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6 酒場嬢シアナ
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武器屋を後してからは、酒場の場所を見て周った。
あそこは娘酒場、あそこは嬢酒場。そこの子は可愛い系で、あっちは色っぽい系等々。忘れないために携帯用操作盤へ超特急でメモ機能を付けた。
往来のど真ん中で魔導具を取り出した時は目を丸くされたが、それ以上に新機能の追加を10分そこらでした事に驚かれた。元々省いていた機能を復旧させただけなのに。
そして全ての酒場を周り終える頃には、すっかり日が落ちていた。
「じゃあ、はい。今晩の宿代とお酒代、一番重要なチップ代ね」
「おお、ありがたやありがたや……」
「うむ、苦しゅうない。…ふふふ、それじゃあ僕は『いろり亭』に居るからね。良い夜を」
「ああ、良い夜を」
やる気満々の男達はこういう挨拶をするそうだ。なんでも次の日挨拶した相手からバカにされたくない気持ちから、ヒヨりにくくなるらしい。効果の程は不明。
……さて、何処へ行こう。とりあえず嬢酒場に限定する。可愛い系も良いが、個人的にはお胸の豊かな子がいい。
検索機能を使い、色っぽい系に絞る。結果は5件。夜は長い、全部行ってみるか。
まず1軒目。『飲み屋カラン』。
テーブルに着いて紅玉酒を一つ頼む。甘さ控えめでイチゴ香りが強い、オシャレよりの酒だ。
ここの看板嬢は黒い長髪で清楚な雰囲気の子だった。確かに汗に濡れる鎖骨の辺りなんか素晴らしいが、お胸の大きさに少し不満があった。
何故大きさが分かるかって? チップ払ったからだよ。ぶっちゃけこだわりとか、どうでもよくなるくらいには至福でした。でももう先約が居たんだもん、しょうがないじゃん。
2軒目は『酔いどれ赤兵衛』。
ここは琥珀酒がオススメだった。アルアンで飲んだ物より麦の味が深く、美味しかった。
看板嬢は人妻感溢れるお姉さん。若過ぎず、かと言って若くないかと言うとそんな事はない。人生に熟成された妖艶さがそこにあった。
ただ未だに独身のようで、結婚相手を探しているからか目付きが飢えた獣のそれだった。ちょっと雰囲気が怖かったのでチップだけで済ませて退店する。
そして3軒目。『真っ青鬼亭』で彼女と出会った。
「いらっしゃーい。空いてるトコ座ってねー」
入店すると同時に、緩い声が響いてくる。その主はいかにも遊んでいそうな雰囲気をかもし出す、金色の長髪が綺麗な女性だった。
その豊満なたわわは顔に迫るほど大きい。間違いなく、このシーロアの町一番のモノをお持ちであろう。大きさだけではない。形も視線が吸い込まれるくらいに好みだった。
「おにいさん? 座らないのー?」
「あっ、すみません」
「いいよー」
いけない、入り口でいつまでも立っていては迷惑だ。慌てて空席に座る。
流れでメニューを手に取るが、やはり書かれている料理が何か分からない。
「注文決まったら言ってね」
丁度良い、水の入ったコップを持ってきた彼女に尋ねよう。視線がテーブルにコップを置かれた時のままになりそうだったが、何とか顔を見て話しかけることができた。
「メニューが何か分からないので、お酒と料理、お勧めを一つずつお願いできますか」
「おにいさん、そんなこと他の町で言っちゃだめだよ? ぼったくられちゃうんだから」
「ありがとうございます。ですが予算は所持金全部なので、大丈夫ですよ」
「豪気だね。じゃあちょっと待ってて?」
いたずらっぽく笑った彼女は厨房の方へ歩いていった。ふりふりと揺れる腰を眺めつつ、水を一口飲む。
手持ち無沙汰にしていると、近くの席で酒盛りしていた酔っ払いが話しかけてきた。
