異世界・野獣暴れ旅 ~スローライフに憧れて~

送り狼

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第3章 鍛練

第57話 ガチンコ

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「木札」

 再び女性が僕を呼ぶ。

 早く外に出ろってコトらしい。

 へいへい。ずいぶん嫌われたモノだな。

「死ななきゃなんとかしてやる」

 僕が横を過ぎる時に女性は小声で呟いた。

 おろ。嫌われている訳ではないのか?

 て言うか、死ななきゃどうにかなるのか?

 促されるまま表に出ると、そこには既に人垣が円陣をなし、中心に先ほどの冒険者が五人、ニヤニヤと嫌らしく嗤いながら立っていた。

 武器はロングソード×2、ショートソード×1、ハルバード×1、無手×1(多分魔法使い)。

 男女比率は3対2。

 ショートソードを二本、両逆手に持っている、背が低くガッチリしてムッチリした女冒険者。

 そして、フードを被った痩せた女性魔法使い。判定はフードから覗く真っ赤な口元。

 そういう趣味の男の冒険者だとは思いたくない。

 後は世紀末ヒャッハーした男たちだ。

 多分、鉄で出来た札を、これ見よがしに胸に提げている。

 冒険者ギルドが認定証として出している札は、木、石、鉄、銅、銀、金、白金の七種。

 ランクは下からF、E、D、C、B、A、Sの順になる。

 そうすると、イチャモン付けて来たヤツらはランクDってコトになる。

 年齢は若くて二十歳代、一番歳上が四十歳代。

 むしろ四十歳代になってもランクDは才能無いだろって話にならないか?

「とっとと出て来いや!」

「ビッてんじゃねーぞ!」

「ヌッコロってやんよっ!!」

 年下の新人一人相手に、何をイキってんでしょうか。

 僕は思わずため息を漏らした。

 周囲の人たちを意識してか、得意気なのが痛々しい。

 取り敢えず雑念を払い、目の前の五人に集中する。

 中央一番出前にロングソード、一歩下がって右隣に魔法使い、右側一番外にハルバード。

 中央左側にショートソード、その左ちょっと離れたところにロングソード。

 左側に羽が伸びた鶴翼の陣で、囲んでボコる気満々です。

 コイツら同じパーティーじゃないのか?

 連携取れ過ぎるだろ。

 僕はゆっくりと五人に近付く。

 周りの視線が痛い。

 侮っているのは目の前の五人だけだろうな。

 周囲の冒険者たちは、クレイの弟子の実力を測りたいのだろう。

 或いは、僕の能力を。

 無手の新人冒険者が、迂闊な中堅冒険者にどう対応するのか、一挙一動を注視している。

 大方の予想としては、正面のリーダーっぽいヤツを急襲し、余力があればショートソードに噛み付き、後は囲まれてボコられるってトコか。

 予想通りってのも癪だよな。

 
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