放課後はダンジョンに行って憂さ晴らしのつもりがいつの間にか学園最強になってたことに気が付かなかった

uni

文字の大きさ
93 / 253

第九十三話 ゴーミ、ゲスザンス、その後1

しおりを挟む

朝食後すぐに出ようとなった。とっとと回れば一日にで済むかも?と思って。

まずゴーミ。海岸線を南から北上。ほぼひとけは無い。北から川沿いに内陸に入る。平野部には田畑が広がる。生育はほどほど。悪くなさそうだ。人が畑に入って働いているのを多く見る。なんか、多め?
森のヘリが新しく開拓されているようだ。
大きな街の上空は姿を消して低めに飛ぶ。
人の動きは特に少なくも遅くもない。人の顔がわかるくらい低く飛んで見る。
まぁ悪くはなさそう?ここの領主がいいのか?

他の大きな街を幾つか見てみた。そのままゲスザンスに入り、やはり大きな街を中心に見ていく。
街は必ず姿を消して低く飛び、人びとの顔を確認した。
街によって違いが見えたから。

人びとの顔から判断して、赤、青、黄色、とそれぞれにマーカーを付けておいた。
そして一番近い安全地帯なドラゴニア側に入り北の森の街に降り、喫茶店に入り休憩。

「どう思う?」ドーラ
ケーキを食べて茶を飲んで一息ついた所で話し始める。
「あー、領主?」ユータ
「ああ、だよな、、あんだけの違いってのは。」

「ただ、、あとでギルドに行ってみよう」ドーラ


ギルドの入り口で、ストレージからマントを出す。テイナが作ってくれたドラゴニアの刺繍が在るやつ。
ユータと2人、それを羽織ってギルドに入る。

受付で、
「ドラゴニア王国の者だが、ゲスザンスについて調べている。あそこの国を通ってきたものとかいたら話を聞きたいのだが、いるか?」ドーラ

ここにいる冒険者たちは、一応、盲目的に権力に従順というものはいないはず。
だが、バカもいないはずだ。合理的な理由ない悪意は持ってないはずなので、話せばわかるはずだと思う。
ただ、事の重大さをわからせるために、このマントを羽織り、国の名を出した。

受付の者がロビーに居る冒険者を見渡すと、中から2人出てきた。
「俺らはゲスザンス出身だ」

彼らをロビーの隅の席に座らせ、飲み物を頼む。何でもいいと言うと、エールを望んだ。
ユータは?と見るとうなずく。へぇ、エール飲めるの?
冷えているやつを4つ頼んだ。値段が少し違うだけだ。

ぐびぐびぐびぐびぐびぐびっ!っぷはぁー!
「さて、、何でも聞いてくれ。答えられることは答える」背の高い方の冒険者。
「・・兄弟?」ユータ
「ああ、そうだ。こいつは弟。」と、背の低い方を指す。

「どのへんから来たんだ?どこに住んでいた?」ドーラ
国の南西部、この森の北東から1-2日ほどのところらしい。王家、王都が潰されて良くなるかな?と思ったが、更にひどくなったので即逃げ出してきたという。親は居ない。物心着いた頃には王都の北の領の領都の孤児院にいたという。酷い系の孤児院で、逃げ出す子供も少なくなかったらしい。

「俺が冒険者に登録できる7歳になった時、弟を連れて逃げ出した。そして放浪して、一番マシな街だったここの近くの街に住んでいた」という。

苦労したのか?とドーラが訊くと、
「苦労?よくわからんが、少し大変な時期はあった。でも盗みとかしないでどうにか過ごせた。あんときはひもじかった。」
「ああ、厳しかったねぇ、、」
良い冒険者に助けられ、いろいろ教わり、自分達でどうにかできるまでになったという。

「ジョニー、とか言ってなかったか?」
「・・・いや、、違った名前だと、、ゴとかザとかがあったような」
「うん、そんな感じの名前。俺ら覚えるの苦手だから」

「んじゃ、どの魔獣がカネになるとか覚えられないのか?」
「それは姿で覚えているから大丈夫だ。名前とか、そういうのがダメ」
「ああ、わかる、、実生活でできる奴なのに勉強がダメなタイプだね」ユータ
2人は学校に行ったことないのだろう、キョトンとしている。

「どこの街がダメだったか、人が良くなかったとか、どこの街が人が良かったとか、覚えてるか?」ドーラ
「うーん、、行ってみないと思い出せないな、、」
「んじゃ、良い領主の噂とか聞かなかったか?」
「・・・・どうだろう
「にい、あの、北?のかな?辺境の領主、」
「ああ、そう言えば、結構皆言っていたな、ここのそばの街で」

