異世界・野獣暴れ旅 ~スローライフに憧れて~

送り狼

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第4章 冒険者

第97話 イチャコラ

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「あ、そうだ。預かってる武器と現金、分けなきゃ」

「あ、そうだね」

 話を変えるように忘れていたコトを告げると、ビアンカはきょとんとした後頷いた。

 本気で忘れていた顔だな、これは。

 さっきの絡みが韜晦だとすると、これは天然なんだろう。

 だとすれば、ビアンカ自身は金銭的に余裕がある冒険者なのか、何かしら意図があって僕に関わっていると考えられる。

 パーティー以外のお誘いが一切ないので、目的がハッキリしないが、本当に何者なんだろうか?

「一応ミスリルの・・・」

「待って待って待って!」

 その場でインベントリに手を突っ込む僕に、ビアンカは慌てて止めに入る。

「こんなトコで出さないで!取り敢えず人の目の無い・・・私の宿っ!宿に行こう!!」

「お、おぅ」

 ビアンカの剣幕に気圧されるように、僕は頷くしかなかった。





『こうしていると女性なんだよなぁ』

 さりげなくお茶を準備し、秘蔵の品であろう菓子を出すビアンカに、僕は失礼な感想を飲み込んだ。

 ビアンカが公衆の面前で僕を部屋に誘い、なし崩し的に僕がそれに乗った時点で、ギルドの喫茶スペースは怨嗟の嵐に包まれた。

『ギルドでイチャコラしてんじゃねぇ!もぐぞコノ野郎!!』

 ってコトらしい。

 僕はもちろん、ビアンカにもそんな気は微塵もなかったものの、僕とビアンカの会話に耳をそばだてていたヤツらにしてみれば、爆発しろって意見に代わりはないようだ。

 そんな周囲の反応も露知らず、ビアンカが定宿にしている宿の部屋に入った僕は、ここぞとばかりにインントリを開いたのだった。

「ロングソードは貰うけど、あとは要らないからビアンカの好きにして」

「良いの?これぜんぶレア物よ?」

 最初に僕の武器になる剣を貰い、残った武器をビアンカに受け取るように促す。

「あんまり興味ないからなぁ。ビアンカの剣もダメにしちゃったし、いいよ」

 あのダンジョンで、僕はビアンカに借りた予備の剣を折っていた。

 きっちりと手入れされた剣だからこそ、そこまで保ったとも言える。

 大事な剣だったのか、折れた剣を見て落胆していたけど、謝る僕を責めるコトはなかった。

 その分僕の方が申し訳なかったんだが。

 出来ればその剣を補填する意味でも、拡げた武器を貰ってもらいたかった。

 レア物なら売るにしろ使うにしろ、邪魔にはならないだろう。

「そもそもミスリルの武器とか防具ってどうなの?」

 僕は基本的なコトをビアンカに聞いた。


 
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