異世界・野獣暴れ旅 ~スローライフに憧れて~

送り狼

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第3章 鍛練

第56話 インネン

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 まぁそれはそれとして、僕は依頼が貼られた掲示板に向かう。

「何だ?先輩のありがたい言葉を無視して依頼の確認か?」

 今までの言葉のどこに、ありがたい言葉があったのだろか?

 ニヤニヤ笑う冒険者たちを一瞥した僕は、大きく息を吐いて視線を掲示板に戻した。

 無視を決め込んだのだ。

「オレたちの言葉は聞くに値しないってか」

 聞くに値しないのはその通りだろうな。

「おぃおぃみんないぢめんなよ。木札なんだから。木札なんだから!」

「大事なコトなので二回言いました」

「「「「「ぎゃはははは」」」」」

「先輩方は暇なんですね。僕なんかに構わず高レベルの依頼を受けて・・・失礼しました」

「あぁ?どういう意味だ、木札?」

「舐めてんのか、木札」

「しばくぞ、木札」

「新人イビりしてないで働けって意味だよ、ボケ。冒険者の品位下げてんじゃねぇーよ、カス。吠える前にかかって来いや」

 つい。反応してしまった。

 完全無視するつもりだったのに。

 前世からそうだったから、これは治しようもない癖に違いない。

 もちろん、前世から今に至るまで、挑発に挑発を返して乗って来なかった方々はいない。

 大抵はボコられて終わりだ。

 挑発返しは腕に自信があるからではない。挑発する性根が気に入らないからだ。

 他人を蔑んで挑発するヤツは、大体が数を恃みに行動している。

 腕に自信がなくても、周りのヤツらがヤッてくれるだろうと計算して。

 相手が自分より弱いと見ると、率先して動き始め、しつこい。

 だからこそ、そんなヤツらにバカにされるのは我慢出来ないのだ。

 自分自身、バカなんだろうなとは思う。いつもボコられた後だが。

 それでも、気持ちだけはソイツらに負けない自分でいたいため、同じコトを繰り返す。

「表出ろや」

 テーブルに着いた何人かが立ち上がり、僕を外に促す。

 ギルド内は剣呑な雰囲気に包まれ、僕を弄っていたヤツら以外もぞろぞろと表に出て行く。

 おや?

 ギルドの受け付けたちは額に手をあて、深くため息を吐いていた。

 おやおや?

 どーやら、退っ引きならない状況であるらしい。

「木札!」

 上級冒険者らしい女性が、難しい顔をして顎をしゃくる。

 赤い髪を背中まで伸ばした、革鎧の女性だ。

 容姿は際立っているが、身体のあちこちに傷跡があり、右頬の傷跡が一番大きい。

 綺麗な女性なのに勿体ない。

 しかし、地肌に革鎧を着けているのか、ビキニアーマーとまではいかなくても露出度が高い。

 
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