異世界・野獣暴れ旅 ~スローライフに憧れて~

送り狼

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第5章 新興勢力

第103話 エラン

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 転生者がすべて、健全に成長する訳ではない理由がここにある。

 育児拒否をされた赤子がまともに育つ筈がなく、育ってもまともな精神状態である可能性は低い。

 裏柳生が保護出来なかった転生者には、売られて奴隷になる者や、徒党を組み犯罪に手を染める者も多い。

 そして、人知れず誘拐され、所在不明になる転生者もまた。

 この事実を知るエランは、表向き平常通り暮らしながら、盗賊団の偵察と理由を付けて、常に最大の警戒を自警団に促していた。

 村を監視するヤツらが裏柳生と反目する組織のハンターだとすれば、姪のみならず、村全体の脅威となる。

 正直言って、ハンターならエランには荷が勝ちすぎる。

 少なくともランクBの冒険者以上の手練れ揃いだと言われている。

 出来れば弟夫婦と一緒に姪の成長を見守り、幸せな人生を歩んでほしいが、裏柳生を呼んだ以上、弟夫婦の為にもすべてを明かし、保護してもらう他ない。

 問題は、救援が間に合うか、だが。

 間に合わなければ、最悪村自体が無くなる。

 自分の考えに、エランはブルリと震えた。

 人口が少ないとはいえ、自慢の村だ。蹂躙されるに委せる気はない。

 使い馴れた剣の柄に手を置き、弟の家を見つめる。

 次いで自分の家を。

 美人ではないが愛嬌のある、面倒見の良い嫁さんと、今年三才になる息子。

 密かに逃がすかと、頭を過るが、慌てて頭を振り、その考えを振り払った。

 監視が付いた時点で遅い。

 子連れなら尚更監視を抜けられないだろう。

 希望があるとすれば、ハンター共が転生者の存在を特定していないコトくらいか。

 しかし、何故、転生の可能性を察知できたのか?

 エランでさえ、転生者だと分かったのは、叔父として近くに接していたからだ。

 確信したのは最近のコトだ。

 ハンター共は、その段階で村を監視し始めた。

 対応が余りに速すぎ、しかし確信を得ていないという、チグハグな印象をエランは受けていた。

「どうしたんです、エランさん?」

 道の真ん中で難しい顔をして考え込むエランに、自警団の団員が苦笑しながら声をかける。

「ん!?あぁ、スマン。何だ?」

「もうすぐ司祭様が来られますが、護衛を出しますか?」

「そうだな。盗賊団のコトもあるし、迎えに・・・!?」

 一瞬言葉に詰まり、エランは再び考え込む。

「エランさん?」

「今、村は盗賊団に狙われている。失礼ではあるが、司祭様には引き返してもらった方が安心だな」
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