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1学期
日常
しおりを挟む「涼、聞いてる?」
と、俺の横から上目遣いで灰髪の女が見ている。
涼というのが、俺の名前、俺は平谷涼、私立戀花高校に通う、一年生だ。
そして、こいつは灰里静、まぁ、いわゆる美少女(らしい)だ。俺は幼馴染で、そんな印象は持てないがさらに、性格も大人しくみえるらしく男子から絶大な人気を誇る。俺としては日頃から毒舌をくらっているので絶対にそんな印象はもてない。
「涼、大丈夫?」
距離をつめ、俺の顔を覗きこむようにみる。
「悪い!ちょっと考え事してただけだ!」
俺はそう言い慌てて距離をとる。
さすがに思春期の男子なので、女の子と至近距離で、見つめあうのは恥ずかしい。
「そう?それならよかった。」
そう言って、少し安心したような顔で前に目を向けた。
「もう、高校始まって二週間かー、案外早いもんだな」
「そうだね。あっという間って感じだった。」
「そういや、静、友だちできたか?」
「私は大丈夫だよ。涼よりはいると思うし。」
「さらっとそういうこと言われるとなんか傷つくな、まぁ、事実なんだけどさ・・」
静は、あまり人と話すのは得意ではない。だが、見た目のかわいさ、成績のよさも相まって友だちは結構多いのだ。
ちなみに、俺は友だちがいないわけではない。まぁ、量より質だ。
こんな感じに一人、心で必死に言い訳を並べていると、
「ふふ、ちょっとからかいすぎたかも、ごめんね?涼と話すのが楽しくてつい」
静は笑顔でそう言った。
「別に落ち込んだりしねぇーから大丈夫だ」
と、少し無愛想に返す。
すると、静は「ふふっ」と笑い、
「私はちゃんと涼の友達だからね?」
と、無垢な笑顔で俺に告げる。その時、
「朝から熱いねー、お二人さん」
と、声が聞こえた。静は少し頬を赤らめ「涼、またね。」と、小声で呟いて走り去っていった。
「あれ、もしかしてお邪魔だったかな?」
ニヤニヤしてこのだて眼鏡男は俺を見る。コイツの名前は石岡一輝、俺の友だち(仮)だ。
「(仮)をつけるな!俺は涼をそんな子どもに育てた覚えはないぞ!」
暑苦しく俺の耳もとで騒ぐ。
「はいはい、わかった、わかった。友だちということにしといてやるよ」
「何でそんな上から目線なんだよ!」
「あと、静はあんまああいうからかいは慣れてねぇからな?あんましない方がいいぞ?」
「うむ、確かにそれは悪かった。あとで、詫びておこう。ところで、話は変わるが、数学の課題はしましたかい?」
「あ、やべぇ、みしてくれ。」
「ジュース一本だな。」
「有料かよ、やっぱ友だち(仮)だな。」
と、いつもと変わらないくだらない掛け合いをしながら、まだ見慣れない白亜の校舎へ向かっていった。
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