異世界・野獣暴れ旅 ~スローライフに憧れて~

送り狼

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第4章 冒険者

第87話 ビアンカの事情

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「ディーン」

 男の顔を確認し、ビアンカが相好を崩す。

「お前がパーティーを組んだってな。こいつか?」

 ビアンカの様子に警戒は緩めるが、完全には解かない。

 ディーンは僕の様子に軟らかい笑みを見せ、右手を差し出してきた。

「ディーン・エルナンドだ。『光彩燕樹』のリーダーをしている」

「シチロー・サノっす。・・・こうさいえんじゅ?」

「パーティー名だ。ランクBになる」

 照れくさそうに、ディーンが頭を掻く。

 パーティーにも名前を付けるんだと、今更ながら僕はビアンカを見た。

「私たちはほら、今回お試しみたいなもんだから・・・」

 少し寂しそうに、ビアンカが答える。

 僕に気を遣ったってコトか。

「しかし、良かったな、ビアンカ」

 僕たちの会話は聞き流し、ディーンはビアンカに向き直る。

「ありがとう、ディーン」

 話を聞くと、ディーンは自分のパーティーにビアンカを迎え入れられなかった代わりに、知り合いのパーティーに推薦してくれたりしていたらしい。

 何度か話をもらったが、ビアンカの職掌がネックになって纏まらなかったり、パーティーメンバーの拒絶にあってダメになったりしていたらしい。

 その過程でとあるパーティーに勧誘を受けたが、条件が慰安係と言われてキレ、パーティー自体を潰したという。

 その話が悪意で拡散され、ビアンカにはパーティーの話すら来なくなった。

 ディーンはそれでもビアンカの為、噂の否定や真実の話を広め、とあるパーティーの非道と仲間の逆恨みを糾弾したりした。

 そこまでするならパーティーに入れりゃいいだろうに、と、僕は考えたが、男ばかりのディーンのパーティーはちょっと特殊らしく、断られたビアンカですら納得したというコトから察しろよって話だ。

 そう言えば、古代ローマだかでそんな感じの部隊が最強だったって話があったな。

 最愛の人を守るため、お互いがお互いを庇いながら戦っていたらしい。

 国のためではなく、隣で戦う恋人のために羅刹になる男のみの部隊。

 そりゃ強かろう。

 付き合いがあるビアンカに対する警戒心は徐々に減り、会話する程度には仲良くなったものの、パーティーに参加させるのは違うらしい。

 ビアンカもそこは理解し、パーティーと付き合いがある個人冒険者って立ち位置をキープしている。

 ビアンカのパーティー立ち上げはそこそこ話題になっていたようで、ディーンも一度僕に会ってみたかったと言っていた。
 
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