「おいお前、よそモンだろ。良い店見つけたな」
「ええ、今日初めて来ました。あれは素晴らしい」
「やっぱ嬢目当てか。初めてでココは見る目あんぜ?」
肩を叩かれる。だいぶ飲んでいるようで匂いがきついが、悪い気はしない。ほろ酔いなこともあって、口が軽くなる。
「いや実はまだ女性経験がなくてですね。お相手を探して嬢酒場を巡って3件目なんですよ」
「あんだって? おめーどーみても遊んでそうなツラじゃねーかよ」
「いや待て。パッと見はそうだが、シアナを見る目は完全に童貞のそれだった」
別の奴が口を挟んできた。大きなお世話にもほどがある。ぶっとばしたろか。
そんなことより金髪巨乳の彼女はシアナというらしい。響きが綺麗な子だ。
「ずっと人っ気の無いところに住んでたんです、しょうがないでしょう」
「だからって童貞はなあ。この辺りで若ぇのの娯楽ったら、コレくらいしかねえだろぉによ」
人差し指と中指の間に親指を差し入れる。品が無いぞ。
それに例え事実だとしても、からかわれるのは少し腹が立つ。
「俺には魔導具を作るって趣味があるんですぅー」
「なんだ? オメー嘘はよくねーぞ。こんなところに魔導技師様が居るわきゃねーだろ」
「なあ。もうちっとわかりづれぇホラ吹けや」
「もし事実だとしたら?」
「シアナにお前を推してやるよ!」
「アイツああ見えて気に入った奴にしか抱かせてくれねぇもんな」
「言いましたね。その言葉、忘れないでくださいよ」
バッグからこぶし大の鉱石と手のひらより小さい石の2つを取り出し、テーブルに載せる。
「これ、ただの石ですよね? 手にとって確認してください」
「あん? どれどれ」
最初に話しかけてきた男1が念入りに確かめる。からかってきた男2にも渡し、くるくる回したりして眺めてからテーブルに戻した。ゴトリと重い音が鳴る。
「見たことねーもんだったが、確かにタダの石だったな」
「ああ、間違いねえ」
「では見ていてください」
俺は両の指先に魔力を集中させ、一つの鉱石を握る。するとごつごつしていた石が粘土のように形を変え、ボロボロと黒いかすを零し始めた。
「おい、こりゃぁ……」
「マジかよ。ホンモノじゃねーか」
真っ黒だった鉱石は精錬され、銀色の輝きを放ち始める。その眩さは留まることなく増して行き、かすが零れなくなった頃には灯りの色に染まっていた。
「ありえねえ純度だ。なんだよコレ」
「ただの銀ですよ」
「もうただモンじゃねーぞ。見ろ、灯りの火がくっきり映ってやがる」
通常の銀は鈍い輝きだが、限界まで精錬した上に魔力も混ぜて練った魔銀だ。ミスリルにも劣らない、晴れた水面のように周囲を映す。
だがこれ位で驚いてもらっては困る。俺は魔導具を作るのだから。
もう一つの小さな石も不純物を落とす。こちらは中から濁った石が顔を出した。光の屈折率を考慮し楕円に形を整え、石の中に細かな影を作り上げる。
「ちょっ、水晶か?」
「いや、これは――」
「はい、ダイヤモンドです」
「なあっ?」
「……おいおいおい。何を見てるんだ、俺達ゃあ」
魔銀を再度手に取って細長く引き伸ばす。髪5本分ほどしかない太さの、1本の銀縄。それを時に編み、時にねじって厚みを持たせていく。
細かな造詣を終わらせた後、弄られていない銀縄の両端にダイヤの縁を絡ませて完成だ。
「どうです?」
「どうって、おめーよぉ……」
「何を言えってんだよこんなもん」
テーブル上には、アクセサリーに関心が乏しい酔っ払いすらも息を呑む、一つのペンダントが鎮座していた。
ふと周囲を見渡すと、他の客も固唾を呑んでペンダントを凝視していた。
「という訳で、俺をお勧めして貰えますね?」
「いや、確かにすげーけどよ。魔導具じゃねえだろこれ」
