異世界・野獣暴れ旅 ~スローライフに憧れて~

送り狼

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第4章 冒険者

第88話 空気読める人

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「ビアンカが認めたヤツなら間違いはないと思っていたが、まさか木札とはな」

「シチロー、だ」

「スマン。だがビアンカの腕は確かだ。色々と教わるがイイ。その代わり、男としてキチンと守ってやってくれ」

「何を今更」

 何か言葉を掛けられる度にイライラしてくるんですけど?

 ビアンカが信頼するヤツだから何も言わないけど、ビアンカは僕の表情に気付いてか、気が気じゃないって感じになっていた。

「ここで休憩ってコトは、階層調査を受けたのか?」

 空気を読まないディーンは、尚も僕たちに構おうと話し続ける。

「うん。まぁ、ね。シチローの初ダンジョンなんだ」

「そうか、頑張れよ!誰でも最初は緊張してガチガチになるもんだが、ビアンカに任せれば心配するコトは何もないからな」

 空気読めっつってんだろうが!!

 言ってないけど!!

「ディーン!早く潜らないと、時間は待っちゃくれないよっ!?」

「ん?あぁ、そうだな。それじゃあオレたちは行くよ。ビアンカ、また酒でも飲もう」

「うん。そうだね。ありがとね」

 一気に不機嫌になった僕の様子に、ビアンカは慌ててディーンに先を促した。

 ディーンの方は何も分かってないのか、爽やかな笑顔でビアンカに再会を約し、僕に手を挙げてダンジョンの先に進んで行った。

 すごく煩わしいと感じたのは、自分のコミュニケーション能力が低いせいだろうか?

 ビアンカに気を遣わせたと分かる程度には、ディーンより上等だと信じたい。

 機嫌良く歩き去るディーンに着いていくパーティーメンバーは、微妙な視線を僕に向け、取り敢えず会釈をしていた分、ディーンよりはマトモなんだろう。

 賭けても良いが、ディーンは人の話を聞かない・・・聞いてないタイプのイイ人だ。

 ビアンカのコトが無ければ、僕としては近付きたくないヤツである。

 気持ち悪いって意味では、フリューゲスの次にってレベルで。

「何かゴメンね」

 申し訳なさそうに、ビアンカが頭を下げる。

「何で謝るの?」

「ん?だって、友人だから、ね。空気読めない人だけど、悪い人じゃないんだよ。何て言うか、何に対しても一生懸命って言うか・・・」

 食事の準備をテキパキとこなしながら、ビアンカはディーンをフォローする。

「イイヤツってのは分かってるよ。ビアンカを心配していたのも」

 僕がそう言うと、ビアンカの表情が明るくなる。

 しかし、僕と気が合うかどうかは別問題だ。

 ビアンカにディーンとの付き合いを考え直せとかは言わない。

 ビアンカの過去を聞いてそんなコト言えば、僕が最低の人間ってコトになるから。

 僕は空気読める人なんだから。
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