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第5章 新興勢力
第100話 旅支度
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「ハリガリ村の『草』からです」
小さく丸まった紙片をクレイに手渡し、狐耳の少年が緊張した面持ちで佇んでいた。
「ありがとう、ユング」
オレは戦闘にも使えそうな実用一点張りの執務机にかじりつき、書類と朱印を相手に格闘していた。
視線の先でユングの尻尾が左右に揺れている。
「一通だけか?」
「はい。先ほど帰巣しました」
オレの問に、若干被り気味に答え、ユングは頬を染めた。
ユングは屋敷の敷地内で鳥の世話をしている獣人で、『裏柳生』の繋ぎの任にあたっている。
『草』とは潜入地域で何世代にも渡って活動し続けるスパイで、その地域で生まれた転生者の監視と探索を請け負っている。
必要があれば接触し、『裏柳生』に報告する。
その報告の手段が、カラスに紙片を運ばせる伝書網である。
前世では鳩を使っていたが、この世界に鳩は存在せず、代わりにカラスっぽい鳥を利用できた。
この鳥はほぼカラスと同じ外見をし、比較的知能が高く、飼育に手間が懸からない。
簡単な人語を解し、行先を告げれば過たず飛んで行く。
通信が発達していないこの世界では、貴重な伝達手段となっていた。
ハリガリ村はソドリームの南東五日に位置する、戸数二十、人口も百に満たない小さな村落である。
その村に誕生した、女の子の新生児が転生者であるらしいとの報告を、カラスがもたらした。
オレは掌の紙片を拡げ、内容を確認する。
赤い紙片は転生者誕生を意味し、符丁で情報を書き込んである。
通常同じ内容のカラスを複数飛ばし、情報の欠落を防ぐ。
賢いと言っても鳥である。
逃散や事故、襲撃もあり得る。
今回の報告は事態が切迫しているようで、オレは直ちにナターシアを呼び、旅支度を頼む。
ナターシアはシチローも呼ぶかを確認してきたが、シチローを連れて行くにはまだ早い。
しばらくはギルドの活動で、この世界に慣れてもらうつもりだった。
シチローが普通に転生したのであれば、このような手間はいらなかったのだがと、オレは詮ないコトに苦笑した。
「何日か空ける。後を任せた」
自分でも言葉が足りないと意識しているものの、ナターシアはそれすら心得た柔らかな表情で頭を下げる。
「ビィには何か?」
「問題があれば言ってこよう。それまで手出し不要」
教育係として選んだ女性冒険者の、あからさまに嫌そうな表情を思い出し、オレはちょっと笑ってしまった。
小さく丸まった紙片をクレイに手渡し、狐耳の少年が緊張した面持ちで佇んでいた。
「ありがとう、ユング」
オレは戦闘にも使えそうな実用一点張りの執務机にかじりつき、書類と朱印を相手に格闘していた。
視線の先でユングの尻尾が左右に揺れている。
「一通だけか?」
「はい。先ほど帰巣しました」
オレの問に、若干被り気味に答え、ユングは頬を染めた。
ユングは屋敷の敷地内で鳥の世話をしている獣人で、『裏柳生』の繋ぎの任にあたっている。
『草』とは潜入地域で何世代にも渡って活動し続けるスパイで、その地域で生まれた転生者の監視と探索を請け負っている。
必要があれば接触し、『裏柳生』に報告する。
その報告の手段が、カラスに紙片を運ばせる伝書網である。
前世では鳩を使っていたが、この世界に鳩は存在せず、代わりにカラスっぽい鳥を利用できた。
この鳥はほぼカラスと同じ外見をし、比較的知能が高く、飼育に手間が懸からない。
簡単な人語を解し、行先を告げれば過たず飛んで行く。
通信が発達していないこの世界では、貴重な伝達手段となっていた。
ハリガリ村はソドリームの南東五日に位置する、戸数二十、人口も百に満たない小さな村落である。
その村に誕生した、女の子の新生児が転生者であるらしいとの報告を、カラスがもたらした。
オレは掌の紙片を拡げ、内容を確認する。
赤い紙片は転生者誕生を意味し、符丁で情報を書き込んである。
通常同じ内容のカラスを複数飛ばし、情報の欠落を防ぐ。
賢いと言っても鳥である。
逃散や事故、襲撃もあり得る。
今回の報告は事態が切迫しているようで、オレは直ちにナターシアを呼び、旅支度を頼む。
ナターシアはシチローも呼ぶかを確認してきたが、シチローを連れて行くにはまだ早い。
しばらくはギルドの活動で、この世界に慣れてもらうつもりだった。
シチローが普通に転生したのであれば、このような手間はいらなかったのだがと、オレは詮ないコトに苦笑した。
「何日か空ける。後を任せた」
自分でも言葉が足りないと意識しているものの、ナターシアはそれすら心得た柔らかな表情で頭を下げる。
「ビィには何か?」
「問題があれば言ってこよう。それまで手出し不要」
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