「そいやそうだ。アクセサリー職人なんじゃねーか」
「いえ、魔導具ですよ?」
「はっ?!」
「見ててください」
ペンダントに指を触れて魔力を通す。すると透明の膜が俺を包み、一瞬燐光を放つ。直後、酒場がざわついた。
「消えた?!」
「いなくなったぞ!」
「なんだよ今の!」
興奮して叫び始める者まで出始めたので、指をペンダントから離して効果を解く。
「うわっ?! って、ずっと座ってたのか?」
「はい、動いてませんよ。とまあ、こういう効果の魔導具です」
「なんだよ、ちゃんと説明しやがれ!!」
「そうだそうだ!」
「これ、チェーンの部分が回路なんですよ」
そもそも魔導具とは、魔力を導く道具だ。魔銀で魔力回路をかたどり、ダイヤモンドを触媒にして魔術を発動させる。
ただ魔術を発動させるのではなく、素材の特性を組み合わせて効力を増大させる。魔銀は光の反射、ダイヤは集光と透過だ。
今回は単純に受けた光を反対側に反射させているだけ。それでも目には見えなくなる、身を守るのに便利なものだ。ただし膜状に魔力を展開する必要があるので、動くと霧散してしまうという欠陥品。
製作道具があればもっと良い物ができたが、素手ではこの程度が限界である。あとで崩して素材に戻そうと思い、バッグに放り込む。眺めていた何人かがため息をついたが知ったことではない。
これは女湯を覗くための双眼鏡にするんだ。あげないぞ。
「へええええ……」
「魔導具の価値なんざわっかんねぇけど、目ん玉飛び出るようなもんだってだけは分かるぜ」
「即席のガラクタなんで大したものではないです」
「いや! いやいやいや!!! 国王に献上モノだろコレ!!」
「そんなことより!! シアナさんに推薦してくれるんですよね!!」
「あたりめーだろ! ほら、来たぞ!」
お盆に料理を載せたシアナさんが戻ってきた。騒がしい事情を知らない彼女は首をかしげている。
そんな仕草すらも可愛らしく見える。俺はすっかりその気になっていた。
あそこは娘酒場、あそこは嬢酒場。そこの子は可愛い系で、あっちは色っぽい系等々。忘れないために携帯用操作盤へ超特急でメモ機能を付けた。
往来のど真ん中で魔導具を取り出した時は目を丸くされたが、それ以上に新機能の追加を10分そこらでした事に驚かれた。元々省いていた機能を復旧させただけなのに。
そして全ての酒場を周り終える頃には、すっかり日が落ちていた。
「じゃあ、はい。今晩の宿代とお酒代、一番重要なチップ代ね」
「おお、ありがたやありがたや……」
「うむ、苦しゅうない。…ふふふ、それじゃあ僕は『いろり亭』に居るからね。良い夜を」
「ああ、良い夜を」
やる気満々の男達はこういう挨拶をするそうだ。なんでも次の日挨拶した相手からバカにされたくない気持ちから、ヒヨりにくくなるらしい。効果の程は不明。
……さて、何処へ行こう。とりあえず嬢酒場に限定する。可愛い系も良いが、個人的にはお胸の豊かな子がいい。
検索機能を使い、色っぽい系に絞る。結果は5件。夜は長い、全部行ってみるか。
まず1軒目。『飲み屋カラン』。
テーブルに着いて紅玉酒を一つ頼む。甘さ控えめでイチゴ香りが強い、オシャレよりの酒だ。
ここの看板嬢は黒い長髪で清楚な雰囲気の子だった。確かに汗に濡れる鎖骨の辺りなんか素晴らしいが、お胸の大きさに少し不満があった。
何故大きさが分かるかって? チップ払ったからだよ。ぶっちゃけこだわりとか、どうでもよくなるくらいには至福でした。でももう先約が居たんだもん、しょうがないじゃん。
2軒目は『酔いどれ赤兵衛』。
ここは琥珀酒がオススメだった。アルアンで飲んだ物より麦の味が深く、美味しかった。
看板嬢は人妻感溢れるお姉さん。若過ぎず、かと言って若くないかと言うとそんな事はない。人生に熟成された妖艶さがそこにあった。
