異世界・野獣暴れ旅 ~スローライフに憧れて~

送り狼

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第4章 冒険者

第99話 演技力

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「パーティーは信頼関係が重要なんだって思った」

「だね。阿吽の呼吸とまではいかなくてもさ、相手が何を考えてるか、どう動くかとか、信頼関係がなければ予測も行動も出来ないからね」

 僕の言葉に、ビアンカが嬉しそうに大きく頷く。

「端的に聞くけど、ビアンカは何故、僕とパーティーを組むコトにしたの?」

「え?・・・気に入ったからって・・・話したよね?」

 笑顔が一転して挙動不審になるビアンカ。ベテラン冒険者の威厳のカケラもない。

 最初は凛とした、頼もしそうな雰囲気だったんだけどね。

「それ、理由の一つでしかないんじゃない?僕との接触とパーティー発足。誰に頼まれた?」

 つらつら考えると、一番最初のビアンカは、喧嘩を売られた僕に、実に面倒臭そうに対応してきた。

 新人イビりのバカと、ボケっとした『木札』。

 本来なら誰も注目しない日常の一コマなんだろうが、今回は相手が相手だった。

 剣豪クレイの弟子。

 クレイと旅して来た子供の実力を、その場にいた冒険者たちは測りたかった。

 ビアンカも含めて。

 僕は冒険者たちの基準をクリアしたようだ。

 ビアンカはこの時点で僕に興味を持ったんだろう。

 対応が一転していた。

 問題は、乗り気ではないビアンカに、誰が接触するように言ったか、だ。

 パーティー発足後のビアンカの言動を鑑みても、僕を害するとか利用するってコトもなさそうなので、ちゃんとしたパーティーを組むにあたり、そのあたりをハッキリさせておきたい。

「ナ、ナ、ナナ、ナ、ナンノコトカナ?カナ?」

 どこの村の少女だよ?

「不自然だろ。初めて見たヤツとパーティー組むにしても、あらかじめ準備なり調査なりするもんじゃないのか?」

「インスピレーション?」

 何で疑問形なんだよ。

「ましてやビアンカは女だ。今まで男の冒険者に言われていたハズなのに、何で僕なんだ?」

「ヴーッ」

 威嚇してもダメ。て言うか、小動物か!

「・・・ホントのコト言ったら、ずっとパーティー?」

「むしろホントのコト言わないとパーティー解散」

「ズルい!」

「何が!?」

「そりゃ切っ掛けはあったさね。ポッと出の低ランク冒険者とパーティーだなんて、本来なら絶対ムリ」

 吹っ切れたのか、ビアンカがぶっちゃけ始めた。

 それはそれで酷くない?

「でもさ、途中から私は本心からパーティーを望んでたんだよ?」

 うん。それは疑ってない。

「分からないのは、僕とビアンカを組ませようとしていたのかってコト」

 その誰かに何のメリットがあるんだ?

「クレイ」

「何?」

「私にシチローと組むように仕組んだ人」

「何ーっ!?」
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