異世界・野獣暴れ旅 ~スローライフに憧れて~

送り狼

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第4章 冒険者

第82話 ダンジョン町

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 翌日、朝の鍛練を終えた僕は、装備を改めてダンジョン探索の依頼に向かい、ビアンカとは待ち合わせ場所で合流した。

 現在ビアンカは爆笑中です。

 どうやら最後の「面倒臭かった?」がツボに入ったようで、ヒィヒィ言いながら泣いている。

 さっきまで心配そうに、クレイとのやり取りを聞いていたクセに。

「ま、まぁ何事も無くて良かったよ」

 ようやく笑いを収めて深呼吸し、ビアンカはそう言った。

 冒険者の中には、チート持ちって呼ばれる人が多少存在するらしい。

 明らかにされていないが、周知の事実として、チート持ちは転生者って図式はあるようだ。

 当然ビアンカは僕がチート持ちだと確信し、それに伴う助言や助力をしていた。

 僕の予想が間違いでないなら、ビアンカはクレイと繋がりがある。

 本人もクレイも何も言わないが、何も言わないコト自体が繋がりを証明するだろう。

 クレイの話では、クレイの組織には転生者だけではなく、転生者の関係者や賛同者も存在すると言う。

 ビアンカもそうした一人なんだろうなと、僕は考えていた。

 クレイの関係者なら、僕を利用しようと考えてないだろうとの思惑で、僕はビアンカを信用していた。


 ダンジョンの穴は、一言で言えば管理されていた。

 入り口には壁が巡らされ、穴と壁を繋いだ通路が作られている。通路の入り口には重い鉄製の扉があり、普段は開いているが、問題が生じれば直ちに閉じられるコトになる。

 扉の側には兵士の詰所があり、出入りする冒険者を監視しているし、有事の際には指揮権を持つ。

 また、治療院が常設され、宿屋や商店も軒を連ね、一つの町を形成していた。

 ソドリームの町から徒歩で二時間。

 冒険者なら一時間足らずで到着出来る近場のダンジョンである。

 商売人以外の一般人はいない。

 僕とビアンカは兵士の検問を受け、すんなりとダンジョン入り口をくぐり抜けた。

「ずいぶんと簡単なんだな?」

「そりゃあね。依頼だから、余計な確認はギルドがするし、実質人数のチェックくらいしかないからさ」

 暗い通路に、ビアンカがライトの魔法を灯して歩いて行く。

 ピンポン玉くらいの大きさで、蛍光灯程度の灯りが、ビアンカの頭上に漂っている。

 なるほど。

 この光源だと、目の前にあったら邪魔になるからな。視界を遮らない頭上に浮かべるのか。

 魔法そのものに感心し、その用途に納得しながら、僕はビアンカの後に続いた。

 後で魔法の使い方を教えて貰おうと、僕はちょっと浮かれてしまった。

 仕方ない。だって魔法だもんな。
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