ただ未だに独身のようで、結婚相手を探しているからか目付きが飢えた獣のそれだった。ちょっと雰囲気が怖かったのでチップだけで済ませて退店する。
そして3軒目。『真っ青鬼亭』で彼女と出会った。
「いらっしゃーい。空いてるトコ座ってねー」
入店すると同時に、緩い声が響いてくる。その主はいかにも遊んでいそうな雰囲気をかもし出す、金色の長髪が綺麗な女性だった。
その豊満なたわわは顔に迫るほど大きい。間違いなく、このシーロアの町一番のモノをお持ちであろう。大きさだけではない。形も視線が吸い込まれるくらいに好みだった。
「おにいさん? 座らないのー?」
「あっ、すみません」
「いいよー」
いけない、入り口でいつまでも立っていては迷惑だ。慌てて空席に座る。
流れでメニューを手に取るが、やはり書かれている料理が何か分からない。
「注文決まったら言ってね」
丁度良い、水の入ったコップを持ってきた彼女に尋ねよう。視線がテーブルにコップを置かれた時のままになりそうだったが、何とか顔を見て話しかけることができた。
「メニューが何か分からないので、お酒と料理、お勧めを一つずつお願いできますか」
「おにいさん、そんなこと他の町で言っちゃだめだよ? ぼったくられちゃうんだから」
「ありがとうございます。ですが予算は所持金全部なので、大丈夫ですよ」
「豪気だね。じゃあちょっと待ってて?」
いたずらっぽく笑った彼女は厨房の方へ歩いていった。ふりふりと揺れる腰を眺めつつ、水を一口飲む。
手持ち無沙汰にしていると、近くの席で酒盛りしていた酔っ払いが話しかけてきた。
「おいお前、よそモンだろ。良い店見つけたな」
「ええ、今日初めて来ました。あれは素晴らしい」
「やっぱ嬢目当てか。初めてでココは見る目あんぜ?」
肩を叩かれる。だいぶ飲んでいるようで匂いがきついが、悪い気はしない。ほろ酔いなこともあって、口が軽くなる。
「いや実はまだ女性経験がなくてですね。お相手を探して嬢酒場を巡って3件目なんですよ」
「あんだって? おめーどーみても遊んでそうなツラじゃねーかよ」
「いや待て。パッと見はそうだが、シアナを見る目は完全に童貞のそれだった」
別の奴が口を挟んできた。大きなお世話にもほどがある。ぶっとばしたろか。
そんなことより金髪巨乳の彼女はシアナというらしい。響きが綺麗な子だ。
「ずっと人っ気の無いところに住んでたんです、しょうがないでしょう」
「だからって童貞はなあ。この辺りで若ぇのの娯楽ったら、コレくらいしかねえだろぉによ」
人差し指と中指の間に親指を差し入れる。品が無いぞ。
それに例え事実だとしても、からかわれるのは少し腹が立つ。
「俺には魔導具を作るって趣味があるんですぅー」
「なんだ? オメー嘘はよくねーぞ。こんなところに魔導技師様が居るわきゃねーだろ」
「なあ。もうちっとわかりづれぇホラ吹けや」
「もし事実だとしたら?」
「シアナにお前を推してやるよ!」
「アイツああ見えて気に入った奴にしか抱かせてくれねぇもんな」
「言いましたね。その言葉、忘れないでくださいよ」
バッグからこぶし大の鉱石と手のひらより小さい石の2つを取り出し、テーブルに載せる。
「これ、ただの石ですよね? 手にとって確認してください」
「あん? どれどれ」
最初に話しかけてきた男1が念入りに確かめる。からかってきた男2にも渡し、くるくる回したりして眺めてからテーブルに戻した。ゴトリと重い音が鳴る。
「見たことねーもんだったが、確かにタダの石だったな」
「ああ、間違いねえ」
「では見ていてください」
俺は両の指先に魔力を集中させ、一つの鉱石を握る。するとごつごつしていた石が粘土のように形を変え、ボロボロと黒いかすを零し始めた。