マシな街の住人が言うのだから、まぁ、それなりなのかもしれない。

「お前たち、こっちに来てどのくらい経つ?」
「二ヶ月?」
「お前たちの国と比べて、どうだ?」
「全然違う。なぜもっと早くこっちに来なかったのかって、、」

「悪かったな、ここの街を作ったのも最近なんだ。それまでは森の道もなかった。冒険者達をこっちに逃がすために作ったんだよ」
・・・・・
「それまでは、まともなものは皆ゴンザールに逃げていた。あそこの王はいい人だ。冒険者は皆あの王と、あそこの魔物の森の領主を悪く言わない。」
「あー、そっちでもよかったんだ、、、」兄

そういう情報も分け合わないんだ、、、ゲスザンスの奴等、、
「お前らを助けてくれた冒険者、なんか言っていなかったか?」
「・・・あ、そう言えば、、東に行って南に行けとか言ってたかな?」弟
「武力は兄、おつむは弟、いいコンビだな」
「「だろう!」」

ぐー、と兄が腹を鳴らしたので、食事を頼んだ。
食っている時は他愛の無い事を話した。
食事を食い終わった後、給仕に「ケーキは在るか?」と訊くと、少し待ってくれれば買ってくると言ってくれたので頼んだ。

食べ終わってから、冒険者の技量を聞いた。戦果を見るとほとんど初心者。よくここまで来たものだ。それだけいろいろ努力したのだろう。
「おまえら、冒険者として稼ぐのきついだろ?」
「・・・ああ、まだ、な、でも
「提案が在る。お前らに仕事を紹介できる。幾つか在る。
1つめ。ゴンザールの宿か、馬車屋。
2つめ。西に行くとうちのダンジョンの入り口の街がある。でも魔物のダンジョンじゃないので稼げない。でもその街にいくつか店が在るんでそこで働く。そこだと午前中は学校に言って勉強し、午後は仕事だ。読み書き計算、知識、剣技、魔法の勉強だ。生きていく上で必要なことを学ぶ。
・・おまえら、幾つだ?」

「ホントの歳はわからない。今は俺は12歳と言っている。弟は11だ。」
「・・・・ぎりぎりだな、、どうだろう?」ユータに訊くドーラ
「うん、本人達に選ばせれば?」ユータ

「3つめ。ウチの孤児院に入る。お前たちは歳は12かもしれないけど、一所懸命ガンバッてきたのはわかる。ここまで生きてきたんだ。よくガンバッたな。えらいぞ。
だから、ウチの孤児院に1-2年いて勉強しろ。最低でも食う分を狩ることができるようになるまで、または、どっかの店で余裕で働けるようになるまで。
もちろん今のままでもいい。別にウチの国にいるから俺に仕事まで従わなければならないなんてこと無い。このまま冒険者やってもいい。
・・・
どうする?」

となりの席でエールを飲んでいた中年の冒険者が口を出した。
「おまえら、チャンスだ。学校通え。お前らの人生に絶対に必要だ。この歳の俺が言うんだ、それだけは間違いない。」
「「「そうだそうだ、、」」」
という声が、そこここから聞こえる。

兄は弟を見る。弟は頷く。
「ああ、んじゃ世話になる。3つめ、頼むわ」

「おっさん、ありがとな、、心配して隣に来たんだろ?」ドーラ、その中年に礼をいいつつも、その中年がその子供冒険者2人が心配で隣に座ったことを言った。
「人のいいおっさん達のために!今日はここは俺のおごりだ!ドラゴニア国王のおごりだ!食って飲んで暴れろー!!」
いや、、最後のはなんなんだ?

一瞬皆停まった。
は?
なんてった?
国王?
こくおーってなんだっけ?
そりゃ、こくおーだろ?
子供が?

ドーラ、ユータの手を握り、(魔力をいただいて、、)
ボン!
天井ギリギリの大きさのドラゴンになった。
「もんくねーだろ?」
「「「「ありませーん!!」」」」

「ドーラはね、いい人が好きなんだよ。」説明するユータ。
「悪い奴らはもっとでっかくなって踏み潰すかブレスで炭にするけどな!」ドーラ
「僕らの他の仲間もすごいの多いけどね!」ユータ
「「あっはっはっはっは!!」」ドーラとユータ

あっはっはっはと、いっしょになって、でも乾いた笑い声のみんな。

「みんな笑いがしょぼいぞー!!飲んで食って楽しんで笑えー!給仕、ドンドンいいもん持ってコーイ!ユータ、会計頼むな!」
「ボクかい!」
あっはっはっはっは!!

全く関係ないおっさんが、見ず知らずの子供たちのために心配し、助言したのが気持ちよかったドーラ。
ユータも同じ気持ちだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

俺は普通の高校生なので、

雨ノ千雨
ファンタジー
普通の高校生として生きていく。その為の手段は問わない。

この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~

仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。 祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。 試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。 拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。 さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが…… 暫くするとこの世界には異変が起きていた。 謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。 謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。 そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。 その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。 その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。 様々な登場人物が織りなす群像劇です。 主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。 その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。 ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。 タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。 その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

処理中です...