疑う勇者 おめーらなんぞ信用できるか!

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下−132 新国家開店しますた!

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新しい街に角笛の音が響き渡る。呼応するように、いくつもの方面からも続くように響いてくる。
ドーン!!ドドドーーン!
次々と花火が打ち上げられる。様々な模様の、色の、でっかいでっかい花火達。果てること無いと思われるくらいに、連続して打ち上げ続けられる。

街の通りの真ん中には、何箇所にもテーブルと、切り株の椅子が出され、良い酒とめったに食えない食い物がそのテーブルに山盛りになっている。
勿論そこに人だかりはすごい。が、食い物も酒も、どんどん追加される。

楽器を持っている者は持ち出し、、皿とコップを楽器にして器用に奏でる者もいる。
そこここで、時折、北桜バンザーイ!!という乾杯の声が上がる。

子どもたちも今晩だけは夜ふかしだ。
危険な者はここには来ていない。来られない。
防衛隊の警邏もいる。尤も、彼らも警邏途中にのんべに捕まり飲まされているが。

中央広場の中程に、でっかい薪が積まれていた。
防衛隊員が火を付ける。
めらめらめら、、、一気に全体に燃え広がる。魔法だろうか?隊員の技量だろうか?

アコーディオンが鳴り響き、酒に酔った者達がノリで踊り始める。適当だ。それでいい。

いい酒、美味い食い物、それが尽きない。
在り得なかった、今までになかった、特別な時間。

皆、ただ、愉しめばよかった。

ーー

チュンチュン、、チュン、、、
ガタガタ、、ごとごと、、

酔いどれ達がそこここでマグロになってるのを避け、防衛隊員達がテーブルや切り株椅子を片して、通りを掃除している。
酔いどれ達は馬車に積み込まれ、気の香りが充満する真新しい道場に寝かされる。防衛軍の施設だ。

朝もやが消える頃には、通りは見違えるように綺麗になっていた。

東から昇る陽の日差しが、中央大通りを真っ直ぐにゲレンデの山まで照らし、その山頂にある小ぶりの西洋風の女性が好みそうな城を照らし輝かせる頃、

眼下のゲレンデの前方にある広場には舞台が作られ終わっていた。
3mほどの高さの舞台。大通りの向こうの端からも見えるだろう、魔人なら。人間は双眼鏡必要だね!

湖の辺りの、昨晩花火を打ち上げ続けていた場所には、また花火担当の魔人達が集まっていた。
今日は昼間の花火なので、特別な仕様。昨晩より2段くらい技量がある者達だ。
なにせ、昼間にあの花火を見せようというのだから。

陽の光で、かなり街が温まった頃、、昼まで今少し、というころ、
街にトランペットが鳴り響く。あったんだ、、トランペット、、んじゃ、、ほかのもあるのか?

当然。
邦楽ではなく、洋楽のマーチ。
楽隊が街を練り歩く。
防衛軍の制服着ているので、いつの間にかできていたのか?

町の人々は起床し、街はにわかに活気づいてきた。

半時後、人びとはゲレンデ前の中央広場からメイン通りにあふれていた。
先程、式を始める知らせの花火が上がっていたのだ。(音だけ)

舞台の上はあたかも天上かのようにセットされていた。
そこの中央に、すっと、転移で現れた、あきらかに女王と王と見られる若い女性と男性。イサムの渡した衣装を着ている。
民衆達も知らぬ間に大拍手をしていた。転移ができる女王と王!!。それだけでも誇るに足りた。歓声も上がっていた。数分後、王女が片手を少し揚げ、制した。
声も拍手も止まり、一瞬の静寂。

女王が口を開く。

「皆の者、今日まで、大儀であった。
今、ここに、北桜王国開闢を宣言する。
皆、多いに楽しんでくれ!」
、、
桜が言い終える。
大歓声が沸き起こる。

特に草履から来た連中かもしれない。
全国民に二カ国の国民になれると周知したのだ。イサム達が。
知的好奇心が強い奴等なので、毎年雪が降る土地なんざ興味山盛りだろう。
しかも開拓早いもの勝ち、とか言われれば。

桜と、よこでニコニコ笑いながら時折ポーズを決めて筋肉を動かしていたアラタは、転移で城に戻った。

中央広場の舞台の上は次の用意をするために防衛隊員達が小走りで作業をしている。
大通りでは、
「どいたどいたどいたあああああ!!!あっぶねぇぞおおおお!!!」
がらがらがらがらがらがら!!!
大八車に折りたたみのでっかいテーブルが何枚も載っている。同様な大八車が幾台も続く。
その大八車が一定の間隔で停止し、、
「おら、皆も手伝え!!このテーブルを通りの左右に、こっから後ろにくつけて伸ばすんだ!通りの間は空けろよ!あとででっかい車が通るからな!!」
その車を引いてきた隊員の声に呼応し、男どもはテーブルを用意し始める。

テーブルが大体設置終わった頃、

「桜とアラタを呼んでくれ。先頭の車の壇上にな。」
イサムは魔王に頼んだ。
その後すぐにイサムはまたメフィとなんか打ち合わせをしている。


パレードが始まった。
先頭のまるで生きているようなティアラを着けた白鳥をかたどった車を牽くのは2頭ドラゴン。赤と青。人を一口で丸呑みにできるほど大きい。
その車の壇上にある大理石の椅子に座り、ティアラを着けた桜。その後ろに立ち、剣を腰にないだアラタ。

引きつった笑顔で控えめに手を振り続ける桜。足元は、勿論草履でも下駄でもない。
服の上からもわかる筋肉をぴくぴく動かし続けながら、手を振るアラタ。

どこからともなく振り続ける花吹雪。
観衆の歓声は留まることを知らない。何かに酔いしれるように歓声を上げている。

次の車には各国王族、指導層。ヘンヅーラ王と将軍もここにいる。ヘンヅーラ王は感極まったらしく、泣き笑いで手を振り続けている。まぁ、今までこんな日の当たる所出た事なかったもんな、、。今回、彼はそれだけ努力したし。将軍は昨日から王の変わりようにびっくりしたままだ。
時折、王はイサムの手をとり、ありがとう!ありがとう!と言っている。

最後の車には、各国腹心達が乗っている。手を振りながら、コンタクトとりたい相手に近づき、あとでどこどこでお会い出来ませんか、とかアポ取り合ったり、少々情報交換したりしている。
また、ヘンヅーラのような、同盟にまだあまり関わっていない国を、どうやってかかわらせるのがいいですかねぇ、、みたいな雑談もしている。

通りからは、時折、おかんさまぁああああ!!などと黄色い歓声が上がっている。モテるんだな?いつの間に人気を?
翔太とゴッツも乗っているので、特にゴッツには野太い歓声が上がっている。翔太には当然黄色い歓声だ。
いやいやながらも、「俺も乗るんだからお前も乗れよ、」とイサムの強要によって載せられたメフィ。
隠れメフィリストもいるらしく、、彼女らの小声での、メフィ神とかメフィ様とか受けとかいろいろな声を聞き漏らさないメフィ。

最終地点に近づく。

イサムは、桜とアラタ、魔王、イサム、で、街の上空に上がる。

さほど高くはない。人びとの表情が見えるくらいだ。

さあ、魔王、同盟総帥として祝の言葉を。
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