「おい、こりゃぁ……」
「マジかよ。ホンモノじゃねーか」
真っ黒だった鉱石は精錬され、銀色の輝きを放ち始める。その眩さは留まることなく増して行き、かすが零れなくなった頃には灯りの色に染まっていた。
「ありえねえ純度だ。なんだよコレ」
「ただの銀ですよ」
「もうただモンじゃねーぞ。見ろ、灯りの火がくっきり映ってやがる」
通常の銀は鈍い輝きだが、限界まで精錬した上に魔力も混ぜて練った魔銀だ。ミスリルにも劣らない、晴れた水面のように周囲を映す。
だがこれ位で驚いてもらっては困る。俺は魔導具を作るのだから。
もう一つの小さな石も不純物を落とす。こちらは中から濁った石が顔を出した。光の屈折率を考慮し楕円に形を整え、石の中に細かな影を作り上げる。
「ちょっ、水晶か?」
「いや、これは――」
「はい、ダイヤモンドです」
「なあっ?」
「……おいおいおい。何を見てるんだ、俺達ゃあ」
魔銀を再度手に取って細長く引き伸ばす。髪5本分ほどしかない太さの、1本の銀縄。それを時に編み、時にねじって厚みを持たせていく。
細かな造詣を終わらせた後、弄られていない銀縄の両端にダイヤの縁を絡ませて完成だ。
「どうです?」
「どうって、おめーよぉ……」
「何を言えってんだよこんなもん」
テーブル上には、アクセサリーに関心が乏しい酔っ払いすらも息を呑む、一つのペンダントが鎮座していた。
ふと周囲を見渡すと、他の客も固唾を呑んでペンダントを凝視していた。
「という訳で、俺をお勧めして貰えますね?」
「いや、確かにすげーけどよ。魔導具じゃねえだろこれ」
「そいやそうだ。アクセサリー職人なんじゃねーか」
「いえ、魔導具ですよ?」
「はっ?!」
「見ててください」
ペンダントに指を触れて魔力を通す。すると透明の膜が俺を包み、一瞬燐光を放つ。直後、酒場がざわついた。
「消えた?!」
「いなくなったぞ!」
「なんだよ今の!」
興奮して叫び始める者まで出始めたので、指をペンダントから離して効果を解く。
「うわっ?! って、ずっと座ってたのか?」
「はい、動いてませんよ。とまあ、こういう効果の魔導具です」
「なんだよ、ちゃんと説明しやがれ!!」
「そうだそうだ!」
「これ、チェーンの部分が回路なんですよ」
そもそも魔導具とは、魔力を導く道具だ。魔銀で魔力回路をかたどり、ダイヤモンドを触媒にして魔術を発動させる。
ただ魔術を発動させるのではなく、素材の特性を組み合わせて効力を増大させる。魔銀は光の反射、ダイヤは集光と透過だ。
今回は単純に受けた光を反対側に反射させているだけ。それでも目には見えなくなる、身を守るのに便利なものだ。ただし膜状に魔力を展開する必要があるので、動くと霧散してしまうという欠陥品。
製作道具があればもっと良い物ができたが、素手ではこの程度が限界である。あとで崩して素材に戻そうと思い、バッグに放り込む。眺めていた何人かがため息をついたが知ったことではない。
これは女湯を覗くための双眼鏡にするんだ。あげないぞ。
「へええええ……」
「魔導具の価値なんざわっかんねぇけど、目ん玉飛び出るようなもんだってだけは分かるぜ」
「即席のガラクタなんで大したものではないです」
「いや! いやいやいや!!! 国王に献上モノだろコレ!!」
「そんなことより!! シアナさんに推薦してくれるんですよね!!」
「あたりめーだろ! ほら、来たぞ!」
お盆に料理を載せたシアナさんが戻ってきた。騒がしい事情を知らない彼女は首をかしげている。
そんな仕草すらも可愛らしく見える。俺はすっかりその気になっていた。
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