかけて白魔道士のローブを差し出すと、彼は首を横に振った。
「いいえ。ここは下も横も凸凹していて、ローブが引っかかって破れてしまうかもしれませんから、遠慮なくそれをお使い下さい」
「そうですか?では…」
彼がそう言うのなら使わないと失礼かと思って、自分のローブをもう一度鞄に仕舞った。鞄を背負い、白魔道士のローブを羽織って立ち上がると、頭がフラフラしてまた座り込んでしまった。
「大丈夫ですか?」
「あ、大丈夫です」
ディスコーニ将軍が差し伸べてくれた手を掴めば、ゆっくりと立ち上がらせてもらった。そして、私の目の前には軍服の隙間で小首を傾げたユーリくんが居た。
ーーあ、ユーリく~ん。かわいいなぁ。チューしちゃいたいなぁ。
その可愛さのあまり思わずキスしようと半歩踏み出してしまった。視線を感じてハッとして顔を上げれば、ディスコーニ将軍の青い目が心配そうに私を見ていた。
「出血量はシェニカ様の方が多かったですから、動くのが辛ければ私が背負いますよ」
「え?いえいえ、ゆっくり動けば大丈夫だと思います」
ディスコーニ将軍の後をついて数歩踏み出した時、なんだか耳に髪がかかることに気付いた。いつもと違う感覚に、手を当てて原因を探った。
「あれ?ない…」
「どうかなさいましたか?」
「いえ…。髪留めがなくなっていて…」
何度触ってもルクトから貰った髪留めがない。慌てて鞄を下ろし、取り出した手鏡で確認してみても、お気に入りの髪留めはどこにもなかった。
「落下の衝撃で外れてしまったのかもしれませんね。一緒に探します。落下地点はあそこのローブがある場所です」
教えてもらったローブがある場所に行って、光を掲げて探してみた。挟まって取れないローブを捲ったり、周囲の砂地を掘ってみたけど見つからない。
すぐ近くにあった折り重なる岩の隙間を覗き込んだ時、奥の方に金と赤の破片が飛び散っているのを見つけた。原型を留めないほどに粉々になってしまっているから、衝撃で外れた髪留めが飛んで、その上に岩が落ちて砕けてしまったらしい。
ルクトから貰った初めてのプレゼントなのに。大事にして毎日着けていたのに。まるで私達の関係まで砕けたみたいなその惨状に、目の前が潤んで歪み始めた。
「ありましたか?」
「あ、あったんですけど。でも…」
別の場所を探してくれていたディスコーニ将軍が、動きを止めた私に気付いてこっちに歩いて来た。言葉をロクに発せなかった私を見ても、彼は何も言わずに私の視線の先ある髪留めの残骸を見た。
「これでは修復は難しそうですね」
「そうですね。諦めるしか…ないですね。行きましょうか」
私は零れ落ちそうな涙を指で拭うと、髪留めに背を向けてポッカリと開いた洞穴に向かって歩き出した。
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