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第4章 冒険者
第89話 魔物誕生
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「干し肉はお湯に浸けて食べるんだ。塩が抜けてイイ感じになれば、お湯もスープとして飲めるし、パンを浸せば軟らかくなって食べ易いよ」
マグカップにお湯を入れ、実演するように説明しながら食事をするビアンカに、僕は頷きながら真似をする。
あんなに塩辛かった干し肉の塩分が抜け、味が薄くなった肉はポショポショしてて、ビアンカがスープだと言い張るお湯は、出汁が効いてない味噌汁のようにお湯だった。
お湯を吸ったパンは濡れたパンであり、僕は早急に食事事情の改善をしようと心に誓った。
食べ易いってのと美味しいはイコールじゃないんだよ。
クレイが旅の途中、干し肉を洗いって齧るだけの食事をした理由が良く判った。
あれは少なくとも、肉の味が残る食事だったのだ。
戦国時代、干した芋蔓を味噌汁で煮しめて携行食として活用していたらしい。
食事時に鉄笠を反してお湯を沸かし、芋蔓を切って入れると味噌汁になるのだとか。
芋蔓自体が具になるってコトだね。
ただ、携行方法は縄のように腰に巻くだったと思う。
衛生上どうなのよって話だが、ただのお湯に干し肉をぶちこむだけってのより前向きだろう。
生気のなくなった目で口だけを動かし、辛かった食事を終えた僕は、ビアンカに促されて調査を再開した。
「ダンジョン内の魔物って、どうやって生まれんの?」
「ん?んー・・・こんな感じ」
僕の質問に、ビアンカはキョロキョロと辺りを見回すと、壁の一点を指差した。
その壁は周囲より若干盛り上がり、沁み出した水分で濡れていた。
壁の中に何かいるのか、壁が蠢いている。
「あー、生まれる前の魔物を傷付けちゃダメだよ」
思わず壁を突き刺そうとした僕を、ビアンカが止める。
どのような仕組みなのか、生まれる前の魔物を殺すと、魔物が集中して生まれるようになるらしい。
しかも短時間に、である。
調子に乗った新人冒険者が良くやらかすタブーだという。
階層固有の縛りはあるものの、生まれる魔物はランダムだから、新人では対処出来ない魔物が出ると、あっという間に魔物が溢れてしまう。
当然当人は呑み込まれ、他の冒険者に多大な迷惑を掛ける結果となる。
浅い階層でそれをやらかすと、下層から上がって来た中堅以上の冒険者たちの顰蹙を買うのは間違いない。
そりゃ疲れて上がったら低レベルとはいえ、出口付近に魔物が溢れているって状況は、かなりイラつくってもんだろう。
怪我や状態異常があれば、生命に関わる事態になりかねないのだ。
マグカップにお湯を入れ、実演するように説明しながら食事をするビアンカに、僕は頷きながら真似をする。
あんなに塩辛かった干し肉の塩分が抜け、味が薄くなった肉はポショポショしてて、ビアンカがスープだと言い張るお湯は、出汁が効いてない味噌汁のようにお湯だった。
お湯を吸ったパンは濡れたパンであり、僕は早急に食事事情の改善をしようと心に誓った。
食べ易いってのと美味しいはイコールじゃないんだよ。
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あれは少なくとも、肉の味が残る食事だったのだ。
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食事時に鉄笠を反してお湯を沸かし、芋蔓を切って入れると味噌汁になるのだとか。
芋蔓自体が具になるってコトだね。
ただ、携行方法は縄のように腰に巻くだったと思う。
衛生上どうなのよって話だが、ただのお湯に干し肉をぶちこむだけってのより前向きだろう。
生気のなくなった目で口だけを動かし、辛かった食事を終えた僕は、ビアンカに促されて調査を再開した。
「ダンジョン内の魔物って、どうやって生まれんの?」
「ん?んー・・・こんな感じ」
僕の質問に、ビアンカはキョロキョロと辺りを見回すと、壁の一点を指差した。
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壁の中に何かいるのか、壁が蠢いている。
「あー、生まれる前の魔物を傷付けちゃダメだよ」
思わず壁を突き刺そうとした僕を、ビアンカが止める。
どのような仕組みなのか、生まれる前の魔物を殺すと、魔物が集中して生まれるようになるらしい。
しかも短時間に、である。
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浅い階層でそれをやらかすと、下層から上がって来た中堅以上の冒険者たちの顰蹙を買うのは間違いない。
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